問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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脅迫

 

___“アンダーウッド”収穫祭本陣営。

一夜明け、大樹の中腹にある連盟会議場に十六夜たちは足を運んでいた。

集まったコミュニティは以下の四つ。“一本角”の頭首にして“龍角を持つ鷲獅子”連盟の代表・サラ=ドルトレイク。

“六本傷”の頭首代行・キャロロ=ガンダック。

“ウィル・オ・ウィスプ”の参謀代行・フェイス・レス。

“ノーネーム”のリーダー・ジン=ラッセルと逆廻十六夜、球磨川禊。

安心院は休眠、狐川と反坂は外で待機している。

黒ウサギは会議の進行役として前に立ち、バサッと委任状を長机に置いて切り出した。

 

「えーそれでは此れより、ギフトゲーム“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”の攻略作戦を行うのです!!他のコミュニティからは今後の方針を委任状という形で受け取っておりますので、委任されたサラ様とキャロロ様は責任のある発言を心がけてくださいな」

 

「分かった」

 

「はいは~い!!」

 

誠実な声音で応答するサラと、鉤尻尾を振って応答するキャロロ=ガンタック。

後ろに控えていた十六夜は、キャロロの特徴的な鉤尻尾を不思議そうに見つめた。

 

「アンタもしかして、二一〇五三八〇外門で喫茶店をやってる猫のウェイトレスか?」

 

「そうですよー常連さん。何時も御贔屓ありがとうございます♪」

 

「彼女は“六本傷”の頭首・ガロロ=ガンタック殿の二十四番目の娘でな。ガロロ殿に命じられて東に支店を開いているらしい」

 

「ふふ、ちょっとした諜報活動です。常連さんのいい噂も父にちゃんと流れていますよ!!」

 

『へぇ、通りで情報通なわけだね』

 

感心したように相槌を打つ。

まさか南側の間諜とは思っていなかった。

十六夜と球磨川は新しい悪戯を思い付いたとばかりに顔を見合わせ、ニヤリと笑う。

 

「なるほど。一店員の筈のアンタが、南の収穫祭に招待されていたのはそういう理由か。……しかしそんな秘密を聞くと、今後はあの店に入れなくなるよなあ、球磨川?」

 

『そうだね。あのカフェテラスで作戦を立てていたことも、全部筒抜けだったんだろう?怖くて怖くて今後は使えないよね』

 

「此処は一つ二一〇五三八〇外門の“地域守護者”として、地域に呼びかけておくかね。[“六本傷”の旗下に間の影あり!!]とかなんとかチラシにでも打ってよ」

 

『いや、白夜叉ちゃんに協力して貰って東中に広めるとかどうだい?』

 

十六夜と球磨川は周りに聞こえるような、ノリノリの声音で話を進める。

一方のキャロロは、猫耳と鉤尻尾を跳ねさせて焦った。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?そんなことをされたらうちの店がやっていけなくなりますよ!!」

 

『僕は悪くない』

 

『僕達には地域発展と治安改善の義務があるんだ。表立って諜報活動をしている喫茶店なんて、放っておくはずがないだろう?』

 

「それを見逃してほしいって言うなら………相応の態度ってものがあるだろ?」

 

ニヤニヤと陰湿な笑みを浮かべて、問題児(アクマ)二匹がキャロロを追い詰める。

その図はさながら悪代官と袖の下を求められている商人のよう。

キャロロは半泣きになり、指をクルクルと回しながらそっぽを向き、断腸の思いで、

 

「こ…………こ、これからは皆さんに限り!!当店のメニューを格安サービス一割引きに

 

 

『「三割だ」』

 

 

「うにゃあああああ!!サ、サラ様ぁ~!!」

 

「よしよし。此れからは自分の役目をばらすような、頭の悪い発言はやめような」

 

優しく頭と猫耳を撫でながら、割とシビアに答えるサラ。

小さくハイタッチする逆廻十六夜と球磨川禊。

同士のあくどいやり口にウサ耳と頬を紅潮させる黒ウサギとジン。

そんな一同を暫く見つめていたフェイス・レスは、ゆっくりと挙手し、

 

「___話を進めていただけますか?」

 

「………ぁ、りょ、了解なのですよ!!」

 

姿勢を正し、慌てて仕切り直す黒ウサギだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

同時刻、某所。

 

「どうだ?話は進んでるか?」

 

「いえ全く」

 

「……会議始まって少しは立ったはずだよな………」

 

「しかし悟様。鴉の報告ではそんなかんじですよ」

 

「まぁいいや。話が始まったら起こしてくれ」

 

そう言って起き上がらせていた上半身を倒し、アイマスクをつけて眠ろうとする。

 

「って若頭!!寝る気ですか!?」

 

「いいじゃねぇか。俺は眠いんだよ。夜通し働いてたんだから少しは考えろよ、がしゃ……」

 

言いながら欠伸をする。

 

「しかしいいんですか?」

 

「いいんだよ。状況なんて勝手に動く。俺達はそれに乗っかるだけだ。作戦に探りを入れるのは念の為だ」

 

「私達、既に介入しちゃってますが?」

 

救出活動に三人は参加していた。

しかしそれを知るものはほぼいない。

なぜなら……

 

「俺の認識操作である程度気配は消したし、そこまで警戒するほどじゃねぇよ。少なくとも高みの見物をしている黒幕には見付かってない筈だ」

 

「まぁ、俺らは護衛ですし、あくまで若頭の方針に従うだけですよ」

 

「それなら俺の呼び方も変えてくれよ」

 

「それはできません」

 

キッパリと言い切るのだった。

 

 





今回はここまでです。

悟の認識操作について言っておくと二種類あります。
気配に関する物と視覚に関する物の二種類が。


それでは質問、感想待っています。
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