龍球これくしょん ー龍(ドラ)これー 着任!!ベジータとピッコロ‼最強の戦士達   作:ムリアリア

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ハーメルンよ!私は帰ってきたぁ!(ソロモンの悪夢)

…はい、4年ぶりです。なかなか筆が進まずになんやかんやあってここまで長引いてしまいました。申し訳ありません!その上話ばっかりで全然進まねーじゃねぇかコノヤロー!(伝説の超審査員)それでもいいぞぉ!という方はどうぞ!


第5話『俺達が提督に!?ベジータとピッコロの鎮守府着任!』前篇その2

(NG集;その1)

 

電「もう!私達がどれだけ心配していたかわかっているのですか!?」

 

ピッコロ「う、うむ…済まん(な、なぜこの様な目に…)」

 

電(●ワ●)「今度やったら 海 に (チン) な゛ の゛ で ず ! ! ! !」

 

ピッコロ「な、なにっ!?クソマァー!!(ぷらずま☆サッカー)」

 

ベジータ「もうだめだ…おしまいだぁ…OTL」

 

 

 

テレレーンテレーテーレーテーテーテテンッ♪(アイキャッチ)

 

 

 

 

 

突然のベジータの剣幕に神代・陸奥は驚き、長門は敵意を顕にする。そしてピッコロはその空気の読めなさに呆れると同時に焦りを感じていた。

(このバカッ!!今この場で言う奴がいるか!せっかく穏便にすませようとしたのに、このままでは話すら...)

 

「貴様ッ…!提督に対して何という不遜な態度を!!」

 

案の定、長門は勘弁ならんとベジータに殴り飛ばさんと拳を固める。しかし、彼女の前に制止の手がかかる。

 

「待て、長門」

 

「しかしッ!」

 

それは提督の神代の手だった。制止の言葉に長門は納得がいかないらしく、声を荒らげる。

 

「頼む」

 

「ッ…わかった」

 

神代の真剣な目つきを受けて長門は握っていた拳を解く。だが、刺すような目つきを見る限り、今ので(長門からの)印象が悪くなってしまった事は容易に想像できる。

 

(何とか一触即発の事態は避けられたか。しかしこいつの目の離せなさは...ブウの一件で少しは変わったかと

思ったが根本的な所はまるで変わってない!)

 

初めて誰かのために文字通り必死に闘った姿と、自分の隣でふんぞり返っている姿を比較し、本日何度目かの

溜息をつくピッコロであった。

神代の方も安堵の息をつくと、改めて憤慨する理由を聞き出そうとした。

 

「ベジータさん、貴方は人の下で働くのを極端に嫌がってる様ですが…何故です?」

 

「俺は誇り高き戦闘民族、サイヤ人だ。

他人にこき使われる等この俺のプライドが許さん!」

 

さも当然だと言わんばかりに息巻くベジータ。その堂々とした態度に若干引くと同時に聞きなれぬ単語が含まれている事に神代は気づく。

 

 

「そ、そうですか…ところでサイヤ人とは?」

 

 

「詳しくは長くなるから割愛するが、こいつと俺は

お前達地球人から見れば所謂宇宙人という事になる」

 

その疑問に答えようと、いつの間にか憂鬱な気分から

立ち直ったピッコロが答え。

 

異星人、という言葉に神代達3人は驚く。陸奥は目を

見開きまじまじと二人を体の隅々まで観察するように

見つめる。

 

「宇宙人!?確かにそんな雰囲気はするけど…私、初めて見たわ」

 

「私もだ。だがそこの緑肌の...ピッコロはともかく

ベジータは見た目は私達や提督とほぼ変わらんな」

 

長門も陸奥の言葉に同意を示す。提督の神代も首を縦に振る事で同様の意を示している。

確かに宇宙人と言われて想像するのは銀の肌に枝の様な細い体、目の色は赤や緑等、『人間離れ』な感じだろう。全身緑色のピッコロ等宇宙人そのものだ。

 

「何をじろじろと見てやがる。宇宙人なぞ別に珍しくも無いだろうが」

 

