龍球これくしょん ー龍(ドラ)これー 着任!!ベジータとピッコロ‼最強の戦士達   作:ムリアリア

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どうも、ムリアリアです。今回は本編第3話(総数では5話)になります。
そしてムシ・・ピッコロのターン!ベジータとは勝手が違うから色々間違えるかもしれません。
なので、そこらへんは生温い目でみてやってくださいw
後、あとがきでうp主からの報告(と言う名の懺悔)があります。
ピッコロ「誰がムシケラだ!首の骨をへし折られたいか・・・」
ブロリー「邪魔DA-!!(ムシケラ☆サッカー)」
うp主&ピッコロ「「クソマァーッ!!」」

天龍「なにやってんだあいつら・・・まっ、俺には関係ないけどな。
それじゃあ、龍これ、始まるぜ!」
???「おーーーい!だれか忘れちゃいませんかってんだ!」
ヲ級「ナニカキコエマシタ?」
重巡棲姫「ワタシノログニハナニモナイナ」
???「ハァッ☆」
雷「影が薄いって?大丈夫よ!私がいるじゃない!」



ナレーター「ベジータの圧倒的な強さにより、謎の軍団は大敗、撤退を強いられた。そこで出会った艦娘というこれまた謎の存在と話をしようとしたベジータであったが、突如現れた強力な気を感じ取り、その場に急行する。一方、彼が異世界に流れ着いた頃、別の場所では一人の戦士がこの世界に迷い込んできたのであった」

龍球これくしょんー龍これー第3話『海色の世界!?艦娘、深海、そしてピッコロ!』


第3話『海色の世界!?艦娘、深海、そしてピッコロ!』

「しかし…本当に妙な場所に来たものだな」

 

海上を派手に水飛沫を上げながら飛ぶ影がある。ナメック星人、ピッコロだ。彼の言葉通り、

本来であれば彼は超サイヤ人3になったゴテンクスと共に精神と時の部屋から外の世界に

脱出していたはずであった。それが何故こんな所にいるのか?

 

時はベジータがこの謎の世界に迷い込んだ少し前まで遡る――

 

 

 

 

【ザ…ザ・・・『…ノ…リト…テ…メ・・・‼』】

【ザ…ザ…『コ…ハユ…セ…』】

 

(な、何だこれは…!?グッ…頭が、割れるようだ…!!だ、駄目だ。意識が…)

 

 

ピッコロはゴテンクスの超パワーによってこじ開けられた次元の穴を通る際、何やらノイズの様な物が脳内を走るのを感じた。

だが、その内容を理解するより前に、ノイズによって生じた激しい頭痛により、ピッコロの意識は失われつつあった。

 

(まだ…魔人ブウの脅威は続いてると、いうのにッ…!!す、すまん、ゴテンクス…!!)

 

いくらゴテンクスが超サイヤ人3になったといってもあの最凶の怪物に勝てるという保証はない。おまけにあの性格だ、あの隙の多さと詰めの甘さが、自身を窮地を招く可能性も容易に

想像できる。だから自分が見ておかなければ安心できないのだ。

なのに――

 

そこでピッコロの意識は完全にシャットアウトした。それと同時に謎の光がピッコロを包み

【この世界】からその存在は完全に消え失せたのである。

 

 

 

 

―だが、ピッコロは思ったより早く意識を取り戻すこととなる。

 

≪バッシャァアアン≫

 

「ぶわッ…!?ゲホッ!ゲホッ…な、何だ!?何が起きた…!」

 

派手な音と共にまかれる水飛沫、そして磯の匂いが鼻をつく。ここでピッコロは、自分が

海に落ちたということに気づいた。

 

(どういうことだッ!?確かにここは外の世界だが、俺とゴテンクスが見た光景は

神の神殿だったはずだ!なぜ全く関係ない所に出てきたんだ…!?)

 

そう、確かにピッコロは見たのだ。ゴテンクスが空けた次元の穴から、自分のよく見知った建物が映っていたのを―

 

「と、とりあえず陸地に上がらねば…このままでは、マズイ…!」

 

先ほどのノイズのせいか、頭痛はまだ治らない。何が起きたかを確認するよりも前にまず安全な

場所に移動しなければ、とピッコロはふらふらと覚束ない足…基体取りで舞空術で空に浮く。

幸いな事にピッコロが落ちた場所は陸地に比較的近く、5分程飛んでいると

目の前に陸が見え始めた。

そしてそこには、かなり大きいレンガ造りの建物が建っていた。建物の中央には錨の模様の印が

ついており、荘厳な雰囲気を醸し出している。

 

なんとか建物の近くまでたどり着き、しばらくふらふらと歩く。そして、裏口近くまで

たどり着くが、飛んでる間は比較的治まっていた頭痛が再発し、ピッコロは頭を抱えて蹲る。

 

