シユウになってしまった様だ。   作:浅漬け

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何とか宣言通りに一週間以内にいけて嬉しい。
あと最近Amazonプライムで仮面ライダーWを見返していたらサブタイが欲しくなったので付けてみたり。過去話にも付けていこう(提案)。
師匠の出番はもう少し待ってね。


第14話 お願いは突然に

「……はい、確かにミッションレポートを受理しました。お疲れさまでした」

「やった、ついに、終わった……!」

 

 極東の歴史がまた1ページ……という程大げさでは無いが、気分としてはそんな感じである。いやー、終わった終わった。任務、完! ッしゃぁ!

 

「おっ、お疲れ」

「あ、どうも。……あの、タツミ先輩ってカウンターから動いてます? なんか何時もそこに居るような気がするような」

「ハハハハハ! ミッションカウンターの主とはこの俺の事だぜ?」

「それって結構皆さんの邪魔なのでは」

 

 アラガミを倒せば任務終了、そんな風に思っていた時期も私にはありました。だがそれは幻想だったよ。

 遠足じゃないけども、アラガミ討伐は報告書の提出まで続く。使ったアンプルの数、神機の損傷具合やメンテの結果、得たコアやそれ以外のアラガミ資源の種類etc。面倒臭い事この上ない。

 だがそんな苦行は最早過ぎ去った。いやぁ、この後が楽しみだ。実に楽しみだ。イヤッホゥ!

 

「本当にお疲れさまでした。確かヒミカさんは明日非番でしたよね? どうかゆっくり休んで疲れを癒して下さいね」

 

 そう、明日はひっさびさの非番なのである。研修だの防衛だの散々駆り出された末掴んだ一筋の光明……やっとだ。やっと私は休めるんだなって。

 いやー、何しようかな。だらだらするのも良いし、ごろごろするのも良いなぁ。どっちも一緒だろとか言う野暮な人はオウガテイルの餌になればいいと思うよ。

 それにしてもヒバリちゃんはなんて良い子なんだろう。もし私が男だったら今の笑顔でタツミさんの同類に堕ちていたに違いない。恐ろしい子……!

 

「ありがと。ねぇタツミさん、天使だよ。ここに天使がいるよ」

「おいおい、何を今更当たり前な事を言ってるんだ。だがお前もようやく分かってくれた様で俺は嬉しい。ヒバリちゃんは天使だとなぁ!」

「この事実に気付いていない人がいるなんて……くそっ、人類はどこまで愚かなんだ……!」

 

 全てから解放されたことでやはりテンションがおかしくなっているのか、ついついこういうらしくもない事を言ってしまう。でもこういう時タツミさんは大抵ノッてくれるから楽しい。兄貴と呼んで良いですか?

 

「……あの、二人ともそろそろいい加減にしないと怒りますよ……?」

「「すみませんでした」」

 

 照れて真っ赤になるヒバリちゃん……アリですね。

 あぁ、本当可愛いな。

 

 ◆◆◆

 

 さて自分の部屋に入るや否や、私はベッドにどかっとダイブし寝転んだ。おぉう。この固くもなく、それでいて然程柔らかくもないクッションよ……最高だ。やはり私のエイジスはここにあったんだ。もう着替えたりシャワー浴びるのは後でいいや。またサクヤさんにダメ出しされそうだけど。

 

 しっかし今回も疲れた。疲れたったら疲れた。もーやだ、おうちかえりたい……いやここが家だった。

 エイジス計画は人類にとって大事なものであるというのはまぁ納得できる。そしてそれには大量のアラガミ資源、つまり奴等の【コア】がいるという事も納得はしよう。だがゴッドイーターだって人間だ。防衛ならまだしも、たまの非番以外に毎日毎日わざわざアラガミを狩りに行くのは色々と体に堪える。ヘリならまだしも、車でだと辛い。サクヤさんあれで運転結構荒いんだよなぁ。ガタガタ揺れるのが楽しいのは最初だけだった。

 

