問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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会議、思わぬ盗聴~ちょっとした会合

 

コホン、とせき込んで黒ウサギは進行を開始する。

 

「それではゲームの方針を__と言いたいところではありますが。その前にまず、サラ様からお話があるようです」

 

何?と首を傾げる一同。

サラはその場で立ち上がり、周囲を見回す。

沈鬱そうな顔で深い吐息を漏らしたサラは、

 

「……今から話すことは、この場だけの秘匿として聞いて欲しい。決して口外にしないように心掛けてくれ」

 

「………?はい、わかりました」

 

ジンが代表して返事をする。

しかしその前にフェイス・レスが止める。

 

「どうした?」

 

「いえ、少し気になりまして」

 

そう言いながらフェイス・レスはナイフのような物を取り出す。

そしてそのまま窓に向かって投げる。

 

「何を!?」

 

「窓の外の鴉に妖術の類いを感じましたので」

 

そう言われ一同が窓の外を見ると、窓を割ったナイフは鴉を掠めていた。

鴉はそこからどこかへと飛んでいこうとする。

 

『皐君、少し来てくれるかい』

 

球磨川が言うと窓の外に一反木綿の姿の反坂が現れる。

 

「お~呼んだか?」

 

『あの“鴉”を追いたいんだけどいいかい?』

 

「ったく面倒だな……まぁいいけど」

 

反坂は渋々と言った様子で了承して、球磨川を上に乗せる。

 

『それじゃあ僕はあの“鴉”を追ってくるよ。会議は勝手に進めておいて』

 

言って鴉を追っていった。

直後に扉が開かれ狐川が入ってくる。

窓が割れた音を聞き付けたのだろう。

 

「主様!!何かありましたか!?」

 

「何でもねぇよ。それよりちょうどいいし球磨川のかわりにお前が会議参加するか?」

 

「……そうさせていただきます。私も色々と知りたいので」

 

そう言って狐川は席についた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「すいません悟様。鴉が一匹発見されました」

 

「別にいいよ。他にも数匹いるだろ?」

 

「しかし盗聴しているのがバレたとなりますと……」

 

「こんな状況だ。盗聴がバレたところで俺らまで辿り着く奴なんていねぇよ」

 

「少し気楽過ぎじゃないですか若頭?」

 

悟と護衛二人がそんなやり取りをしていると、近付いてくる影があった。

 

「「発見された!?」」

 

護衛二人が戦闘態勢に入ろうとすると悟が止める。

 

「やめとけ知り合いだ」

 

『やっぱり君の使いだったのかい』

 

「がしゃに、濡鴉じゃねぇか。今回の護衛はお前ら二人か?」

 

近付いてきていた影、球磨川と反坂は三人を見付けるとその近くに着地した。

反坂が人型になり、がしゃと濡鴉に手を振る。

 

「久しぶりだな皐。しかしお前、総大将に自立しろって言われてたからって“ノーネーム”に移籍するか?」

 

「いや~じーさんのとこよりは楽かと思ったんだけど……意外にそうでもなかったな」

 

「当たり前だ。うまい話がそんな簡単に転がってくるかよ」

 

反坂とがしゃが話す中、濡鴉は黙々と情報収集を続けていた。

仲が悪いわけではないがそこまで話す仲でもない。

 

『君とは思っていたけど、まさか濡鴉ちゃんもいるとは思っていなかったよ』

 

「知り合いか?」

 

『君達の本拠で二、三回会ったくらいだよ』

 

「そう言えばお前と安心院は皐の手伝いにちょくちょく来ていたからそういう関わりがあるのか。それで何の用だ?」

 

雑談はほどほどにして本題に入る悟。

 

『用ってほどではないよ。今、君達は隠れて活動しているところだろう?なら僕達が追った方が都合がいいだろ?』

 

「確かにそうだな」

 

