あの狂ったブラッジャー事件の日、ハリーお兄ちゃんは念のため一日だけ入院することになった。その夜にドビーが現れたらしいが、ドビーがハリーお兄ちゃんに言うには、あのブラッジャーに呪いを掛けたのはドビー自身ということだ。だが、それは嘘だろう。なぜなら、あのブラッジャーにはしもべ妖精の魔法だけではなく、魔法使いの杖を用いた呪いも掛けられていたのだから。明らかに、ハリーお兄ちゃんを殺しにかかっていたようだ。この事を知っているのは、私とジニー、それとハリーお兄ちゃんだけだ。ハリーお兄ちゃんには、私が作った魔法がかけてあるお守りを渡している。
また、コリンが石にされダンブルドア先生たちに運びこまれたらしい。ホグワーツでは、コリンが襲われた事をきっかけとして、爆発的に護身グッズなるものが売れている。
マルフォイには、ハーマイオニーがさりげなく、朝食で真実薬を入れたカボチャジュースを飲ませてみたが成果はなかった。
「さぁさぁ、集まって、集まって。みなさん、私が見えますか?私の声が聞こえますか?ダンブルドア校長先生から、この小さな『決闘クラブ』を始めるお許しをいただけました。私自身の技を、ここでみなさんに教え、鍛えていくためにです。予習がしたければ、私の著書を読んでください。」
「では、助手のスネイプ先生の紹介をしましょう。スネイプ先生がおっしゃるには決闘について、ごくわずか、ご存じらしい。これから、みなさんに教える前に模範演技に協力してもらいます。」
「そして、こちらは万一の時のためのマクゴナガル先生、フリットウィック先生、スプラウト先生です。」
銀色の前歯を光らせているロックハートが、後ろに今にもアバダと唱えそうな殺意むき出しのスネイプ先生、不機嫌オーラ丸出しのマクゴナガル先生、フリットウィック先生、スプラウト先生を引き連れて、大広間に特別に用意されたステージの上にやって来た。マクゴナガル先生はステージの上から集まった生徒を見回した。そして、何故か私と目が合った後、フリットウィック先生とスプラウト先生に耳打ちしてステージから降りていった。まさか、あの三名の先生達って私の監視だったりしちゃうの?せっかくの決闘クラブなんだからって事で、ロックハートに前世からの積もりに積もった恨みを晴らせるチャンスだと思って張り切ってきたのに、まさかの、私、なにもさせてもらえないパターンのやつなの?
こうなったら、リリーママの力を使ってみよう!
「セブ、頑張ってね!」
スネイプ先生が私の前を通りかかったときに、スネイプ先生にそうやって声をかけてみた。
すると…
「一 …… 二 …… 三 …… 」
「エクスペリアームス!武器よ去れ!」
「インペディメンタ!妨害せよ!」
「ステューピファイ!麻痺せよ!」
スネイプ先生は、三つの呪文を高速でしかも全力で放ってくれた。ロックハートは、壁に激突し、失神呪文の効果も合わさってか、完全に伸びきっている。何人かのロックハート信者の方々が悲鳴をあげていたが、スリザリン生は全員歓喜の声をあげていた。
スネイプ先生、ありがとうございます!
少しすっきりしました!
「スネイプ先生!さすがです!」
「教師に対する尊敬の念に対し、グリフィンドール20点!」
「ありがとうございます」
「ハリエット、君は今の三つの呪文が何か分かるかね?」
「最初は『武装解除呪文』で、次が『妨害の呪文』で、最後が『失神の呪文』です。」
「素晴らしい!一年生でここまで知っているとは!グリフィンドール、さらに30点!」
ついでに、50点も獲得しました。
スネイプ先生は、それからロックハートを宙吊りにして、浮かんでいるろうそくのところあたりまで浮かばせた。
「マクゴナガル先生、担当教師が気絶してしまったようなので、助手の我輩が仕切ってよろしいですな。」
「えぇ、スネイプ先生。」
「では、諸君。二人ずつペアになり練習をするのだ。」
そこから、マクゴナガル先生、フリットウィック先生、スプラウト先生もスネイプ先生を手伝って、組分けをしていった。
最後に、私たちの組分けとなり、スネイプ先生がやって来た。残っているのは私とジニー、ハリーお兄ちゃんとハーマイオニー、ロンだけだ。スネイプ先生の目が何故か輝いているんですけど。
「ポッターはグレンジャーと、ウィーズリー兄弟は兄弟でくみたまえ。ハリエットは、我輩とステージの上に来るのだ。」
「はーい!」
ハリーお兄ちゃんとロンの二人が抗議しようとしたが、その前に私はスネイプ先生に了解の返事を出した。私が返事を出した途端、大広間が静まりかえり、大広間中の視線が私たちに来た。
「ハリエット、気を付けるんだよ。何かあったらすぐに助けてあげるからね。」
「うん!ありがとう、ハリーお兄ちゃん!」
私がここでスネイプ先生の相手をすることで、ハリーお兄ちゃんがマルフォイと戦ってパーセルマウスだと言うことを知られるのが防げるだろう。やったね!
