問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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今回は暦語り部です。




ペナルティ

僕は今空の古城にいるわけだが……絶対絶命である。

近くからは這いずりながら近付く音が響いてる。

 

「またあの怪物か!!」

 

すぐその場を離れる。

背後からはグッチャグッチャと水気を含む不快な音を立てて血塊と苔の集合体のような赤黒い怪物が近付いてくる。

人型で動きは速く体が脆い、一体一体はいいのだけれど………何百体もいると話は別だ。

吸血鬼性を上げた僕でもさすがに分が悪い。

忍がいればまだ良かったんだけど、忍は今周りの様子を見に行っていて不在だ。

まして僕の後ろにはキリノちゃんと十人近い負傷者と子供がいるのだ。

この状況はさすがにヤバイ。

そこへ、

 

「大丈夫かの、お前様!!」

 

今まさに戻ってきたところの忍が怪物の群れに突っ込んだ。

それだけで半数は吹き飛んでいる。

 

「さて、少し待っておれ。この程度すぐに終わらせるからの」

 

「分かった」

 

返事をすると忍は怪物相手に大暴れし始める。

 

「今の内にどこか隠れるとこを……」

 

「こ、こっちにあります!!」

 

キリノちゃんが指差す先に行って身を潜める。

 

「全員無事か?」

 

「う、うん」

 

「ああ、全員無事だぜ」

 

キリノちゃんと年輩の獣人が礼を言ってくれたが、僕としてはそれどころじゃない。

今この場にいるのはほぼ子供である。

さすがにこの人数を纏めて下におろせない。

それに一度におろせるのは二、三人である。

しかもおろせるのは忍だけ。

その間を僕だけで守れる自信はない。

 

「あの怪物がいなければまだいいんだけどな」

 

僕が呟くと後ろの老人も呟いた。

 

「あの植物……多分、寄生種だぜ」

 

「寄生種?」

 

「あれは冬獣夏草と呼ばれる種でな。生き物やその死骸を苗床に繁殖する菌糸類だ」

 

「教えくれてありがとうな、爺さん」

 

「ジジイと呼ぶのはやめてくれ。俺にゃ“六本傷”のガロロ=ガンタックって名があるんだ」

 

乱れた毛並みの猫耳を震わせて笑っている。

その隣のキリノちゃんが何故か瞳を瞬かせていた。

 

「“六本傷”のガロロ……ま、まさか“六本傷”頭首・ガロロ大老ですか!?」

 

「知ってる人なのか?」

 

興味本意で聞いてみる。

 

「し、知ってるも何も、“怪猫のガロロ”と言えば“龍角を持つ鷲獅子”連盟の創始者の御一人!!かつてはドラコ=グライフと共に、南側の秩序の為に戦った御方です!!」

 

「おいおい、何時の話だそりゃ。今は連盟のしがない金庫番だぜ?」

 

謙遜する素振りを見せながらも豪快に笑っている。

しかし怪猫で金庫番って招き猫か?

 

「そういや名前を聞いてなかったな」

 

「わ、私は“アンダーウッド”のキリノです」

 

「僕は阿良々木暦だ。よろしく」

 

僕らが自己紹介をするとガロロが表情を変える。

 

「お前、阿良々木って言ったか?」

 

「そうだけ……

 

僕はそこで言葉を切る。

背後から何かが凄い勢いで燃えるような音がしたのだ。

そちらの方を見ると……忍が歩いてきていた。

その後ろにはジャックとアーシャちゃんもいた。

さっきの音はジャックの炎か?

 

「忍、終わったのか?」

 

「ここらへんにいた奴らは大体狩ったはずじゃ」

 

それから僕らは方針を決めることにした。

提案したのはジャックだ。

ジャックがギフトカードを見てみろと言う。

僕はポケットから取り出して見てみると変な紋章が浮かんでいた。

 

「この紋章は何だ?」

 

「これは“ペナルティ宣告”です。主催者側から提示されたペナルティ条件を満たしてしまった対象者には、招待状とギフトカードに主催者の旗印が刻まれるのです」

 

そしてジャックは“契約書類”を取り出してペナルティ条項を指差した。

そこにはこうあった。

 

 

{ギフトゲーム名“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”

 *プレイヤー側ペナルティ条項

  ・ゲームマスターと交戦した全てのプレイヤーは時間制限を設ける。

  ・ペナルティは“串刺し刑” “磔刑” “焚刑”からランダムに選出。

  ・解除方法はゲームクリア及び中断された際にのみ適応。

  ※プレイヤーの死亡は解除条件に含まず、永続的にペナルティが課される}

 

 

「僕らはゲームマスターとなんて戦ってないぞ?」

 

ゲームマスターとは無論レティシアちゃんの事だ。

 

「ですが事実、我々はペナルティ条件を満たしてしまった。ならば考えられる可能性は一つでしょう」

 

苦々しい声でジャックが言う。

そこで僕も薄々感付く。

戦ったのは巨龍の分身くらい。

もしそれがペナルティ条件に引っ掛かったというならゲームマスターは本体の巨龍つまりそれは…………

 

「あの巨龍がレティシアちゃんということか?」

 

「分かりません。ですが確実に言えることがあります」

 

ジャックのカボチャ頭の中で揺れる炎の瞳が、古城を囲む雷雲に移って、

 

「“魔王ドラキュラ”を倒さない限り……十日後には、血の雨が降ることになるでしょう。伝説の如く、串刺し刑に処されてね」

 

 




今回はここまでです。

今回は暦語り部でした。
忍vs植物に触れるなら忍がいっぽうせ的な殲滅きしているところにジャックが来て、残りを焼き払ったかんじです。

それでは質問、感想待っています。
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