私がマクゴナガル先生と共にマートルのトイレに戻ると、そこにはダンブルドア先生がペットの不死鳥、フォークスと共に、ハリーお兄ちゃんとジニー、ロン、ハーマイオニーの五人で私達の帰りを待っていてくれた。
パーシーは、フレッド、ジョージと共にパパとママを玄関ホールで待っているらしい。
私はハリーお兄ちゃんとジニーに、もみくちゃにされちゃったけど、私も二人が元気でいてくれたかったから、とても嬉しかった。
ハーマイオニーも顔色はまだよくなかったけれど、いつものように抱きついてきてくれたから、私も抱きついて、いつものように甘えさせてもらった。
ロンはうつむきながら謝ってきてくれたけど、そもそもロンを責めるつもりなんて無かったから、私もすぐに「いいよ」って答えたよ。
本当は私の方が、早く気づいてあげられなかったことを謝らないといけないのに、気づいてあげられなくてごめんね。
その後、私と皆との話が一段落してから、私たちはダンブルドア先生に校長室に案内された。
そして、秘密の部屋であったことや、リドルの日記について知っていても大丈夫そうな所までダンブルドア先生や他の皆に話した。
ダンブルドア先生は、日記を興味深げに調べ始めた。
「ふむふむ。ロン、これさえあれば、一連の今回の騒動は君の意思によるものではないと、証明できるじゃろう。安心するのじゃ。今回の君の行動に対する罰則は無しじゃ。これまで、多くの大人でさえもヴォルデモート卿にはたぶらかされてきたのじゃからな。」
ロンはダンブルドア先生の言葉を聞くと、不安から一気に開放されたような顔になった。
だけど、ロンのジェットコースター並の心の動きは、これだけでは終わらなかった。
校長室にパーシーに連れられた、パパとママとフレッドとジョージが入ってきたのだ。
そして、次の瞬間…
私は、ママに肺の中にある酸素を全て押し出すつもりではないの?、と思ってしまうような力で抱き締められた。
「むがっ!」
「あー、ハリエット。無事だったのね。本当に良かったわ。」
ママは私を抱き締めたまま、頭を撫で始めた。
息ができない…
ママ、そろそろ離して…
私、死んじゃいそうだから…
「「ママ/ウィーズリーおばさん!ハリエットから離れて!」」
私の必死のSOSを察知した、ジニーとハリーお兄ちゃんによって、私は何とか死から免れることができた。
ありがとう。ジニー、ハリーお兄ちゃん
私は、そのままジニーとハリーお兄ちゃんに回収されて、よしよしとさすってもらった。
私が、だいぶ落ち着いたときに顔を上げると、ロンがパパから怒られていた。
ロンは、再びしょんぼりとしているようだった。
「ロン。普段私がなんと教えてきたかね。何度も、どこに脳があるか分からない物を信用してはダメだと。」
「ごめんなさい。パパ…」
「それに、ハリエット!」
あちゃ~
私にもパパの説教が待っているみたいだ…
しかも、パパは結構な怒りようだ…
今回は、私、バジリスクの牙に刺されていないのになぁ。
「まったく。一人で秘密の部屋に、入るなんて!何かあったらどうするつもりなんだい?ハリエットやハリーを護るために亡くなったお父さんやお母さんになんて言うつもりなんだい?」
「ごめんなさい…」
ジェームズパパやリリーママは、私たちを護るために亡くなったのだ。
二人の分も…
その時、私とジニー、ハリーお兄ちゃんそして、パパとママは気づいた。
パパが怒りのあまり、口を滑らせてしまったことを…
校長室の時間が一瞬止まったかのようだった
そして…
ハーマイオニー、パーシー、フレッド、ジョージ、ロンの5人の目がゆっくりと、私に向けられた。
「みんな、ど、どうしたの?」
「ハリエット、貴女って本当はハリーの妹だったの!?貴女、生き残ってたの!?」
ハーマイオニーが質問をするのと、同時に他の4人もそれぞれ騒ぎ出した。
パーシーは…
「父さん!どういうことですか、説明してください!」
と、パパを問い詰めていた。
フレッド、ジョージの二人は…
「相棒よ、どうやらハリエットとジニーが結婚することには、全くもって問題はなかったみたいだな。」
「あぁ、そうみたいだな。それに、道理でジニーはハリーがハリエットに近づくのに反発しなかったわけか。」
と、二人で話し合っていた。
ロンは…
「マーリンのひげ!」
と、驚き叫んでいた。
