問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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“フラスコの中の小人”

 

暦はいまだに人形達に追われていた。

 

「普通ああいうゾンビ系は足が遅いものじゃないか!?」

 

「いや、そうでもないぞお前様。血を吸う暇さえあればなんとかなるんじゃがの」

 

そんなことを言っていると暦と人形達の間に一人割り込んだ。

 

「暦さん、生きてますね」

 

「狐川か。よくも僕を囮にしたな!!」

 

「まあまあ、そう言わず。時間を稼いでくれたおかげで謎も解けましたし」

 

言いながら頭の横に付けていた狐の面を顔に付ける。

 

「さて、やりますか。【狐火・炎壁】」

 

呟くと直後、廊下に炎の壁が現れ人形達の行く手を塞いだ。

これは狐川に憑く天狐が彼女に与える神通力の一つ【狐火】で作った壁である。

 

「まぁ、こんなものですかね?」

 

狐の面をずらしながら暦に言う。

暦はというと忍に血を吸わせていた。

 

「そういえば球磨川と安心院さんは?」

 

「クリア条件1を実行中です」

 

「確か散らばった属性を集めて纏めよだったか?」

 

「そうですよ。安心院さんは恐らく[属性]というのは四元素のことではなく、その大元である[硫黄][水銀][塩]と推測してそれらしき記号はないか探していますよ」

 

言った直後、所持していた“契約書類”が光り出す。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『どうやら当たりだったみたいだね。それで次は何だって?』

 

「こんなかんじだよ」

 

安心院が球磨川に“契約書類”を見せる。

そこには二文追加されていた。

 

{

 クリア条件2 人間を構成せよ。

 

 クリア条件3 不老不死を否定せよ。

                }

 

「まぁ、そのままの意味ではないだろうね」

 

『これも錬金術関連かな?』

 

「だろうね。[人間を構成せよ]はあの人形が関係あるだろうね。あれは人間を身体と精気だけで構成してるようなものだからね。魂かわりに動力を繋げているようなものさ。錬金術風に言うならね。……だとすると」

 

そこで安心院は考えるような仕草を取る。

一分程過ぎて、安心院は考えを纏め終わる。

 

「行くぜ、球磨川君」

 

『解けたのかい?』

 

「あぁ、ばっちりだよ。まずは太陽の記号を探すぜ」

 

そう言って奥へと進んでいく。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

一方、暦達は、

 

「邪魔じゃ、邪魔じゃ、邪魔じゃ!!」

 

忍が人形達を蹴散らしていた。

人形の群れに飛び込み、【心渡】で上顎と足を斬り落として無力化しているのだ。

暦と狐川はその後を慎重に通っていく。

忍の討ち漏らしが襲ってくるが狐川の体術で牽制し、暦が【心渡】で解体する。

 

「お前様、こちらでいいんじゃな?」

 

「たぶんな。そちらから沸いてるみたいだし」

 

暦達は今、安心院の指示で人形が発生している方へと進んでいた。

それゆえ、進んでいくごとに次第に人形の数は増えていた。

しばらくするとパイプのようなものが大量にある場所に出た。

 

「ここが安心院が言っておった場所かの?」

 

「おそらくそうですよ」

 

そんなことを話していると……

 

「アギャァァァァァァ」

 

普通の人形の三倍は大きそうな人形が背後から襲い掛かってきた。

平手を叩きつけようとしてくるが忍が蹴りを入れて防ぐ。

 

「アギャァァァァァァァァァァァ!!」

「オギャァアァァァ」

「オギャァアァァァ」

 

大型の人形が後退したと思うとその身体から人形が出てくる。

 

「面倒じゃな」

 

「あの人形だけでも厄介なんですけどね」

 

「それでも速く片付けないと次々増えるぞ」

 

「儂がデカイのとやるから、お前様達は雑魚を頼む」

 

そう言って忍は跳躍し、大型に蹴りを叩き込む。

 

「アギャァ!?」

 

「うるさいんじゃよ!!叫んでばかりで!!」

 

「それは同感だね」

 

上から降ってきた安心院が大型の頭を踏み潰す。

後から続く球磨川がヘッドに太陽の紋章を刻んだ螺子で刺す。

途端に大型が光り出す。

 

「これで[人間を構成せよ]はクリアだね。魂が足りない物に魂の意味を持つ太陽の紋章を刻めば、人間を構成することにはなるよね」

 

光はどんどん大きくなる。

そして“契約書類”に新たな文が追加される。

 

{

 クリア条件4 魂を金に錬成せよ。

 

 クリア条件5 ゲームマスターの打倒。

                   }

 

そのまま光は五人を包み込む。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

光が納まると五人は大きめの地下室のようなところにいた。

辺りを見渡すと部屋の中心に椅子があった。

そしてそこに何者かが座っていた。

 

「ようこそ。“ホムンクルス”の中心部に。歓迎するぞ客人達よ」

 

「君は“フラスコの中の小人”かい?」

 

安心院が訊ねると男は否定する。

 

「違う。私の名は___フィリップス・アウレオス・テオフラトゥス・ボンバトゥス・フォン・ホーエンハイムだ」

 

「「『長いよ』」ですよ!!」

 

「失礼、ではパラケルススとでも呼んでくれればいい。では相手になるとしようか客人___我がゲームの挑戦者達よ」

 

パラケルススが立ち上がり、足音を鳴らした瞬間、景色が変わる。

そこは赤い円に包まれ、周囲は暗く、空には日食中の太陽があった。

 

「これが私のゲーム盤だ」

 

 





今回はここまでです。

次でこのゲームは終わる予定です。

人形について少し説明しますと、
錬金術において人間は、身体、精気、魂によって構成かれているということです。
あの人形はその魂のかわりに動力が繋がっていて身体が動く限り人を襲います。

その他疑問などがあれば聞いてください。
それでは感想待っています。
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