遊戯王GNeX   作:杏任頭腐

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第六話、なんかルールが変わったり変わらなかったり、すっかり時が経っていました。うーむ。

予告通り、サイバードラゴン使いの高森崔との新入生歓迎デュエルイベント、前編です。

追記:デュエルレイアウトを少し変えました。



第六話 ランページ! サイバー流継承者「崔」

 アークティック校・ブルー学生寮。

ここデュエルアカデミア、アークティック校の生徒はエスカレータ方式で進級していくエリートクラスの「ブラック」と、一般生徒の「ブルー」の二種類に分けられている。

 俺、佐潟輝栄も一般生徒側、9割を占めるブルー生徒の1年……な筈なのだが。

 今俺はとある理由でデッキをオーバーホール、もとい調整を行っていた。その理由というのが、毎年恒例らしい新入生歓迎の公開処刑イベントだ。

 このイベントでは3年生主席の生徒が新入生から一人生徒を指名し、デュエルスタジアム(試験を行ったあの場所だ)にて1VS1のデュエルを行うのだ。

 3年生の圧倒的実力を新入生達の記憶に刻み込み、上下関係をハッキリさせる。最初から見世物なのが確定している悪趣味なイベントだ。

 で、指名されたからにはいっそ主席様に勝ってやろうと、同居人? と二人で調整に励んでいた。

 

「バウ。よく分かんないからこのカードを3枚入れるガウ!」

 

 隣で調整を手伝う"人語を喋る二足歩行のライオン"が、そう言って『スーパー・ウォー・ライオン』のカードをデカイ右腕に器用に乗せ、手渡そうとする。

 コイツはアークティック七不思議の一つ、真夜中の森のライオン人間。もといデュエル・モンスターズができるライオン決闘者だ。

 昨夜ジルと一緒にコイツと遭遇した俺は、デュエルで勝利。以来勝手にシショウ! などと部屋まで着いてくるようになり、今に至る。

 

「お前……確かに地属性だけど、儀式魔法はどうすんだよ!」

「シショウならきっと何とかできるガウ」

 

 本心から言ってるのだから尚更質が悪い。気持ちは汲み取ろうと1枚だけ受け取り、適当な儀式魔法と生贄要員を組み込む。

「『ミレニアム・スコーピオン』……個人的にはすきだけれど」

 あるブルー生徒に因縁をつけられ、デュエルした際に活躍したカードなのだが、その癖の強さと……何より、ソリッドビジョンによる描写が軒並みグロテスクなのが問題のカードだ。

 破壊したモンスターを取り込み、キマイラ方式に顔が生えていく様は下手なホラー映画より怖い。

 『八ツ手サソリ』『ヴァリュアブル・アーマー』『代打バッター』『棘の妖精』『寄生虫パラノイド』『究極変異態・インセクト女王』『タックルセイダー』、そして『ブルブレーダー』……どれも外せないカードだ。

 俺が目指すのは"あのプロ"。その為に色々なコンボ・カードを試したが、一つ気になっていることがあった。

 

(『岩投げエリア』。俺は、このカードを本当に使いこなせているのか?)

 

 "あのプロ"とのデュエルで俺は、『岩投げエリア』のコンボを決めたにも関わらず、そこから逆転に繋げることが出来なかった。むしろ、相手のコンボの為に誘導され利用されてしまったのだ。

 永続効果で戦闘破壊という事象を置き換え、数百種類の岩石族カードの中から任意の1枚を墓地へ送る、チェーンによる妨害を許さない鉄壁のカード。だが、それは使いこなせればの話だ。

 確かに『岩投げエリア』と『タックルセイダー』のコンボは強力だ。しかし、それだけで勝てるほどデュエルは甘くない。いずれ対策もされるだろう。

 

「『岩投げエリア』の可能性……」

「シショウがよく逆転の為に使うカードガウね!」

 

 逆転?

