後レキが出たらな
「ああ!やっちまった!」
俺はそう叫び声を上げとっさに腕時計を確認する。
もう始業式が始まっている時間だ。
やばい……編入そうそう遅刻とか洒落にならんぞ。
とりあえず俺は避難させていた自転車のところに向かい、さっきの銃撃戦の巻き添えを喰らってないか確認する。
どうやら無事のようだったのでそのまま漕ぎ出して学校に向かう……はずだったが。
「みゃおきゃっ!」ドン
と今もズッコケているアリアを見て俺の良心が騒いだ。
「ああ、もうアリア!いつまでズッコケてんだよ……。」
自転車を止め近くまであゆみよりさっきの乱戦……まあどっちとは言わないがそれで少しずれていたメガネを直してから手を差し出す。
「ほれ、1人じゃ立てんだろ。」
「うううう、いい!1人で立てる!……きゃっ!」
アリアは強がってそう言うがまたズッコケた。
「もう、めんどくさいから強がらんでくれ……よっ!」
俺はアリアの手首を持ち無理やり引っ張り上げた。
するとやっとアリアは2本の足で立つことができた。
アリアが服装を正してる間に弾丸も拾っておく。
するとアリアはキッとこちらを睨んできた。
「言っておくけど1人でも立てたんだから!……でも……ありがとう。」
「おうおう、どういたしまして。はいこれ弾丸、マガジンはあの桜の木の根本あたりだ。俺急ぐからじゃあまたね。」
アリアの礼を聞いた後アリアの手を取り弾丸を握らせ必要な事だけ言って直ぐに校舎へ急いだ。
自転車を止め式が行われているであろう体育館に行くがもぬけの殻だった。
それからすぐ教務科……普通の学校であるなら職員室であろう場所に行き遅刻の旨と今朝発生した事案を伝える。
すると天使のような顔をした先生がその事件は遠山君から聞いているということ、そして俺の担任は既に教室に向かったと聞いた。
それをいった時先生の目が可哀想なものを見る目になったがその時は俺の身を案じているとは気づかなかった。
まだ生徒の笑い声が響いている廊下をゆっくりと歩きながら俺の教室に向かう。
遅刻しそうだったのに案外大丈夫だな。
そう思い俺の教室の前に立つ。
ここが俺がこれから1年間を過ごす『2年C組』……なのだが……何なんだこの重苦しい空気は……!
俺は不安になり耳をすませる。
すると、何ということでしょう。
教卓の方から拳銃を弄る音が聞こえるではありませんか。
撃鉄を起こし引き金を引いてギリギリのところでまた撃鉄を起こし銃をガチャガチャ言わせている。
あんな事が出来るのは多分リボルバー拳銃だけだろう。
あーこれ死んだなー先生ぶち怒ってるやん。
でも入らんと先生もっと怒るよな……入るか……。
ガラッと音をたてて教室の戸を開ける。
「すいません、遅れ……」
バキュン!!
デスヨネー
ちなみに今ので俺が開けた戸の下が壊滅的な被害を受けた。
「編入そうそう遅刻とはいい度胸してんなオイ。」
そう言ったのは教卓に座っていた長身で長いポニーテールの女の先生だ。
「えっと……事件に巻き込まれまして……」
「だからって何じゃ!メガネ割るぞ!」
バキュン!!
「うお!!」
次は戸が完全に粉砕された。
てかよくよく見るとアレM500じゃね?
まじかよ、あれを片手で使うとかマジ化け物……。
東京武偵校は生徒(遠山キンジ)だけじゃなく先生もすごい人ばかりだな。
「何をぼうっとしとるんかドアホが!退学か死ね!」
バキュン!!
