問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
前半は暦語り部です。
「究極生物かよあいつは!!」
僕は市街地を走りながら叫ぶ。
囮になったのはよかったんだけど相手が規格外過ぎる!!
さっきまでは廃墟に隠れていたがあの黒グリフォンがケルベロスみたいな姿になった。
その原型も残らない変化を見てまるで究極生物のようだと思った。
なんだよ、箱庭には石仮面とエイジャの赤石があるのか!?
いや吸血鬼はいるけど!!
石仮面使った吸血鬼ではないし……
[そこか!!]
三つの頭が口を開き襲ってくる。
鮮血が舞う。
左腕が喰い千切られたのだ。
痛いって話じゃない。
痛みで意識が吹っ飛びそうだ。
僕は力任せに地を蹴り、距離を離す。
腕はほとんど再生している。
[厄介だなその再生力……]
黒グリフォンが何かを呟き、変化を始める。
龍角が輝いてあいつの全身を炎で包んでいく。
何かは知らないが変化をしている内がチャンスだ。
僕は全速力で走る。
勝てはしない。
それは分かっている。
だけど最後の欠片が見付かるまでは時間を稼がないといけない。
ふと後ろを見ると黒グリフォンは変化を終えていた。
いや、変化ってレベルじゃない。
黒グリフォンは……巨大な黒龍に変わっていた。
さすがに変わりすぎだろ!!
どんだけチートだよ!!
龍って確か最強種とかいうやつだったよな!!
そんなものにもなれるのか恐ろしいな究極生物!!
[これで消し飛ばしてやろう]
直後に黒龍の口内に炎が蓄積し始める。
あれはヤバイ!!
直感で分かる龍がああいう行動をしたらヤバイ!!
僕の逃げもむなしく熱線が放たれ、城下町が焦土に変わっていく。
僕も吹き飛ばされ、焼かれる。
足が焼かれ、骨も砕けた。
いくら吸血鬼の再生力でもこれの再生には時間が掛かる。
僕が動けない内に黒龍が目の前に現れる。
[無駄な足掻きを……楽に死ねたものをわざわざ苦しむとは]
「無茶言うなよ……簡単には死ねないんだよ」
[これで……終いだ!!]
黒龍の顎に熱が収束していく。
さすがにあれをくらったら死ぬ。
それもこんな近距離でくらったら確実に。
抵抗しようにも体は動かない。
しかしまだ終わってはいない。
何故なら………
「我が主様に何をしとるんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
金色の影が上から現れたからだ。
◆◆◆◆◆
上空から現れた忍野忍は黒龍の頭部を現れた時の勢いそのままで踏み潰す。
[ぬぅぅ!?]
突然の不意討ちに黒龍は対応し切れない。
頭部を踏まれ、地面に叩き付けられる。
放つ直前だった熱線も口を強引に閉じさせられ口内で爆発する。
黒龍を踏み潰した忍は暦の方に近寄ると腕を千切り、血を暦にたらす。
ある程度すると腕を引っ付ける。
「ありがとうな。助かった」
「主様の危機を助けるのは当然じゃ」
皮肉っぽく言う忍。
その背後で黒龍が立ち上がる。
[お前、よくm「黙れ」
叫ぶ黒龍を睨む忍。
その瞳にこもる殺気に思わず後ずさる黒龍。
しかし感じたのは殺気だけではなかった。
[(今、ほのかに感じたのは神霊の気配?いや、こいつは“黒死斑の魔王”を倒したコミュニティの吸血鬼だ。しかし吸血鬼が神霊になど……)]
「覚悟はいいかの?」
いつの間にか黒龍の目の前に立っていた忍は睨みながら言う。
「我が主様を散々やってくれたようじゃのう。その分返させて貰うぞ!!」
忍は黒龍の頭部を掴むと背後の廃墟へと叩き付ける。
そして自らの背後に大量の刀を生み出す。
「それ、全部【心渡】か?」
「いいや、【心渡】は儂の右手のこれだけじゃ。しかしこれで充分じゃ」
【心渡】を地面に突き刺す。
「儂の必殺技パート5!!」
「4はどこにいった。4は……」
「番号一つ飛ぶほど凄いってことじゃよ!!」
忍は起き上がった黒龍に向かい背後の刀を投げ付けていく。
元怪異の王の腕力で投げ付けられた刀は龍の皮膚を削っていく。
[この程度で!!]
「なら、どの程度まで耐えられるかの?」
懐に潜り込んだ忍は腹部を殴り付け、【心渡】で斬り、上空に蹴りあげる。
[ぬうぉぉぉ!!]
空中で踏みとどまり下を見ると、翼を生やした忍が跳躍していた。
すれ違い様に黒龍の片翼を斬り落とし、喰らう。
斬り落とされた翼は吸い切られ、干からび、吐き捨てられる。
黒龍の背中にまるで存在ごと斬り離されたような激痛が走る。
黒龍が上空を見上げた瞬間、忍の蹴りが叩き込まれる。
[(こいつ、間違いない!!神霊に目覚めかけている!!自覚はしてない上に目覚め切っていない!!しかし吸血鬼がどこで“歴史の転換期”など……)]
「終いじゃ。吹き飛べ!!」
翼をもがれ、蹴りの勢いのままに吹き飛ばされる。
[オオオオオオオオオオオッォォォォォォォーー!!]
断末魔にも似た絶叫。
吹き飛ばされた黒龍は城を貫き、地上へと落下していった。
暦&忍vsグライア終了です!!
今回のグライアは名乗っていないので暦語り部や地の文では黒グリフォンや黒龍というかんじです。
忍の“力”に関しては後々。
ヒントとしては傾物語です。
それでは質問、感想待っています。