私がちらりとダンブルドア先生を見ると、ダンブルドア先生はにこやかに笑っていた。
マクゴナガル先生は、そんな校長室にいる面々のやり取りに、ため息をついていた。
そんなカオスな状態は10分近く続き、ダンブルドア先生がなんとか纏めあげた。私の秘密を知ってしまった5人に対しては、口外しないように約束をしてもらった。
その後、パパとママはマクゴナガル先生と共に、私とハリーお兄ちゃん以外を連れて校長室から出ていき、医務室へ向かった。
そして、皆と入れ違いにルシウス・マルフォイが自分で自分を罰した痕が残るドビーを連れて校長室に入ってきた。
「それで?ダンブルドア、私が聞いたところによると、ウィーズリー家の子どもがマグル生まれの女の子を襲ったのだとか。貴方は秘密の部屋の件も片付けれていないのにも関わらず、校長としてこの部屋で呑気に座っていても良いとお考えですかな?」
ルシウス・マルフォイはダンブルドア先生や私たちを睨み付けながら、言葉を発した。ドビーは、ハリーお兄ちゃんに暗号を送っている。
「おぉ、ようそこまで聞いておったの。じゃが、もう両方とも解決したのじゃよ。今回の一連の騒動の犯人は、前回と同じくヴォルデモート卿じゃよ、ルシウス。もっとも、今回のヴォルデモート卿は、この日記を利用しておったようじゃの。」
ダンブルドア先生はそういって、黒焦げの日記帳を取り上げた。
「なるほど…」
ルシウス・マルフォイはしばらく間を置いてから言った。
「マルフォイさん。ロンがどうやって日記を手に入れたか、知りたいと思われませんか?」
ハリーお兄ちゃんが、ルシウス・マルフォイに向かってそう言った。ドビーのメッセージを受け取ったのだろう。
「バカな小僧がどうやって日記を手に入れたか、私が何で知らなきゃならんのだ。」
「あなたがロンに日記を与えたんです。夏休みに、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店で。そうでしょ?」
ルシウス・マルフォイは顔から、血の気がひいて白くなっていった。
「ルシウス、忠告しておこう。ヴォルデモート卿の昔の学用品をバラ撒くのはもうやめるのじゃ。もし、今後このようなことが起これば、誰よりもまずアーサー・ウィーズリーが、その出所をあなただと突き止めるじゃろう…」
ルシウス・マルフォイは一瞬立ちすくみ、杖に手を伸ばしたくて堪らないかのように、右手がピクピクと動いていた。けれど、結局杖には手をかけなかった。ルシウス・マルフォイは、ドビーを連れて校長室を後にした。
そして、ハリーお兄ちゃんもダンブルドア先生から日記をもらって、ルシウス・マルフォイとドビーを追いかけた。
「さて、ハリエット。君とこうやって話すのは初めてじゃの。」
「そうですね。あの日は、私をウィーズリー家に預けてくださって、ありがとうございました。」
「いやいや。君に感謝されるべきことは、わしは何も出来ておらぬよ。君達兄妹の父君、母君をわしは守りきることが出来なかった。それに、あの日仕方がなかったこととはいえ、君達兄妹を引き裂いてしまった。わしは、君に謝らなければならんのじゃ。すまなんじゃ、ハリエット。」
ダンブルドア先生は、目に涙を浮かべ頭を下げてきた。
「ダンブルドア先生、顔を上げてください。私は、先生を責めてなんて居ませんから。」
「君は優しい子じゃ。聞き飽きたかも知れぬが、君は母君にそっくりじゃ。目以外はの。目だけは父君にそっくりじゃ。ハリーは逆じゃがの。」
ダンブルドア先生は、私に微笑みかけながら話してくれた。
「ありがとうございます。」
「さて、そろそろ本題に入りたいのじゃが。よいかの?」
「大丈夫ですよ。」
「ハリエットは、あの日記についてどう思うかね?」
「なぜそのようなことを?」
「まだ、確証が得られた訳ではないのじゃが、わしはあれこそが、ヴォルデモート卿が生き延びれた理由だと思っておるのじゃ。」
「そう、なのですか?私があの日記について思ったことは、やたらと強力な保護呪文がかけてあるなぁ、と言うことぐらいでしたよ。」
「そうか… 」
ダンブルドア先生は、それきり黙りこんだ。
さすがに、分霊箱について一年生が知っていたら、ダンブルドア先生でなくても不審におもっちゃうし、答えない方がよかったんだよね?
