問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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虚栄

 

「さて皆さん!!いよいよゲームも大詰めです!!相手は取り込まれたコミュニティの方々!!迂闊に手を出せない以上、ここはやはり作戦会議を行うべきで……」

 

黒ウサギが一同の方を向きながら言うのだが完全にスルーされて敵の集団へと向かっていっていた。

 

「ってやっぱりガンガン行ってるー!!」

 

「先手必勝じゃろ?」

 

忍は一度跳躍し集団の中心へと着地する。

それだけで何十人規模で吹き飛ばされる。

 

「というか作戦立てたところで役に立たないだろ?」

 

暦は【心渡】だと斬れ過ぎるので瓦礫を投げ付ける。

 

「話しても無駄だしな」

 

反坂が集団の肩を次々と飛び移りながら言う。

飛び移る直前に後頭部に蹴りを入れて意識を狩りとっていく。

 

『それに僕達は悪くない。操られる奴が悪いんだからね』

 

球磨川は【却本作り】で次々と行動不能にしていく。

その場を動かずにわざわざ攻撃をくらって確実に刺していく。

傷自体はすぐに“なかったこと”になっているが。

 

「それに口より手を動かしたいところだからね」

 

安心院は球磨川の後ろで取りこぼしを次々と吹き飛ばす。

 

「せっかく戦闘解禁されたのだ。暴れさせんかー!!」

 

白夜叉も白夜叉で次々と吹き飛ばしていく。

 

「ううう……どうして皆さんはそうやっていつも……黒ウサギの言う事を聞いてくれないのですかーッ!?」

 

黒ウサギは泣きながら背後からの襲撃者を殴る。

その後も憂さ晴らしキック!!ストレス発散パンチ!!と敵を吹っ飛ばしていった。

一方、十六夜はかなりの人数に囲まれていた。

 

「他のコミュニティの連中にケガをさせレば後が厄介!!いくら破天荒ナ君デモ……こノ人数を上手くあしらい切レるかなァ!!」

 

それを合図に敵が一斉に十六夜に向かい襲いかかる。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

テント外でレティシアとジンは動かなくなったフェルナを不審がっていた。

そこでテントが爆発して十六夜が飛び出してくる。

 

「十六夜さん!!」

 

「あ?なんだ。御チビに吸血ロリじゃねーか!!」

 

十六夜は二人を確認すると近くに着地する。

 

「一体また何を派手にやらかしているんだ貴様等はッ!!」

 

「細かい話は後だ!!お前らも祭りに参加してこいよ!!」

 

「ま…祭りって……!?」

 

十六夜が指を差す方を見るとどんちゃん騒ぎの大乱闘だった。

かなり一方的な大乱闘ではあったが。

 

「雑魚共ついでにやっと鬱陶しい天幕を吹き飛ばせて爽快だぜ。残念ながら“強きを挫き弱きも挫く”!!それが俺の座右の銘でな!!」

 

「アハハハハハハハ驚いたな。年季は入ってテモかナリ頑丈な天幕だったンだけどナァ……」

 

ピエールが残念そうに言う。

そこに黒ウサギが涙目でよってくる。

 

「ちょっとちょっとー!!ダメじゃないですか十六夜さん!!皆様をなるべく無傷で帰してあげなければ黒ウサギ達の責任に……」

 

『それなら僕がいるから大丈夫だよ』

 

一瞬沈黙が広がる。

確かに【大嘘憑き】ならばどうとでもなるだろう。

そこでいきなりフェルナが体から破片を散らせながら動き出す。

そして言葉はチケットを持ってきた時の言葉をテープレコーダーの如く言う。

どうやらフェルナは人形だったようだ。

そちらに気を取られていると十六夜が黒ウサギの耳を掴んだ。

 

「危ない黒ウサギ!!」

 

「キャー!?」

 

そのまま黒ウサギを投げた。

次の瞬間、黒ウサギのいた場所に大量の岩が飛んでくる。

 

「ふー間一髪だったぜ」

 

「有難うございます。でも助け方が凄くぞんざい!!」

 

どうやらピエールが体を液体化させつつ投げてきているようだ。

 

「正体は分かっているであろう。なぜさっさと倒さんのだ!!」

 

「いやぁ、なんつーか……あいつ自身を潰すのは簡単だが思ったより根が広く張られているみたいでな。それを一気に片付けねぇと」

 

「妙な気配の正体はそれかのう?」

 

「だと思うよ忍ちゃん。でどうするんだい?」

 

「ちょうどいい。お前らも手伝え」

 

 

「この町をぶっ壊すぞ!!」

 

 

それを聞いて黒ウサギは固まり、レティシアはジンを担ぎ避難する。

その間に忍、安心院、白夜叉、十六夜は和気藹々と準備を進める。

球磨川は安心院とセットなので特に慌てず。

暦と反坂はたいして気にした様子ではない。

パニック状態なのは黒ウサギくらいである。

 

