問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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少々、十六夜vs言彦を追加しました



元怪異の王vs神格持ちの悪魔

元怪異の王と神格持ちの悪魔の攻防は、瞬時に人里を崩壊させて瓦礫の山を作りあげていた。

大地を捲り、河を操り、地殻変動に比する力で迫るヴェーザーを、忍は吸血鬼の力で跳ね飛ばす。

襲い掛かる数多の水柱と岩塊。

忍は半分は回避し、もう半分は【心渡】や拳で撥ね除ける。

ヴェーザーは撒き散らした障害物の陰から潜みより、忍の懐に潜り込む。

そこを忍は敢えて接近する。

 

「なっ!?」

 

まさか近付いてくると思っていなかったヴェーザーは驚きながらも攻撃する。

しかし忍は左腕を吹き飛ばされながら平気な顔で【心渡】を振るう。

 

「うぉぉぉぉ!?」

 

予想外の攻撃を慌てて回避するヴェーザー。

避けきれず頬から血が流れる。

 

「チッ、外したかの」

 

距離を取りつつ呟く忍。

左腕は既にほぼ再生し切っていた。

この再生力が忍の武器でもある。

 

「厄介だな、その再生力」

 

「なら取って置きを放つか?」

 

「何?」

 

「このままが埒が明かないじゃろ?だから互いに全力の一撃を放とうと言っておるのじゃ」

 

膠着状態はヴェーザーにとって歓迎するべき状態だ。

しかしその膠着状態もいつまで続くかは分かったものではない。

そこへ、

 

「それとも何じゃ?全力の一撃でも儂を殺せる自信がないからこの膠着状態がお好みかの?」

 

忍が挑発を重ねる。

 

「……………はぁ」

 

ヴェーザーはドッと脱力した。

黒髪の短髪をボリボリと激しく掻き、軍服の襟元を開き、血走った瞳で、

 

「OK、乗ってやる。だから死ね」

 

己の霊格を全解放した。

ヴェーザーは魔笛を掲げ、頭上で円を描く様に乱舞し始める。

それに応じて、立っているのも難しい程の地鳴りと振動が襲う。

今までの揺れとは比べ物にならない地殻の変動は、徐々にヴェーザーの魔笛の切っ先に集まっていく。

乱舞する魔笛に、地殻変動級のエネルギーが収束していく。

徐々に揺れが収まっていく中、忍はもう一本【心渡】を作り構える。

 

「儂の必殺技パート3じゃ!!」

 

全力でヴェーザーに向かって跳躍する。

大地の揺れが収束されると同時に___必殺の一撃がぶつかり合う。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「一曲分___という約束だったものね。夢を見れましたか、御客様?」

 

演奏が終わり、ラッテンは肩で息をしながら、困った様に笑っている。

 

「そうだね。素敵な夢だったよ」

 

拍手を送りながら評価した。

ラッテンは苦笑しながら、膝を折り、流した鮮血と共に光の粒子となって消えていく。

 

「あーあ……負けちゃった。ま、さっきの一撃で殆ど致命だったんだけど。加えて全力の演奏とかやっちゃったもんだから……悪魔の霊格が保たなくなったみたい」

 

「……」

 

「じゃあね。ご静聴感謝します♪マスターによろしくね」

 

「此方こそ。いい演奏を感謝するよ」

 

トドメを刺すまでもなく、ラッテンは敗北を認めて風と共に消える。

カラン、と落ちた笛を拾い上げ、ディーンの肩に乗り近くの教会に向かう。

そこでジンとレティシアに会った。

 

「安心院さん!!球磨川さん!!無事でしたか!?」

 

『見ての通りだよ』

 

「そうか。無事で本当に良かった」

 

「そうだ。そこの教会に真実のステンドグラスがあるから確保しておいてくれるかな?」

 

「は、はい。安心院さん達は?」

 

「僕は球磨川君とディーンを連れて魔王と戦いに行くよ」

 

驚くレティシア達を尻目に、安心院達は魔王の下へ急ぐのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「行くぜ!!」

 

十六夜は言彦に向かって真っ直ぐ走り出す。

 

「(何だ?自滅覚悟の特攻か?)」

 

言彦はそう考えるが、十六夜の瞳を見てそれはないと感じる。

迎え撃つように右腕で殴り掛かる。

十六夜は左手の拳で下から殴り付け、軌道を逸らす。

それだけで拳から血が出る。

それを気にせず、右の拳を思いっきり腹に叩き付ける。

 

「ぬぅぅ!?」

 

衝撃で後退する言彦に追い討ちを掛けるように顎を蹴り上げる。

しかし足を掴まれ、思いっきり地面に叩き付けられる。

 

「ゴハァ!?」

 

地面にヒビが入る勢いで叩き付けられ、血が溢れる頭を押さえる。

 

「次は儂の番だ」

 

倒れている十六夜に殴り掛かろうとする言彦だが、その前に横からジャックが殴り飛ばした。

しかし吹っ飛びはしたがたいして効いてるわけでなくすぐに起き上がる。

だがその間に十六夜は立ち上がり、近くの瓦礫を数個、第三宇宙速度以上の速さで蹴り飛ばす。

最初の数個は弾き飛ばすが起き上がった直後ということもあり一つの瓦礫が直撃しふらつく。

その隙に接近する。

体勢を立て直し、右の拳で殴り掛かってくるが左に避け、蹴りで弾く。

そしてそのまま組み付く。

 

「この距離なら避けようがないよな」

 

頭からは血が溢れ、息は乱れている中、腕を構える。

 

「何をする気だ!?」

 

「やらせません」

 

掴み掛かろうとする言彦をジャックが左右に五個ずつランタンを使い、召喚した業火で左右の腕を各々焼く。

その間に十六夜は両手に抑えた光の柱を束ねる。

 

「これで終わりだ!!」

 

「何だその光の柱は……新しいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

至近距離で光の柱が放たれる。

光の柱は言彦の胸を貫き、その根本と言える何かをも砕いた。




今回は所々戦いが決着しました

言彦vs十六夜があっけなく終わったようにも見えますが、通常攻撃でも一撃必殺クラスなのでこんなものだと思います

それでは感想待っています
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