その聞き覚えのある凛とした、威厳のある声がした方向を振り向くと、そこにはマクゴナガル先生が杖先を真っ直ぐヴォルデモートに向けて立っていた。
マクゴナガルside
明日は、ハッフルパフとのクィディッチの試合ですね。スリザリンを叩きのめすためには、是が非でも明日は勝たなければなりませんね。ハリーのこの前のスリザリンとの試合での動きは、素晴らしいものでしたから、明日も期待しておきましょう。ですが、警戒しなければならないでしょうね。ハリーは、ここ最近誰かに執拗に狙われているようですから。それに、ハロウィンの日の事件や、コリンの石化事件も解決していませんし。
秘密の部屋に、スリザリンの継承者…
一体犯人は誰なのでしょうか…
アルバスは『誰が』ではなく、『どうやって』の方に興味があるようですが。
「マクゴナガル先生!大変なんです、ロンが!」
私が声のした方向を向くと、私の教室の部屋の扉をノックもせずに開けた、パーシー・ウィーズリーが立っていました。
「どうしたのですか?ウィーズリー。貴方の弟がどうしたのですか?」
「ロンの目が赤く血走ったような目になったと思ったら、ハーマイオニを襲って、杖を奪ってから、彼女に僕が見たこともない呪いをかけたんです。その後、追いかけようとした僕やその場にいた他の生徒達を武装解除したり、縛り上げたりしてから、すぐに消えてしまったんです。」
「なんと!それは、本当ですか?ウィーズリー」
「はい、本当です!でも、ロンが、あの子がこんなことをするはずはないんです。」
「えぇ、それは分かっています。とにかく、現場に案内しなさい。」
赤い目といえば、『例のあの人』を思い浮かべますが、ロナルド・ウィーズリーを操っているのは彼なのでしょうか。ですが、そんなことが本当に起こり得るのでしょうか?しかし、もし、本当に『例のあの人』が犯人だとするば、狙われるのは間違いなくハリーでしょう。最悪の場合はポッター兄妹の二人とも狙われているのでしょう。
私達が、教室の外に出ると二階のあのミセス・ノリスが石化させられた場所の近くから、バーンという音がしました。
「先生、あの音は一体?」
「恐らく、誰かが呪いを放ったのでしょう。ウィーズリー、杖は持っていますか?」
「はい、持っています。」
「杖の廊下での使用を許可します。私の後に着いてきなさい。そして、決して私から離れてはいけませんよ。」
私達が音のした現場に到着すると、そこには、大の字になって倒されているギルデロイ・ロックハートと彼の杖がありました。彼を調べてみましょう。
「先生、ロンが殺したのでしょうか…」
私が、ロックハートを調べ終わったときにパーシーが質問してきました。彼にとっては、ロンがどんなことをしても大切な弟なのでしょう。
「ウィーズリー、安心なさい。ロックハート 先生は死んでなどいませんよ。『服従の呪文』と『失神の呪文』がかけられているようですが。」
私がそう答えると、彼は少し安堵したようでした。
「ミネルバ!」
私が次にどうするべきか考えていると、後ろからアルバスの声がしました。
「ダンブルドア先生!これはちょうど良かっ… ポッター!それはどうしたのですか!?」
声がした方向には、アルバスのほかに血まみれのローブをきたハリーが、ジニーに支えられながら此方に向かってきていました。私の隣にいるパーシーも驚いて声が出ないようです。
「ミネルバ。今年、ハリーを狙って行われた犯行の犯人はヴォルデモート卿、若き日の彼『トム・リドル』じゃ。これも、ロナルド・ウィーズリーにとりついたヴォルデモートによって刺されて負った傷じゃ。」
「なんと!」
「そんな!」
私とパーシーの驚愕した声が被ってしまいました。ですが、まさか、そんなことが本当に起こるとは…
「ジニー。そして、あそこがそうなのじゃな。」
「はい、ダンブルドア先生。あそこにハリエットは飛び込みました。」
ジニーが指差した方向には、今まで見たことのない入り口がトイレの洗面器の所に出来ていました。
「アルバス、これは一体?」
「これは、恐らく秘密の部屋への入り口じゃ。」
「ハリエットは、ここに一人で飛び込んだのですか!?」
「そうです。マクゴナガル先生」
ジニーの言葉に私は顔から血が引くのを感じました。まだ、11才なのに一人で『例のあの人』や、『秘密の部屋』の怪物が待ち構えているであろう『秘密の部屋』に飛び込むなど、いくらなんでも無謀すぎます。
