問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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パラケルスス

「それでは始m……

 

「隙ありじゃ」

『「隙ありだよ」』

「隙あり♪」

 

パラケルススが言い終わる前に攻撃を開始する問題児達。

狐川が足を焼き払い、

安心院が、刀を精製するスキル【見囮刀(ソードルックス)】と刀を遠隔操作するスキル【想査剣(リモートライト)】で大量の刀を突き刺し、

球磨川が螺子を大量に刺し、

忍が右肩から袈裟斬りにする。

 

「容赦ねぇなお前ら!!」

 

唯一動けなかった暦の叫びが響く。

 

「いや、このくらいでちょうどいいよ。この程度で死ぬはずがないからね」

 

「え?」

 

暦がパラケルススの方を見ると、既に傷が塞がっていた。

 

「超速再生だと!?」

 

『ここは錬金術関係で死ぬまで殺さないと意味がないタイプだと思うよ?』

 

「……なんと言うかあなた達が驚く事でもないような気がするんですけど……」

 

球磨川達の不死性を知っている狐川が呟く。

そこでパラケルススは笑うように話す。

 

「全く酷いな。だがそうでなくてはな」

 

パラケルススはローブを脱ぎ、懐から短剣を取り出す。

短剣には紅い石が付いていた。

 

「短剣に紅い石……それがアゾットかい?」

 

「そうだ。これが私の武器アゾットだ」

 

言いながら、パラケルススは地面に短剣を突き刺す。

すると地面にノームの紋章が浮かぶ。

直後、地面から槍が大量に飛び出る。

安心院と忍と狐川は退避するが、残り二人は間に合わず突き刺さっていく。

 

「いってぇぇ!!」

 

暦の悲鳴が響くが傷自体はすぐに塞がる。

次に空中にウンディーネの紋章が浮かぶと水弾が安心院達を襲う。

 

「なるほどね」

 

水弾を弾きながら安心院は分析する。

その間に忍と狐川が突進する。

今度はサラマンダーの紋章が現れ、炎の壁を生み出すが狐川は構わず手を突っ込むと炎の壁をカーテンを開けるように引き裂く。

そして忍がその隙間を通り、後一歩のとこにまで近付くとエルフの紋章が現れるが、

 

「邪魔じゃ」

 

忍は構わず紋章ごと【心渡】で横に一閃。

パラケルススの上半身と下半身を別けた。

しかし切り口はすぐに塞がる。

 

「厄介じゃの、その再生力」

 

「私はこれくらいじゃ殺せんよ」

 

「そうかよ」

『そうかい』

 

「『これならどうだ?』」

 

パラケルススの背後から暦と球磨川が不意討ちを仕掛ける。

螺子と刀が頭部に当たりそうになったところでパラケルススが慌てて回避する。

 

「今の慌て方、頭に何かありますね?」

 

『そうだね。さっきまでは避けもせずに回復に頼っていたのに今のは避けた。これは何かあるね』

 

「君達の推論、大体合っていると思うよ」

 

安心院が後ろから言う。

大体解析し終わったようだ。

 

「彼の秘密はゲーム盤と短剣と彼の肉体自身にあるよ」

 

「聞かせて貰おうか」

 

パラケルススは一旦攻撃の手を止める。

それを見て安心院は説明を始める。

 

「彼の力は物質の組み換えだよ」

 

「つまり物質の形を好きに変えれるということか?」

 

「原子レベルでね」

 

「彼の攻撃は全てそれの応用と言うことですか?」

 

「そうだよ。攻撃の時はそこらへんの物質を。回復の時は自身の肉体をね」

 

『それだと肉体の再生が無茶じゃないかな?』

 

「そこについては今から言うつもりだけどその前に」

 

そこで言葉を切ると、日食へと指を向ける。

正確には指鉄砲を。

一同は同時に嫌な予感を感じたが安心院は構わず実行する。

 

「ばっきゅん♪」

 