「いやいや!私はこの鎮守府で長い間勤めているが

宇宙人なぞ見たことはないぞ!?」

 

苛立ちを抑えようともせず乱暴に呟くベジータとツッコミを入れる長門。その様子を

尻目に見ながら、ピッコロは苦い顔をする。

 

(やはり相当荒れてるな・・・無理もあるまい。命を捨てて倒したと思ったブウが生きていて、

嫁のブルマが殺されたとあっては憤るなと言う方が無理がある)

 

実はこの鎮守府に向かう途中、ベジータにブウが死んだかどうかを尋ねられた。話すべきかどうか一瞬迷ったが、どうせ明らかになると思いピッコロはベジータに全てを話した。

 

当然激怒するかと思ったが、意外な事にベジータは眉を顰め舌打ちは

したもののそれ以上は追究してこなかったのだ。

 

恐らくこの異なる世界に来てからハプニングが連続で続いたのでいちいち怒るのも面倒になり、

落ち着いた場所に来れたからこそ今まで溜まっていた鬱憤が爆発したのだろう、と結論付けた。

 

(だが今は俺たちの今後を左右する重要な時だ。

頼むからこれ以上の面倒だけは起こすなよ…!)

 

祈り半分、諦め半分でベジータの行動を見守る

ピッコロ。その姿は手のかかる悟天とトランクスに辟易している時とよく似ていた…。

 

一方、神代の方はというと、表面上平静を装ってはいたが、内心は冷や汗で一杯だった。

長門からの報告を聞く限り、これ以上機嫌を損ねれば最悪鎮守府を破壊する可能性も十分にあるからだ。

 

藪を突いて蛇を出す事は避けなければならない…そう考えて

両隣の二人に目を向け、小声でぼそりと呟いた。

 

(陸奥、長門。ここは私に任せてくれないか)

 

その言葉の意図を汲み取り、二人は無言で首を縦に振る。

…もっとも長門は未だに納得しておらず、眉をわずかに顰めたままであったが。

 

「ベジータさん、あなたの過去になにがあったのかは聞きません。気に障られたのであれば謝罪致します。

...ですが、私達人類と彼女等艦娘は真に平和を得ることを願い闘っている。

これは嘘偽りでは無いことを分かっていただきたい」

 

拳を握り締め断言する神代。その瞳には強い決意が込められていた。

 

「・・・・・・」

 

ベジータは腕組みをし足を組んだ姿勢のまま睨めつける。しかしその目は

ただ単に気に入らないから、と言うわけではなくどこか値踏みをするかのような感じだ。

 

ほんの僅かの間、両者の間に沈黙が流れる。ただそれだけだと言うのにそこには異様な雰囲気が渦巻いており、側にいる長門と陸奥も額から僅かに汗を流し、緊張した面持ちでこの先起こる事を見守ることしかできなかった。

 

永遠とも一瞬ともとれる静寂の後、ベジータ今まで閉じていた口を、重々しく開いた。

 

「……いいだろう。貴様の覚悟は認めてやる」

 

「では・・・?」

 

「勘違いするな。まだ貴様等に手を貸してやるとは言っていない」

 

「……ッ」

 

いまだに厳しい表情を崩さないながらも自分達の戦いへの決意を認めて貰った事に安心した

神代だったが、すぐ後に続いた言葉に再び緊張感が高まる。しかし同時にある事に気づく。

 

()()?と言うことは条件次第で此方に手を

貸してくれる、と?」

 

「そうだ。尤も条件を飲んだとしても絶対に手を貸してやると言う保証はないがな」

 

「そうですか…ではベジータさん。あなたが望む条件とは?」

 

違う世界からやってきたというから、恐らくは衣食住、後は元の世界に帰るための情報だろう。

神代はそう予想づけていたが、返ってきた言葉はその予想を上回る物だった。

 

「俺と闘ってもらう。もし俺をその気にさせられればその時は貴様等に手を貸してやろう」

 

「「「!?」」」

 

まさかの答えに3人は驚愕する。そしてそれはピッコロもまた同じであり、慌ててベジータを諫めようとした。

 

(お、おいベジータ!!それは流石に···)

 