「ぐ…う…も、もう駄目…だッ…」

 

辛うじて呻き声を出すものの最早どうしようもなく、伸ばした手をだらりと力なく落とすと

バタン、と膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぉらぁああ!!ま・ち・や・が・れッッ!このガキンチョ共ーーッ!!」

「ふふーん!そんなんじゃ捕まらないわよー!」

「なのです~!」

 

朝早くから、とある建物の中から怒りの声と、子供のようにはしゃぐ声が聞こえる。普通ならば

何事か、と誰か駆けつけるはずであるが、騒がしい3人以外には、これといった反応はない。

この喧騒が日常の光景なのか、偶然人がいないのかはわからない。

 

 

『鎮守府』

 

艦娘達の所属する軍事施設であり、装備開発の工廠、食事処、入渠の為の浴場、出撃ドッグなど様々な機能が備わっている。

そして、艦娘達は、この『鎮守府』から海域へと出撃し、戦闘又は遠征を行う。

 

ここは日本に4つしかない鎮守府の一つで、2番目に規模の大きい【呉鎮守府】である。

 

赤い絨毯が敷かれた廊下の中で、怒鳴り声をあげながら追いかける一人の女性と、

楽しそうに女性から逃げ回る二人の少女の姿があった。

 

「ぜぇ…ぜぇ…くっそ…相変わらず逃げ足の早い…!ぜぇ…」

 

追いかけるのをやめてその場で両手を膝に当てて、ぜいぜいと肩で息をしている人物。

彼女は軽巡洋艦、天龍型、その一番艦の天龍である。

長すぎず、かといって短すぎない程の青紫色の髪。敵を威圧するような鋭い黄の右目。左目は眼帯で隠れており、時折、紫電の如き光を発している。頭部には名前の通り『龍』の角の様な形をした特徴的な飾り。服は黒寄りの濃紺のカーディガンに黒のネクタイを着けている

。黒灰(こくかい)色のミニスカートは若干短めであり、彼女の抜群のスタイルと相まって

人には目に毒…かもしれない。

 

「あのチビジャリ共、今度やったら折檻してやるッ!…ふぅっ…」

 

2人に言い聞かせるわけでもなく大声で叫ぶ天龍。だいぶ息が落ち着いてきたのか、中腰の状態

から立ち上がり走ったせいで掻いた汗を右手で拭う。

本来なら駆逐艦の子供如き捕まえるのは訳もない。自分だって足の速い軽巡だ、世界水準越えで

あることを誇りに思っている。

…が、今回は二人いる上に、不意打ちで食らったいたずらに怒って我武者羅に動いたせいで体力がいつもより早く切れてしまったのである。

 

「ったく、子供ってのはいつも体力が有り余ってやがる。…まっ、悪い気はしねぇがな」

 

と、先ほどまで怒ってた割にはまんざらでもない表情を浮かべる天龍。というのも、彼女は

戦闘での活躍以上に資源確保の為の遠征、その旗艦を務めることが多い。そして、その護衛艦と

して駆逐艦達がついていく。

2人の少女――駆逐艦とも長い付き合いであり、お互い慣れっこなのである。

そんな駆逐艦達と共に勇ましく遠征に出撃する天龍の姿を、誰がそう言い出したか

       

            『天龍幼稚園』

 

と、いつの間にか鎮守府の名物の一つとなってしまっていた。

…ちなみにこの鎮守府に所属する重巡洋艦のA(事情により匿名)の話によると、駆逐艦と共に

遠征任務につく際、天龍の顔はものすごく嬉しそうだった様だ。別に幼女好きとかそういうのでは断じてない。

この様に頼れるお姉さん的な存在の天龍であるのだが、この時彼女はある事をふと思い出した。

 

(あれ?そういえば、ガキどもが逃げていった方向…たしかあそこって

まだ掃除されてなかったよな?)

 

知らぬ内に鎮守府内を一周してしまったので気づいていなかったが、駆逐艦達が逃げていった

場所―上に上るための階段が設置されている鎮守府の裏口。その扉の入口は早朝に白露型六番艦の駆逐艦である五月雨が、料理に使うために汲んだバケツ一杯の水を素っ転んで盛大に

ぶちまけたせいで一面が水浸しにしてしまった。本当はその時に掃除されるべきであったのだが、朝食の時間が近づいていたので本格的な掃除は後で、となったのである。

 

「ちょーど廊下の絨毯も変え時だっつってたしなぁ。足を滑らせてなきゃいいんだが…あいつら」

 

そう物思いに耽っていたちょうどその時、遠くから駆逐艦の二人の悲鳴が聞こえた。

 

「はわわわわ!?」

「きゃーっ!?た、大変よー!!」

 

