問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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幹部戦決着→魔王戦

「儂の必殺技パート3じゃ!!」

 

二本の【心渡】を手にヴェーザーに向かって跳躍する忍。

それに合わせてヴェーザーは魔笛で突く。

それにぶつけるように左の【心渡】で突く。

二つの力のぶつかりは瓦礫の山を吹き飛ばし、一帯を焦土にする。

【心渡】は砕けないが衝撃は伝わり、忍の左腕を吹き飛ばし、更に左半身と左腕足の太股を一部、顔の左下少しを抉っていく。

しかし【心渡】は魔笛に突き刺さり、魔笛はヒビが入っていく。

そして忍はダメージを気にせず直進し、ヴェーザーの左肩から右腰まで袈裟斬りにする。

直後、各々背後に吹っ飛ぶ。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ヴェーザーは、先端に刀が刺さり全体にヒビが入った魔笛を静かな瞳で見つめる。

忍は壁に背中を預け、倒れていた。

体の左半分が抉られ、叩き付けられた衝撃により骨も折れていた。

しかし折れた骨は既に治りかけていて、左半分も再生を始めている。

忍はゆっくりと立ち上がる。

 

「笛が砕けても戦えるじゃろ?続けるぞ」

 

「……。いや、そうでもないらしい」

 

サラリ、とヴェーザーの身体が崩れ始める。

光の粒子になっていく両腕を見つめながら、彼は一人呟いた。

 

「チッ。召喚の触媒が砕かれれば、そりゃこうなるよな」

 

「消えるのじゃな」

 

「ああ。つーかこの傷が既に致命傷だったけどな」

 

「怪異殺しじゃからな」

 

徐々に存在が希薄になっていくヴェーザーに、忍は背中を向け、

 

「じゃあの。儂は楽しかったぞ。儂と正面から戦える者などそうおらんしな」

 

「当たり前だ。お前みたいなのがホイホイいてたまるかよ。……ま、達者でな」

 

笑って去っていく忍。

見送ったヴェーザーは独り、天を仰いだ。

 

「そうさ。お前らみたいに傲岸不遜な奴は……前のマスターぐらいで十分さ」

 

沈み行く太陽に、遠い日の面影を見る。

そんな執心がこの敗北を招いたのだと悟り、苦笑いを浮かべて静かに崩れ去るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

“死”与える黒い風に樹霊の少年が巻き込まれようとしていた。

彼の頭上に降り注いだ死の風は、

 

「___DEEEEEEeeeeEEEEEN!!」

 

紅い鋼の剛腕に阻まれた。

命無き無敵の巨人は、吹き荒ぶ死の風を遮断して少年を守る。

死の風を凌ぎきったディーンの背後から、安心院が顔を覗かせて、樹霊の少年に声をかける。

 

「今のうちに逃げな。ステンドグラスは後でいいよ」

 

「は、はい」

 

一瞬だけ腰が抜けたような顔をした樹霊の少年だが、すぐさま建物の中に逃げ込む。

直後、ディーンがぺストに向かって腕を伸ばす。

その腕の上を暦と球磨川が走っていく。

そして暦は【心渡】を、球磨川は螺子を手にぺストに飛び掛かる。

 

「……邪魔よ」

 

飛び掛かる二人に死の風を放つぺスト。

暦は【心渡】で防ぎ、霧散させるが球磨川はあっさり呑み込まれ下に落ちていく。

 

「ばきゅん」

 

落ちていく球磨川の背後にいた安心院の指鉄砲の先から閃光が走る。

ぺストは危険を感じ、回避するが片腕を持っていかれる。

 

「(今の一撃……)」

 

傷は瞬時に癒されているが直撃したらどうなっていたかは分からなかった。

その間にディーンの腕は元の長さに戻り、安心院は落下した球磨川の隣に立っていた。

安心院と球磨川の無事を確認した黒ウサギは、歓喜の声を上げた。

 

「安心院さん、よくぞご無事で!!……球磨川さんは大丈夫ですか?」

 

『大丈夫だよ、黒ウサギちゃん』

 

死をなかったことにして起き上がる球磨川。

 

「それよりも前見た方がいいよ」

 

へ?と安心院の警告を聞き振り返る。

ぺストが放った死の風が黒ウサギのすぐそこにまで迫っていた。

 

「オイコラ、余所見してんじゃねぇぞこの駄ウサギ!!」

 

「そうじゃ。ちゃんとせい」

 

側面から助勢に現れた十六夜の蹴りと忍の【心渡】が、死の風を霧散させる。

何が起こったのか分からないぺストは一瞬、唖然とした。

 

「ギフトを砕いた………?貴方達、」

 

「先に断っておくが、俺は人間だぞ魔王様!!」

 

「儂は吸血鬼じゃ」

 

死の風を霧散させた勢いで懐に飛び込む十六夜と忍。

下から突き上げる二人の蹴りを、ぺストは己の手で受け止める。

しかし止めきる事は出来ず、追撃で地上へ叩きつけられた。

数多の建築物を粉々にしながら吹き飛ぶぺスト。

サンドラは小さな口をあんぐりと開いたまま、唖然と十六夜達を見る。

 

「………え、えーと?あの人達、ギフトを砕いた様に見えたけど。あちらの人は生き返った様に」

 

「さ、さて?黒ウサギも彼らについては知らないことだらけでございますか……」

 

黒ウサギも改めて目の当たりにし、そのデタラメ加減に舌を巻いている。

もしかして決着が付いたのかなーと思った刹那。

幾千万の怨嗟の声が衝撃波と共に瓦礫を吹き飛ばしたのだ。

その中心に佇むぺストは瞬時に傷を癒して服の解れを正し、十六夜と忍に微笑みかけた。

 

「……そうね。所詮この程度ね。死の風が効かずとも警戒するに値しない」

 

「「何っ?」」

 

「星も砕けない分際では、魔王を倒せないという事よ」

 

「そうかい。ならこれはどうだい?」

 

ぺストの背後から先程と同じ閃光が数発放たれる。

ぺストは必死に回避する。

 

「儂が魔王を倒せないじゃと?試してみるか?」

 

忍は背中から翼を生やしながら、閃光を回避し続けているぺストへと跳躍する。

その隣にいた十六夜も忍に続くように跳躍しようとしていた。

 

「……星も砕けない分際だと?カッ、素敵な挑発してくれるじゃねぇか斑ロリ。そういう事ならこっちも……」

 

「ちょ、ちょっとお待ちください十六夜さん!!そんなボロボロの体で戦うより、ここは作戦を尊重してください!!」

 

慌てて止める黒ウサギ。

むっと唇を尖らせる十六夜。

 

「……しょうがねぇな。で、どうすればいい?やると言ったのはお前だ。指示を出せ黒ウサギ」

 

十六夜が鋭い瞳で催促する。

見つめ返す黒ウサギの瞳にも、強い光が宿っていた。

言われるまでも無い。

これで全て揃った。

集結した主力を黒ウサギは一瞥し、

 

「今から、魔王を討ち取ります。皆さんは魔王に隙を作って下さい」

 

「それはいいが、あの風はどうする?このままじゃ他の連中がドンドン死ぬぞ?」

 

黒ウサギは白黒のギフトカードを口元に当て微笑む。

 

 

「ご安心を!!今から魔王と此処にいる主力___纏めて、月までご案内します♪」

 

 

 




幹部戦&言彦戦は終了
次からは最終決戦です

それでは感想待っています
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