問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
やっとテスト週間終わったぁぁぁ!!
それではこれからいつもの更新ペースに戻ると思います。
____東と北の境界壁。
四〇〇〇〇〇〇外門・三九九九九九九外門、サウザンドアイズ旧支店。
五人が店から出ると、熱い風が頬を撫でた。
いつの間にか高台に移動した“サウザンドアイズ”の支店からは、街の一帯が展望できる。
だが眼下に広がる街は彼らのよく知る街ではない。
「赤壁と炎と……ガラスの街……!?」
____そう。
東と北を区切る、天を衝くかというほど巨大な赤壁。
あれが境界壁だ。
昼間にも関わらず街全体が黄昏時を思わせる色味を放っているのは、街の装飾のせいだけではない。
境界壁の影に重なる場所を朱色の穏やかな光で照らす巨大なペンダントランプが数多に点在している為だ。
キャンドルスタンドが二足歩行で町中を闊歩している様を見て、十六夜も喜びの声を上げた。
「へぇ……!!980000kmも離れているだけあって、東とは随分と文化様式が違うんだな。歩くキャンドルスタンドなんて奇抜なもの、実際に見る日が来るとは思わなかったぜ」
「ふふ。しかし違うのは文化だけではないぞ。其処の外門から外に出た世界は真っ白な雪原でな。それを箱庭の都市の大結界と灯火で、常秋の様相を保っているのだ」
白夜叉は小さな胸を自慢げに張る。
十六夜は眼下の街に目を向けながら頷く。
「ふぅん。厳しい環境があってこその発展か。ハハッ、聞くからに東側より面白そうだ」
「……むっ?それは聞き捨てならんぞ小僧。東側だっていいものは沢山あるっ。おんしらの住む外門が特別寂れておるだけだわいっ」
一転して拗ねるように口を尖らせる白夜叉。
美麗な街並みを眺めていた球磨川は指さしながら言う。
『それより速く街に言ってみようぜ?いいだろ白夜叉ちゃん?』
「そうだね。僕も気になるし」
「構わんよ。続きは夜にでもしよう。暇があればこのギフトゲームにも参加していけ」
ゴソゴソと着物の袖から取り出したゲームのチラシ。
三人がチラシを覗き込むと、
「見ィつけた____のですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ズドォン!!と、ドップラー効果の効いた絶叫と共に、爆撃のような着地。
大声の主は我らが同士・黒ウサギ。
遥か彼方、巨大な時計塔から叫んだ彼女は全力で跳躍し、一瞬で彼らの前に現れたのだ。
「ふ、ふふ、フフフフ………!!ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方………!!」
淡い緋色の髪を戦慄かせ、怒りのオーラを振りまく黒ウサギ。
怒り狂ったその姿は帝釈天の眷族というよりは、むしろ仁王のそれである。
問題児達は頷きあうと各々予定通りに動く。
「計画通りに逃げるぞッ!!」
「逃がすかッ!!」
『うわっ……』
十六夜は隣の球磨川の襟首を掴み、展望台から飛び降りる。
安心院は姿を消し、忍も暦の影に入る。
そして暦は追い掛けようとする黒ウサギに向かって飛び付く。
実は五人は黒ウサギが追い付いた時の為に予め作戦を立てていたのである。
一人ずつ囮になるという作戦である。
ちなみに順番は十六夜、忍、安心院のじゃんけんで決まった。
「うぉぉぉぉぉ!!」
「何をしてるんですか暦さんは!!」
飛び付いてきた暦を黒ウサギはハリセンで打ち落とし、地面に叩き付け、更に数発ハリセンで叩く。
そして、襟首を掴み、持ち上げると耳元で囁く。
「後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。フフフ、御覚悟シテクダサイネ♪」
「………」
地面に叩き付けられ、ハリセンでボコボコにされた暦は返事が出来ず頷くだけだった。
それを確認すると黒ウサギは白夜叉に向かって暦を投げ付ける。
白夜叉はそれを受け流す。
受け流された暦は支店の壁に顔面からぶつかり気を失った。
「おいコラ黒ウサギ!!最近のおんしは些か礼儀を欠いておらんか!?コレでも私は東側のフロアマスター____!!」
「暦さんの事をお願い致します!!黒ウサギは他の問題児様を捕まえに参りますので!!」
聞くウサ耳を持たずに叫ぶ黒ウサギ。
白夜叉は勢いに負けて頷く。
「ぬっ……そ、そうか。良く分からんが頑張れ黒ウサギ」
「はい!!」
展望台からジャンプする黒ウサギ。
ゲームの開始から約二時間。
黒ウサギと問題児達の追いかけっこは、後半戦にもつれ込むのだった。
◆◆◆◆◆
____東北の境界壁・自由区画・商業区。
赤窓の歩廊。
十六夜と球磨川と安心院は赤いガラスの歩廊に入り、人混みに紛れて黒ウサギから身を隠した。
「……いないか?」
「大丈夫だよ」
『まさかこんなに早く追い付かれるとはね』
「黒ウサギを焚き付ける餌としては、冗談でも効果抜群だったってことだな」
「それじゃあ散策開始といこうぜ」
『そうだね。十六夜君はどこから回る?』
「そうだな。まずはこの赤い歩廊を散歩かな。商店街のようだし、ご当地品や限定ものを物色して回るのも観光の醍醐味だろ?」
『そうだね。そうしようか』
「そうと決まればさっそく行くとしよう。もしかすると歩くキャンドルスタンドも、店で売ってるかもよ?」
「そうだな。その辺のを一体ぐらい盗ってもいいけどな」
『駄目だよ。十六夜君、ルール違反だぜ?』
球磨川が悪戯っぽく笑い、
『どうしても欲しいものはギフトゲームを挑んで勝つ。それが箱庭のルールだろ?』
「ハハ、そりゃそうだ」
哄笑を向ける十六夜。
三人は嬉々とした表情で、朱色に染まったガラスの歩廊を散策するのだった。
◆◆◆◆◆
___某所
「儂に交渉?」
「いや、提案ですよ」
「何の目的だ?」
「このままあなたが北の祭りに向かっても“主催者権限”により参加出来ません。だからそれの抜け道を提案しようと思いまして」
「ふむ、面白い聞こうではないか」
「ええ、とても簡単な方法です。それは_____することです」
「なるほど、新しい!!どんな意図があるかは知らんがその提案乗ろう!!」
不穏の影が徐々に祭りへと近付いていく。
久々の更新でした。
今回は問題児と黒ウサギの追いかけっこ前半でした。
以下雑談
暦物語は既に発売してるようですね。
自分も早く読みたいところです。
「こよみデット」とか超気になります。