それみたことか、と天龍はため息をつきながら軽く背を伸ばす。どうやらだいぶ息が整ってきた

ようだ。これなら少し走っても問題はないだろう。そう思い、天龍は声がした方に小走りする。

そして、そう時間を経たずして、二人の駆逐艦―雷と、雷にそっくりの電の姿を視界にとらえる。電ははわわわ、と手をパタパタ振りながら慌てふためいている。

雷の方は、尻餅をついた状態で「あわわわ」と、こちらも見るからに慌てた様子を見せていた。

天龍は建物の柱からなので駆逐艦達の姿は横の姿しか見えないが、恐らく

水で足を滑らして転んだのだろう。

 

「おう、ガキ共!怪我はねぇか?ったく、元気がいいのはいいけどよぉ…」

 

やれやれ、と天龍は右手で頭を軽く掻きながら雷を起こそうと手を差し伸べようとする

――しようとしたのだが、雷の発した言葉により、その手をぴたりと止めた。

 

「顔色の悪い人がずぶぬれになって死んでるうううう!!!」

 

「…なッ、なにィイイイイイ!?」

 

天龍の表情が一瞬で凍り付き、一瞬遅れて絶叫が鎮守府内に響き渡った…。

 

 

 

―さかのぼる事数分前、雷と電は天龍の追跡を振り切り裏口近くで楽しそうに話をしていた。

 

「天龍さんもまだまだね!スカートめくりくらいであんなに怒るなんて」

 

「わ、悪乗りした自分がいうのもなんですけど…それって

されたら結構恥ずかしいことなんじゃないですか?」

 

悪戯が成功して満足したのか、ふんす!と得意げな顔をする雷。それを苦笑いしながら見る電。

特III型(暁型)駆逐艦の3番艦である彼女は、当然ではあるが妹の電と共通点が多い。

強いて違いを上げるならば、徽章の位置、靴下の種類、活発な彼女を象徴する、口から覗く八重歯くらいのものだろう。

彼女達は、給料艦の『間宮』が経営している食事処で、朝食の後のデザートを取っている天龍に

対して、背後から忍び寄りその若干丈が短いスカートをめくったのだ。

デザートをほおばりながら頬を緩ませていた天龍は、「ひゃん!?」とかわいらしい悲鳴を

上げた後、怒りで顔を鬼のように歪ませ、羞恥の涙を流しながら、というものすごい形相で二人を捕まえんと追いかけたのであった。

…ちなみに食いかけのデザートは隣にいた龍田がおいしく頂いたらしい。

 

「あんなに隙だらけだったらいたずらしたくなっちゃうわ。

あ、そういえば天龍さんのデザートってなんだったかしら?」

 

「えぇっと…確か『タピオカプリン黒豆添えパフェ』とか言ってたですね。

おいしそうなのです…!」

 

想像しただけで涎が出そうになり、慌てて二人は口元を拭う動作をする。互いにまったく同じ動作をしているのを見て、電と雷はおかしくなってわらった。

 

「とにかく、悪戯とはいえ悪い事をしたんだから後で天龍さんに

二人できちんと謝った方がいいのです。」

 

「そうね。あのままだと天龍さんが少し可哀想だし、暁じゃないけどレディーの

することじゃないわ…あれ?あそこに誰かいるのかしら?」

 

天龍に謝る為、来た道を戻ろうとする雷と電。そこで、雷は裏口を出てすぐのところに人が

いるのを見た。しかし何か様子がおかしい…というか倒れてる。どうみても普通の状態じゃない。

 

「艦娘さんや提督さん以外の人って珍しいのです…って!た、倒れてる!?はわわ…」

「落ち着きなさいって!死んでるんじゃないんだから…でも本当に珍しいわね。

鎮守府の関係者じゃなさそうだし。ただの行き倒れさんかしら?」

 

見慣れない人への驚き半分、何故かうつ伏せで倒れている事への疑問半分で軽くパニック状態に陥っている電。対して慌てる電を落ち着かせつつ、疑問を口にする雷。

確かに雷の疑問は最もだ。この鎮守府は艦娘と提督の為の施設であり、時たまカーキ色の

軍服を着た強面の憲兵や、大本営から視察の目的でお偉いさんが来たりはするが、

基本的には軍属の人間以外にここに立ち寄る人は極めて少ない。目の前の肌色の悪い人間は

間違いなく軍人ではない。幼い駆逐艦達の目から見てもわかるくらい一目瞭然である。

 

「…さっきからピクリとも動かないわ。も、もしかして死…」

 

「ストォオオップ!なのです!と、とりあえず確認してみないと…」

 

最悪の展開を口にしようとした雷をズパッ!と音がしそうなくらいな勢いで手を突き出し

制する電。そろりそろりと小足でゆっくり近づき、若干震える手つきでその人間の

首の付け根にそっと手を当てる。

 

 

 

 

――そして現在に至る。

 

「ど、どどどどうすればいいんだこれ…!?」

 

天龍はあたふたと若干涙目になりながら慌てている。それはそうだろう、いきなり水死体、それも肌の色が緑になるまで変色してる人間を見たら誰だって驚くはずだ。

 

――緑?青白じゃなくて?

