ハリーside
決闘クラブがあってから随分と時間がたって、今日はもうバレンタインデーだ。昨日遅くまでクディッチの練習をしていて、寝不足のまま、少し遅れて大広間に向かっている。秘密の部屋の継承者は、コリンを石にして以来、誰も石に変えていない。そのため、ホグワーツは今ではもうだいぶおちついてきている。(雄鶏がホグワーツの校舎に大量発生していたり、雄鶏の声がうるさいというのを除けばだが…)
ただ、心配なのはロンのことだ。ロンの体調がハロウィンの日以来ずっと良くないのだ。よく体調不良でマダム・ポンフリーにお世話になっている。それとたまに、ほんの一瞬だが目が赤く、血走ったような目になることがあるのだ。最初は、気のせいかと思ったから誰にも相談しなかったけれど、ここ最近は目が赤くなる頻度が多くなってきてるから、ハリエットにでも今度相談してみようと思っている。
決闘クラブの翌日は、ハリエットが言っていた「ニフラーちゃんによる宅急便大作戦!」と言う名の悪戯の全貌が明らかになった。
被害を受けたのはやはりというか、ロックハートとスネイプだった。
ロックハートが受けた被害とは、ロックハートの部屋が何かに相当荒らされて、家具などが破壊されて、なぜか部屋に穴まで掘られて、ロックハートの部屋に飾られてあったロックハートのピカピカの写真や、ロックハート自身が書いた本が全て消えたことだ。そして、ロックハートが寝室に入った瞬間、何らかの生き物、数匹に襲われて銀歯を引き抜かれたらしいことだ。
スネイプが受けた被害とは、スネイプの寝室にロックハートのピカピカのスマイル写真が、すべての壁に貼られたていたことだ。スネイプが部屋に帰るなり、それらを直ぐに剥がそうとしたらしいのだが、ロックハートの写真はどんなに頑張っても剥がれることなく、未だに写真が壁に貼られたままになっているらしい。そして、極め付きはスネイプの枕が、スネイプが寝ようとした瞬間にロックハートの本に変わったらしいことだった。
それからは、ロックハートは、新しい銀歯をつけるまで、ロックハート自慢の笑顔は今までのハンサムから程遠くなり、またスネイプは未だに寝不足に悩まされているようだった。
ただ決闘クラブの翌日の午後にちょっとした事件が発生した。昼頃に一人で廊下を歩いていると、急にハリエットからもらったお守りが輝き始め、決闘クラブの時にスネイプの呪文からハリエットを守っていた盾が僕の周りに現れていたのだ。次の瞬間、バシッという音と、誰かの驚いたような慌てたような声と、走り去る足音が聞こえた。僕がその音がした方向に向かうと、もうすでに誰もおらず、粉々になった杖が散らばっていた。その後すぐに、ハリエットがジニーと一緒に血相を変えて走ってやって来て、事情を話してから「お守りを渡してくれてありがとう」って言ったら、「ハリーお兄ちゃんが無事で良かった」と言って、泣きながら抱きつかれた。
後に、マクゴナガル先生から呼び出され、その杖の欠片を集めて調べた結果分かったことは、その杖の持ち主は既に亡くなっており、その杖自体もその持ち主が亡くなった時に無くなった物だと説明された。
クリスマスの日は、今までで一番すてきなクリスマスとなった。大勢の生徒が家に帰ったが、ハリエットやジニー、ハーマイオニー、そしてウィーズリー兄弟と楽しく過ごせたからだ。フレッド、ジョージの二人がパーシーの監督生バッジを劣等生バッジに変えたり、ハリエットがハーマイオニーに猫耳と尻尾を生やして、ハーマイオニーに追いかけ回されたりしていて皆を笑わせていた。
まぁ、ハリエットがクリスマス休暇中、男子寮でジニーと一緒に幸せそうな顔をしながら寝ていて、僕がジニーの部屋の前で毛布を持ってきてずっと見張りをしていたことは、二人には黙ったままにしておこう。最近は、二人で過ごせる時間が少なかったようだったから、二人だけで過ごせることが嬉しかったのだろう。ただ、お兄ちゃんとしては、この世で一番大事な宝物である妹が、かなり無防備な姿で、ジニーしか部屋にいないとはいえ男子寮で寝ていたことに少し不安を感じた。
ハリエット自身には自覚があまりないようだが、ハリエットはホグワーツでも屈指のかわいい女の子なのだ。また、ハリエットの天才的な頭脳や桁違いの魔法力もハリエットの人気の一因になっている。入学してから一週間もしないうちに、ハリエットのファンクラブなるものもできたそうだ。ちなみに、そのファンクラブの設立者は名前に「半純血のプリンス」という名を使っているらしい。
