問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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アンダーウッドの迷路

阿良々木暦は観客席から見えない舞台袖にいた。

セコンドについたジンとレティシアは、次の対戦相手の情報を確認していた。

 

「___“ウィル・オ・ウィスプ”に関して、僕が知っている事は以上です。参考になればいいのですが……」

 

「まぁたぶん大丈夫だ」

 

会場では黒ウサギの手でゲームが進行し、とうとう試合開始が近くなる。

その傍でレティシアが不安そうに言う。

 

「サポートはいいのか?」

 

「それなら大丈夫だ」

 

「儂がいるからの」

 

影の中から顔を出した忍が言う。

サポート枠は忍にしてある。

舞台の真中では黒ウサギがクルリと回り、入場口から迎え入れるように両手を広げた。

 

「それでは入場していただきましょう!!第一ゲームのプレイヤー・“ノーネーム”の阿良々木暦と、“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスです!!」

 

通路から舞台に続く道に出た暦の眼前を高速で駆ける火の玉が横切った。

 

「YAツFUFUFUUUUUUuuuuuuuu!!」

 

「うぉっ……」

 

暦はのけぞり尻もちをつく。

頭上を見れば、火の玉の上に腰をかけている人影があった。

強襲した人物___“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャは、ツインテールの髪と白黒のゴシックロリータの派手なフリルのスカートを揺らしながら、愛らしくも高飛車な声で嘲った。

 

「あっはははははははは!!見て見て見たぁ、ジャック?“ノーネーム”の男が無様に尻もちついてる!!ふふふ。さあ、素敵にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!!」

 

「YAツFUFUFUUUUUUUuuuuuuuuuu!!」

 

アーシャが腰かけている火の玉に合図を送る。

すると火の玉は取り巻く炎陣を振りほどいて姿を顕現させる。

豪々と燃え盛るランプと、実体の無い浅黒い布の服。

人の頭の数十倍はあろうかという巨大なカボチャ頭。

その姿はジャック・オー・ランタンだった。

尻もちをついたまま、立ち上がる気配の無い暦を笑い続けるアーシャとジャック。

黒ウサギは親しい者だけが分かる怒りのオーラを振りまき始めている。

 

「せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!!あとコール前の挑発行為は控えるように!!」

 

「はいは~い」

 

小馬鹿にしたような仕草と声色で舞台上に戻る。

暦は軽く土を払い、舞台に上がる。

暦は円状の舞台をぐるりと見回し、最後にバルコニーにいる十六夜達に軽く手を振った。

アーシャはその仕草が気に入らなかったのか、舌打ちして皮肉気に言う。

 

「大した自信だねーオイ。私とジャックを無視して客とホストに尻尾と愛想ふるってか?何?私達に対する挑発ですかそれ?」

 

「まぁ…そうかな」

 

カチン!!と来たように唇を尖らせるアーシャ。

どうやら効果は抜群らしい。

黒ウサギは宮殿のバルコニーに手を向けて厳かに宣言する。

 

「___それでは第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。ギャラリーの皆様はどうかご清聴の程を」

 

刹那、会場からあらゆる喧騒が消えた。

白夜叉は招待状のナンバーが3345番のコミュニティを確認し、旗印を確認した。

 

「今しがた決勝の舞台が決定した。それでは皆のもの。お手を拝借」

 

パン!!と会場一致で柏手一つ。

その所作一つで___全ての世界が一変した。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

変化は劇的だった。

上下左右、その全てが巨大な樹の根に囲まれた大空洞に暦はいた。

目の前にはアーシャとジャックがいる。

突如、両者の間の空間に亀裂が入る。

亀裂の中から出てきたのは、輝く羊皮紙を持った黒ウサギだった。

ホストマスターによって作成された“契約書類”を振りかざした黒ウサギは、書面の内容を淡々と読み上げる。

 

{ギフトゲーム名“アンダーウッドの迷路”

 ・勝利条件 一、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

       二、対戦プレイヤーのギフトを破壊。

       三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

 

 ・敗北条件 一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。

       二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。    }

 

「___“審判権限”の名において。以上が両者不可侵で有ることを、御旗の下に契ります。御二人とも、どうか誇りある戦いを。此処に、ゲームの開始を宣言します」

 

黒ウサギの宣誓が終わる。

それが開始のコールだった。

二人は距離を取りつつ初手を探る。

しばしの空白の後。

先に動いたのは、小馬鹿にした笑いを浮かべるアーシャだった。

 

「睨み合っても進まねぇし。先手は譲るぜ」

 

「は?」

 

「さっきの一件があるからね。後でいちゃもん付けられるのも面倒だし?」

 