 

と、一瞬考えるが、すぐに考えをやめ、水死体をどうするかを目をつぶり考える。

 

「とりあえず一旦鎮守府内に移したほうがいいな…。

雷、電!立てるか?悪ィが脚の方持ってくれ」

 

「は、はいなのです!」

 

「わ、わかったわ!任せなさい!」

 

裏口なのでそれほど目立つ訳でもない。が、それでも死体をいつまでも放置しておくわけにも

いかない。そう考え、天龍は死体の頭の方を持った。

2mを超える長身なので、いくら力が人間よりはるかに優れる艦娘といえど、一人で持ち運ぶのは難しい。一応できなくはないが、下半身をずるずると引きずりながらになるので

流石にかわいそうである。

なので、そこにいる雷と電に呼びかけて脚の方を持ってもらうことにした。

 

「変な物頭に巻いてんな。外国の帽子か何かか?…って、あれっ!?」

 

 

天龍がターバンが巻かれている頭を持ち上げようと手をかけた。すると、水死体と思っていた人物からほんの僅かであるが呼吸をしている事に天龍は気づいた。

 

「こいつ、まだ死んでないぞ!!」

 

「「えぇ~っ!?」」

 

天龍の言葉に電と雷は驚きの声を上げる。先ほどまで息をしてなくてピクリとも動かなかった人が急に息を吹き返したというのだからそりゃ驚くに決まっている。

 

「とは言ってもこのままじゃまた息が止まっちまう!どうすれば…」

 

今から鎮守府にある医務室に運んでいったとしても、それまで持つかどうかわからない。

天龍はどうすればいいと必死に考えを巡らす。そこで電は天龍の服の袖を遠慮がちに掴む。

 

「ん?どうした電。なんかいい考えがあんのかよ?」

 

「あ、あの…天龍さん。確かこの前、明石さんの保健の授業でこの様な事態への対処法というのを習ったのですが…」

 

その言葉に天龍の頭についてる角のような機械の飾りがピクリと動く。

 

「マジか!?で、どうやってやるんだ?」

 

「そ、それは…その…」

 

もごもご、とどこか奥歯に物が挟まったような言い方をする電。

心なしかその表情は紅をさしている。

 

「…?んだよ。はっきりしねぇな。やり方があんだろ?それとも3人じゃ足りねぇのか?」

 

「そう言う訳じゃないんだけど…あれ?天龍さんは授業で習ったことないの?」

 

「う゛っ!!そ、そんな訳ねぇだろ!こ、この天龍様がお前らも

知ってるようなことを知らない訳…」

 

ないだろ、とは言おうとしてその言葉を飲み込む。そういえば、以前に姉妹艦である妹の

龍田と話していた時になにやら言ってたっけか――

 

 

『天龍ちゃ~ん♪今日の明石さんの保健の授業、覚えているかしら~?』

 

『とうぜ…『嘘はよくないわよ~?』す、すまん…覚えてない…』

 

『しょうがないお姉ちゃんねぇ~。いい事?人工呼吸って言ってね~…』

 

―天龍は授業の内容をすっかり忘れていた。いや、それ以前に聞いていなかった…。

授業中によだれを垂らしながら爆睡していたからである。

そして、龍田が話した内容を思い出した瞬間、頭からぼん!と煙のようなものが出て、顔がまるで茹でたタコの様に真っ赤になる。

 

「た、確か胸を腕で圧迫した後に、酸素を送るんだっけか。そ、その…キ、キキキキ…」

 

「口移しで酸素を送る、です!キ、キスではないのですっ!」

 

電もまた顔を真っ赤にしながら必死にキスという言葉を否定する。

そんな漫才の様な光景を雷は若干呆れた目で見つつ、天龍に呼びかける。

 

「二人して何やってるのよ!できないんだったら私がやるわよ?」

 

その言葉で天龍は我に返った。今は息があってもまたいつ心臓が止まるかわからない。躊躇っている場合ではないのだ。

 

「す、すまねぇ雷。…よし!俺がやるっ!!」

 

決心をつけるために頬をぴしゃんと叩く。まずは胸部圧迫をするために、その人物の

胸に両手を当てようとした。

 

 

 

 

 

一方、その人物――ピッコロは、真っ黒で何もない空間の中で目を覚ました。

 

「むっ…ハッ!?こ、ここは一体…。確か、俺は陸地まで飛んで行ったはずだ。

だがこの空間は…!?」

 

人や建物どころか、地面に足がついてる感触すらない。まさか、自分は

死んでしまったのだろうか?とピッコロは考えた。

 

(いや、例えそうだとしてもまずは閻魔大王の所に行くはずだ。こんな何もない

場所に放り出されるなぞありえん!)