ほとんどの人達は、ハリエットとジニーが双子だと思っているから、二人のいちゃつきをちょっと行き過ぎた兄妹愛と思っている。だから、ハリエットを狙っている男子達は、まだチャンスがあると思っている。そんな男子達が、ハリエットのあの姿を見たらどうなるかなんて想像したくもない。お兄ちゃんとしては、一刻も早くジニーにはハリエットと結婚式でも挙げてもらいたいです。そうすれば、ほとんどの男子は、ハリエットの事を諦めるだろうから。それに、ジニーならハリエットを幸せにできるだろうから。
大広間に入ると一瞬、これは部屋を間違えた、と思った。壁という壁がけばけばしい大きさのピンクの花で覆われ、おまけに、淡いブルーの天井からはハート型の紙吹雪が舞っていた。グリフィンドールのテーブルではな、ロンは気分が悪そうにして座っていた。ハーマイオニーは、クスクス笑いを押さえきれていなかった。ハリエットとジニーの二人は、この空間に完全に馴染んでいた。
席につくと、教職員テーブルの方から「静粛に」という声がした。声の方向を見ると、1名を除き、石のように無表情だった。だが、彼だけは違っていた。ロックハートだ。彼は、部屋の飾りにマッチした、けばけばしいローブを着て、皆が静まるのを待っていた。
「バレンタインデーおめでとう!今までのところ23名の方が私にカードをくださいました。ありがとう!」
ロックハートの言葉に、ハーマイオニーがうっとりとした表情となり、顔を赤らめていた。
「皆さんをちょっと驚かせようと、私が今日は大広間の飾りつけを変えてみました。そして…」
ロックハートが手を鳴らすと、玄関ホールから無愛想な顔をした、金色の翼をつけ、ハープを持たせられた小人12人が入ってきた。
「今日、学校中にバレンタイン・カードを配達してくれる、私の愛すべき配達キューピットです。お楽しみはこれだけではありませんよ!先生方もこのお祝いムードにはまりたいと思っていらっしゃるはずです!」
僕が思うに、ロックハート先生以外、そんなことまったく思っていらっしゃらないようです。
「さぁ、スネイプ先生に『愛の妙薬』の作り方を、フリットウィック先生に『魅惑の呪文』の作り方を教えてもらったらどうです!まぁ、私に使ったとしても、私はそれを防いでしまうことが出来ますがね☆」
何人かのロックハート信者の方々(ハーマイオニーも含め)は黄色い歓声をあげたが、それ以外の人たちは全員渋い顔をした。スネイプに関しては、寝不足も相まってかロックハートを恐ろしい目付きで睨み付けている。
ハリエット以外の事で、スネイプにあそこまで睨み付けられたら、僕ならすぐに逃走します。僕はまだ死にたくないです。
ハリエットside
私のバジリスク対策はかなりの効果を上げているようだ。雄鶏の小屋の回りに保護呪文をかけて、雄鶏に対して「ソノーラス!響け!」をかけて、ホグワーツ中に雄鶏の声を響かせている。それに加え、ホグワーツの校舎内に鶏を一度に10匹近くを何度も放している。
(悪戯目的がメインとか言ってはいけないよ!)
そのおかげか、コリンを石にして以来、バジリスクは誰も石にしていないし、ハリーお兄ちゃんもバジリスクの声を聴いていないらしい。ただ、私やジニーも探しているのだが、ハリーお兄ちゃんも「リドルの日記」を見つけていないようだ。見つけたらハリーお兄ちゃんの事だから、私やジニー、ハーマイオニー、ロンに相談してくれるだろうけど、そのような素振りを見せていない。
ロックハートのバレンタインデーイベントは、ほとんど全ての人たちから歓迎されなかった。小人の教室乱入は、マクゴナガル先生が頬を痙攣させるほどだった。
やはりというか、なんというかジニー宛にもバレンタインデーのメッセージ・カードが何枚も贈られてきた。ジニーはイケメンでかっこよくて、頭もよくて、運動も出来るから、女子生徒達によってファンクラブも作られているらしい。フレッド、ジョージの二人がジニーを冷やかしていたけれど、私からしてみれば面白くもなんともなかったのだけれども… でも、ここからはとっても嬉しかった。ジニーは小人が近づいてくると、私の不機嫌オーラを感じ取ったのか、メッセージが届けられる度に、小人が声を発する前に小人に対して「ラングロック!舌縛り!」と唱えて、小人がメッセージを読めないようにしてくれた。
だからジニーには隠れ穴に帰ったときに、ジニーの好きな料理を作ってあげる約束をしてあげた。その時のジニーがとっても嬉しそうにしていたから、私もとっても嬉しかった。
私とジニーは、この日に「リドルの日記」に繋がるきっかけが掴めたらいいな、と思っていたけれど何も手懸かりは掴めなかった。今のところ判っていることは「リドルの日記」に操られている人が、ハリーお兄ちゃんをかなり本気で狙っているということぐらいだ。