(貴様は黙っていろ。これは俺の問題だ)

 

声には出さず、にらみ合いを続ける二人の雰囲気に神代は呑まれながらも、何とか言葉を絞りだそうとする。

 

「一応理由を聞かせて頂いても…?」

 

「簡単な事だ。俺の手を借りたかったらそれに相応しい力を見せてみろ。吠えるだけの輩なぞゴメンだからな」

 

要は実力行使で何とかしろという訳だ。凄まじいまでの脳筋理論だが無理難題という程ではない。単純だが難易度の高い要求に神代は小さく息を吐いた。

 

「…分かりました。確かに言葉だけではいくらでも言えるでしょう。貴方を納得させるには闘うしかなさそうだ。ただ、準備を含め諸々時間がかかるので、勝負は明日にして頂いても宜しいでしょうか?」

 

「いいだろう」

 

短く了承の意を伝えるベジータ。どうやら話をしてる内に少し落ち着いてきた様で、

無愛想なのは相変わらずだが、どことなく先程より言葉の角が和らいだ風に見えた。

 

神代は安堵の息をつき、二人に感謝の言葉を述べる。

 

 

 

「有り難うございます。では、私はこれにて。客室へは私の部下がご案内致します。直ぐにそちらに向かわせますので、暫くお待ちください」

 

「…すまない。いきなり押し掛けてきた上に世話になってしまった」

 

非常に申し訳なさそうに頭を下げるピッコロ。その姿に苦労人なんだな、と苦笑する。自身も癖の強い艦娘を束ねる立場なので彼の境遇は痛いほど共感出来るのだ。不幸姉妹の妹や雷巡の怖い方等がよい例だろう。無論そのような者達も、なんだかんだ言って指示にはきちんと従ってくれるので問題ない。気苦労を気にしては提督などやっていけないのである。

 

「構いませんよ。こちらこそ、命の恩人に対して礼を失する様な事をしてしまい大変失礼致しました」

 

軍帽を脱ぎ頭を下げ礼を言い、神代は賓客室を退出した。

ばたん、と赤いカーペットが敷かれた廊下にドアを閉める無機質な音が響く。

今まで張り詰めた緊張の糸が解けたのか、ドア越しには聞こえていない程度とはいえ

大きく息を吐く神代。

 

安全確保の為に彼の退出より一足先に出た陸奥と、同じく護衛の為に一足遅れて部屋を出た長門は労いの言葉を掛ける。

 

「お疲れ様、提督」

 

「うむ、頑張ったな。あの二人の気迫に怯まず面と向き合って話せた、流石は私達の提督だ!」

 

「そんなことはないさ。正直言うとあともうちょっとあの場にいたら泣き出してたかもしれないしな···」

 

ははは、と後ろ頭を掻きながらばつの悪そうそうな顔で呟く。無理もないだろう、ピッコロだけならまだしもベジータの方は対談中常に気が立っていた状態で、機嫌をこれ以上損なわない様に言葉を選ぶのに手一杯で怯む余裕すらなかったのだ。自分の情けなさに不甲斐なく思いつつ、神代は長門、陸奥と共に渡り廊下を歩きだした。

 

 

 

「……長門、陸奥、私の我が儘に付き合わせて本当に申し訳ない」

 

深紅のカーペットの上を進みながら、神代は顔を前に向けたまま、ぽつりと言葉を漏らした。その顔には不安という表情がありありと現れており先程の自分の行動に自信が未だに持てていないというのがよくわかる。

 

急な言葉に何事かと首をかしげる二人であったが、すぐに言葉の意図を理解しほほ笑みを見せた。

 

「提督の判断は間違っていない。そうだろう?陸奥」

 

「ええ、彼の性格と言動を考えたらこうなるんじゃないかって思ってたわ」

 

実際、彼の判断は正しかっただろう。あの独特の髪型をした男…ベジータは危険ではあるが、捻くれた考えを持っておらず()() ()なのだ、最もそれが善か悪かはわからないが。

 

兎にも角にも模擬戦とはいえ闘うことになった以上、気を引き締めていかねばならぬと神代は真剣な顔を2人の信頼できる部下に向ける。

 