 そんなとりとめも無いことを考えながら、私はゴロゴロとシーツの上を転がる。あー気持ちいい。時が許すならいつまでもこうしていたい。

 もういっそこの幸せな気分のまま今日は寝てしまおうか。いやそれがいい。そうに違いない。余計な面倒事が降りかかってこない内に寝よう。善は急げだ。

 

 そこからの私の行動は早かった。素早くパジャマに服を着替え、ベッドへ再びダイブ。その衝撃すら今の私には心地良い。脱いだ服の片付けは明日の自分に任せた。スカートはともかく、パーカーはシワにはならないだろうしもういいや。寝よう。

 

 布団を被り、仄かに感じる圧迫感に身を委ねる。やはり楽園は此所にあったのだ。しかもこれを明日は気の済むまで味わえるときた。やはり非番は最高だ。

 

「あー……良い……。やはり布団は人類の文化の極み……」

 

 意識が段々と溶けていく。暖かさの中に私は微睡みながら、やがてその身体は眠りへと……。

 

 ぴーんぽーん。

 

「……は?」

 

 はて、何か聞こえたような……いや、気のせいだな、うん。決してあれは来客を知らせるチャイムなのではない。哀れにも疲れた私が産み出した幻聴なのだ。あーこれはマズいなー。しっかりと休まないと治らないなー。うん寝よう。

 

 ぴーんぽーん。

 

 どうやら私はイカれたらしい。幻聴が二度も聞こえるなんて……もうこれはゴッドイーターを引退するしかないのでは? 私はそう思うね。よし寝よう。

 

 ぴんぽんぴんぽんぴんぽん。

 

 あー聞こえなーい。全く聞こえないったら聞こえないなー。タイミング悪すぎない? 私は寝たいんだけど? あとボタンの連打を止めろ。壊れたらどうするつもりなんだ。ツバキさんに怒られたらどうしてくれるのだろうか。いやもう知らん、寝る。私は寝る。

 

 ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん。

 

 

「うるさーーーーいッ!!! 今何時だと思ってるん、です、か……!?」

「ひいぃっ!? い、いや、まだ5時半だけど……?」

「……今この場において五月蝿いのはお前だ」

 

 ささやかな幸福を邪魔された事への怒りと共にドアを開けると、そこにはいつぞやのエリック先輩とソーマさん? いや何て呼べば良いんだろうこの人。いまいちいまだに距離感が分からないんだよなぁ……。まぁとにかく二人が居た。

 気まずい。とても気まずい。しかも何かあったんですか!? と近くにいたカノンさんまで来てしまう始末。なんとか何でもないんですとはぐらかして帰ってもらいはしたものの、寝起き特有の機嫌の悪さでやらかしてしまった事には変わりがない。どうしよう。

 

「いやその、すまない。ドアのデバイスに就寝中の表示が出てないのに反応が無かったものだから……」

「あ、あぁ~、そうなんですか……いやその、えっと、全然そんなつもりじゃなかったんです……怒鳴ったりなんかして本当すいませんでした……」

「部屋の中とその格好を見るに、どうやら自業自得の様だがな」

「うぐっ……部屋はあれですよソーマ……さん? 片付けを明日の自分に任せただけだから……」

「今回の原因はお前のそういう所だろう」

「ま、まぁまぁソーマ。しつこく鳴らした僕達も悪かったんだし、その件は今置いておこう」

 

 エリック先輩の優しさに全私が泣いた。キザったらしい格好してるけどそりゃあモテるよアンタ。ヒバリちゃんには暫く名前覚えてもらえてなかったみたいだけど、ってそうじゃない。

 

「えっと、お二人は私にどういったご用件で……?」

 

 取り敢えず、この二人が持ってきた用事とは何かを聞かなければ。

 ソーマ……いやもうソーマでいいや、めんどくさいし。とにかくソーマは第1部隊の同僚ではあるけれど、普段特に関わりの無いエリック先輩がわざわざ私を尋ねて来たんだ。何か用事があるに違いない。

 

「あ、そうだったね。じゃあ手短に話すけど、実は今回新人クンを訪ねたのは他でもない。榊博士から直々の依頼が僕達三人に――」

「すいません明日は体調不良の予定なのでこれで失礼します」

「ちょっと待って!? ドアを閉めないでくれたまえ!?」

 

 前言撤回。チッ……わざわざ聞いて損をした。正直者が馬鹿を見る、これだからフェンリルは。あと博士は人の心が分からない。何故わざわざ明日非番の私を指名してくるんだ。もっと他に優秀な人は居るでしょうに。

 こちらとしてはさっさと扉を閉めて寝たいのだが、流石に相手もゴッドイーター。その攻防は拮抗している。ここは一気に決めなければ不利だ。このままではいずれ嫌々丸め込まれてしまう……!