 

では、ここは一体どこなのか?眉間にしわを寄せながら考えるピッコロ。しかし…

 

≪ズキンッ≫

 

「痛ッ!!ま、またかっ…」

 

またもや襲い掛かる頭痛。これでは考えることもままならない。徐々に苛々が募ってくるが、この空間から抜け出せなければどうにもならない。

 

取り敢えず頭痛が治まるのを待とうと、目を瞑るピッコロ。だが、そう時間がたたぬ内に彼のいる空間は、ぐにゃりと捻じれながら歪んでいく。

 

(今度は何だ…。ッ!?こ、これは…!)

 

空間の歪みが収まっていくにつれて頭痛も治まってきたので、空間の変化を察知したピッコロは

目を開く。すると、そこには見慣れない物が映っていた。

まず、先ほどの何も映らない黒とは違い、空間ははっきりと景色を映し出している。だが、その

景色はまるであせたモノクロ写真の様な色であった。

 

眼下には錆色の海原が広がっており、そこでは多数の巨大な物体が浮かんでいる。そして、そこから何かが打ち出され、海に落ちると同時に巨大な水柱が上がった。

「あれは、船か。いや、戦艦だったか?」

ピッコロは額に指を当てて、記憶の糸を手繰っていく。魔人ブウが地上でバビディと

共に暴れていた時、地球の軍隊が対抗していた際にこの巨大な鉄塊も

出ていたのを思い出した(最も軍隊は呆気なく壊滅したが)。

 

「どうやら戦闘中の様だな。む?待て。こいつらはブウが暴れているのに、こんなことをしているというのか…?」

 

―魔人ブウが地球を破壊すれば全てがお終いだというのに、この期に及んで

まだ同じ人類で戦う等、地球人は何を考えているのだ――

 

そう思い、眉を顰めるピッコロ。そしてそのピッコロの思惑を余所に、

またもや空間はその形を変えていく。

今度は先ほどまでのようなゆったりとした変化とは違い、まるで

ビデオの早送りのように急激に変わっていった。

船体が真っ二つに裂け、沈んでいく船。戦闘機の爆撃によって炎上する船。沈む船から飛び降りる人間。戦闘機の射撃や戦艦の砲弾で跡形もなく吹き飛ぶ人間。

そして最後に映ったのは、眩い光と共に、天に届くかのような巨大な雲が上がる光景だった。

 

「これはッ…!!」

 

次々に浮かぶ

光景は、ピッコロにとっては別段どうということのない物だった。元がピッコロ大魔王ということもあってこれくらいの事はやっていた(といっても本人はしていないが)し、

そもそも少し前に大量の人間が魔人ブウに虐殺されている場面を見たばっかりなので、特に

胸糞悪いとかそういう感情は沸いてこなかった。…もちろん見ていて気持ちの

良いものかと言われれば、そうででないのも確かだが。

 

しかし、これを見たピッコロには一つの疑問点が浮かぶ。自分から見たら大したことのない戦いであっても、これが人間同士というなら話は別だ。それなりに大規模な

戦闘であることは一目瞭然である。

恐らくは、ブウの出現より前に起こった出来事ではないのか?と考え、自分の…というより、自分の中の『神』が持っていた知識からこの光景を引っ張り出そうとした。だが、どうしても

記憶の中からは浮かび出てこないのである。

 

(どういう事だ…?神の奴が地球に降り立つよりも前の事なのか?

ええい!さっぱりわからんッ…)

 

と、若干苛立ちながら考え事をしていると急にモノクロな空間から一筋の光が発せられた

――まるで出口であるのかを示すように。

 

「考えていも仕方ない、か。今は魔人ブウの後を追う方が先決だ」

 

事態が急を要するのを思い出し、早々に頭の中から先ほどの疑問を追い出すと

ピッコロはその光に向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ッ!!」

 

現実世界に戻ったピッコロは、くわっ!と目を見開き上体を起こす。

と、そこまではよかったのだが…

 

「へっ…?ぎゃっ!!」

 

「はわっ!?」「だ、大丈夫!?」

 

運悪く、目の前には天龍、そして後方に控えていた電と雷がいた。その為、ピッコロが起き上がりざまに頭突きを食らわしてしまった。さらに仰け反った天龍の頭が電にぶつかるという、ちょっとした玉突き事故が起きたのである。雷は電の左後ろにいたので巻き込まれずに済んだが。

 

「痛ッつぅうう…。こっ、こんにゃろぉ!なにしやがるっ!!?」

 

左手で鼻を抑え、右手でピッコロの胸倉を掴み憤慨する天龍。最も、涙目で鼻血を垂らしながら、なのでお世辞にも怖いとは言えない。…哀れ天龍。

 