「そう言って貰えると助かる。…正直言うと分の悪い賭けになるかもしれない」

 

「「……」」

 

不安と少しの弱音を含んだ言葉を長門と陸奥は黙って聞き入れる。

 

「それでも少しでも可能性があればそれに縋るしかないと俺は考えている。ついてきてくれるか?二人とも」

 

そう決意の言葉を述べる神代は頼もしく、まさしく彼女等『艦娘』を率いる『提督』そのものであった。

 

そんな彼を見て、長門と陸奥は不敵な笑みを浮かべる。神代が彼女等を強く信頼している様に、

彼女等もまた彼を認めているのだ。

 

「ふっ、そうでなくてはな。この長門を侮るなよ?何処までもついていくぞ、提督!」

 

「あらあら、私もよ?提督。私達がついているんだから『大船』に乗ったつもりでいなさい♪」

 

「ははは、旨いことを言うな!」

 

茶目っ気たっぷりでウィンクを決める陸奥に神代は緊張の残滓を払いきるかのように大きく笑い、

2人と共にこれからの事についてを考えながら賓客室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

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「全くお前は…」

 

「ふん、俺は間違ったことは言っていない」

 

 

神代達が去った後、ピッコロは流れ出た汗を拭うと溜息を吐きベジータに非難の言葉をかける。そんな本人はどこ吹く風と腕を組んで目を閉じたままだ。その様子から本当に自分は何一つ間違っていないと思っているのだろう。…ピッコロが胃が心配である。

 

「そうじゃない!もう少し言葉に気を付けろと言ってるんだ」

 

ピッコロ達の目的は一刻も早く元の世界に戻り、魔人ブウの脅威から地球…ひいては自分達の家族や仲間を守ることだ。その為には多少強引な手段に走ることも致し方ないと考えもした。

 

だが幸運な事に、元の世界に帰る手がかりになるかもしれない情報を集める手段をすぐにでも得られるかもしれないのだ。しかし初対面の相手にあまりにも無礼な態度ばかりとっていては相手に不信感を与え、下手をしたら協力してもらえないことも十分にあり得えてしまう。

彼の部下を救助して多少は印象も良い方に傾いているかもしれないが、助ける為とはいえ空を飛び気を放つ等明らかに人外の力を見せつけたのは自分達の素性が不明な事も加味しても少々まずかったかもしれない。故にもう少し慎重になるようベジータに促しているのである。

 

 

「俺たちの目的は早く元の世界に戻ることだ。その為には情報収集をせねばならん。運良くすぐにそのチャンスが来たんだ、其れを不意にするような言動は慎め!」

 

「チッ、貴様に言われんでもわかっている」

 

舌打ちをしながら鬱陶しそうに答えるベジータを見て、痛みつつある目頭を押さえながらピッコロはふと自分の中で気になっている事を尋ねる。

 

 

「ところでベジータ。ここにくるまでの間に違和感を感じなかったか?」

 

「違和感だと?そんなものは感じなかったが、それがどうした」

 

急なうえに要領を得ない抽象的な質問にベジータは眉をひそめながら答える。何を言っているんだ貴様は、と言わんが如く疑問の目を向ける彼にピッコロは自分の考えていることを語り始める。

 

「あの艦娘という連中…全員が一定以上の強さの気を持っていた。弱い奴でも ()()()()()()()()()()()()()と思った方がいい」

 

そういわれてベジータははっ、と気づく。自分が初めて遭遇した艦娘といういけ好かない連中…特に自分にきつい視線を浴びせかけたサイドテールの弓を持った青女(加賀)の持つ気はかなりのものだった。大怪我をしていたのでだいぶ気が落ちていたが、万全な状態なら恐らくあのセルに匹敵する程だったであろう。

 

 

「ムッ…言われてみれば、確かに。ここが俺たちが知る地球と違っていたとしてもありえん事だな」

 

「うむ…お前が最初に地球に来襲した時の強さでさえ本気で暴れれば地球が持たんレベルだった。其れを遥かに上回るフリーザと同等の力を持っているのになぜこの地球は無事なのか、それが気になってな」