 

「離して下さい先輩。しつこい男は嫌われますよ?」

「いやいやいや! せめて話だけでも聞いてというかソーマ、君も手伝いたまえ! 同じ頼まれた仲じゃないか!」

「断る、面倒だ」

「じゃあそういう事ですので、では。というかそろそろドアノブを離して下さい。もし壊れたら私のプライベート大公開になっちゃうじゃないですかうおりゃあああ……!」

「うおぉぉぉぉぉ……!! 見かけによらず力強くないか君!? いや本当、本当話だけでもいいから……!」

「助けてーー! 先輩が力づくで私を手籠めにしようとしてるーー!」

「待ちたまえそれは洒落にならない!! またカノン嬢来ちゃう! 誰かヘルプ! ヘルプミー!」

 

 ミシミシと音をたてるドアノブを挟み、その戦いは永遠に続くかと思われた。そんな時である。どこからかスタスタと呑気そうな足音が聞こえてきたのは。

 

「いやいや、やはりなかなか苦戦している様だねぇ」

 

 突然廊下に響く胡散臭い声。私は、いや我々はこの声の主を知っている。

 

「ハハハ、どうせこんな事になるだろうと思って出向いて来たのはどうやら正解だったようだね」

「ペ、ペイラー博士……」

「アンタか。わざわざ来るとはご苦労な事だ」

 

 極東支部アラガミ技術開発統括責任者、ペイラー・榊。

 肩書きが長ったらしいのでどんな人かかいつまんで言うと、普段何してるのかよく分からないけどなんか偉い人である。うん、本当何してるんだろうね。

 

「さてヒミカくん、依頼者が直接来たのだし……話くらいは聞いてくれないかい?」

 

 あくまで表面上はニコニコとこちらに話し掛けてくる榊博士。しかし私には、というか対面したらよっぽどの鈍感じゃ無い限り気付くことだが分かってしまった。これ絶対断ったら面倒臭くなるヤツだ、と。

 私は静かにドアノブを離した。そしてその拍子に反対側で引っ張っていたエリック先輩が吹き飛んだ。南無。

 

「……分かりました、でも話を聞くだけですからね。そこの所を宜しくお願いしますよ?」

「うん、結構結構! じゃ、改めて君に依頼の内容を話すとしようか。着いて来たまえ、私の部屋で話そう。もっとも二人にはもう話してしまったが、おさらいのつもりで頼むよ」

「あれーおかしいなー。なんかもう私が頼み事をやる雰囲気になってるぞー?」

「諦めろ、どうせ遅かれ早かれこうなってた」

「ぼ、僕の苦労とは一体……」

 

 せめてもの抵抗を試みつつも、私達は博士に連れられ彼の部屋に移動するのであった。うぐぐぐ。

 ……あれ、今気付いたけど私パジャマのままじゃない? 公開処刑かな?

 

 ◆◆◆

 

 所変わってここは榊博士のラボラトリー。ここに来るのは何だっけ……あぁ、あのシユウの事について根掘り葉掘り聞かれた時以来だ。それにしても相変わらずごちゃごちゃしている所である。この床の太いケーブルとか何なんだろうね。転びそうだし危険ではなかろうかと思ってしまう今日この頃。

 

「フーム、改めて客観的に見ると散らかっているものだなぁ。一人仕事が多くなるとつい整頓に無頓着になってしまう」

 

 博士は机の上に散らばっていた資料の束を手早く片付け、私達に席を薦めてきた。

 