「て、天龍さん!さっきまで死にかけた人に乱暴するのは駄目なのですっ!」

 

「そ、そうよ!その人、ただでさえ顔色悪いのに!」

 

その天龍を必死に宥める二人の駆逐艦。その光景に、意識を覚醒させたばかりのピッコロは

ぶんぶんと胸倉を摑まれた乱暴に揺すられてもただ呆然としていた。

 

「ちっ!しょうがねぇな…。今回は許してやるけどよ、次やったら

砲撃の的にしてやっからな!!」

 

納得のいかない顔をした天龍であったが、雷と電の言う通り、先ほどまで死にかけていた(天龍達には少なくともそう見えた)人物に暴力を振るうほど、彼女は乱暴な性格ではない。

あくまで突然の起きた事に動揺して取った行動である。そういう所が

彼女が慕われている要因の一つなのである。

 

そして肝心のピッコロはというと―

 

(神の神殿ではない…!?クソッ!やはり無理矢理次元に穴を開けたのは不味かったか?)

 

と、心の中で狼狽していた。次元という極めて不安定な世界では何が起こるか

分かったものではない。しかし、魔人ブウを追わなければデンデ達や他の仲間が危ない――

そう思い、ピッコロはゴテンクスが開けた穴に入ったのだ。

 

(異次元に迷い込まなかっただけマシだったと思うしかないか…それにしても、ここはどこだ?)

 

天龍が揺するのを止めるのと同時に、ピッコロは目だけを動かしていた。何らかの施設、それも

かなり格式高い物であるのは間違いない。だがピッコロはこの様な建物は見覚えが無かった。

しばらく、とは言ってもピッコロにとっては一瞬であるが、考えた後にピッコロは目の前にいる

3人の人間に話を聞こうと結論付けた。だがその前に、とピッコロは

上半身だけ浮かした状態から、すっと立ち上がる。

急に立ち上がったものなので、天龍はビクッと震え、雷と電は若干涙目になりお互いの手を

ギュっとつないでいる。いきなり2mの長身の強面が立ち上がる図はそれだけでも衝撃だろう。

 

「あ~…その、なんだ。すまなかった」

 

ピッコロは軽くではあるが、頭を下げて謝罪の言葉を口にした。不意の出来事とはいえ、相手に

ケガをさせてしまったのだからこのまま話をしても相手の気分を害するだけだろう、とピッコロは考えた。謝り方としてはかなり雑ではあるだろうが、それでも謝ったのである。

ピッコロとして生まれ変わってから今に至るまで色々な事があり、多少は丸くなったものの

前身はあのピッコロ大魔王である。そんな悪の化身みたいな存在が、3人の

人間の女性に対して頭を下げているのだ。

 

恐らく、この光景をZ戦士達が見たら大層驚くはずだ。悟空だったら笑い転げるだろうし、

ピッコロ以上に仏頂面のベジータですら驚くだろう。…多分。

 

「えっ!?あ、ああ…。わ、わかりゃいいんだよ!わかりゃ」

 

「ちょ、ちょっと怖かったのです…」

 

「わ、私も…」

 

ピッコロが謝るのを見て、天龍はビビッた自分を無理やり押さえつけるように、軽巡にしては

かなり大きい胸を突き出すようにしてふんぞり返る。

 

電と雷は、ピッコロの意外な行動に驚く。が、その行動もあってか、未だ緊張はしているもののピッコロへの警戒は薄くなっていった。

 

「あ!まだ立ち上がってはダメなのです!ただでさえ顔色が悪いのに無理をしては…」

 

「そうよ!私達が医務室に連れて行ってあげるわ。明石さんなら問題ないわ!」

 

心配性の電は、ピッコロに安静にするように促す。しかし、ピッコロは「構わん」といつのまにか腕組みをしたまま、素っ気ない言葉で返す。そして、

 

「少し前まで頭痛を患ってただけだ。問題ない。…あと、俺は元々こういう顔色だ」

 

と、電の言葉に律儀に突っ込むのであった。

緑というありえない肌の色であるが、そもそもピッコロは異星人なので特に問題はないのである。ギニュー特戦隊のジースやバータなんて赤と青だ。もちろん天龍達は

そのことを知らないのであるが。

 

「それはそうと…ここはどこだ?見た所、まだ魔人ブウの被害にはあっていないようだが…」

 

「ぁん?どこって…鎮守府だろ。オッサン、見たところ軍属じゃなさそうだがよ。

鎮守府が何かって事くらいわかるだろ?」

 

「オ、オッサン…!?」

 