安心院の指から閃光が走り、空へと伸びていった。

直後、凄まじい音共に日食が終わった。

 

「何をした!?」

 

「君のゲーム盤の月を壊しただけだよ」

 

さらりと言う安心院。

太陽と月は各々雄と雌を示す。

その二つが合わさる日食は雌雄同体、完全なる存在を意味する。

 

「そしてアゾットの紅い石は賢者の石だよね?賢者の石は金を作る物とも言われる。金は完全なる物質を意味する。完全なる存在と完全なる物質を掛け合わせ力を底上げしているんだよね?」

 

「……」

 

黙り込むパラケルスス。

 

「もちろんそれだけじゃない。髪で隠れて見えにくいけど、君の額には人間の胎児のような物があるね?」

 

「それが[フラスコの中の小人]かの?」

 

「そう、[フラスコの中の小人]は生まれた時からあらゆる知識を持つと言う。それと肉体レベルで融合することで知識を得ているね?持ち前の医療と錬金術の知識にそれを加えて、力を底上げ、その結果がさっきの回復力だよ」

 

「でも攻撃が単調なのは何でだ?」

 

「底上げした力を扱い切れず紋章で属性を制限しないと扱い切れないんだろうね」

 

「よく……見抜いたな」

 

パラケルススの顔は苦痛に歪んでいた。

よく見れば、手も震えている。

 

「見抜いたんじゃない。ただの知識だよ」

 

「そうか。だがそれを見抜いてもゲームには意味がないがな」

 

言いながらパラケルススは短剣を振り上げる。

その周囲に紋章が大量に浮かび上がる。

そして短剣に収束して一つの紋章になる。

それを安心院達の方に向ける。

 

「反発する属性を一点に集中し、一方向にのみ放てばどうなると思う?」

 

「凄まじい威力にはなるだろうね。君が制御出来るかはともかく」

 

そう月が破壊され、日食が終わった事により急激な力の変化が起こり、パラケルススの体内の力は不安定な状態にあった。

 

「この程度、制御し出来るに決まっている!!」

 

放たれようと短剣の先に光が収束する。

そこへ忍が突きを放った。

 

「なん…だと……」

 

【心渡】は怪異を殺す。

そこからギフトを斬るギフトになっている。

それにより収束された力は斬り裂かれ、霧散した。

そしてそのまま短剣を貫き、賢者の石を砕いた。

 

「あ……」

 

「あぁ……」

 

「あー!!」

 

今更ながら彼らの今回の目的は賢者の石である。

そしてパラケルススの所持する賢者の石は短剣に付けている物だけである。

つまり彼らは自分達の目的の品を自分で破壊してしまったのだ。

 

「こりゃあ…しまったのう」

 

「しまったのうじゃねぇよ!!」

 

「そうは言ってもお前様。やってしまったものはしょうがないじゃろ」

 

「まあまあ、落ち着いて。まだゲームは終わってませんし、鬱憤晴らしなら出来ますよ?」

 

「は?」

 

悪戯な笑みで提案する狐川。

思わず声を上げるパラケルスス。

そして意味を理解し、冷や汗が流れる。

そんなパラケルススに武器を持ちながら近付く問題児達。

その後、館中に悲鳴が響いたという。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

十分後、クリア条件は満たされ、元の場所に戻った一同の前には多種類の鉱物が置かれていた。

ゲームの商品であろう。

 

『これでも少しは足しになるかな?』

 

「まぁなるんじゃないか?」

 

そんな会話をしながら鉱物を風呂敷に包み、本拠に持ち帰るのであった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

帰路。

安心院は一人考えていた。

 

「(賢者の石の破片は一応回収したけどこれだけじゃもうそこまでの力は無いね。どうにか利用出来ないものかな……)」

 

ちゃっかり個人的に欠片を回収していた安心院であった。





ゲーム終了です。

安心院さんが個人的に回収した欠片は後々利用されます。

では感想待っています。
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