問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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復活と目覚め

 

「ギフト“百鬼夜行”発動」

 

そう言って悟は刀を抜く。

そして刀が抜かれた瞬間、周囲に波のような何かが広がった。

 

「(何、今の?)」

 

その波を受けた狐川は体に違和感を感じるが、背後から巨人が来るのを察して軽く腕を振る。

 

「は?」

 

そして自分で驚いた。

軽く炎で焼くつもりだったが自分で想定していた以上の炎が出て、巨人の頭部を炭へと変えた。

その隣では悟が三体の巨人の首を斬り落としていた。

 

「出力の違いに戸惑いを感じるか?そりゃそうだ。ギフト“百鬼夜行”は獅子王を媒介に百鬼全体を共鳴させて強化するギフトだからな。今は四人と少ないからそこまでの効果じゃねぇが」

 

言いながら姿を消したり現したりしながら巨人を斬っていく。

狐川も両手に大炎球を作り、バーナーの如く放ち振り回し周囲の巨人を焼いていく。

 

「だから何で私まで百鬼に入ってるのよ」

 

「別に臨時ってことでいいだろ」

 

「よくないわよ!!」

 

叫びながら悟の方に炎を振るう。

 

「俺ごと焼く気か!?」

 

「灰になればいいのよあんたは」

 

「ひっでぇ~な」

 

悟は炎をひょいひょい避けながら巨人を斬る。

言い合いしながらも確実に巨人は削られていった。

一方、護衛二人はその少し離れたところで暴れていた。

 

「うぉらぁぁぁぁぁぁ!!」

 

がしゃは巨人の頭部を掴むとそのまま握り潰し、そのまま裏拳で背後の巨人の首を折る。

巨人を次々潰し白かった骨は血に塗られていった。

濡鴉が羽をばらまくと、その羽は巨人の視界を塞ぐ。

 

「さて、皆喰らえ」

 

濡鴉は自身も長槍を構え、巨人を貫いていくがその後ろに大量の鴉が続き巨人の肉を千切り、喰らっていく。

四人を中心に巨人の死体が転がっていくのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

巨人族との戦いは今のところは限りなく一方的だった。

ぺストが次々と巨人族を薙ぎ倒していく。

取りこぼしも狐川と百鬼夜行の三人が殲滅していた。

球磨川はそんな戦場を反坂の上で駆け抜け、巨人に攻撃を仕掛けたり、傷付いた味方の回復などを行っていた。

 

『(これなら“あれ”はまだ使う必要はないね)』

 

そんなことを考えながら周囲を見回しているとサラを見かけ近付く。

 

『サラちゃん、もう帰ってきたのかい?』

 

「球磨川か。攻略組は空に現れた魔王によって退却を余儀なくされた。今は十六夜とグリーが残って戦っている」

 

『なら大丈夫だね。サラちゃんも巨人族と戦うとしよう』

 

撤退してきたのをまるで気にせず言う球磨川。

サラは拍子抜け半分に問い返す。

 

「怒ってないのか?私はお前たちの同士を置いて戻ってきたのだぞ?」

 

『怒ってなんかいないよ。というか怒る必要もないからね。十六夜君のことだし「俺が残るから、全員帰れ!!」とでも言ったんだろうし』

 

「ま~あいつならそう言うだろうな」

 

反坂も同意する。

 

『それより狐川ちゃんや悟君、フェイスちゃん達によって巨人も片付いてきたし……』

 

「そうだな。我々も敵地に乗り込もう」

 

___ポロン、と琴線を弾く音。

三人は話しを一旦止めると、敵地を睨み付ける。

今の音色は幾度も戦場を掻き乱した“黄金の竪琴”のもの。

敵の主力が動き出したのだと、三人は確認し合う。

 

「いよいよ佳境だ。敵のギフトは理解しているか?」

 

「確か意識を混濁させ、濃霧を生み出す竪琴だったか?」

 

『いいやそれだけじゃないよ皐君。だよねサラちゃん?』

 

「あぁ。あれには喜欝の操作、睡眠の誘惑、そして天候操作の力がある。空には既に雷雲があるから、落雷を呼び込まれると厄介だ。気を付けろ」

 

「……そこまで分かっていたのに奪われたのか?」

 

『確かに間が抜けてるんじゃないかい?』

 

ぐっ、と気まずそうに顔を逸らすサラ。

 

「た、確かに奪い返されたのは私の落ち度だ。故にその汚名、今から返上してみせよう」

 

『なら僕達はその手柄を横取りしようかな?』

 

「やめてやれって」

 

『でも手柄を取るのは悪いことじゃないだろ?』

 

皮肉気に言う球磨川。

適当に言う反坂。

更にムッとするサラ。

しかしそんな三人を他所に、前線の戦況は変わろうとしていた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