オッサン、という言葉に呆然とするピッコロ。いくらなんでも初対面であんまりである。以前

悟天とトランクスに初めて会った際、二人そろって「ピッコロのおじさん」と言われたのである。

その時は「おじさん」という言葉の意味がわからず、後で悟飯が苦笑しながら

教えてくれたのであった。「オッサン」も恐らくそれと同じだ。

ピッコロ大魔王から生まれ変わった存在であるので、あの頃からだいぶ立った現在でも(人間に

当てはめると)20歳にも満たないのに、である。

 

「それに…魔人ブウってなんだよ。そんな屁こいたような名前の奴なんざ知らねぇぞ?」

 

天龍は呆れながらピッコロに向かって喋る。その隣では電が「そんな下品な言葉いっちゃいけないのです!」と顔を赤くしながら言っている。

 

そんな天龍の言葉にピッコロは怪訝な顔をする。ブウを知らないなんて普通では

考えられない事であるからだ。

 

(ブウが地球全土で暴れているのは魔導士バビディを通じて全地球人が知っているはずだ。

知らないなんて事はまずないはずだが…ん!?)

そこでピッコロははっ、と気付く。魔人ブウが神様の神殿に来るまでの出来事を思い出した。

 

(そういえばブウは地球人をほぼ皆殺しにしたとか言っていた。

だがこいつらは普通に生きている…)

 

 

魔人ブウが神様の神殿に来た際に、ピッコロは悟天とトランクスの修行時間を稼ぐため、敢えて

ブウに地球人を攻撃させるという苦渋の選択をした。

―結果として、ブウはエネルギー弾を豪雨の様に地上に降らせ、サタン・天津飯・餃子を除いて

皆殺しにしたのであった。だが、ここにいる地球人は普通に生きている。

 

(チッ!考えたくはないが…ここは()()()()()()という可能性があるかもしれんな)

 

ピッコロがそう考えたのは理由がある。まず考えついたのは、ブウがいない平行世界という可能性だ。未来トランクスの一例(あっちは本来いないはずの存在がいたという物で厳密には違うが)もあるので、可能性が無いとは言い切れない。

だがその考えは否定した。もしそうならブウやバビディ以外にも感じ取れる気はあるはずだ。神様の神殿に避難しているZ戦士達が殺されたとしても、ピッコロは天津飯と餃子がブウの攻撃から

逃れたのを知っているので、生きている二人の気を感じ取れないという事はありえないのである。

もしかしたら自分達が脱出に手間取っている間にブウに殺された、という事も有り得るかも

しれないが、そこまで考えるときりがないのでピッコロは暫定的にではあるが、ここが異世界だと結論付けた。

 

(どうすれば…!俺にはゴテンクスの様に次元に穴を開ける程のパワーは持ち合わせていない。

いや、そもそも持ち合わせたとしてもまた元の地球に戻れるかどうかわからん!クソッ…)

 

どちらにせよ、ブウの気配が感じられない以上この世界に長く留まるべきではない。

しかし自分の力ではどうすることもできない。

一体どうすれば、と必死に考えを巡らせるピッコロであったが、そこで

彼を現実に引き戻す声が一つ。

 

「あの、先程から俯いて顔から汗を流してますが…本当に大丈夫ですか?」

 

「ムッ…あ、ああ。大丈夫だ、何も問題はない」

 

駆逐艦の電である。彼女は少々心配性な所があり、ピッコロが問題ないと言っても

不安を隠せないのであろう。顔をゆがませながら俯いている彼に声をかける。

彼女の姉である雷も、世話焼きな性格なので、会ってて間もないピッコロの事も放ってはおけず、彼に指をびしっ!と向けて話しかける。

 

「そう?でも一応、診てもらった方がいいわよ。天龍さん、私は

医療室に行って明石さんに声を掛けてくるわ!」

 

「…そうだな。事情を聴くにしてもとりあえず先にやることがある。うし!俺は

この事を提督に報告しに行ってくる!」

 

天龍はぐっ!と拳を握り、駆け足で鎮守府の方に向かった。…鼻にティッシュを突っ込んでいる

ため、少々間の抜けた姿に見える事は触れずにおこう。

雷の方も、天龍と同じく鎮守府の方に走る。提督のいる執務室と明石のいる医療室は

離れているので、途中で二人は別れる事になる。

 

こうして、今この場にいるのは、ピッコロと電だけになった。

 

(は、はわわ!二人だけになってしまったのです…。ど、どうしよう…)

 

電はピッコロの方をちらちら見ながら話を持ち掛けるべきかと必死になって考える。

気弱な性格の為、この何もない空気が重、耐えられないのだろう。

そしてピッコロの方はと言うと、

 

(な、何かよくわからん方向に話が進んでいっている気がする…。

どうする?一応魔人ブウの事を話しておくべきか?いや)

 

するだけ無駄か―ピッコロはそう考える。もしも、先ほどの自分の予想が正しければ、

ここは魔人ブウの様な邪悪な存在がいない世界なのかもしれない。

そんな所で自分がいくら話をしてもまともに取り合ってはもらえないだろう。

ならば別に何もする必要はあるまい…。

 

 

 

ピッコロの判断は正しかった。ここはドラゴンボールもなければ、神様や異星人の類が

存在しない、文字通りの異世界である。だが――

 

「――ッ!!?」

 

「ど、どうしたのですか!?」

 

ピッコロは遠く離れた場所から、複数の気配がここに向かって来ているのを感じ取った。

それもただの気配ではなく…

 

(なんだ、この気は…!?気の大きさは大したことはない。

だが…とてつもない悪意を発していやがる!!)