 そうだ。そうだ、気付いた。今まで俺がやっていたのは"受け"の岩投げ。相手の行動を受け流し、逆転へと繋ぐ柔道の投げ技のような戦術だ。

 だが、それは同時に相手に依存してしまうリスクも抱えている。

 相手が攻撃しなかったら? 相手が直接攻撃を戦術とする決闘者だったら? この場合、今までの"受け"の岩投げは機能しないだろう。

 こちらから攻める岩投げ。その為のカードはあるじゃないか!!

 

「岩石族の構成を変える。ライオン、手伝ってくれ」

「!! 喜んで、ガウッ!」

 

 覚悟しろよ、皇帝・崔(さい)……!

 

 

 新入生歓迎・デュエルイベント

 スタジアムには試験の時以上に人が狭し狭しとひしめき、今年の公開処刑を見物しに集まっていた。

 司会席まで敷設され、放送部らしき生徒がそれぞれ司会と解説席に座っている。

 

『さぁて始まりました! 本校恒例、新入生歓迎イベント!! このイベントでは本来手の届かない存在である主席生徒と、新入生代表がデュエルを行いまァす! 司会は二年新海萌音(しんかい・もえの)と』

『解説の二年、米田貞太(よねだ・ていた)でお送りします』

 

 スタジアムの角に二つ設置された巨大モニターに佐潟輝栄と高森崔の大まかなデッキ情報とLP・手札・盤面状況(今は空白)が表示される。

 

「サガラ、頑張るデースッ!」

 

 観戦席の中段辺りから、同じ新入生のジル・アレクティアが応援の声援を送ってくれている。中段でも席をとるのが大変だったろうに。

 正面に立つ三年主席、高森崔に視線を向ける。キリッと横に貫き伸びた目と、頬に付いた切り傷、若年ながら歴戦の侍を思わせる風貌は、それだけで相手に強者と認識させるのに十分だ。

 通称、アカデミアの皇帝。

 

「アンタが、皇帝・崔か」

 

 せいぜい挑発するように話しかけるが、動揺や変化などは一切見せない。逆にこちらを居抜き殺すような視線で、こちらを見据えてくる。

 崔がディスクから自身のデッキを取り出し、こちらに手渡す。

 

「貴様の実力、本当かまぐれか試させてもらう」

「へっ、痛い目見ないといいけどな」

 

 舐められるな。この会場の全員に、俺が噛ませや見世物ではなく、

(一人の"決闘者"だと認識させろ!)

 お互いにデッキをシャッフルしあい、ディスクのオートシャッフルを挟んだ後、離れ、向かい合うようにディスクを構える。

 その数秒間のみ、スタジアムが静かになる。

 

「さて。両名準備が整ったようです。それでは……デュエル開始だあああああぁぁぁぁぁぁ!!」

「「デュエル!」」

 

LP4000

先攻】崔

後攻】佐潟

 

「俺のターン、『サイバー・ドラゴン・コア』召喚」

 

 何節にも分かれたビーズ状の機械の蛇が召喚され、こちらを威嚇するようにとぐろを巻き、首を伸ばした。

 

☆2 攻撃力400

 

「『サイバー・ドラゴン・コア』の効果発動。デッキから『サイバー・ロード・フュージョン』を手札に加える。カードを1枚伏せ、ターンエンド』

 

場】サイバー・ドラゴン・コア【攻

伏】1枚

手札】4 LP4000

 

「俺のターン、ドロー。『代打バッター』を攻撃表示で召喚。そのままコアを攻撃!」

 

☆4 攻撃力1000

 

 迎え撃とうと構えるコアを強靱な両足で鷲掴みにし、二股に泣き別れに引き千切る。

 

崔】LP4000

    ↓

  LP3400

 

「くっ……」

『ああーッとここで佐潟輝栄、先制ダメージを与えたァー!』

「カードを2枚伏せ、ターンエンド! さぁ、アンタのターンだぜ、皇帝」

 

