問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
水面が凍結したことによりほとんどの騎馬はスタートすら出来ていない。
そこへ更に忍が蹴った水が散弾のように襲ってくる。
次々と撃ち抜かれ騎馬から落ちる中、畳み掛けるように十六夜が凍結した水面に第三宇宙速度に匹敵する速度で投石する。
底まで凍結していた水面は砕け、崩落した。
八割の参加者はこれに巻き込まれいった。
しかし一部はこの行動に対応していた。
「いきなりかよ!!」
悟が叫ぶと凍結する前に騎馬ごと打ち上げられる。
河澄が水を操り、打ち上げたのだ。
「せっかく若頭が立てた作戦も無駄になりましたね」
「だがそのおかげで対応出来たから結果オーライだ」
打ち上げられた騎馬をがしゃが凍結していない水面まで運ぶ。
実は悟達も球磨川達と似たようなことを企んでいたのである。
河澄とがしゃによる疑似津波を起こすつもりが球磨川達に先を越されたのだ。
しかしそのおかげで球磨川達の行動にも対応出来たのだ。
それに加え悟の中のサトリの力も対応出来たことの一端である。
横で濡鴉が報告する。
「どうやら今ので八割は消えたようです」
「だろうな。先を進んでる奴らは?」
「“ノーネーム”の他には二つ程です」
「なら、遅れは取り戻せるな!!」
凍結は回避出来たとは言え、一度打ち上げられた分、遅れている悟だった。
一方のフェイス・レスは水の散弾を防ぎ、投石前に凍結を脱出して先に進んでいた。
“二翼”もなんとか生き残っていた。
その他にも運よく生き残ったコミュニティがあったがだいぶ出遅れている。
その間に“ノーネーム”はかなり進んでいた。
『上手くいったみたいだね』
「そうだな。予想よりは多く残ったってかんじだが」
「しかし、あんなことをよく思い付くな……」
暦が呆れたように言う。
“ノーネーム”の作戦はこうだった。
まず、スタート前に球磨川が水面に触れ、【大嘘憑き】で水の温度を“なかったこと”にする。
次に忍がスタートと同時に水面に強い衝撃を与えることにより足場の凍結と水の散弾により、他の参加者の足止めをする。
原理は0°以下の水に衝撃を与えると凍るあれである。
そして足止めしたところに十六夜が投石をして足場を崩落させるという算段であった。
ちなみに水面凍結の提案者は球磨川、水の散弾の提案者は安心院、投石の提案者は十六夜である。
そして一同はサポーターを大体潰すと忍を追い掛けるのだった。
現在の順位、
一位、“ノーネーム”、忍野忍
二位、“ウィル・オ・ウィスプ”、フェイス・レス
三位より五位、“二翼”
六位、“百鬼夜行”、緋御悟
以下割愛
◆◆◆◆◆
[トップ集団、アラサノ樹海の分岐路に到着しました!!此処からはどの経路を選ぶかが勝負の鍵になります!!己の直感を信じて突き進んでください!!]
大河を遡ると、アラサノ樹海に出た。
欝葱と生い茂る木々は陽を遮り、薄暗い森を演出している。
「ここからは作戦通り、別行動とさせて貰うよ」
「あぁ任せた」
十六夜の返事を聞くと、安心院は球磨川を持ってどこかへ飛びたった。
「オイ!!儂らはどの進路で行く?」
「こっちに寄ってなるべく細い河を選べ!!」
忍は十六夜側の岸辺に騎馬を寄せる。
暦も対岸から十六夜の方に吸血鬼の脚力を使い移動する。
三人はそのまま直進し、アラサノ樹海の奥地に歩を進めるのだった。
◆◆◆◆◆
「大丈夫か河澄?」
「私はまだまだ大丈夫ですよ」
悟達は河澄の水操作によりベントルコアのように進んでいた。
水操作には河澄の体力を消費するゆえに悟は聞いたのだ。
「濡鴉、各ルートの状況はどんなかんじだ?」
「今集まるところです」
濡鴉は烏達を使い、情報を集めていた。
各々の情報を集計して悟に伝える。
「なるほどな。ならあのルートに行くぜ!!」
話を聞いた悟はとあるルートへと進むのだった。
◆◆◆◆◆
___アラサノ樹海・“二翼”経路。
欝葱と生い茂る樹海の川辺。
広く浅いこの樹海を多くの幻獣たちが棲家としている。
南部へ樹海を抜けると小さな湖畔の跡があるのだが、旱魃を呼び込む魔獣によって干上がってしまったらしい。
その為、樹海に移住してきた幻獣たちで溢れかえっていた。
そんな獣の吐息が聞こえてきそうな大河の中心で“二翼”は一団となって進んでいた。
そんな彼らの前に何者かが降り立つ。
一人は岸辺に着地し、もう一人は激しい勢いで落下し、水面の上に立つのだった。
それを確認すると有翼人の二人に“ーのヘッドの螺子”が突き刺さり、白く染まって落ちていった。
[な、何!?]
更に水面に落下した衝撃で水面が激しく揺れ、ヒッポカンプがパニックになる。
騎手は足を止めて落ち着かせようとするが、すぐにグリフィスが恫渇した。
[足を止めるな馬鹿者!!無理やりにでも進ませろ!!]
「む、無茶です!!このままでは横転してしまいかねません!!」
チッ、と舌打ちして臨戦態勢を取る。
鷲の翼を広げ、稲妻と旋風を巻き起こして威嚇する。
しかし襲撃者は気にしているかんじではなかった。
『最初に言わせて貰うよ』
『ここから先に進みたければ』
「僕たちを」
「『倒してからにしな!!』」
襲撃者___安心院と球磨川が叫ぶ。
完全にノリノリである。
安心院が手を軽く振ると背後に道を塞ぐように壁が出来る。
物質具現化のスキル【控え目に描いた勿論(ドローイングオフコース)】で創った壁だ。
[どこまで馬鹿にすれば気がすむ?]
グリフィスの苛立ちに呼応して稲妻が走る。
『馬鹿にはしてないよ』
「そうだね。僕たちはただ君達を戦略的に潰しに来ただけだよ」
『もしかして勘違いしてた?僕たちが君達を待ち伏せしてたとでも思った?うわ、恥っずかしいー!!自意識過剰だね。自分の事をそんなに特別だと思ってるんだ』
[何処までも舐めてくれるな……猿風情がッ!!]
稲妻を、旋風を、水流を操って激怒するグリフィス。
それに続く五人の部下。
螺子を構える球磨川。
余裕の構えの安心院。
二人は“二翼”と正面衝突した。
球磨川さん&安心院さんvs二翼開戦です!!
最初のあれに関しては凍結→散弾の間にほとんど間がなく、散弾→投石の間に対処出来なかったところはほぼ消えました。
運よく生き残ってもかなりスタートが遅れます。
有翼人に突き刺さったのは勿論【却本作り】です。
それでは質問、感想待っています。