 

ピッコロはそう答えつつ、かつての記憶を脳内に思い起こす。悟空の兄貴を語っていた自分が初めて遭遇したサイヤ人、ラディッツ。目の前にいるベジータと共に地球に来襲してきたナッパ。

どちらも当時の自分の想像を絶する様なパワーを持っており、特に後者の方の実力は、大地を震わせる様な超パワーであった事は今でも鮮明に覚えている。

 

「大方、連中も俺たちのように気のコントロールができているんだろう。あの黒い怪物共(深海棲艦)から地球を守るために闘ってるという話が本当ならそれくらいできて当たり前だ」

 

確かに自分達が守るべき地球を自分たちの手で痛めつけるなんてことがあれば笑い話では済まないだろう。

事実、ベジータ達は人造人間、そして魔人ブウとの戦いは常に地球上での戦いだった。自分を含むZ戦士達は戦闘力のコントロールに長けている者がほとんどで、地を裂き海を割る程の力で闘うこともできれば、パンチングマシンを壊さずに叩く事も造作も無い事である(ベジータは遠慮なく叩き壊したが)。

無論、艦娘達がその様に気を扱う事に長けている…否、そもそも気の存在を知っていればの話ではあるが。

 

「連中がどんな力を持ってようと俺の知ったことじゃない。今の俺たちならフリーザ如き雑魚なぞ問題ないだろうが」

 

 

しかしベジータにはそのような事はどうでもよかった。そもそも艦娘達と敵対してるわけでもないのにそのような話をしてもそれは意味がない。よしんば敵対したとしてもセルですら問題なく片付けることができる今の自分にとってはそんな仮定の話は無意味な事であった。

 

俺たちが気にすることじゃない、無理やり結論づける彼を尻目にピッコロは顎に拳を当て、思案に耽る。

 

(そう、本来なら気にする事のない…問題じゃない事なはずだ。だが何だ?妙に気にかかる…)

 

何か根本的に抜け落ちている様な気がする…そもそも本当に艦娘達がそこまでの力を持っているのだろうか?違和感があるのはむしろ────

 

 

そこまで考えていた時、不意に賓客室の扉を軽く叩く音が2人の耳に入る。

 

「失礼します。神代提督の使いで参りました、軽巡洋艦の大淀と申します。部屋に入らせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「ン…ああ、構わない。入ってくれ」

 

思考の海に沈むあまり、気がづくのが一瞬遅れ無意識に構えを取った自分を恥じつつ、ピッコロは体ごと、ベジータは眼だけを賓客室の入口扉に向ける。

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

その言葉と共に扉が控えめに開かれ、そこから一人の艦娘が姿を現した。

黒曜石の様な黒い長髪に青いヘアバンド、蒼海の如き目にはアンダーリム(下縁)のメガネが掛けられており、手には羽ペンとファイルとノートが握られている。

これだけで見れば学校でよく見る敏腕生徒会長の様な実直かつ優等生という様な感じに見て取れる(実際そうなのだが)が、問題はその服装である。

衣服はセーラー服であり、胸元には花をあしらった厨子飾り、そこから衣装の裾まで走る赤と青の帯紐が入っている。他にも赤いネクタイを締めており、派手でもなければ地味でもない…といった感じだ。

問題は、スカートの方である。行灯袴をプリーツスカートにしたものを履きなぜか腰回りの一部が露出している。すらっとしたスレンダーな体系も相まって思春期な男子達には目に毒であろう事が見て取れるだろう。…最も、今この場にいる男二人にはそんな考えなぞ頭の隅っこにも留まっていないのであるが(ピッコロに至っては性別等そもそも関係ない)

 

そんな彼女は扉を音を立てないように閉めると、姿勢を正し腰を折り曲げてお辞儀をする。きっちり30度の角度でお辞儀をする姿は完璧であり、彼女の几帳面な性格が伺える。

 

「それでは改めまして自己紹介を、私は軽巡洋艦の大淀と申します。神代提督の秘書艦としております」

 

「ピッコロだ、よろしく頼む。あそこでふんぞり返っている奴はベジータだ」

 

