問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
“審判権限”によりゲームは中断された。
審議決議には十六夜、ジン、黒ウサギ、サンドラ、マンドラが参加した。
そこで変更されたルールは以下の通り、
{ギフトゲーム名“The PIED PIPER of HAMELIN”
・プレイヤー一覧
・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ(“箱庭の貴族”を含む)。
・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター
・太陽の運行者・星霊 白夜叉(現在非参戦の為、中断時の接触禁止)。
・プレイヤー側・禁止事項
・自決及び同士討ちによる討ち死に。
・休止期間中にゲームテリトリー(舞台区画)からの脱出を禁ず。
・休止期間の自由行動範囲は、大祭本陣営より500m四方に限る。
・ホストマスター側 勝利条件
・全プレイヤーの屈服・及び殺害。
・八日後の時間制限を迎えると無条件勝利。
・プレイヤー側 勝利条件
一、ゲームマスターを打倒。
二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。
・休止期間
・一週間を、相互不可侵の時間として設ける。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“グリムグリモワール・ハーメルン”印}
◆◆◆◆◆
『こっちでいいのかな精霊ちゃん?』
「はい」
肩にとんがり帽子の精霊を乗せた球磨川が洞穴を歩いていた。
あの後、球磨川と安心院は安心院のスキルにより退避したはいいが適当に飛んだ為、自分の現在地が分かっていなかった。
更に安心院も不調で、
「こうやって表に出てるのはあまり影響はないんだけどね。でも何故か僕の再生に影響が出始め、警報の如く頭痛が出るみたいだね」
『スキルでどうにかならないのかい?』
「こればっかりは無理だね。頭痛が更に酷くなると、危険信号は二段階目に移行し、体がほころび始めるようだ。このヒビが証拠だね」
そう言って顔のヒビを見せる。
『それは復活に影響はないのかい?』
「あくまで表に出てるのはホログラムみたいなものだから影響はないよ。ただこの状態を放置するのはマズイね。この体を構築するのはそれなりに時間がかかるからね。一度砕けると再構築が面倒なんだよ」
『それでどうするの?』
「中で休んでいれば良くなると思うよ。しばらく表には出れないけど頼んだぜ」
そして安心院は姿を消した。
正確には“教室”に戻っただけだが。
それで現在、球磨川ととんがり帽子の精霊は洞穴の中を出口を探し、歩いていた。
数分後、巨大な門の前に辿り着いた。
『こんなところに門?この紋章は……
「(君の肩の上の精霊ちゃんのコミュニティのだよ)」
『そうかい』
球磨川の思考に“教室”の安心院が割り込む。
表に出ないだけでこれくらいは出来るのである。
「……みそぎ」
とんがり帽子の精霊が、静かな声音で球磨川を呼び、門の中心を指す。
其処には一枚の羊皮紙が貼られていた。
{ギフトゲーム名“奇跡の担い手”
・プレイヤー一覧 球磨川禊、安心院なじみ
・クリア条件 神珍鉄製 自動人形(オートマター)“ディーン”の服従。
・敗北条件 プレイヤー側が上記のクリア条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ ”はギフトゲームに参加します。
“ラッテンフェンガー”印}
『これは“契約書類”?』
「みそぎ」
とんがり帽子の精霊は球磨川の肩から飛び降り、手ごろな岩壁の突起に立つ。
幼い表情には寂しそうな、切ないような、でも少し嬉しそうな、そんな瞳で精霊は___
「わたしから、あなたたちにおくりもの。どうかうけとってほしい。そして偽りの童話___“ラッテンフェンガー”に終止符を」
声は四方八方から聞こえた。
目の前の精霊ではなく、洞穴の虚空から、岩肌の中から。
この場にいるのは彼女だけではない。
彼女の仲間達もいたのだ。
「“群体精霊”。君達は、大地の精霊か何かなのかな?」
突然、肩の上から声がして球磨川がそちらを見ると、とんがり帽子の精霊と同サイズの安心院のようなものが立っていた。
『安心院さん?』
「触ろうとしても無駄だよ。これはただの映像みたいなものだから」
そう言って、安心院は精霊の方に向き直る。
「私達はハーメルンで犠牲になった一三〇人の御霊。天災によって命を落とした者達」
「僕達を試していたのかい?」
「いいえ。この子と貴女達の出会いは偶然であり、私達にとって最後の奇跡。そこに群体としての意識的介入はありません」
幼い精霊が安心院に惹かれたのは、故意ではなく。
彼女は、運命的に貴女に惹かれたのだと群体は語る。
巨大な門が音を立て開く。
ひらりひらりと舞った“契約書類”は静かに球磨川の手に落ちた。
「決断は貴女達に委ねましょう。我々のギフトゲームを……受けてくれますか?」
「受けるよ」
即答だった。
その答えを聞い球磨川は苦笑いをしながら“契約書類”にサインをする。
光り始めた書類は門の中へと飛んでいき、球磨川はその後を追う。
門の奥に進むと、ドーム状に開けた大地の中心に、遠い空から太陽の光が差している。
その中心に佇むのは、身の丈三十尺はあろうかという紅い鋼の巨人。
『これは展示会場にあった?』
眺める球磨川とその肩の上の安心院に群体の声が響く。
「決戦までの七日間。それまでに“ディーン”を服従させること」
「それがこのギフトゲーム。貴女達の力で、鋼の魂に灯火を」
「いいぜ。後一日待っていな。僕が期待に答えてあげるよ」
伽籃洞の巨驅に熱が灯る。
鳴動する鋼は地響きを上げて、不気味な一つ目を輝かせる。
紅い巨人は天地を震撼させるような産声を上げた。
「___DEEEEEeeeeEEEEEEN!!」
伽籃洞の身体をしならせ、紅き巨人“ディーン”が吠える。
死の病にも倒れない、永久駆動の魔人が立ち上がる。
対魔王に向けて、安心院の試練が始まるのだった。
今回は話の進みが遅かったですかね?
安心院さんの試練というより戦力増強開始です。
安心院さんについて簡単に説明するなら
まず“教室”にいる安心院さんが核でそれを中心に再生中です
表に出ている安心院さんは核の意識を外に出して、擬似的な体に入れてるようなものです
安心院さんの不調の原因は不定期に核が弱まることがあり、それの前兆が頭痛とひび割れです
しばらく中で休めば核が弱まるのが収まります
無理して出ていると擬似的な体が砕け、強制的に中に戻るかんじです
その場合は擬似的な体を再構築する必要があり、それに時間がかかるというかんじです
それでは次回をお楽しみに
質問などがあれば感想で
感想待っています