ハリーside
ハリエットは、どこか嬉しそうにスネイプに付いてステージに向かって行った。よほどロックハートが打ちのめされたことが嬉しかったのだろう。今は、マクゴナガル先生、フリットウィック先生の二人がステージの回りに保護呪文をかけ、スプラウト先生が皆をステージから離している。
「ハリエット、準備は良いかい?」
「大丈夫ですよ。スネイプ先生」
ハリエットと、スネイプの準備も終わったようだ。もうすでに互いに杖を向けあっている。スリザリン生以外はハリエットを、スリザリン生はスネイプを応援している。
「では、三つ数えて 一…… 二…… 三……」
スネイプのカウントが終わると、二人は同時に動いた。
二人とも無言で杖を振ると、ハリエットは赤い閃光を、スネイプは青い閃光を放った。それは、二人の真ん中でぶつかると互いに逸れて、マクゴナガル先生とフリットウィック先生が作った結界にそれぞれぶつかって消えた。
「もう、無言呪文も使えるのかね?」
「使えますよ!」
「それは、素晴らしい!グリフィンドール30点!」
「ありがとうございます。でも先生、ずいぶんと余裕がありそうですね!いいんですか?」
ハリエットはそう答えると、続けざまに呪文を放っていった。
「ハリエット、ほんとうにすごいわ!」
「マーリンのひげ!」
ハーマイオニー、ロンの二人が驚きの声をあげている。二人だけではなく、大広間中の生徒が目を丸くしている。いくらハリエットが天才だと言われていても、闇の魔術に詳しいと言われているスネイプと戦って、スネイプをまったく寄せ付けないほどとは誰も思っていなかったのだろう。
スネイプが圧倒的に不利な状況になっている原因は、ハリエットの周囲に浮かんでいる、七つの光輝いている透明な盾だ。それらの盾は、スネイプの呪文がハリエットに向かって飛んでくる度に、盾のどれかがハリエットは杖を振っていないのにも関わらず勝手にスネイプの呪文の軌道上に動き、ハリエットを守っているのだ。そして、その盾に当たった呪文は全て反射して、スネイプに向かって飛んでいくのだ。しかも、反射した呪文の威力は反射する前と比べ上がっているようなのだ。
「ジニーあの盾のこと何か知ってる?」
「あれは、『神秘の護り』っていうハリエットの編み出した保護魔法だよ。」
ジニーに聞いてみると、やはりというか知っていた。
「あの盾は、全方向からの同時攻撃も自動で防いで、魔力を増幅させてから、反射させる万能な盾なんだよ。」
ジニーの解説に大広間中の人がハリエットの周りに浮かぶ盾を見つめた。
「ジニー、その呪文ってどのくらい難しいの?」
「う~ん、イモリっていう、めちゃくちゃ疲れる魔法テストは軽く超えてるのかな?」
「えっ!?」
「嘘でしょ!?」
これには僕以上に、ハーマイオニーがものすごい反応を示した。ロンは、どこか悟ったかのような目付きをしていた。
「ハーマイオニーどうしたの?」
「あれって、とってもとっても大変なテストで、勉強しても資格がとれるかどうか分からないほど難しいって前に聞いたことがあるわ!それを軽く超えるなんて!」
ハーマイオニーが騒ぎ始めると、何処から現れたのかは分からないが、フレッド、ジョージの二人がやって来て、ロンと三人でハーマイオニーをどこかに連れ去っていった。
「ねぇ、ジニーはあの魔法を使えるの?僕に教えてくれない?」
「ううん、ごめん。まだ、僕も成功できていないから教えられないんだ。あの呪文は本当に難しくてね。それよりも、ハリー。いきなりどうしたの?」
「ジニーは知ってるんだよね?ハリエットが本当は僕の妹だってこと。」
「知ってるよ」
「僕にとって、ハリエットは何よりも大事な宝なんだ。だから、ヴォルデモートやスネイプがハリエットに手を出そうとした時に、ハリエットを護りたいんだ。あの呪文は、僕がハリエットに会ってから、ずっと探していた魔法なんだ。どんな攻撃からも身を守れる魔法がないかってね。」
僕がそう言うと、ジニーは笑った。
「ジニー、どうしたの?」
「あぁ、ごめんね。ハリエットとハリーは本当に兄妹なんだなってね。ハリエットがあの魔法を編み出した理由はね、ハリーを守りたいっていう理由なんだよ。」
「ほんとに?」
「うん。この前ハリエットにお守りを貰ったでしょ。あのお守りには、あの呪文とハリー達のお母さんが、最後にかけた魔法を組み合わせて応用させたものがかけられてあるんだよ。」
「そうなんだ。」