そう言い、握手を交わそうと手を差し出すピッコロ。大淀は長身であり強面のピッコロを前に一瞬畏縮するものの、すぐに切り替え笑顔でその差し出された手を握る。

ごつごつとした歴戦の強者の手…しかしどこか温かくなる気持ちに不思議な感覚を覚えつつ大淀は握手した手を放す。

それと同時に彼の後ろでソファーにもたれ両手両足を組んで座っているベジータの姿が目に入る。まるで興味がないと言わんばかりに眼をつむったまま顔をこちらにすら向けていないその姿に苦笑いを浮かべながら、大淀はもう一度軽くお辞儀をする。

 

 

「こちらこそよろしくお願いいたします。それでは御二人方の為のお部屋をご用意してありますので、そこまで私がご案内いたします」

 

「わかった。おい、ベジータ!行くぞ」

 

「いいだろう」

 

こちらに来るよう促され、ベジータはソファーから立ち上がる。大淀は扉の取っ手を開けたまま2人が出るのを待っているようだ。ピッコロは先に賓客室の外に出ていたようで外へ出たベジータを一瞥すると扉を閉めた後、先導する大淀の後ろを歩き始める。ベジータもそれに倣い鎮守府の廊下を歩いていく。

 

 

 

 

「この度は、加賀さん達を助けて頂きありがとうございました。神代提督も甚く感謝しております。」

 

「勘違いするな、俺は自分のやりたい事をやっただけだ。あのいけ好かない女の事など知ったことではない!」

 

大淀は二人を客室に案内する途中、感謝の言葉を述べた。当時、相当の不安と恐れを頂いていただろう事は彼女の言葉の節々から感じて取れた。そして当のお礼を言われた本人はというと、顔を横に向けたまま吐き捨てるように呟く。心の底から嫌っている、という程ではなさそうだが余程馬が合わなかったのだろう、歯をぎりぎり鳴らしながら不快感を隠そうともしないその姿とは裏腹に、最初の言葉だけを拾えばその発言は俗にいう典型的なツンデレ発言であり、彼をよく知る者…例えば妻であるブルマがこの場にいれば、恐らく堪えきれずに噴き出していたことだろう。

 

 

「全くこいつは…悪いな、不器用な奴なんだ」

 

「おいピッコロ!余計なことは言うんじゃない」

 

そんなベジータの態度にも慣れているのか、呆れながら大淀に謝罪するピッコロ。ベジータはその言葉にイライラしながら声を荒げて反論する。一種のコントの様な光景に大淀は自然と笑みが零れる。強面と正体が地球人ではないという事に一抹の不安を覚えていたが、実際に会って話してみると意外と話しやすいのではないか、と思えてしまう。

 

「ふふふ、お二人とも仲がよろしいのですね」

 

「よくない!…それで?何か言いたそうな顔だな」

 

誰がこんなナメック星人なんかと、と反射的に噛みつくベジータであったが、大淀が先ほど浮かべた笑顔から一転、沈んだ顔をしている事に気づき眉を顰める。

 

「申し訳ありません。ピッコロさんが出撃して頂いた事も含め、本来なら私達艦娘が対処するべき事態であったのに…」

 

「何度も言わせるな、俺は自分の考えるままにやったに過ぎん。貴様らが落ち込む等筋違いだ」

 

「ベジータの言うとおりだ。…ここの奴らには世話になったからな、勝手ながら借りを返したまでだ」

 

2人して同じような事を言っているのに大淀は似た者同士なんだなぁ、と思いつつ柔らかい笑顔を浮かべ、謝辞を述べる。

 

「その様に仰って頂けると大変嬉しく思います。────着きました、こちらでございます。どうぞ」

 

きぃ、という音共に客室への扉を大淀によって開かれる。客室内はそこそこ豪華で、ホテル等でよくみられる物は大抵そろっており掃除もきちんと行き届いている様だ。鎮守府内という普段は関係者以外は絶対に入れない所であるが、ここまで整備されているという事はたまに来る関係者…恐らく軍関係者の為に設えているのだろう。

 

