ハリエットside
私が、警戒しながら秘密の部屋の最深部へと入ると、そこには学生時代のヴォルデモートがすでに立っていた。ヴォルデモートの隣に黒い日記が置かれてある。もう、実体化することができるほど、ロンからかなりの魂を奪い取っているようだ。
ヴォルデモートは、何故持っているのかは分からないが、ハーマイオニーの杖を私に向けながら話しかけてきた。
「よく来たね、ハリエット・ウィーズリー。いや、ハリエット・ポッターが君の本当の名前だね。僕の名前は、トム・リドルだよ。いや、君にはヴォルデモート卿といった方が良いのかな?僕はここしばらくの間、ずっと待っていたんだ。君と会って、話せる機会をね。」
どうやら、ヴォルデモートに私は目をつけられていたらしい。ヴォルデモートの目が赤く光っている。私が無言で杖を向けていると、ヴォルデモートは再び話始めた。
「賢い君ならもう理解してると思うけど 、ここは『秘密の部屋』の中だ。そして、ここを開けたのは、あの鈍感なロンだ。ロンの体調が悪くなった原因は、全てはこの日記をロンが信用し、心を開き、自分の秘密をうち明けたことだ。ハリエット、僕は自分で言うのもなんだけど、魅力的になろうと思えば、魅力的になれるんだ。だから、ロンの愚痴に付き合い、同情し、励まし、親切にもしてあげた。すると、ロンはますますこの日記に心を開いていった。」
ヴォルデモートは、こうして話している最中も隙をみせてはくれないようだ。
「『リドル、どうしたら僕は皆より輝けると思う?ビルは首席、チャーリーはクィディッチのキャプテン、パーシーは監督生、フレッドにジョージは皆の人気者、ジニーとハリエットは天才なんだ。それにハリーは英雄だし、ハーマイオニーは学年トップなんだ。』」
ヴォルデモートはロンの声まねをしながら、ロンの書き込んだであろう内容を言って、冷たい笑い声をあげた。
「僕は、いつロンがこの日記を信用しなくなるのかと思っていたけど、ロンは最後の最後まで気付かなかったよ。その結果、『秘密の部屋』を開け、猫を石に変え、屋敷しもべの仕掛けたブラッジャーに威力を上げるよう細工をし、ハリーを廊下で襲ったりした。そして、この杖を『穢れた血』のお友達から奪い、ハリーを一人にするために、通りかかった能無し教授に『服従の呪文』をかけ、先程ついにハリーを殺してしまったよ。もっとも、さっきハリーを殺してしまおうとしたときは、本能からか抵抗したけどね。」
そう言いながら、ヴォルデモートはポケットから血の付いた小刀を取り出して、私に見せてさっきよりも残忍な笑い声をあげた。
私の不安が二つとも的中してしまった。ヴォルデモートは、ロンから実体化できるまでの魂を奪い取り、私の編み出した『神秘の護り』を破る方法までも見つけていたのだ。
今すぐにでも、ハリーお兄ちゃんの下に行きたいし、ハーマイオニーの安否も確認したいけど、ここでヴォルデモートを逃がしたら、ロンが死に、ヴォルデモートが完全に復活してしまう。
今はジニーを信じよう。
「まったく。ハリエット、君の編み出したその盾にはさんざん手こずらされたよ。どんな呪文でも増幅させて、反射させてしまうという、その盾には。ロンからその盾の存在を聞いたとき、僕はもしかしたら君がハリーに何かしらの方法でその盾を持たせているのではないかと思って、試しに『武装解除術』をハリーに廊下でかけてみた。そしたら、見事に反射して杖を粉々にされてしまった。『武装解除術』が『武装破壊術』にまで強化された、というところかな。未だにこの上のトイレに住み着いている、僕が最初に殺した相手の『穢れた血』の杖とはいえ、僕にとっては痛手だった。ロンの杖は新学期最初の日に折れてしまっていたのだから。だけど、それが僕にとっては幸いした。君の雄鶏の悪戯によって、この部屋の怪物であるバジリスクが外に出られない状況では、他の誰かの杖を奪ってあの盾を突破できる魔法を探すか、マグル式の方法であの盾を突破するしかハリーを殺せなかったからだ。だけど、他の誰かの杖を奪うにしても、生半可な呪文じゃ君の作った盾は壊せないだろう。となれば、必ず跳ね返ってくる強化された呪文を毎回のように僕は防がなければならない。そんなことをしていれば、必ず君やダンブルドアに気づかれてしまう。だから、僕はマグル式の殺し方に掛けることにした。その結果は、君も見ての通りだ。」
そういうと、ヴォルデモートは私の足元にハリーお兄ちゃんを刺したのであろう小刀を投げて、再び笑いだした。
「君の作ったその七つの盾による護りは、魔力を感知し自動で反応するから、魔法使い同士の決闘の時においては絶大な力を発揮する。自分に飛んでくる流れ弾さえも注意しなくていいわけだ。けれど、その盾は魔力を用いていない攻撃には全くもって対応できない。違うかな?ハリエット」
本当になんでこんなに頭が良いのに、分霊箱なんて作ってしまったんだろうか…
「ほぼ正解だよ。だけど少しだけ違うね。この盾は作った本人の意思でも動かす事が出来るから、魔力を用いてない攻撃でも私自身が動かせば対応できないこともないんだよ。」
私がそう言うと、ヴォルデモートは一瞬顔をひきつらせたがすぐに冷酷な笑みを浮かべた。
「ふん。でも、まぁ良い」
そして、後ろのサラザール・スリザリンのものとおぼしき像に向かって、シューシューと音を出した。蛇語だ。ついに、バジリスクを呼んだのだ。
「天才と呼ばれる君の実力を試してやろう。サラザール・スリザリンの継承者、ヴォルデモート卿の力と、兄にも先立たれ、愛しのジニーとも離ればなれになった、一人ぼっちのハリエット。さぁ、お手合わせ願おうか。」
私が杖を振ろうとした瞬間、私の後ろから赤い閃光がヴォルデモートに向かって放たれた。
そして…
「ハリエットは一人ではありません!貴方の相手は私です!」
次回
ヴォルデモート&バジリスク
対
ハリエット&謎の乱入者
となります