問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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エピローグ~プレゼント

 

____“アンダーウッド”階層支配者就任式。

最終日を迎えた収穫祭の夜。

連日行われた酒宴は一時取り止められ、荘厳な雰囲気に包まれていた。

大樹の天辺では、南の守護者としてサラ=ドルトレイク新たな“階層支配者”として任命され、“鷲龍の角”を授与されている。

地下都市の広場でそれを見上げていた十六夜たちは、収穫祭を振り返りながら斑梨のジュースを飲んでいた。

 

「これで“龍角を持つ鷲獅子”連盟も落ち着くかな」

 

「そうですねー。今回の一件でグリフィスが出奔し、反発する声はほとんど無くなったでしょうから」

 

十六夜に黒ウサギが応じる。

グリフィスはサラが“階層支配者”を継ぐと決定するとすぐにコミュニティを去ったらしい。

それが潔さからでた行動なのかは分からない。

“二翼”の同士もすぐに現状を受け入れた。

あれだけ人前で醜態を晒す羽目になったのだグリフィスが出奔するのもおかしくはない。

その原因を作り出した者達はというと……

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

グリフィスの事などもはや忘れたように自分達の対決について話していた。

 

「結局、決着は着かなかったなお前ら」

 

「あのままやっていたら勝ったのは俺達だったけどな」

 

『どうしてだい?』

 

「安心院はともかくお前を騎馬から落とすくらいなら時間掛ければ出来てたんだよ」

 

そんなかんじに球磨川、反坂、悟が話していると、反坂の後ろからがしゃが話しかけてくる。

 

「皐。お前は何してたんだ?レースには出場してなかったが」

 

「観客席で馬券片手に酒を飲んでた」

 

「お前らしいな。ちなみにどれだけだ?」

 

「たんまりだ」

 

戦利品を見せ付ける反坂。

その手にはかなりの額があった。

そのすぐ近くでは酔った濡鴉が河澄に延々と愚痴を聞かせていた。

河澄は苦笑いしながら助けを求める。

 

「ちょっと、皐!!がしゃ!!濡鴉の相手変わってくれない!?」

 

確実に面倒なので無視する皐とがしゃであった。

 

「そういや安心院の奴はどうした?」

 

『何か見る物があると言ってどこかに言ったよ』

 

木人形が持つのは一つ10分程ではあるが崩壊する前に他の木人形を使えば時間の延長は出来る。

それでも一時間が限界だが。

 

「なら今の内に聞いておくぞ。魔王連盟はどうする?」

 

濡鴉の烏で情報をかき集めていた彼はその存在を知っていた。

そして球磨川もそれを大体察していた。

 

『まぁ今のところは何かあったら対処でいいんじゃないかな?』

 

「今のところはか。それなら魔王連盟が大きく動いたら話は別ってことだろ?」

 

『そうなるね。場合によるけど』

 

そんなことを話す二人だった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

一方の忍と暦。

 

「あの娘の折れた龍角はどうなったんじゃ?」

 

「球磨川がなかったことにするか聞いたらしいが本人が拒否したらしい。でも“鷲龍の角”があれば大丈夫そうみたいだ」

 

「まぁそんなことはどうでもいいんじゃがな。ドーナツじゃドーナツ」

 

話しながらも暦は忍を背に乗せながらドーナツを運んでいた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

大樹の天辺で炎の嵐が吹き荒れた。

そして地下都市では、新たな“階層支配者”が生まれたことを知り、乾杯の音があちらこちらで鳴り響いていた。

一方でリリから黒ウサギに小袋を渡されていた。

 

「……これは?」

 

「プレゼント。十六夜た様や、球磨川様や、暦様や、狐川さんや、ジン君や、私たちみんなで選びました」

 

____へ!?とウサ耳を逆立たせて驚く黒ウサギ。

視線で問いかけるがそこにいるとは十六夜と狐川だけで、他は別々に行動していた。

そして十六夜と狐川はそっぽを向いたまま頷いた。

 

「………ま、こんな面白い場所に招待してくれたからな」

 

「あなたにも恩がありますしね」

 

狐川もそっぽを向いてはいるが内心では“そんな反応の主様もいい♪”と言ったかんじであった。

それに気付いて無くても黒ウサギは不器用な心遣いが、心から嬉しかったようだ。

 

「あ、ありがとう………ございます。とても大切にするのですよ……!!」

 

そう言って袋を開けようとする黒ウサギ。

しかし十六夜と狐川は、慌ててそれを遮り、広場の中心まで黒ウサギを連れて走り出した。

 

「いいから、贈り物の確認なんか後でやれ」

 

「今夜は最終日ですし。飲んで食わないと損ですよ?」

 

「え、ちょ、ちょっと待ってください」

 

プレゼントをリリに預け、広場に踊り出る。

途中で暦と忍とも合流する。

僅かに開いた小袋の中をリリが覗くと、プレゼントとは別の手紙が入っていた。

宛名にはこう書いてある。

 

 

{親愛なる同士・黒ウサギへ}と。

 

 

「……ふふ。十六夜様達も、素直じゃないです」

 

“親愛なる同士へ”。

その一文が嬉しくて、パタパタと二尾を揺らすリリ。

慌ただしく駆けて行く彼らの後を、年長組も嬉々として追いかける。

夜風と祝福に包まれた大樹の地下都市は今宵も眠らず、何時までも明るい声が響いていた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

____某所。

 

「やあ、君たち元気かい?」

 

「おっと。身構えなくていいよ。僕は君たちを襲撃しに来たわけじゃない」

 

「それなら何をしに来たかって?それはね、交渉にだよ」

 

“アンダーウッド”が祭りで盛り上がる中、闇も進むのだった。

 

 





五巻終了です!!

最後についてはいずれです。
六巻七巻八巻分に関わるようなことであるというだけです。

次は久々の次回予告です!!
それと次にやる編に関しては「乙」のサーカス編です。

それでは質問、感想待っています。
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