このあとめちゃくちゃ打ち込まれました。
「まぁ、今回はこれくらいで許してやる。」
腕を組んでそう言う先生の前で俺は膝をついていた。
だいたい5分くらいだろうか……俺は先生が撃つ銃弾をひたすら避けていた。
まあ頑張って銃のスプリングの軋む音がした直後に体をひねって避けてたけど戸付近と廊下の壁に壊滅的な被害を及ぼしていた。
「はぁはぁ、すみません…でした…。」
「お前の席はあそこや!はよ座れ!」
「はい!」
拳銃で指された席に向かって走って荒々しく座る。
その時軽く隣の席の人にあたったので声を掛けた。
「すみません、あたって……レキ……!」
「はい」
こいつの名前はレキ、一応名前らしいが名字は本人も知らないとのこと。
そしてこいつが俺の編入の理由だ。
いきなりの再開で驚いた。
まさか同じクラス、しかも隣の席だなんて。
「あの、朝は……」
レキが静かにと言うように人差し指を立てた。
すると先生がちょうど話し出すところだった。
危ない危ない、また撃たれるところだった、ありがとう。
「よーし、じゃあホームルーム始めるぞ。お前らは運がいいで、優しーいウチが担任やからな。まあ、イラつく顔もいるけど、自己紹介しとくで。姓は蘭、名は豹。蘭豹や。」
へえー蘭豹って言うのか名前覚えとこ忘れたら多分殺される。
「よし、まずは編入してきたお前が自己紹介しろや!」
お、俺かよ、嫌われてんのかな流石に。
そう思ってサッと席を立つ、ここでもたもたしてたら多分撃たれる。
「あ、えーっとこのたび編入してきた八木瑞希です。専門科目は諜報科と狙撃科です。あ、狙撃科と言っても観測手なので。えー、よろしくお願いします。」
周りを見渡すとみんな「ふーん」と言った感じで俺のことを見ていた。
男女比は普通の共学のところと同じくらいだ。
他は強襲科っぽい奴らが少し睨んできてそのうち1人が周りに聞こえないくらいの小声で「ハゲメガネ」と言っていた。
この野郎、俺の耳で弱み握ってそれに漬け込んで奴隷にしてやろうか。
自己紹介を済まし席に座ろうとすると
バーン!バーン!
2発の銃声が校舎に響いた。
ここ以外でもやっちゃってるんだ……流石武偵校。
そしてその直後こんな声が聞こえた。
「風穴開けるわよ!!!」
ってアリアかよ!
俺は心の中で突っ込みを入れつつ耳に意識を集中した。
えーっと、あっいた。
そして頭の中に立体映像見たいなものが浮かび上がる。
アリアが教室の真ん中にたって銃を構えている。
そして周りにはクラス中の生徒が身を低くしている。
何があったんだ全く。
あっキンジ発見。
こいつらも同じクラスか。
ドンマイキンジ、後でジュースでも奢ろう。
後はずっと教卓の方を向いていたら自動的にホームルームは終わった。
蘭豹が教室を出た瞬間教室の空気が軽くなった。
みんな笑顔で友達と話している。
俺も胸を撫で下ろしてレキに話しかけようとする。
するとレキとは逆の方から声がかかった。
「おい、八木。」
「へ?」
見るとさっき俺をバカにした奴がニヤニヤしながらそこに立ってた。
なんだか悪い事を考えているようにしか見えんのだが。
そいつの顔を見上げるとそいつは口を開いた。
「お前さ〜諜報科で狙撃科でしかも観測手何だって?はっ自分じゃ何にも出来ないんじゃねえのか?てか諜報科ってお前何を専門にしてんだ?そんな身体で戦えないだろ。」
この野郎バカにしやがって、俺は着痩せ体質なんだよ。
でも俺は諜報科で大したことはあまりしてない。
だから俺は正直に言おう。
「ああ、俺の専門は浮気調査とかだ。」
うわー俺が言ったことに対してめちゃくちゃニヤニヤしてるよ。
まあ自分の思った通りと浮かれてるんだろうな。
「ははは!やっぱりな!大したことねえな!ランクどんくらいだよ?そのぶんだと観測手と言ってもペア居ないんじゃねえのか?ははは!」
あ〜ヤバイそろそろイライラしてきた。
言い返すかそれに観測手の話だし丁度いい。
「おい、ペアなら……」
いるぞ?と言おうとした。
すると予想外の方から予想外の声が聞こえてきた。
「私です。」
「は?」
「瑞希のペアは私です。」
クラスが固まった。
周りで知らんぷりしていた奴らも固まっていた。
すると俺をバカにしてた奴は攻撃的な目でこう言ってきた。
「で、でもレキに守ってもらわないと何もできないだろうが!」
だからこう言い返してやった。
「いや、自分の身は自分で守れる。それにさっきランクの話をしていたが俺は諜報科と狙撃科共にAランクだ。」
とここまで言ったところで奴は殴りかかってきた。
怒りに任せた感じが強かったので対処しやすい。
とりあえず奴の拳を払い軽く指で目を叩く、これで目潰しをして後は柔道の大外刈りの要領で投げる。
よし、オッケイ!
さて床に倒れて悶えてるこいつから逃げないとな 。
「レキ、ここは居心地が悪い、別の場所に行こう。今日はもう終わり見たいだし。」
そう言って俺はレキの手を握って教室を出た。