問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
収穫祭への準備
___古びた館の前。
僕達はそこを歩いていた。
僕達と言うのは、
「ここでいいんじゃな?」
僕の影にいる忍と、
『あってるはずだよ忍ちゃん』
「何にせよ面白そうなことはあるはずだよ」
僕の隣を歩く球磨川と安心院さんと、
「しかし賢者の石なんて本当にあるんですか?」
更に隣を歩く狐川のことだ。
狐川は十六夜に隷属しているはずだが今回は安心院さんが借りて来たらしい。
そもそも何故僕らが此処にいるかを説明するには少し時を遡る必要がある。
それは…
◇◇◆◇◇
___“黒死斑の魔王”との戦いから一ヶ月。
今後の方針を話しあっている時だった。
南の収穫祭について話している時だった。
ジンが、
「前夜祭を二組、オープニングセレモニーからの一週間を全員。残りの日数を二組。……このプランでどうでしょうか?」
言う。
それが始まりである。
僕達は互いの顔を見た。
そして安心院さんが質問を返した。
「それだと、一組だけ全部参加出来る事になるよね?それをどうやって決めるんだい?」
「それは……」
ジンは言い掛けて口をつぐんだ。
おそらくどうするか悩んでいるのだろう。
だがこういう時はおそらく十六夜が何か言い始めるはずだ。
そう考えていると予想通り十六夜が話し始める。
「なら前夜祭までの期間で、誰が何日行くのかをゲームで決めるのはどうだ?」
「ゲームじゃと?」
「へぇ、面白そうだね。どんなゲームだい?」
「そうだな……“前夜祭までに、最も多くの戦果を上げた組が勝者”ってのはどうだ?期日までの実績を比べて、収穫祭で一番戦果を挙げられる人材を優先する。……これなら不平不満はないだろ?」
十六夜らしい提案だった。
僕としてはそれでいいと思う。
球磨川達も納得したようで頷く。
『いいよ。それで行こう』
「そうじゃな。絶対に負けられんのお前様」
「そうだな」
そうしてゲームが開始された。
◇◇◆◇◇
そして現在に至る。
僕達も球磨川達も充分な戦果を挙げたはずだが安心院さんと忍はそれで納得出来ないらしく、噂の賢者の石を協力して取りに行こうということになったわけである。
狐川も連れている理由は安心院さんが力を見ておきたいからだそうだ。
そんなことを考えている内に扉の前に来た。
「準備はいいかい?開けるよ」
安心院さんが尋ねてくる。
こういう扉は開けた瞬間、何かあるのがセオリーだが開けないわけにも行かない。
『怪しい様子はないしいいよ』
「まぁそうじゃな」
「入って見なければ何があるか分かりませんしね♪」
明るい声で言う狐川。
何でこんな如何にもな所でそんなテンションでいられるのだろうか?
「なら開けるよ」
勢いよく扉を開く安心院。
中は一見普通の館だった。
しかしそんな風に見ていると先頭に入った安心院さんの手に“契約書類”が落ちてくる。
「もうゲームスタートみたいだね」
{ギフトゲーム名“フラスコの中の小人”
・プレイヤー一覧 安心院なじみ
球磨川禊
阿良々木暦
忍野忍
不知火狐川
・ゲームマスター “ホムンクルス”
・クリア条件1 散らばりし属性を集め、纏めよ。
・敗北条件 上記のクリア条件を満たせなくなった場合。
プレイヤーが館の外に出た場合。
・勝利条件 クリア条件を三つ満たす。
・補足
・クリア条件は全部で五つある。
・クリア条件を満たす度に“契約書類”は追記される。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
“ホムンクルス”}
『中々面倒そうなゲームだね』
「だからこそ楽しめそうだけどね」
「まずはクリア条件1を満たさないと進めないみたいだな」
面倒そうなゲームでもじっくり考えれば何とかなるはずだ。
「“契約書類”とコミュニティ名からして錬金術に関係あることだと思いますよ?」
「ならここは四大元素か?」
「いやそんなに単純ではないと思うよ」
『それに{集め、纏めよ}という部分が何かありそうだね』
しばらく話していると、
「皆さん、何か聞こえませんか?」
と狐川が言い始めた。
やめてくれこういう如何にもな場所でそれはフラグだから。
そんなかんじに周りを警戒していると確かに何か聞こえるような気がする。
「これは……叫び声かな?」
安心院さんがそう言った瞬間、奥の扉が激しい音と共に破られた。
「「「「「「おぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」
無数の叫び声と共に青白い妙に生々しい人形のようなものが雪崩れ込んできた。
何でいきなり!?つーかなんだあれ!?
いきなりのことに頭がパニクっている間にどんどん入ってくる。
『これはまずいね』
「一先ず逃げるよ!!」
安心院さんが叫び、僕達は一斉に走り出す。
しかし事前に計画していたわけでもないので僕達はここでバラバラになった。
僕と忍は左の部屋に球磨川達は右の部屋に逃げ込んだのだ。
しかし考える暇もなく人形達は扉を破って追ってくる。
今、僕は普通の人間と変わらない状態である。
だから出来ることと言えば逃げるだけであり僕は全力で逃げ回ることになった。
というかあの場にいた人形の大半がこっちに来てるように思えるのは気のせいだろうか?
◆◆◆◆◆
「いや~安心院さん、あなたも酷いことをしますね」
『暦君を囮にするなんてね』
「[あれ]の相手は面倒そうだからね」
『正体が分かってるのかい?』
「大体はね。それより謎解きと行こうか」
逃げ回る暦を他所に話を進める三人であった。
アンダーウッド編スタート!!と言いたいところですが今回はオリゲームです。
次回からは普通の地の文に戻ります。
ゲームマスターの正体については次回以降です。
それでは感想待っています。