「こらコラ。そんな事はさせナイよ。マナーの悪いお客サンは今すぐ退場だ!!」

 

「しつけぇんだよッ!!」

「しつこいよ」

「しつこいんじゃよ」

 

黒ウサギに襲いかかるピエールを十六夜達が弾き飛ばして飛散させる。

 

「お前ら、また邪魔が入る前にやっちまうぞ!!」

 

「もう仕方ないっ!!皆さん最大限の防御を!!デカイ衝撃が来ます!!」

 

黒ウサギが注意を呼び掛ける。

 

「「「「行くぞ!!」」」」

 

十六夜、白夜叉、安心院、忍が同時に攻撃を放ち、激しい衝撃が響き、広場を中心に火柱が立つ。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

その後、熱風を浴びたところから光景が変わっていった。

それはまるで絵の具が剥がれるようだった。

どうやらピエールが自分の力でゴーストタウンに塗装をしたらしい。

 

「“虚栄(ヴァニタス)”。おそらくそれがヤツの正体だろう」

 

「ヴァニタス……?」

 

「“空の空(ヴァニタス)空の空(ヴァトゥーム)一切は空である(オムニス ヴァニタス)”。旧約聖書{コヘレットの書}の虚無を表す一節に由来した絵画様式だよ奴はその作品群から悪魔として箱庭に生まれ、うこの滅びたコミュニティに居付き、あたかもまだ栄えている様に絵の具で飾り立てた仮初の繁栄で人々を町に誘込んでいたんだ」

 

『よく気付いたね』

 

「さっきあれだけ騒々しくしても人っ子一人現れないのを見ればな。定住しているやつはいないと分かる」

 

今回の事件はフェルナという人形が滅びたコミュニティを役目を未だに果たそうとして、悪魔と手を組んでまでこの世界にあろうとした事が始まりだったのだ。

説明が終わると日が昇った。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「君を少し参考にさせて貰うぜ」

 

マリオネットにひっそりと近付き、その構造を解析するのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

後日。

 

「……かつて滅ぼされた魔王の遺留品……か。あの移動式テントもマリオネットもよくあれ程長く稼働出来ていた物だな。限界が来ていたとはいえ大したものだ」

 

レティシアが肉を食べながら言う。

口調からして何か思うことがあることを伺える。

 

「切ねぇな~」

 

『そうだね。どうやらあちこちでおなじことをしていたみたいだしね』

 

反坂と球磨川が肉串を食べながら言う。

安心院は球磨川の教室で何かしているようだ。

 

「解放されたコミュニティは北や南ばっからしいしな」

 

暦は骨付き肉を食べながら言う。

その足元では忍がドーナツを食べている。

 

「まったくとんでもねぇさみすがり屋もいたもんだぜ。なあ、黒ウサギ」

 

十六夜は肉を焼きながら黒ウサギに話を振る。

その後ろでは狐川が「私も寂しかったんですよ主様」というかんじにベタベタしている。

ベタベタしながらも肉は焼いている。

 

「そうですねー」

 

話を振られた黒ウサギははんぺんをかじりながら答える。

 

「なんで黒ウサギだけはんぺんなんでしょうか?」

 

「「『心配かけたペナルティ』」」

 

声を揃えて言う問題児達。

 

「今回は散々迷惑かけただろ?」

 

『敵にも回るしね』

 

「この箱庭の貴族(迷)」

 

「ぐぬぬ無駄に正論で突っ込み返せない……っ!!」

 

言い負かされた黒ウサギ。

その後、ジンとコミュニティについて話していると十六夜がコミュニティを大きくするというのを否定して慌てる黒ウサギ。

十六夜は串を煉瓦に刺して言う。

 

「魔王を倒して目指すは最強コミュニティ!!俺達を呼んだからにはこれくらい豪語してみせろよな!!」

 

「あ……皆さん……!!黒ウサギは……黒ウサギは……!!」

 

涙目で走りよってくる黒ウサギは、

 

「感動いたしましたああぁぁぁぁぁ」

 

盛大に落とし穴に落ちた。

ちなみにこの落とし穴は球磨川の【虚数大嘘憑き】で掘ったことをなかったことにして、黒ウサギが上に来たら掘った状態にするという少し手の込んだ落とし穴である。

 

「やったぜ。上げて落とす作戦大・成・功!!」

 

「これでチャラだな」

 

『迷宮の時の学習してないね』

 

「いい加減にしてください。この……」

 

「問題児様方ァァァ!!」

 

落とし穴から飛び出た黒ウサギはハリセン片手に問題児を叫びながら追い掛け回すのだった。

 

 





サーカス編終了です。

次は六巻の次回予告です。
というわけで次編は連盟旗編です。

それでは質問、感想待っています。
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