問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
「『サーカスのチケット?』」
球磨川と暦が同時に声を上げる。
はっきり言ってノリだが。
「うん。今東の街に移動サーカスが来てるって話は知ってる?そのチケットを手に入れる事が出来たからぜひ皆にと思って」
一同は今、訪ねて来た少女の話を聞いていた。
「私はフェルナっていうの。あの街の小さなコミュニティに属してわ。10日前に助けてもらったお礼をどうしてもしたくて貴方達の事、尋ねて回ってたのそしたらここじゃないかって言われて……」
「わあーっ。それでわざわざお礼に出向いてくれたのですか!!」
黒ウサギが歓喜の声を上げる。
「サーカスか。しばらく見てないな」
暦の住んでいた町ではそうサーカスを見に行けることは無かった。
『僕もしばらくないね。安心院さんと皐君はどうだい?』
「僕はそれなりに見ているかな」
「俺はサトリのばーさんから話を聞いたことがあるくらいで見た事はないな」
安心院は長生きしている分様々なサーカスを見ている。
反坂は見に行くチャンスはあったのだが幼馴染みと遊び回って行くことは無かった。
「黒ウサギも大変興味がありますっ」
「何だ。お前らサーカスも見た事もないのかよ」
意外そうな顔をする十六夜。
そこにレティシアが説明を加える。
「東側はそういった娯楽が少ないから無理もないさ。お陰でその一座がやって来た時、周辺住人は大混乱だったらしいからな」
「行った事がないならなおさら良かった。絶対楽しめると思うよ!?」
「でも私達は忙しいし……」
内心そわそわしながら言う狐川(20代前半)。
いい大人がそわそわしているのはどうかと思われるが狐川もまともにサーカスに行ったことがないのだから仕方無い。
「そ……そうなんです。お気持ちはとっても嬉しいのですが、今コミュニティを放って置いて黒ウサギたちだけ遊びかまける訳には……」
「気にしないで行ってくるといいよ黒ウサギ」
内心ウズウズしている黒ウサギの背後からジンが話しかける。
「黒ウサギにはこれまで苦労をかけっぱなしだったからね。羽を休めるいい機会じゃないか」
「ジン坊ちゃん……」
「コミュニティリーダーである御チビがこう言ってるんだし行こーぜ行こーぜ!!」
「いたいっ!!ちぢむっ!!」
「外で遊びたくてたまらない小学生ですか貴方はーッ!!」
ジンの頭をバシンバシン叩く十六夜に怒鳴る黒ウサギ。
「『さて、準備は万端!!』」
暦と球磨川は既に準備が完了していた。
「あいつらだってあんなかんじだぞ?」
「いつの間にか準備したんですか……」
黒ウサギ達が騒いでる内にである。
「よし、じゃあ決まりだな!!」
「YES♪」
「本日はギフトゲームもお休みにして、行楽日と洒落込みましょうっ!!」
そうして一同はサーカスへと向かうのだが、チケットの枚数には限りがある。
そして行くのを希望しているのは十六夜、黒ウサギ、球磨川、暦、反坂、狐川である。
安心院と忍は球磨川と暦と同枠なので除外だ。
チケットの枚数的に一人だけ行けないのだ。
そこでくじ引きが行われた結果、狐川が残ることになった。
「チクショオォォォォォォ!!」
狐川の悲痛な叫びが響くのだった。
◆◆◆◆◆
「わぁーっ!!大きなテントですーっ!!」
遠くからも見えるテントに黒ウサギがはしゃいだ声を上げる。
「ここらへんは商業施設も活気付いてるんだな」
「うん。皆あのテントが物珍しくてこの街に集まるから、近頃自然と賑わって来たんだ。元々は廃れかけの寂しい街だったからここにサーカスが来てくれて良かったよ」
「そういえば公演は何時からなのでしょうか?」
黒ウサギが確認の為に聞く。
「えーとお昼過ぎからだって。このサーカスって一日一回しか公演してないの。その割りに観客があちこちから集まって来るから……」
「なるほど……つまりとても貴重なチケットなのですね!?その様な物を黒ウサギたちの為にわざわざかき集めてくださったなんて……フェルナさんはなんと良い子なのでしょうっ!!」
「く……苦しいよ……」
感動の余りにフェルナに抱き付く黒ウサギ。
「それに比べて、ウチの問題児たちときたらもう大変でしてねっ!?いつも少し目を離した隙に……」
黒ウサギとフェルナが振り返るがそこには誰もいなかった。
「やっぱり突然の自由行動してたーっ!!」
黒ウサギの叫びが響くのだった。
◆◆◆◆◆
「ここのドーナツ最高じゃな!!」
「だからって僕を荷物持ち扱いにするな!!」
「どれだけ買っているんですか!?」
大量のドーナツを抱える暦と次々と食らう忍。
『このたい焼きは美味しいね』
「こっちの綿菓子もいいよ?」
「あ~ビール旨いな!!」
「何を昼間から飲んでいるのですか!?」
瓶でガブガブと飲む反坂。
一応ノンアルコールではある。
「着ぐるみがケンカ売ってきたからボコっといたぞ」
「謝ってくださいッ!!」
黒ウサギの叫び三連コンボである。
それに対して問題児達は、
「「「「「『祭の空気に浮かれてやった。今は反省している』」」」」」
白々しく声を揃えて言うのだった。
「せっかくの休日だと言うのに胃がねじ切れそうですぅ……」
「た……大変なんだね………」
少し引き気味に言うフェルナ。
黒ウサギは腹を抑えて崩れ、泣きながら落ちるのだった。
そしてなんだかんだしながらも一同はてサーカスのテントの前に辿り着くのだった。
今回はサーカステント前での出来事でした。
次はサーカステント内です。
今回は黒ウサギ叫んでばっかな気がしますが元々そんなもんだしお気になさらず。
それでは質問、感想待っています。