ハリエットに貰ったお守りを見てみると、とても暖かい気持ちになった。
二人の戦いに目を戻すと、二人は最初の方の閃光の撃ち合いから、今は変身術や妖精の呪文・呪文学で扱うであろう様な魔法も織り交ぜての戦いに変わっていってた。スネイプは様々な方法でハリエットの周りの盾を突破しようと試みていたが、どれも失敗に終わってしまっている。マクゴナガル先生やフリットウィック先生も二人の戦いを信じられない、といった表情で見つめている。
ハリエットが杖を振ると、ハリエットの後ろに氷の槍が何十本も出現して、スネイプに向かって飛んでいった。スネイプは杖から巨大なドラゴンの形をした炎を作り出した。氷の槍は、炎にぶつかる前に蒸発して消えていった。ハリエットは、それを見ると巨大な水の壁を立ち上げた。ハリエットの作り出した水の壁は、スネイプのドラゴンの形をした炎が近づいても消えることはなかった。炎と水がぶつかった瞬間、スネイプの作った炎が消えて物凄い衝撃波が発生し、残った水の壁や七つの盾に守られているハリエットは無事だったが、スネイプは体勢を崩して後ろに吹き飛ばされ、マクゴナガル先生とフリットウィック先生が作った結界には、目に見えるダメージは与えられなかったが、それでも結界が揺れたのは大広間中の人が分かった。
ハリエットが杖をくるりと円を描くように振ると、水の壁が空中に集まって、直径三メートルほどの球体に形を変えた。ハリエットがもう一度杖を振ると、球体になった水は、いつの間にか立ち上がっていたスネイプに向かって飛んでいった。スネイプは、水の玉がぶつかる直前に杖を振った。すると、水の玉は何かに阻まれたかのように弾けた。スネイプは間髪をいれずに杖を振ると、水のしぶきが凍って無数の氷となり、弾丸のようにハリエットに向かって飛んでいった。ハリエットはそれらの氷に向かって杖を振って、それらを全て小鳥に変えた。ハリエットが杖先をスネイプに向けると、小鳥は一斉にスネイプに向かっていった。スネイプが小鳥をけむりに変えて吹き飛ばした瞬間、ついに、ハリエットの放った赤い閃光がスネイプに直撃した。スネイプは五メートルほど吹き飛ばされ、スネイプの杖はハリエットの手元に飛んでいった。ハリエットがスネイプを倒した瞬間、大広間から大歓声が巻き起こった。
ハリエットは、倒れたスネイプの方に歩いていき、スネイプに杖を返して、何か話をしていた。スネイプは、なぜか顔が真っ赤になって、鼻血が吹き出していた。スネイプが鼻血を出した次の瞬間、スネイプは、スネイプがロックハートにしたのと同じように宙吊りにされて、ロックハートとの隣に浮かばされていた。
ハリエットはマクゴナガル先生と話をしてから、笑顔で僕とジニーのところへ戻ってきた。マクゴナガル先生は、スネイプを下ろすどころか、険しい顔でスネイプを氷漬けにしていた。これには、いつもスネイプにいじめられているネビルがちょっと嬉しそうにはしゃいでいた。
「ハリエットすごかったね!」
「ハリエットお疲れさま」
「ありがとう。ハリーお兄ちゃん!ジニー!」
僕とジニーがハリエットに声をかけると、ハリエットは僕とジニーに抱きついてきた。僕は、ちょっと聞いてみたかったことを聞いてみた。
「ハリエット、なんでスネイプを宙吊りにしたの?」
さっきまで笑顔だったハリエットが、少しむすっとしながら答えてくれた。
「えっとね、簡単に言うと仕返しだね。」
「仕返し?」
「うん。スネイプ先生がさっきの決闘の途中に、私にあの呪文を放ってきたからね。いくら決闘の途中でも、あの呪文は女の子にかけようとしたらダメでしょ?」
「スネイプは、本当にハリエットにあの呪文をかけようとしたの?」
「うん。そうだよ。いくら、スネイプ先生だからって言っても、これは簡単には許すつもりはないよ。だから、あそこでロックハートと一緒にしばらく過ごしてもらうの。」
「ハリエット、スネイプに対してちょっと甘くない?普通監獄送りだよ、それ。」
「スネイプ先生にはお世話になったからね。まぁ、呪文は私に当たらなかったから、これからちょっと悪戯をさせてもらうつもりだから、それで今回は許そうと思ってるよ。」
「なにをするの?」
「ニフラーちゃんによる宅急便大作戦!」
「それ具体的にどんなことなの?」
「それは、明日のお楽しみ!じゃあね!ハリーお兄ちゃん!ジニー!」
ハリエットはそういうと、あっという間に大広間から出ていった。