問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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説明→閑話休題

「____あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

半ば本気の涙を瞳に浮かばせながらも、黒ウサギは話を聞いてもらえる状況を作ることに成功した。

五人は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、彼女の話を『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けている。

若干二名程、何か違うような気もするが気のせいだろうと黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、両手を広げて、

 

「それではいいですか、御五人様。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ、言います!!」

 

『しつこいよ』

 

しつこい言い方に球磨川が茶々を入れる。

 

「少し黙っててください!!」

 

「ゴホン、それでは気を取り直して、ようこそ、“箱庭の世界”へ!!我々は御五人様にギフトを与えられた者達だけが参加出来る『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御五人様は皆、普通の人間ではございません!!」

 

「僕は人外だからね」

 

「儂は吸血鬼じゃからな」

 

「だ~もう!!発言は後で受けますので一先ず黙って聞いてください!!」

 

半ば所か本気の本気で涙を浮かばせ訴える。

 

「それで、その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます」

 

『僕のは恩恵ではないけどね』

 

「………」

 

黒ウサギはもうスルーすることにした。

 

「『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!!」

 

両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ。

安心院は質問をするために挙手した。

 

「まず初歩的な質問をさせてもらうけど、君の言う“我々”とは君を含めた誰かのことかな?」

 

「YES!!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」

 

「『「嫌だね」』」

 

十六夜、球磨川、安心院は声を揃えて言う。

 

「属していただきます!!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者(ホスト)”が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造になっております」

 

「“主催者”とは誰じゃ?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。」

 

「特徴として、前者は自由参加が多いですが“主催者”が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。“主催者”次第ですが、新たな“恩恵(ギフト)”を手にすることも夢ではありません」

 

「後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて“主催者”のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物だな………チップは何を?」

 

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間……そしてギフトを賭けあうことも可能です」

 

「新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然____ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

黒ウサギは愛嬌たっぷりの笑顔に黒い影を見せる。

挑発ともとれるその笑顔に、同じく挑発的な声音で安心院が問う。

 

「最後に一つだけ質問させてもらっていいかな?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームそのものはどうやったら始めれるんだい?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日以内に登録していただければOK!!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」

 

安心院は黒ウサギの発言に片眉をピクリとあげる。

 

「……つまり『ギフトゲーム』はこの世界の法そのもの、と考えていいのかな?」

 

お?と驚く黒ウサギ。

 

「ふふん?中々鋭いですね。」

 

『鋭いんじゃないよ。知ろうと思えば知れるのに楽しんでいるだけだよ』

 

「どういうことですか?」

 

『そのままの意味さ。気にせず進めていいよ』

 

「はい。安心院さんの考えは八割正解の二割間違いです。」

 

「我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!!そんな不逞な輩は悉く処罰します____が、しかし!!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!!一方の勝者だけが全てを手に入するシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だということですね」

 

「中々野蛮だね」

 

「ごもっとも。しかし“主催者”は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて。皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るのは時間がかかるのでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが……よろしいです?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

清聴していた十六夜が威圧的な声を上げて立つ。

ずっと刻まれていた軽薄な笑顔が無くなっていることに気づいた黒ウサギは、構えるように聞き返した。

 

「……どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

 

「そんなものはどうでもいい」

 

 

「腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねぇんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねぇ」

 

「俺が聞きたいのはたった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜は視線を黒ウサギから外し、他の四人を見まわし、巨大な天幕によって覆われた都市に向ける。

彼は何もかもを見下すような視線で一言、

 

 

 

「この世界は………面白いか?」

 

 

 

「 ____ 」

 

他の四人も無言で返事を待つ。

彼らを呼んだ手紙にはこう書かれていた。

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

それに見合うだけの催し物があるのかどうかこそ、五人にとって一番重要だった。

 

「 ____YES。『ギフトゲーム』は人を越えた者達だけが参加出来る神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」




話が進みませんね
もう少し速く進めるつもりでしたが…

平日の更新は3日に一度と思っておいてください
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