問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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“挑戦”か___もしくは“決闘”か?

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

 

「『僕も』」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

 

真剣な表情の十六夜と本気で懇願する二人に、真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。

四人は割とマジだった。

フライングボディーアタックで黒ウサギを強襲した白い髪の幼い少女は、黒ウサギの胸に顔を埋めてなすり付けていた。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに!!フフ、フホホフホホ!!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!!ほれ、ここが良いかここが良いか!!」

 

スリスリスリスリ。

 

「し、白夜叉様!!ちょ、ちょっと離れてください!!」

 

白夜叉を無理矢理引き剥がし、頭を掴んで店に向かって投げ付ける。

クルクルと縦回転した少女を、十六夜が足で受け止めた。

 

「てい」

 

「ゴバァ!!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」

 

ヤハハと笑いながら自己紹介する十六夜。

 

『君はこの店の人かな?』

 

「おお、そうだとも。この“サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよ小僧」

 

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギは複雑そうに呟く。

 

「うう……まさか私まで濡れる事になるなんて」

 

「因果応報じゃな」

 

「忍ちゃんの言う通りだね」

 

いつの間にか出てきた安心院と悲しげに服を絞る黒ウサギ。

反対に濡れても全く気にしない白夜叉は、店先で十六夜達を見回してニヤリと笑った。

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たという事は……遂に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!!」

 

「そうだぜ。黒ウサギは僕達のペットだよ?」

 

「違いますから!!何でそうなるんですか!?」

 

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

何処まで本気かわからない安心院と白夜叉は笑う。

そして白夜叉は店に招く。

 

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」

 

六人は暖簾をくぐると店の外観からは考えられない不自然な広さの中庭に出た。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

中庭を進み、縁側で足を止める。

障子を開け、中に入る。

個室というにはやや広い和室の上座に腰を下ろした白夜叉は、大きく背伸びをしてから十六夜達に向き直る。

気が付けば、彼女の着物はいつの間にか乾ききっていた。

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門の、三三四五外門に本拠を構えている“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。

 

『その外門ってなんだい?』

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

箱庭の都市は上層から下層まで七つの支配層に分かれており、それに伴ってそれぞれを区切る門には数字が与えられている。

箱庭で四桁の外門ともなれば、名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境だ。

 

「超巨大タマネギか?」

 

「いや、超巨大バームクーヘンじゃないかな?」

 

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

身も蓋もない感想にガクリと肩を落とす黒ウサギ。

白夜叉は薄く笑って黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を向ける。

 

「そういえば、その水樹の持ち主は、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

 

「いえいえ。この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

 

自慢げに黒ウサギが言うと、白夜叉と暦が声を上げて驚いた。

暦は蛇神に毎日のように挑み殺されかけた記憶があるのだ。

 

「本当にか!?」

「クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童は新格持ちの神童か?」

 

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし」

 

「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうなら蛇と人ではドングリの背比べだぞ」

 

神格とは生来の神様そのものをではなく、種の最高ランクに体を変化させるギフトを指す。

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

小さな胸を張り、豪快に笑う白夜叉。

 

「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の“階層支配者(フロアマスター)”だぞ。この東側の四桁以下では並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの」

 

“最強の主催者”___その言葉に、十六夜、安心院、忍、球磨川の四人は一斉に瞳を輝かせた。

 

「つまり、君のゲームをクリアすれば僕達は東側最強のコミュニティという事になるのかな?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ」

 

『探す手間が省けたね』

 

四人は剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。

白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声をあげた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にゲームを挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御四人様!?」

「ちょっと待て忍」

 

慌てる黒ウサギと暦を右手で制す白夜叉。

 

「よいよ。私も遊び相手には常に飢えている」

 

「ノリがいいね。そういうの好きだぜ」

 

「ふふ、そうか。___しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある」

 

「なんだ?」

 

白夜叉は着物の裾から“サウザンドアイズ”の旗印___向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

 

「おんしらが望むのは“挑戦”か___もしくは、“決闘”か?」




長くなりそうなので一度ここで切ります。

変態達の絡みは次あたりです。
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