「アルバス。あなたは『秘密の部屋』にいるとされている怪物はなんだとお思いになりますか?」
「わしは、恐らく『秘密の部屋』におるという怪物はバジリスクではないかと思っておる。」
「バジリスクですか…」
なるほど。納得しました。あの生き物なら今までの行動が全て繋がります。石にされた猫やコリンは恐らく直接バジリスクの魔眼を見なかったのでしょう。そして、バジリスクは雄鶏の声からは逃げ出すはずでしたね。
「アルバス。彼らの事を頼みます。私が、ハリエットを助けに行きます。そして、アルバスは、ポッター達をつれてグレンジャーの治療に向かってください。ウィーズリー、アルバスへの説明任せましたよ。」
「ミネルバ、気を付けるのじゃよ。決してバジリスクの目を見るでないぞ。」
「分かっています」
私は、それからポッターや、ウィーズリー兄弟にハリエットの事を頼まれてから、『秘密の部屋』の内部へと入りました。
不気味な通路を渡っていくと、しばらくして冷たい少年のような声と、この一年間でよく聞いたハリエットの声が聞こえました。私が、そっと気づかれないように最深部へ入るとそこには杖を向けあい互いに睨み付けている、ハリエットと一人の少年がいました。ですが、少年の方はどこかおぼろげな印象があります。彼が、少年時代の『例のあの人』なのでしょうか。
そして、シューシューという音を少年が出しました。蛇語でしょう。バジリスクを呼んだのでしょう。やるなら今でしょう…
「天才と呼ばれる君の実力を試してやろう。サラザール・スリザリンの継承者、ヴォルデモート卿の力と、兄にも先立たれ、愛しのジニーとも離ればなれになった、一人ぼっちのハリエット。さぁ、お手合わせ願おうか。」
少年がそういった瞬間に、私は『失神の呪文』を少年に向かって放ち、
「ハリエットは一人ではありません!貴方の相手は私です!」
と叫びました。
ハリエットside
マクゴナガル先生の姿はやっぱり、とってもかっこ良かった。私が、前世からずっと尊敬しているだけはあった。
バジリスク対策は一応は考えてある。全ての盾をバジリスクと私の間に移動させ、バジリスクの魔眼の魔法を反射してしまうことだ。けれど、それはとてつもないリスクを伴ってしまう。だから、その方法を使わなくていいように、マクゴナガル先生がヴォルデモートの相手をしているうちに早めに目を潰してしまおう。
「スターダスト!星くずを作れ!」
私は、一気に百個近くの私の魔力からできた星を作り出した。
そして、バジリスクの影がスリザリンの像から見えた瞬間に杖を素早く振り下ろした。
「メテオライト!隕石となれ!」
私が唱えると、星が一斉に強く輝きだして、スリザリンの像めがけて降り注いだ。星がぶつかると、凄まじい轟音と爆風が発生し、辺り一面にホコリが舞い上がった。
我ながら思う。やっぱり、この呪文見る分にはとてもきれいなんだけど、浴びたくはないなと…
少し離れたところでは、マクゴナガル先生とヴォルデモートが互いにかなり本気の力で決闘をしていた。戦況はややマクゴナガル先生有利と言うところか。いくら、ヴォルデモートとは言え完全に魂を吸いきれていない上に、元々5年生の頃の力ではマクゴナガル先生には叶わないのだろう。
私がマクゴナガル先生の援護をしようとしたとき、突然、部屋の両側にある水路の右側の方からバジリスクが噛みつくように襲いかかってきた。バジリスクは水路に逃げ込み、生き残っていたようだ。未だに、猛毒をもつ牙はしっかりと生えていたが、隕石による攻撃で、魔眼は既に両眼とも潰されていたようだ。
私が杖を素早く振ると、何とかバジリスクが私に襲ってくる前に、盾の移動が間に合って、バジリスクの牙は盾にぶつかった。次の瞬間、バジリスクの牙は粉々に砕けて、バジリスクも水路に飛ばされた。
今がチャンスだ。
「グレイシアス!氷河になれ!」
私が呪文を唱えると、部屋の水路にあった水全てが氷結し、水路にいたバジリスクも氷漬けになった。ついでに言うと、部屋全体の温度も一気に下がっていった。
「バジリスク!よくも!」
ヴォルデモートは、バジリスクが氷漬けにされたのを見ると叫び声をあげた。
そして…
「よそ見をしている余裕があるのですか?」
ヴォルデモートは私に気をとられた隙に、マクゴナガル先生によって武装解除され、壁に叩きつけられた。
