シユウになってしまった様だ。   作:浅漬け

2 / 17
取り敢えず書いてしまった分を投稿しておこうかなと。
つまりもうストックは無いという事だがな……!

※8月7日にアドバイスを受け一部文章を修正しました。
※6月17日に大幅改稿しました。


第2話 孤独のグルメ

 やぁどうも。気が付いたらシユウ師匠になってしまっていた人こと鳥田烈火だよ。

 

 さて、夜も明けた事だし早速体に慣れる為の訓練を始めようと思ったのだが、その前にこの後生きていく上でのルールを自分自身に設けようと思う。後先考えずに行動するなんてただのアラガミと変わらないもんね。

 

 そういう訳で、まず無闇に戦わない……つまり、あまり積極的に生き物を捕食しないでおこうという事にした。神機使いは勿論、同族であるアラガミも出来るだけ、だ。前者は共食いだから論外。後者は俺が目立ってしまう。要するに目立たない様にひっそりとメインで土でも喰っていようって事。あ、物の例えじゃないぞ?

 

 理由は幾つかあるが……そうだな、例えばコンゴウというアラガミを知っているだろうか? あのお馴染みの赤いエテ公だ。悪名高きピルグリムではお世話になりました。腕ブンブンやめろやクソ猿ゥ!

 気を取り直してさてこのサル、ゲームでこそ何回も戦う雑魚扱いなのだが実は設定的には出会ったら死を覚悟しろと言われるレベルなのだ。……極東以外の所なら。

 

 何が言いたいか分かったかな? そう、繰り返し言うことになるが、残念ながら俺ことシユウは此処ではあまり強くないのだ。コンゴウが新人二人の練習台にされる様な土地なんだぞ。そんな所でアラガミや神機使いにちょっかいを出して俺の存在がアナグラの連中に認知されたら……多分絶対確実に駆除されるだろう。主に体のいい練習台として。

 

 だからなるべく物事に不干渉でいよう、という訳である。アラガミライフを満喫しようとか言っといてなんだが、随分と地味な生活になりそうだ。まぁ死にたくないし、我らがリンドウさんも絶対に死ぬなって言ってたから許して。いや、人間からしたら今の俺はさっさと死んでもらいたいのだろうが。ハハハ、イッツアラガミジョーク。

 

  それはさておき、そろそろ始めてみるとするか。

 

 今俺は地上に降り立ち、シユウ師匠独特の腕組みポーズで目の前をのっしのっしと呑気に歩いているオウガテイルを見つめている。

 どうやら幸いな事にここら辺には今のところコイツらかコクーンメイデン位しかいないらしい。という訳で、俺は彼を練習台とする事にした。弱いし。人間の業を感じる理由だなこれ。

 ん? 無闇に戦わないんじゃなかったかって? いや、自衛する力位は持っておかないと色々と不味いだろうし。それに、折角シユウ師匠になれたんだ。アレを放ってみたい。是非とも。

 

 さて、的はと……此方を警戒する様子も無い、好都合だ。でも姿が違うとはいえ、今俺はコイツと同族なんだよな。なんだか心が痛む様な気はする……いや待てよ。そうか、どうせ無限湧きするんだったか。

 そうだったそうだった。アラガミは体の中のコアなる物をひっこ抜かないと無限に再生、復活するんだった。しかも放っておいてもどんどん増えるというオマケ付き。いや、考えてみると本当にタチの悪い生き物だなぁ。根絶すべきだ。まぁ今の俺もそうなんだけど。

 

 何にせよだったら遠慮はいらない。運が悪かったと諦めてくれ、オウガテイルよ。

 

 じゃあ、早速シユウ師匠の代名詞である火球を放つ練習をしてみようか。しかしあれってどうやってやるんだろうか? いやいや、案ずるより産むが易し。こういうのは案外イメージなのかもしれないし、取り敢えずやってみよう。

 

 俺は翼手を動かし、手の先に力を込める。波○拳を放つポーズ、と言えば分かりやすいかもしれない……お、なんか手の辺りが熱くなってきた。いけるか?

  そのままぐっと力を込め続けていると、熱が形を持ち始め、最終的には光る玉の様な形となった。これだよこれこれ。俺って以外とセンスあるかも。どんなセンスだよ、と言われればそれまでだけど。

 

 さて、的はと……あ、逃げた。そりゃ当然か。当たったら黒焦げって事くらいは分かるわな。でも逃がす訳にもいかない。こっちも今後の生活の為にどれくらいの力を扱えるのか測らなきゃならないから。ごめんな。

 

 俺は火球を解き放った。そして光り輝くそれは逃げるオウガテイルの背に直撃し……爆ぜた。おぉ、ゲームで見たまんまだ。威力もそこそこ。初めてにしては良いんじゃないだろうか。

 オウガテイルくんはというと、見事にバラバラだった。これが火曜日だったら例のBGMが流れそうな程に何とも惨い有り様となっている。犯人は俺だけど。

 だが別に試したい事もあるし、こうなると踏んでやったのだから想定内だ。今のでピンときた人も多いかもしれないな。そう、捕食だ。

 

 【アラガミ】、いや、正確に言えばオラクル細胞は何でも食べる。無機物だろうが有機物だろうが本当に何でも。細かい事を言うと細胞ごとの好き嫌いとかもあるらしいのだがそこは今は置いておこう。ほら、今いる贖罪の街のビルがいい証拠だ。見事に穴ぼこだらけとなっている。オラクル細胞ってすげー。

 とまぁそういう理屈で、冒頭で言ったような土を喰いながらの生活というのも今の俺ならば造作も無く行える。ちなみにさっき食べてみたが、もしゃっとするだけで味はしなかった。そりゃ皆さん食べない訳だよ。泣けるぜ。

  では同じアラガミ相手ならばどうなんだ、と気になるのが人情というもの。それで少しだけ試してみようと思ったのだ。いや、確かにアラガミでもあまり喰わないでおこうと決めた所なんだが、流石に味が無いのは応えたんだ。ずっとそれとか嫌じゃんそんなの。

 

 そんな意志の力ブレブレな俺は早速こんがりオウガテイルの一欠片をひょいと持ち上げ、食べてみた。……むむむ、微かに味を感じる様な……焦げ臭さが遥かに勝ってるけども。いや、味があるというのは発見であり、評価点なのだけどね。もしかして、生しか美味しくなかったりするのだろうか? それだと困るなぁ。俺まだ弱いし……うーん、そこら辺は追々試せばいいか。

 

  その後、暫く壁なりオウガテイルなりで程々に火球を練習した俺は昨日のビルへの帰路に着いた。今後は焼かない感じの技を身に付ける必要があるかもしれないな、とぼんやり思いながら。




次の話位で第一部隊と会わせたいなぁ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。