問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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“黒死斑の御子”

 

巨人達の強襲から一時間後。

 

『そういえば十六夜君の機嫌がとれそうなもの見つかったのかい?』

 

「いやまだだけど」

 

『なら僕から提案なんだけどあのラビットイーターを更に強化して、黒ウサギちゃんとセットにして贈……

 

「るわけがないでしょう!!」

 

スパァーン!!と背後からハリセン一閃。

 

「それいいな」

 

「いいわけないでしょ!!」

 

スパパァーン!!と更にハリセン一閃。

どうやら話している間に黒ウサギとジンとジャックが来ていたらしい。

 

「あれ?忍さんと安心院さんはどうしました?」

 

「忍なら影の中だ」

 

『安心院さんは……』

 

 

◇◇◆◇◇

 

 

『安心院さん、顔のヒビはどうしたのかな?』

 

「あぁ、これは発作だね。この頃間隔が短くなっているんだよね」

 

『大丈夫なのかい?』

 

「大丈夫だよ。むしろ復活が近いと言うことだよ」

 

『そうなんだ』

 

「まぁ今は体が崩れたら元も子もないし戻らせて貰うよ」

 

そう言って安心院は姿を消して、球磨川の中の教室に移動した。

 

 

◇◇◆◇◇

 

 

『……ということでしばらく眠りにつくようだよ』

 

「そうですか……」

 

その時、緊急を知らせる鐘の音が“アンダーウッド”に響き渡った。

網目模様の樹の根から飛び降りてきた樹霊の少女が、

 

「大変です!!巨人族がかつてない大軍を率いて……“アンダーウッド”を強襲し始めました!!」

 

___直後、地下都市を震わせる地鳴りが一帯に響いた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

樹の音から出た球磨川たちが見たのは、半ば壊滅状態になっている“一本角”と“五爪”だった。

警戒の鐘が鳴らされてほんの僅かな時間に、一体何があったのか。

それは空から現れたグリーによって説明された。

話を聞き、し仮面の騎士が参戦しているのを聞いたジャックとアーシャは最前線を目指した。

そしてローブを被った人間が竪琴の持ち主で巨人を従えていると判明した。

状況はかなり厳しいようだ。

話を聞いた一同は、

 

『さて、安心院さんはいないけど、行くとしようか』

 

「そ~だな。面倒だがやる時はやらないとな」

 

「あれくらいを蹴散らすくらい簡単なもんじゃからの」

 

「僕が加わっても微々たるものだろうけどいないよりはマシだろうしな」

 

やる気満々で戦場に向かおうとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

 

『なんだいジン君?僕らの心配ならいらないぜ?』

 

「そうではなく僕に作戦があります。敵の戦線を混乱させて、竪琴の術者を破る為の」

 

『へぇ?どんな作戦だい?』

 

「戦線の混乱は忍さんと“サウザンドアイズ”から届いたギフトで作ります。その間に皐さんと球磨川さんは術者をお願いします」

 

『いいよ。じゃあ作戦の詳細を聞かせてくれる?』

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

反坂と球磨川は奇襲の為に上空で待機していた。

 

「ん?」

 

『どうかしたかい皐君?』

 

「いや、下に見覚えのある顔があったような気がしてな」

 

戦場は今も巨人と幻獣がぶつかっていた。

この中に知り合いがいても探せる筈はない。

 

『気のせいじゃないかな?』

 

「いや、あいつは認識操作持ってるからな。こんな中でもいてもおかしくない」

 

『ふーん。だとすると彼がいるというのかい?』

 

「あいつならいてもおかしくねぇよ」

 

そんな事を話しながら二人は合図を待つ。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

その間、ジン達は前線に進んでいた。

グリーの背中を借りて低空飛行をしながら進む。

グリーの手綱は暦が握っていた。

行く手を遮る巨人は忍と黒ウサギが薙ぎ払っている。

忍はグリーの前方を飛んでいき、立ち塞がる巨人を斬り刻み、叩き潰し、吹き飛ばしていく。

巨人の血肉を撒き散らしながら突き進む。

 

「ジン、この辺りでどうだ?」

 

暦は手綱を握りながらジンに問う。

 

「はい。これだけ敵陣に踏み込めば!!」

 

「ウォォォォォォォォ!!」

 

足を止めた途端、四方八方から巨人が大剣が襲ってくる。

しかしそれは全て忍の斬撃と黒ウサギの稲妻で薙ぎ払われる。

 