場】代打バッター【攻

伏】2枚

手札】3 LP4000

 

「ドロー。中々やるな、だが……! まずは墓地のコアの効果を発動。デッキより『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚!」

 

☆5 攻撃力2100

 

「そして手札より『サイバー・ロード・フュージョン』発動。フィールド・除外ゾーンのカードをデッキに戻し、融合召喚を行う! 来い、『キメラテック・ランページ・ドラゴン』」

 

☆5 攻撃力2100

 

 4つの発光部を持ったヒトデ型の鋼殻ユニットが現れ、中央の発光部からサイバー・ドラゴン、下の発光部からコアの頭部パーツが展開されていく。

 

「キメラテック・ランページは融合召喚に成功した時、展開された頭部パーツの数だけフィールドの魔法・罠を破壊する。マルチプル・ツイスト!!」

「チェーン。トラップ発動『メタバース』!」

「発動タイミングを問わない、フリーチェーンの罠カードか……!」

「デッキからフィールド魔法、『岩投げエリア』発動!」

 

破壊】メタバース

   スパイダー・エッグ

 

発動】岩投げエリア

 

「『岩投げエリア』……貴様の十八番か。ならば、その上から叩きつぶさせてもらう! キメラテック・ランページの効果発動。デッキの機械族を2枚まで自身に取り込み、攻撃回数を追加する!」

 

墓地】サイバー・ドラゴン・コア

   ビック・バイパーT301

 

 残っていた両肩の発光部にコアの頭部と、シューティングゲームの戦闘機を思わせるモンスターの先端がそれぞれ展開される。

 

「さらに手札の『サイバー・ドラゴン・ネクステア』の効果! 手札の『サイバー・ドラゴン』を捨て、自身と今墓地に捨てた『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚する。そして『フォトン・ジェネレーター・ユニット』。二体を生贄に、現われろ『サイバー・レーザー・ドラゴン』!」

 

☆7 攻撃力2400

 

 サイバー・ドラゴンをより長くスマートにしたサイバー・レーザー・ドラゴンと、4体ものモンスターを取り込んだキメラテック・ランページ・ドラゴン。二体のエースモンスターがフィールドに並び、こちらを見下ろす。

 

『皇帝の二代エース! サイバー・レーザー・ドラゴンとキメラテック・ランページ・ドラゴンがわずか1ターンで! 一堂に会したァ!!』

「永続魔法『機甲部隊の防衛圏』を発動。サイバー・レーザーがいる限り、俺の場のレベル6以下の機械族モンスターはあらゆる対象に選ばれない。バトルだ! 『サイバーレーザードラゴン』で『代打バッター』を攻撃。エヴォリューション・レーザーショット!」

『機甲部隊の防衛圏により、佐潟くんは『タックルセイダー』で追撃を止める戦術を止められています。これは……手札にある昆虫族によっては、このまま勝負が決まってしまいます』

『佐潟くんはこのピンチを、どう乗り切るのかァ!!』

 

 サイバー・レーザ・ドラゴンが尾部を展開。内部に搭載されたフォトン・ジェネレーター・ユニットから高出力の破壊光線を充填し――照射。

 

「……っ!」

 

 衝撃波と破壊がスタジアム左半分を襲った。




【今回のエースカードッ!!】

キメラテック・ランページ・ドラゴン

デッキのモンスターをユニットとして取り込み、フィールドを一掃する崔のエースモンスターだ。ビック・バイパーT301との連携攻撃は脅威だぞ!

【次回予告】
「ワオ! サガラ、すっごいピンチデース! トンボのおかげで敗北は回避できまシたが、皇帝(エンペラー)には3体のモンスター! 防衛圏の効果で防御も完璧……サガラ、どうするつもりデスか!?」

次回、第七話 飛翔! ドラゴンVSドラゴン
デュエル・スタンバイ。ッデース!
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