ダンブルドア先生は、しばらく瞑想していたあと、再び話しかけてきた。
「ハリエット、わしは、ヴォルデモート卿は必ず復活するであろうと、思っておる。わしは、ヴォルデモート卿が復活した際には、君のその才能と、君の作り出した盾の護りの呪文の力を借りたいと思っておる。もちろん、君の保護者であるウィーズリー夫妻が許可してくれねばならぬのじゃが。ハリエット、時が来れば、君の力を貸してはくれぬかの?」
これって、騎士団への勧誘かな?
乗らない手はないでしょ!
「はい!分かりました!」
「うむ。では、その時が来ればよろしく頼むぞ。」
「はい!」
「では、ハリエット君もハリー達のところへ戻りなさい。わしは、ロックハート先生の部屋の捜索をせねばならぬのでの。」
「それじゃあ、失礼しますね」
私が校長室から出ると、ハリーお兄ちゃんの靴下の片方を宝物のように抱き締めているドビーと、ハリーお兄ちゃんが会話しているのが見えた。
そして、ドビーは指をパチンと鳴らすと、どこかに消えていった。
こうして、私の長い1日は終わった。
今、私はホグワーツ特急のコンパートメンでジニーの膝の上に座っている。なぜ、こんなことになっているのかと言うと、コンパートメントの定員オーバーになっているからだ。私の前にはハリーお兄ちゃん、ハーマイオニー、ロンの3人が、横にはフレッド、ジョージの2人が座っている。
あの後、ロンを始めとしたパーシー、フレッド、ジョージの4人は今までとなんら変わりなく接してくれている。ありがとう。
ロックハートは、ダンブルドア先生の捜索の結果、今までの悪事がばれてしまい、アズカバンに引っ張られていった。
その際には、多くの生徒や先生が、ロックハートを見送った。マクゴナガル先生など「お元気で!」と冷たい笑顔で送り出していた。
クィディッチ杯は中止となった。多くの生徒ががっかりしたような声を出したが、それと同時に発表された、学校からの秘密の部屋事件の解決の祝いにと期末試験が無くなったことで、ウッドなどの一部のクィディッチ信者を除き、歓声に変わった。
ホグワーツ特急は速度を落とし、とうとう停車した。
フレッド、ジョージの二人はトランクを押して、外に出ていった。
「これ、電話番号っていうんだ」
ハリーお兄ちゃんが、プリベッド通りの電話番号の書かれた紙を、私とハーマイオニーに渡してきた。
「ウィーズリーおじさんに、去年の夏休みに、電話の使い方を教えたから、僕に電話をくれない?あと2ヶ月も話す相手がダドリーだけだなんて、耐えられないよ。」
「ねぇ、ハリーお兄ちゃん。私が前あげた御守り持ってる?」
「うん。持ってるよ」
「なら、あと2ヶ月もあそこにいなくてもいいよ。あの御守りには、リリーママの遺してくれた呪文を強化する呪文をかけてあるから、あの御守りを持っている限り、あそこに住まないといけないのは最初の2週間だけだよ。」
「本当に!?」
「うん!」
「ありがとう!ハリエット!」
ハリーお兄ちゃんは、満面の笑みを浮かべていた。
私たちは、それからトランクを押していき、マグルの世界へと戻っていった。
というわけで、秘密の部屋完結です!
なんとか、一巻分おわらせることができました!
読んでいただきありがとうございました。
次からのアズカバン編もよろしくお願いします!