「ささ、座って座って。もしよかったら飲み物でもどうかな? 自販機のラインナップ位なら揃っているよ」

「要らん、さっさとコイツに用件を話せ」

「相変わらず無愛想だねぇ。君達はどうする?」

「あ、いえ。僕はお構い無く」

「……じゃあ、冷やしカレーあります?」

「「えっ」」

「勿論あるとも! 早速持ってくるとしよう」

 

 今他の二人から変なものを見る目で見られた気がする。おかしいな、何か妙な事言ったかな。冷やしカレードリンクおいしいのに。

 暫く待っていると冷やしカレー缶を持った博士が鼻唄を歌いながら戻ってきた。なんか急に上機嫌になったなこの人。どうしたんだろう。

 

「いやぁヒミカくん、君は中々分かってるねぇ。冷やしカレードリンクは私の開発した嗜好品の中でも一二の完成度を誇る1品だよ。はい、これ」

「あ、どうも」

「一二であれなのか」

「しっ、ソーマ! 需要はあるじゃないか、リッカ嬢とか……」

 

 成る程、あれは博士の発明品だったのか。いいセンス、と言っておこう。

 手に取ると伝わってくるひんやりとした感触。いつもの手触りだ。冷やしカレードリンク、120fcで好評発売中。皆も飲もうね。

 

 さてそんなこんなの間によっこいせ、とわざとらしく言いながら博士は私達の対面に座った。

 果たして一体何をこの人は言い出すのだろうか。心なしか何時もよりニコニコしている気がするのが心配だ。出来るだけ早くすむようなものでありますように。冷やしカレーの精よ、私を守りたまえ……。

 

「じゃ、早速本題に入るけど……君は最近アナグラに広まっている噂を知っているかな?」

 

 噂? はて、何かあったかな。噂、噂……あぁ、もしかしてあれのことだろか。一つ思い当たる話があった。

 

「アナグラで広まっている噂……その、【幽霊の声】の事ですか?」

「その通り。君達も聞いた事位はあるだろう。大分広まってるみたいだしね」

「それはまぁ。あれですよね、贖罪の街でいる筈のない人の声が聞こえるっていう……」

 

 幽霊の声。最近まことしやかにアナグラで囁かれている噂の一つである。任務以外は出不精気味の私ですら聞き覚えがあるのだから相当広まっているのには違いない。

 曰く、贖罪の街で任務に当たっていると、人間の声がたまに聞こえるのだという。それはかすれた大人の声であったり、はたまた子供の声の様にも聞こえる。しかし辺りを確認しても誰もいる筈もないのだとか。

 所詮下らない噂だとは思うのだが、ゴッドイーター界隈ではそういう類いの話はよく持ち上がるらしい。言っちゃ何だがあれだ、よく死ぬし。それに私達が赴く外部は大抵が人類文明の哀れな成れの果てでもある。そういう想像が掻き立てられるのも自然なのかもしれない。しかし、これが何か関係あるのだろうか。

 

「うん、まぁそれ絡みとなるのかな。といっても実に簡単な事だ。明日あらかじめ贖罪の街に向かい、そのエリア周辺で待機。連絡を入れたら私が指定するポイントまで行ってくれればいい。それだけさ」

「えっ?」

 

 拍子抜けである。え、本当にあのペイラー榊なのだろうかこの人。簡単過ぎやしないか。これが冷やしカレーの力……いやいや、あり得ない。どうせあれだ。そこに向かったら弩級アラガミが来るとかそんな類いの話に違いない。私は詳しいんだ。

 

「騙されませんよ。絶対あれですよね、行ったらヴァジュラが5体位出てくるとかですよね」

「私は一体何だと思われてるんだい!? それソーマにも言われたのだけれど……」

 

 信用されてないなぁ、と苦笑する博士。でも何故か彼が言うと素直に信用できない。今まで散々あのシユウ関連で付き合わされたからだろうか、私の中で榊博士=面倒事の式が成り立ってしまっているのだ。

 というかちゃっかりソーマも疑ってたんかい。気持ちは分かるけど。

 

「まぁとにかく、今回は本当に私のおつかいとして贖罪の街に行って貰いたいだけなんだ。戦闘もどうしようもない遭遇戦以外は不用、正真正銘ただの調査さ」

 