「ご安心くださいジン坊ちゃん!!不逞な巨人族は黒ウサギが一匹たりとも近付けません!!今こそジン坊ちゃんが受け継いだギフト___“精霊使役者”を使う時です!!」

 

黒ウサギの声が戦場に響く。

ジンは応えるように右腕を掲げた。

 

 

「隷属の契りに従い、再び顕現せよ___“黒死斑の御子”___ッ!!」

 

 

刹那、漆黒の風が戦場に吹雪いた。

召喚の円陣には笛吹き道化の旗印が刻まれ、その中心に風が圧縮される。

そして圧縮された全ての空気を放出して爆ぜた。

爆心地は白と黒の斑模様の光が溢れ、その中から顕現したモノは___

 

 

 

「______何処に逃げたの、白夜叉ああああああああッぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

戦場とは無関係の駄神の名を叫び。

巨人族を薙ぎ払った。

 

「何じゃ意外とやるの!!」

 

その光景を見た忍は対抗心を出して、恐ろしい勢いで巨人を肉塊に変えていく。

暦は何を召喚したか気付くとジンの方を見る。

 

「あれが新しいギフトなのか?」

 

「YES!!ご存じの“黒死斑の魔王”でございます!!神霊ではなくなっていますが大戦力なのは間違いありません!!」

 

「それにぺストには、黒死病を操る力があります!!もし伝承が正しければ、ケルトの巨人族には抜群の効き目があるはず……!!」

 

そう、それがジンの狙いだった。

ジンは彼女の力を使い、巨人族の混乱を煽るつもりだったのだが___

 

「出て来い、出て来い、出て来なさい白夜叉ッ……!!よくも元魔王の私に、あんな下劣でイヤラシイ服装の数々を……!!」

 

「ウォォォォォォォォ!!」

 

「五月蝿いわ、この木偶の坊ッ!!」

 

一喝、腕の一振りで放たれた衝撃波は、怨嗟の声を上げて巨人族を薙ぎ倒す。

その一間だけ黒い風の密度が下がり、ぺストの姿が露になる。

 

「メイド服でしたね……」

 

「メイド服だったな」

 

「白夜叉様……」

 

ホロリ、と同情の涙をぺストに向ける黒ウサギ。

彼女が激怒して暴走している理由も何となく察しがついたのだろう。

一方で忍は全身を血に濡らしていた。

一振りで巨人の腕を、足を、首を斬り落とし、斬り落とした部位を他の巨人に叩きつけて巨人達を潰していく。

忍とぺストは順調に巨人族を殲滅していく。

すると予定通り、琴線を弾く音が聞こえた。

前回と同じように濃霧が一帯を包み込んで行き、視界の全てが奪われていく。

しかし忍の周辺だけは濃霧が振り払われる。

一部予定外だが、概ね予定通りの状況に安堵しながら、ジンは祈るように上空を見る。

 

「球磨川さん、皐さん……後は任せました」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

しかし球磨川と反坂の方は予定通りには進んでいなかった。

合図の前に術者を発見していたのだ。

 

『さて、間に合うかな?』

 

「俺をなめるなよ!!」

 

二人は一直線に術者の方に向かっている。

何故二人が術者を発見出来たかというと、それは術者が誰かと交戦していたので発見出来たのだ。

術者と謎の人物は既に目の前だ。

謎の人物の顔は笠を被っている為に見えないがおそらく味方と思い、反坂は減速せず突っ込む。

そしてすれ違い様に球磨川は術者に向かって螺子を放つ。

 

「やったか!?」

 

『いや、一本肩に刺さっただけだね』

 

しかしその隙があれば充分だったようで謎の人物が術者に蹴りを入れて、その手から“黄金の竪琴”を奪った。

 

『皐君!!』

 

「分かっている!!」

 

球磨川はそれを確認すると謎の人物を反坂の上に乗せる。

そして三人は術者から離れていった。

 

そしてこの瞬間___巨人族と“アンダーウッド”の勝敗が決した。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

竪琴を奪った後、球磨川と反坂と謎の人物は上空にいた。

 

「久しぶりだな二人共」

 

謎の人物もとい、緋御 悟は笠を取り二人にそう言った。

 

 





vs巨人が一先ず終了です。

最後の人物に関しては詳しくは次回で。

皐に関して補足すると
黒い一反木綿で飛行速度はコミュニティ“百鬼夜行”に所属する一反木綿の中で一番です。
グリフォンと同速レベルと考えてください。


それでは感想及び質問待っています。
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