アウラとぺストの交渉が決裂して、アウラはため息を吐き、本当に残念そうな素振りで肩を落とした。

その頃、巨人族の本陣を突き破って現れた球磨川と反坂とサラ、そして追従した“龍角を持つ鷲獅子”同盟の幻獣・獣人たちがアウラの前に立つ。

球磨川はぺストを確認し、

 

『お疲れ様、ぺストちゃん』

 

「どういたしまして。でもまだ終わってないわ」

 

一同の視線が一斉にアウラへと集う。

サラは代表者として前に進み出て、降伏勧告をした。

降伏勧告を言い終わると、剣を抜く。

これが最後通帳であるという意味だろう。

巨人族を失い、四方を取り囲まれたアウラ。

しかしその唇には憮然とした笑みが絶えず浮かんでいた。

ぺストは警戒しつつ、球磨川とサラに告げる。

 

「気を付けて。この人は巨人と同じ人類の幻獣___通称“魔法使い”と呼ばれる者よ」

 

『___魔法使い?それってあの、シャバドゥビタッチヘンシーンというかんじの?』

 

「違うだろ」

 

「違うな」

 

「違うわよ。コイツは“妖精(フェアリー)”の語源に相当する“フェイ”と呼ばれる絶滅危惧種。人類カテゴリーじゃ最上級のキワモノね」

 

「好き放題言ってくれるわね。でもそういう事は、戦いが始まる前に伝えておく物よ?」

 

「言ったでしょ。ついさっきまで義理も借りもあったと。…………それに、ジンも螺子男も一反木綿もヘンテコ男も狐憑きも化け物ウサギも、示し合わせたように聞いてこないんだもの。変なところで義理堅いと思わない?」

 

悠然と告げたぺストは“アンダーウッド”の本陣を見る。

そして思考がジンと通じることが分かり、ほくそ笑むぺスト。

遊べそうな材料を見つけ機嫌を取り直したぺストはアウラに視線を戻し、

 

「さっ、終わりにしましょうアウラ。今なら特別待遇として、三食首輪付き年増女中として生かして貰えるよう、交渉してあげてもいいわ」

 

「…………」

 

ぺストの言葉に表情を消すアウラ。

彼女は自分を包囲する数多の軍勢を一度見回し、ボソリと呟いた。

 

「……ぺスト。貴方は何故、巨人族が黒死病に弱いか知っている?」

 

「え?」

 

「それはとある強大な力を持つ巨人族が、他の巨人族を支配していたことに起因するわ。“黒死病を操り、築き上げた支配体系”。これが巨人族の呪いとして、貴方を優位に立たせている。___でも逆説的に考えてみて?“黒死病によって支配された巨人族”がいるなら、“黒死病で支配していた巨人族”も存在していたはずよね?」

 

……何?と様々な場所で声が上がる。

アウラは“来寇の書”を閉じ、儀式場に安置された“バロールの死眼”を手に取る。

何をするつもりかと眉をひそめるぺスト。

そんな彼女の脳裏に響いたジンの声で敵の狙いを直感し、黒死病で倒れている巨人族を見る。

しかしアウラは嘲笑うかのように“バロールの死眼”を掲げ、

 

「さようなら、“黒死斑の御子”!!そして“龍角を持つ鷲獅子”同盟の皆さんと、その他大勢の皆さん!!不用意に全軍を進めた、貴方たちの敗北よ……!!」

 

『それはどうかな?』

 

球磨川が呟くがアウラは戯言と気にすらしない。

“バロールの死眼”が一瞬、戦場を満たすほどの黒い光を放つ。

死眼の光を受けて死を覚悟したサラ達だったが、別段身体に異常はない。

何故だといぶかしげに顔を見合わせる。

しかし次の刹那___

 

「「「「「「「ウオオオオオオオオオオッォォォォォォォォーーーー!!」」」」」」」

 

黒死病から解放された巨人族が、鬨の声を上げて彼らを包囲した。

絶望的な状況と思われたが、

 

「待てよ、そんな簡単に勝てると思っているのかい?」

 

ビシリッ、という音共にそんな声が聞こえ、空間が歪む。

そして空間が歪んだことにより衝撃波が発生するが、何故かしら衝撃波は巨人のみを吹き飛ばす。

吹き飛ばされた十数体の巨人は骨が砕け動ける状態ではなかった。

そんななか空間の歪みから現れた人外は、悪平等は、安心院なじみは言う。

 

「僕がいない間に色々やってくれたみたいだけど……君達、覚悟は出来てるよね?」

 

 





安心院さん復活!!

そこは次回以降として最初の方のギフト“百鬼夜行”に関してですが、
中でも説明していますが百鬼全体を共鳴させて強化するギフトです。
獅子王という刀を媒介にして発動します。
獅子王との相性次第によって効果の強弱が変わります。
人数が多いほど強化も大きいです。

それでは質問、感想待っています。
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