「給湯器に寝台に箪笥に通信機器、冷蔵庫に化粧室等、一通りの物は揃えています。飲食類は急な事なので冷蔵庫には最低限は入っておりませんが、ご要望ならば受話器を通じてこちらにお伝えくださればお持ちいたします。見取り図は────」

 

ピッコロはてきぱきと説明をしている大淀を見て、今日で唯一かもしれない心の底からの安心感…の様なものを得ていた。なにせ、先ほどから息詰まる展開の連続であったので(主にベジータのせい)普通に会話ができるというだけでも気持ちが救われたのだ。普段いかに問題児(サイヤ人)を相手に苦労していたかがよくわかる瞬間であった…。そんな原因の一つは備え付けのソファーにどっかと座りいつの間にか手に持っている飲料水を開けて中身を飲んでいた。それをあえてスルーしつつ、大淀に礼を述べた。

 

「すまんな、何から何まで」

 

「いえ、これくらい当然の事です。あ、それと鎮守府内ですが…大変申し訳ありませんが、この資料に印がつけられている場所以外に行かれるのはご遠慮頂きますよう、よろしくお願い申し上げます」

 

申し訳なさげに言う彼女にピッコロはすぐにその言葉の意図に感づく。

 

「…軍事機密というわけだな?いかに俺たちが関係者といえどまだ本格的に協力する訳ではないからな。そんな者にうろうろ出歩かれては困る、か」

 

そう、ピッコロ達はまだ関係者の仮の領域を抜け出していないのだ。そんな存在が機密事項の塊である鎮守府を不用意にうろうろされてたは堪らないのは一目瞭然だ。ただでさえ自分の姿は鎮守府内の人間を不用意に警戒させざるを得ないのだから仕方のないことである。

 

「申し訳ございません。こればかりは…」

 

「いや、構わない。俺もお前たちの立場なら必ずそうしている。むしろ余計な気を使わせてしまって悪かった」

 

「きょ、恐縮です!」

 

どこかの情報好きの重巡洋艦の様なセリフを言いつつ、大淀は深々と頭を下げる。どことなくだが、その姿を見て普段から相当苦労しているんだろうな、とピッコロは多少の同情の念を含め彼女を見つめていた。

 

「では、また何かあればご連絡いたします。見取り図は先ほどお渡しした資料にございますが、何か不備があった際は遠慮なくお申し付けください。食堂はいつでも空いておりますのでよろしければご利用ください」

 

「助かる」

 

渡された資料をちら、と見つつピッコロは頷く。それでは失礼します、という言葉と共に客室の扉を開きこちらにお辞儀をすると大淀は静かに扉を閉め、客室を去っていった。

 

暫しの静寂の後、口を開いたのはピッコロだった。

 

「さて…どうする?ベジータ」

 

「俺は寝る。ここに来るまで碌に休んでいなかったからな。夕食までには起きる」

 

「うむ、わかった」

 

飲料水の容器をくしゃりと握りつぶしゴミ箱に放り投げる。綺麗に放物線を描き、ゴミ箱に収まる容器を尻目にベジータはベッドに体を預けると目を閉じた。そう時間を絶たずに寝息が聞こえてきたので余程疲れていたのだろう、とピッコロは想像する。

 

(さて、どうするか…とはいっても先ほど自分でも言ったが俺たちはまだ仮の協力者でしかない以上、できることは限られる。本当ならば資料室にでも行って調べ物でもしたいところだが…致し方あるまい)

 

ベジータにああ言った以上、自分も今の所は下手な行動は起こさない方が得策だと判断した。

 

しかし、こうしてる今も魔人ブウとゴテンクスが闘っているかもしれない。幸いあの超サイヤ人3の姿ならあの強大な魔人ブウですら打ち破ることは十分可能だろう。しかしまたお遊びをしている間にフュージョンが解けて大惨事になっているかもしれない。…否、そもそもあの二人はちゃんと元の世界にたどり着けたのであろうか?自分達がそうな様に、この世界か、はたまた別の世界にたどり着いているかもしれない…。そんな思いが次から次へと浮かんでは沈んでいく。

 