球磨川と反坂に見つかるくらいなら追跡しても悟達の存在が知れることはない。

球磨川達なら逃がしたと報告するからだ。

しかし他の追跡者の場合は見付かる可能性が会った。

それは悟達としては避けたい事態だった。

 

『さて、戻る前に一つ聞きたいんだけどいいかな?』

 

「何だ?」

 

『今回はどう介入するつもりだい?』

 

「さすがにそれは教えられないな。まぁそこまで大規模に介入はしねぇよ。大捕物は譲るぜ」

 

『そうかい。それを聞ければ充分だよ』

 

そして球磨川と反坂は来た時のように戻っていった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

球磨川と反坂が戻ってきた時には会議は終わり、一同が水式エレベーターに乗る直前だった。

二人は乗りながら話を聞いた。

 

「それでお前はどう思う?」

 

『レティシアちゃんのことかい?それなら僕としては昔はどうあれ、今は僕達のメイドだからね。奪われたままなのは黙っておけないね』

 

「……そうだな。黙ってはいられないな」

 

十六夜としてはそう言う意味で聞いたわけではなかったのだが……此れ此れでいいかと受け取り、空を見上げる。

深い雷雲は未だに低く唸る様な雷鳴を響かせ、空に浮かぶ城を取り巻いている。

 

「それでは謎解きの方を頑張るとしますか」

 

狐川の提案に黒ウサギも賛同する。

 

「YES!!難解ではありますが我々が挑めば、きっと糸口くらいは見付かるはずですよ!!」

 

『いや、その必要はないと思うよ?』

 

「どうしてでございましょうか?」

 

『だって十六夜君、もう解けてるだろう?』

 

____は?と一同の声が重なる。

狐川が十六夜に尋ねる。

 

「えーと、主様……本当ですか?」

 

「まぁ確かに解けてはいるな」

 

キッパリと答える。

球磨川以外の案内役のキャロロを含めた一同が疑問符を浮かべる中、反坂だけ

 

「へ~凄げぇな。もう解けたのか」

 

と単純に驚いていた。

十六夜は球磨川の方を向く。

 

「お前、どうして俺が解いてると分かった?」

 

『君の言い方が謎は解いてあるの前提のようなかんじだっただけだよ』

 

適当に答える球磨川。

まぁいいかと引き下がる十六夜。

 

「それより、常連さん?貴方さっきサラ様に[情報が少ないから敵城に部隊を送れ]とかなんとか言ってませんでした?」

 

「うん?何だそんな風に聞こえたのか。俺は[情報少ないけど、謎は解けたからゲームクリアしようぜ!!]という意味で言ったんだが」

 

ついでに救援部隊とか編成してくれたらいいな、的な。

確かに[ゲームクリアを目指す部隊]と言ったが、まさか言葉の通りとは思わなかったのだろう。

 

「でもそんな風に誤解してくれたなら本当に万々歳だなー。もし何処かの馬の骨にうちの美髪メイドを隷属させられるようなことになったら、それこそ殺し合うしかねぇもんなー。いやぁ、運が良かったな本当に!!」

 

白々しく明後日の方向を見ながら話す十六夜。

キャロロは目をパチクリさせた後、スッと真剣な顔になり、

 

「……残念ですが、この件はサラ様にご報告を」

 

「全メニュー五割引きとは気前がいいな!!」

 

「いやん、するわけないじゃないですか♪」

 

十六夜の脅迫に、満面の笑みと冷や汗で返すキャロロ。

狐川は「さすが主様♪」と呟き、

球磨川は『相変わらずだね』と呟き、

黒ウサギ達は十六夜をあくどいと思う反面、頼もしさも感じながら、互いの顔を見合わせて苦笑いをするのだった。

 

 





今回はここまでです。

球磨川さんは意外に“百鬼夜行”のメンバーと知り合っています。
皐とがしゃの関係は仕事仲間以上の友人というかんじです。

それでは質問、感想待っています。
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