 むむむ、どうやら本当に行くだけで良いらしい。成る程、頼み事については理解した。それがただの調査で何の危険もないことも。だがしかし。彼はまだ肝心な所について言及していない。大事な大事な点なのだが何故か皆その事について触れてこないのだ。何かあったに違いない。これ聞いておかないとはぐらかされるやつだ。

 

「そこまで言うならその点については信じます。けど、その……」

「『何故人選が私達なんです?』か? 無駄だ、今回榊のおっさんは俺達に理由を教える気はないらしいからな」

「一応僕達も聞いてみたのだが……」

 

 ん? 何か勝手に違う方向へ解釈された。いやまぁそこも知りたいっちゃ知りたいんだけどさ、もっとこうほら……あるじゃん? 分かんないかな。特に二人はその正解に辿り着ける筈なのだが。

 

「すまない。今はまだ、私の考えうる中で君達が一番適任だからだとしか言えない。調査対象についてはそこそこ資料は揃ってるんだがまだ推測に頼る部分が多いし、何より生きてる以上不確定要素もあるからね。だが私の予測が外れていれば何もなし、当たっていれば当たっていたで危ないことは何もない筈さ。……多分」

 

 おい最後。

 

「とまぁ、こんな感じなんだが……何か質問はあるかな? ちなみに今日の夜出発してもらう予定なんだけど」

 

 えっ、今日出発? 何それ。私聞いてない。

 もう我慢の限界だ。そちらがあくまでシラを切るつもりなら私から質問してやる……!

 

「質問いいですか」

「おっ、意欲的だね。助かるよ、どんどん何でも聞いてくれたまえ」

「……私の休暇はどうなるんです?」

「……え?」

 

 えっ、なにその迫真のすっとぼけは。

 おかしいな、わざわざ明日が休みな私を指名してくるのだから埋め合わせ位は用意している筈なのに。もっと突っ込んで聞いてみるしかないのか。

 

「いや休暇ですよ、休暇。明日私久しぶりの非番だったんですけど、話を聞く限り実現しそうにないですよね。今日の夜出発とか言いましたもんね。……ささやかな私の幸せは、何処へ?」

 

 何を言ってんだコイツ、みたいな目線が一斉に私を貫く。いや私の方が予想外なんだけど。え、もしかして気付いてなかった? ほら私こんな時間からパジャマじゃん。明日非番だから昼まで寝るねアピールしてたじゃん。

 

「あーその……私が行いたい調査は明日がベストタイミングでね。しかも相手の性質からおそらく二回目以降はかなり難しくなる見込みなんだよ。だからこの機会を逃す訳にはいかないというか何と言うか」

「えぇ。それで?」

「いやぁ、ヒミカくんには本当に申し訳ないのだけど……」

「成る程成る程、そーですか。そーですか」

 

 ハハハハハ。さよなら、私のお休み。まぁ知ってたけどね。どうせここに来たからにはこうなるって事はさ。

 ハハハ……あれおかしいな、笑っている筈なのになんだか視界がぼやけてきたぞー?

 

「そうですか……ふっ、ふふっ……ふへへっ…………ふぐぅっ……」

「 泣くほど休暇欲しかったの!? いや勿論悪気は無かったんだよ? ただ結果的にタイミングが合っていなかっただけでだね?」

「ベッドがぁ……私のエイジスがぁ……」

「俺もう帰っていいか?」

「あぁちょっともう待ってソーマ!! ごめん、本当にごめん! 何か埋め合わせはさせてもらうから! そうだ、私が構想に10年費やした究極の嗜好品のサンプルをあげよう! だからね、何とか機嫌を直して欲しいのだけれど! 私がいたたまれないから!」

 

 結局私と博士はその後、彼が言うところの究極の嗜好品、そのサンプル1ダース分と今後の睡眠の為にちょっといい枕を贈呈という条件で和解した。これには私もニッコリ、な訳はない。覚えていろよフェンリル、いつかこの呉ヒミカの怒りを思い出せ。

 

 嗚呼、さよなら睡眠。はじめまして調査。

 あー……やだなぁ……。

 




更新スピードを落とさない様に頑張るぞい。

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