そこまで考えてピッコロは頭を左右に振り思考を中断させる。楽観視するのもよくないが、だからと言ってマイナスの思考ばかりに陥っていては心身共に参ってしまう。まずは情報を得るために、提督と艦娘達との関係を良い方向にもっていかねば、と決心を固める。

 

(悟天、トランクス、そして…魔人ブウ。気掛かりな事は多いが、今はどうしようもない事だが、せめて安否でも分かればよいのだが…)

 

 

 

窓のカーテンを開けると、そこからはどこまでも続く蒼く輝く水平線と、どこかの正規空母が飛ばしたかもしれない艦載機が大空を舞うように翔ける姿が目に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

余談だが、夕食の際に(ピッコロは水しか飲まないが)ベジータが皿で自分の姿が見えなくなる程の量を平らげて食堂にいる艦娘達を大いに驚かせたとか。その様子を見ていた一航戦の青い方は「ここは譲れません」と何故か対抗意識を燃やしていたとかなんとか。

 

 

 

 

ナレーター「神代と呼ばれた提督と二人の艦娘と対談をしたベジータとピッコロ。

力を貸してほしいと懇願する神代にベジータは自分と闘えととんでもない事を要求するのであった。

果たして両者の戦いの結果はどうなるのか?そしてベジータ達は無事に元の世界への手がかりを手に入れることができるのだろうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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------遥か遠い世界、どこかも分らないような場所------

 

 

 

 

『……また見ていたのか?』

 

 

『ああ、あの二人なら絶対大丈夫だと思ってるんだがよ、どうしても不安になっちまってなぁ』

 

『全く、お前の無茶ぶりにはいつも驚かされているが、今回は格別だったぞ』

 

 

雲海の上に2つの声が響き渡る。片方はの太く、かつ威厳あふれる声。もう片方は幼く、かつ活発な声だ。

 

 

『ははは!悪ぃ悪ぃ!すまねぇな。いつまでも同じ場所に留まるなんて本来ならしちゃいけねぇ事なんだけどよ』

 

申し訳なさげな幼子の声に対し、もう片方の声は焦る様子もなく怒る様子もなく、淡々と告げる。

 

『構わん、お前はそれくらいの我儘が許される程の者なのだ』

 

『へへっ!サンキュー。もう少し様子見したら行くよ』

 

『わかった』

 

そこまでで会話は途切れ、再び静寂が訪れる。

 

(…すまねぇ、本当なら関わっちゃいけねぇ事なんだろうが、何か嫌な予感がしやがるんだ。頼んだぜ、ピッコロ、ベジータ)

 

体の後ろにある物が蠢く。あたかもそれは ()()()()()()の様で、その尻尾は彼の感情を表すかのようにうねうねと揺れている。

 

 

どこまでも続いてく雲の上の世界を、『龍』の雄叫びが木霊したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

オッス!オラ悟空!

 

いよいよベジータ達が艦娘っちゅう奴らと闘うってよ!か~っ!!羨ましいなぁ。オラも闘いてぇぞぉ。

 

ベジータ「どうした!貴様らの実力はこの程度か!?」

 

長門「言ったはずだ、この長門を侮るなと!!」

 

次回、「次回!龍球これくしょんー龍これー第4話『俺達が提督に!?ベジータとピッコロの鎮守府着任!中編』

 

 

ピッコロ「違和感の正体…こういうことだったとはな」

 

ベジータ「どういうことだ!?説明しろ、ピッコロ!」

 

 

 

次回も絶対見てくれよな!

 

 

 

 

 




という訳でやっと前編(という名のお話会).前の話のあとがきの追記で書き足しましたが、あまりにも長くなりすぎたので中編、後編と分けます。ついでに言えばまた伸びる可能性もあるという訳だぁ!あまりにも長くなるとだれるのでもちっと文章少なくしたりはしょったり考えたリーしなければ…この作品の面白さが破壊しつくされてしまう!今後も不定期更新にはなりますがそれでも良ければお付き合い頂ければ幸いです…ハイ…。
追記(8/27 16;07)界王様の最後のナレーション忘れてたので追加しました。
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