分霊箱の破壊をするなら今すべきだ。
私はすぐに『リドルの日記』を探した。
だが…
立ち上がったヴォルデモートが既に『リドルの日記』を持っていた。
「これ以上の抵抗はお止めなさい。」
「ふん、それはどうかな!この日記を破壊しない限り、僕が蘇ることは防げない!そして、ロンは僕が魂を吸い尽くしてまもなく死ぬ!」
「そんなことは私がさせません!」
マクゴナガル先生は、それから日記に向かって様々な攻撃呪文を次々に放っていた。だが、それは全て日記にダメージを遺すことは出来なかった。
あの前世での最後の年の逃亡生活が懐かしい。私やハーマイオニー、ロンは知っている呪文を全て、スリザリンのロケットに向けたが、全て弾かれてしまったんだっけ。
今でも、私は分霊箱を確実に破壊できる『悪霊の火』の呪文は知らない…
でも、もうあの頃の私とは違う。
分霊箱を破壊できる可能性のある呪文も編み出せているのだ。
「マクゴナガル先生、下がってください!」
「ハリエット、何をするつもりですか!」
「空間ごと爆発させます!」
「なんてことを!お止めなさい!」
「それ以外あの日記を破壊できる呪文はないと思いますけど?」
私がマクゴナガル先生にそういうと、マクゴナガル先生はしぶしぶといった様子で、ヴォルデモートに杖を向けたまま、部屋の出口に向かっていった。
マクゴナガル先生が、出口に向かい出すのを確認すると、私は再び無数の星くずを作り出した。
そして…
「
私が唱えると、無数の星のうちの一つに周りの星がゆっくりと集まり始め、徐々に集まるスピードが早くなり、遠くにあった星も集まっていき、星の輝きもそれにともなって明るさを増していく。
私の周りにあった瓦礫などもガタガタと揺れ始め、ヴォルデモートの持っていた日記は星の方へと飛んでいった。
私はそれを見ると、自分自身に『追い払い呪文』をかけて、マクゴナガル先生がいる秘密の部屋の出口に戻り、七枚の盾を重ねて出口をふさいだ。
そして、次の瞬間…
星は自らの重力に耐えきれずに重力崩壊をおこして爆発した…
秘密の部屋は、部屋にいたヴォルデモートや氷漬けにされたバジリスクごと閃光と爆炎と爆風で満たされた。
凄まじい炎と風の余波が消えてから、秘密の部屋の内部を見てみると…
ヴォルデモートは消えており、氷漬けにされていたバジリスクも骨格だけ残して水路のところに倒れていた。
そして、日記はというと…
爆発のあった所の下に焼け焦げた状態で落ちていた。
もう、すでに分霊箱としての機能は無くなったようだった。これでロンも目覚めてくれるだろう。
私が日記を回収すると、ダンブルドア先生の不死鳥の守護霊がやって来た。
「ミネルバ、ハリエット。二人とも無事かね?ロンもハーマイオニーも無事に目覚めたぞ。ハリエット、早く帰ってくるのじゃよ。ハリーもジニーも君の帰りを今か今かと待っておるからの。」
ダンブルドア先生の守護霊はそう言うと消えていった。
「マクゴナガル先生、終わりましたね。」
「えぇ、助かりました。それにしても、貴女のその派手さぶりは貴女のお父様を遥かに越えているようですね…」
「それ、誉めてくれてるんですか?」
「今回は、この事件を解決できたことに免じて誉めておきましょう。」
「ありがとうございます!お礼に何か贈りましょうか?」
「ハリエット、何か良からぬ事を考えていませんか?貴女のお父様の悪戯が思い付いた時と同じ顔をしていますが?罰則を貰いたいのですか?」
私が悪戯を思い付いた時ってそんなに分かりやすいのかな?いやいや、そんなこと考えてる場合じゃないでしょ!これ以上マクゴナガル先生の前にいたら罰則をもらってしまうかも!
「まったくもって、そんなことないですよ!?それじゃあ、私、ジニーとハリーお兄ちゃんが待っているみたいなんで!」
ここは、逃げる一択しかないでしょ!
ついに、秘密の部屋も残りあと1話ぐらいにまでたどり着けました!
読んでくださりありがとうございます。
それと、評価欄の色がオレンジ色となっていました。
本当にありがとうございます!
さて、新作の方も同時平行で書き進めていく予定なので、今までより進行が遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします!
新作の方も読んでいただけると嬉しいです。