ツインテールを揺らしながら肩を竦め、余裕の笑みを浮かべるアーシャ。

忍が影の中から暦に話しかける。

 

「(お前様、どうするのじゃ?)」

 

「(このルールなら……一つだけ作戦がある。とっておきの作戦がある。へへ、息が切れるまで続けるぞ。)」

 

「(まさか……お前様……)」

 

「逃げるんだよぉぉぉぉ!!」

 

「(やっぱりか……まぁ間違ってはいないがの)」

 

暦は手元の【心渡】を構えると見せかけ、背後に吸血鬼の脚力で跳躍する。

そして、通路を疾走する。

このゲームはルール的に逃げれば勝ちでもある

 

「……へ?」

 

いきなり叫んで、走り去っていたのを見て、アーシャはしばし唖然とする。

ハッと我に返ったアーシャは全身を戦慄かせ、怒りのままに声を上げた。

 

「オ……オゥェゥウウケェェェェイ!!とことん馬鹿にしてくれるってわけかよ!!そっちがその気なら加減なんざしねえ!!行くぞジャック!!樹の根の中で人間狩りだ!!」

 

「YAHOHOhoho~!!」

 

努髪天を衝くが如くツインテールを逆立たせて猛追するアーシャ。

 

「地の利は私達にある!!焼き払えジャック!!」

 

「YAツFUUUUUUUuuuuuu!!」

 

左手をかざすアーシャ。

ジャックの右手に提げられたランタンとカボチャ頭から溢れた悪魔の業火は、瞬く間に樹の根を焼き払って暦を襲う。

しかし炎は暦に届かなかった。

影の中から出てきた、高校生くらいの姿の忍が右手で炎を払ったのだ。

 

「この程度かの?」

 

忍の右手は焼けてはいたがすぐに再生する。

 

「悪いがここから先は行かせるわけには行かんのじゃ」

 

アーシャとジャックの前に忍が立ち塞がる。

その隙に暦は進んでいく。

 

「くそ!!次は三発同時に撃つぞジャック!!」

 

「YAツFUUUUUUuuuuuu!!」

 

アーシャが左手をかざし、次に右手のランタンで業火を放つ。

先程より勢いを増した三本の炎。

対する忍は、口から【心渡】を取り出し振った。

すると炎は【心渡】に触れる前にかき消された。

 

「次は儂の番じゃ」

 

アーシャの耳にそれが聞こえた一瞬後には、アーシャの目の前には忍の足があった。

 

「仕方がありませんね」

 

忍が放った、目にも止まらぬ速さの蹴りはアーシャに当たる前にジャックの真っ白な手に受け止められていた。

 

「中々やりますね」

 

「そちらこそ実力を隠してたようじゃな」

 

向かい合う忍とジャック。

 

「早く行きなさいアーシャ。この方は私が相手をします」

 

ジャックは呆然としていたアーシャに促す。

 

「悪いねジャックさん」

 

それだけ言ってアーシャは走り出す。

 

「待たんか!!」

 

「行かせません」

 

ジャックが言い、ランタンから篝火をこぼす。

その僅かな火は樹の根を瞬く間に呑み込み、轟々と燃え盛る炎の壁になった。

忍は【心渡】を構えそれを斬り裂く。

しかしその前にジャックが立ち塞がる。

 

「先程までと質が違うの」

 

「私はアーシャ=イグニファトゥス作のジャック・オー・ランタンではありませんからね。私は生と死の境界に顕現せし大悪魔、ウィラ=ザ=イグニファトゥス製作の大傑作!!世界最古のカボチャお化け……ジャック・オー・ランタンでございます♪」

 

ヤホホ~♪と笑うジャック。

カボチャの奥の瞳には先程までと違う炎が灯っている。

明確な意思と魂。

そして威圧感。

ふざけたその口調と仕草はしかし、一分の隙もない。

 

「なるほどのそれでその実力かの」

 

呟き【心渡】を構え、睨み合う。

 

「さて、何者かは知りませんが。聖人ぺテロに烙印を押されし不死の怪物___このジャック・オー・ランタンがお相手しましょう!!」

 

「儂は忍野忍じゃ。怪異殺しとでも名乗っておくかの!!」

 

元怪異の王にして怪異殺し・忍野忍とぺテロの烙印を押されし不死の怪物ジャック・オー・ランタンがぶつかりあう。




相変わらず話がすs(ry

今回は造物主達の決闘、決勝戦第一ゲーム開戦です!!

状況を整理しますと
暦は迷路を走り回っています
アーシャも同じくです

そしてジャックvs忍です!!

次回で決着が着くと思います
そしてあいつらも……です
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