問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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虚数大嘘憑き

 

「【虚数大嘘憑き】?何であれ発動させる前にあんたを倒せばいいだけどす」

 

『出来るかな?』

 

互いに向かっていく団長と球磨川。

しかし戦いは一方的だった。

不安定な足場に慣れている団長は軽快に螺子の上を進むのに対して球磨川は多少動きが鈍くなっている。

その差が戦況を一方的にしていた。

 

「あわわ。大丈夫なのですか球磨川さん」

 

黒ウサギが心配そうな声を上げる。

 

「黙って見ていろ」

 

「そうだよ。面白くなるのはここからだよ?」

 

安心院と十六夜は一切心配などしてない様子で言う。

そんなことを話していると球磨川は既にボロボロだった。

 

「分かったやろ?あんたは私に勝たれへんて」

 

『それはどうかな?もうすぐ三分だよ?』

 

「何の話を?」

 

『【安心大嘘憑き】簡単に言うなら三分の間だけ“なかったこと”にすることが出来るスキルさ。君達風に言うならギフトかな?』

 

それを聞いて団長は慌てて上を向く。

先程の螺子が一斉に降り注いだら避けきれないと思ったのだろう。

しかしそれが隙になる。

いきなり下から出現した螺子が団長の右足を掠めたのだ。

団長は本気で慌てて飛び退く。

次の瞬間、団長のいた場所に大量の螺子が現れる。

もし飛び退いていなかったら串刺しになっていただろう。

 

「まだ三分経ってなんか……」

 

『そうだね。三分経っていない。けれど【安心大嘘憑き】の効果は三分、可笑しいよね。現れるはずのない螺子が現れているんだから』

 

言いながら近付く球磨川。

思わず後ずさる団長。

そこで空中に大量の螺子が現れる。

三分経ったのだ。

 

「くっ……」

 

団長は真上の螺子に向かって鞭を放ち、弾き飛ばす。

逃げ場を確保して跳躍する。

すると団長の予測通り、足場からも大量の螺子が現れる。

球磨川は足場にも【安心大嘘憑き】で消した螺子を仕込んでいたのだ。

 

「これが切り札やったか?それなら拍子抜けどすな」

 

『大丈夫。これで終わりなんかじゃないから』

 

「は?……グッ!?」

 

球磨川が言った直後、団長の肩を螺子が貫いていた。

しかし球磨川は螺子を投げるような動作をしていない。

団長は着地に失敗し“足喰いの森・改”の大量の螺子に貫かれた……ように思えた。

その前に球磨川が全ての螺子を“なかったこと”にしたのだ。

 

「どういうつもりどす?」

 

『スキルの説明くらいはしてあげようと思ってね。そして君のギフトを破ってないからね』

 

「余裕どすな」

 

団長がすぐさま攻撃しようとするがその足元に螺子が飛んできて止まらざるえなかった。

 

『【安心大嘘憑き】の三分の壁を越えて発動しているスキルこそが【虚数大嘘憑き】なんだよ』

 

【虚数大嘘憑き】は簡単に言うならば取り返しのつくスキルである。

“なかったこと”にしたものさえ“なかったこと”にするそれが【虚数大嘘憑き】だ。

だから【安心大嘘憑き】と違って任意のタイミングで罠を発動出来るのだ。

 

「それで私のギフトは分かっとるどすか?」

 

『大体はね』

 

言った瞬間、団長の傷だけが元に戻る。

つまり“なかったこと”にする前に戻された。

そして球磨川は観客に向けて言う。

 

『僕のギフトは生死を操る。まるで死神だろう?今でも君達を消そうと思えば消せるんだぜ?』

 

その言葉に観客は寒気を感じ、気分を悪くして、席を立って退場していく。

そして団長が慌て出す。

 

「そんなことはデタラメや!!騙されたらいかんどす」

 

『やっぱりだね。君のギフトは複数人の同一イメージを具現化させるものだね?』

 

団長が球磨川の方を向いて睨もうとするがそれは出来なかった。

球磨川の背後に出現したマントを纏い、鎌を持った骸骨、死神を恐れたのだ。

 

「こうもあっさりと種も仕掛けも見破られるとはなぁ……本当にまいりましたわ」

 

後ずさりしながら呟く団長だったが、次の瞬間に出現した螺子により串刺しになるのだった。

 

「私のギフトは“空想劇”。まさか逆に利用されるとは思いもよらなかったどす。アンタ達ならもしかしたらこのサーカスを___」

 

言いかけたところで団長は消えた。

何はともあれこれで“ノーネーム”の勝利である。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

行方不明者はどこにいるかと考えていた一同だったが突然テントが揺れ始めた。

そして揺れが収まると周囲が廃墟のようになる。

これが本来の姿なのだろう。

 

「アハハハ、まだ戦イは終わらせナイヨー♪」

 

「この声は……」

 

『まさかね……』

 

「そのまさかだろうな」

 

聞き覚えのある癇の触る声が聞こえ一同は顔をひきつらせる。

声の出所の方に視線を向ける。

 

「こコで選手交代っ。ダンチョーに代わっテ、このボクがオ相手しヨウじゃないかーっ!!」

 

変な男が現れる。

変な男の登場に一同は黙るのだった。

どうやら女性支持を狙いピエロが姿を変えたようだが逆効果のようだった。

 

「とりあえず気ニなってるンでしょ?行方不明者がドコにいルのか!!ダカラ連れて来テあげタんだヨ!!」

 

ピエロもといピエールの声と共にその背後にズラリとかなりの人数が現れる。

 

「凄い人数じゃな」

 

「サーカスに取り込まれた人達……こんなにたくさんですか!?」

 

「オイ白夜叉!!安心院!!」

 

十六夜はいじけて煎餅をかじる白夜叉と茶をすする安心院に声をかける。

 

「なんじゃいなんじゃい。私はここで安心院とおせんべいかじるのに忙しいんじゃい」

 

「それは後にしろ!!」

 

それを合図に全員臨戦体勢に入る。

 

「どうやらこのショーも大詰めみたいだ」

 

「いいヨ。いイよ。全員まトめてかかってオいで」

 

 

「皆でワイワイ楽シんデ、拍手喝采のフィナーレとイこうじゃなイか!!」

 

 





団長戦終了!!
そしてラスボス戦開始です!!

ピエロの口調書くのが面倒ですね。
中途半端にカタカナ入るから変換しにくいんですよね。

虚数大嘘憑きは言うなら安心大嘘憑きの任意発動版です。
安心と虚数の使い分けが色々重要です。

それでは質問、感想待っています。
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