 

ピッコロは驚愕していた…その禍々しい、まるで津波の様に押し寄せてくる邪悪な気配に。

無論、こういった気配を今までに感じたことが無いわけではない。宇宙一の強戦士族サイヤ人。

宇宙の帝王、フリーザ。悪の科学者が生み出した究極の人造人間、セル。

魔導士バビディに魔人ブウ。

なにより自分がピッコロ大魔王の生まれ変わりである為、こういった感覚には鋭敏である。

だが良くも悪くも純粋な悪意を持つ彼らと違い、今感じているのは

極限まで歪み、捻じれたドス黒い感情。

恨み、妬み、殺意、その他諸々がぐちゃぐちゃに混ざり合った、まさに『()()()()()』であった。

 

「………」

 

ちら、と流し目で雷を見る。この少女や先程の二人、そして建物の中からもちらほらと高い気を持った存在を感じられる。どういう訳かは知らないが、人間にしては

妙に大きなパワーを持っている。

だが、恐らくこちらに向かってくる気配の持ち主達を押し返す事はできないだろう。戦力に差が

ありすぎるのだ。蹂躙されるとまではいかずとも、かなりの被害が出る事は容易に想像できる。

――だからどうした。俺にはやらねばやらんことがある。そう思いはするものの、どうしても目の前の少女から目が離せない。

この時ピッコロは、何故か少女の姿と、自分のかつての宿敵であり今は友人の孫悟空の息子、

孫御飯の小さい頃の姿が重なって見えた。

 

 

(フン、以前だったら関係ないと放っておいた所だが…俺も甘ちゃんになったもんだぜ)

 

そう思い、ピッコロは小さく舌打ちをする。しかしその顔はまんざらでもなさそうであった。

 

「おい、其処のお前。あ~…」

 

そういえば名前を聞いていなかった。先程の片目が塞がった女性の名前は聞いたものの、目の前の少女の名前はまだわかっていない。

なので、ピッコロはまず名前を聞いておこうと声をかけようとしたのだが…

 

「ひうっ!?こ、怖いのです!食べられちゃうのです!!」

 

「食べるかっ!!!」

 

顔を真っ青にさせながら怯える電。先程から物凄く険しい顔しか

していなかったので怖がらせてしまったのだろう。

しかしピッコロは人は勿論、動植物も食べないのである。彼を含むナメック星人という

種族は、水さえあれば何も問題はないのである。

と、どこかでしたことがある突っ込みをするピッコロであったが、

咳払いをすると電に話しかける。

 

「と、とにかくだ!俺はお前に危害は加えん。所で、お前の名は?」

 

「ほ、本当ですか…?い、電(いなづま)です。どうか、よろしくお願いいたします!」

 

おっかなびっくりではあるがものの頭を下げて自己紹介をする電。

緊張のあまりか、声が若干上擦っているようだ。

 

「いなづま、か。うむ、俺はマジ…ゲフン。ピッコロだ」

 

一瞬マジュニア、と言いかけたが、これはピッコロがかつて天下一武道会に

出たときに正体をばらさないように登録した偽名である。

当然、ここではピッコロの名を知っている者はいないはずなのでわざわざ偽名を出す必要はなく、普通に自分の名前を明かした。

 

「ピッコロさん…ですか?か、変わった名前なのです」

 

一瞬、きょとんとした顔をする電。基本的に彼女達艦娘は、元となった軍船の名前を

そのまま引き継いでいる。なので名前は漢字が基本だ。

故に少し違和感がある…かもしれない。

 

「む?別段変わった名ではないと思うが…まぁいい。それよりもだ」

 

そんなに変わった名前だろうか?と、一瞬悩んだピッコロであったが、今は特に関係のない内容なのでスルーする事にし、目の前に広がる海の方に向けて指をさす。

 

「向こうから複数の気がこちらに向かって来ている。どういう訳かは

知らんが、ここを狙っているようだな」

 

「えっ…!?なんでそんな事が…いえ、それよりそれってもしかして…深海棲艦!?」

 

「深海棲艦、だと?それが名前なのか?」

 

―聞いたことが無い名だ。ピッコロは記憶の本棚から引っ張り出そうと

するものの、やはり出てこない。

 

「そ、そうです!(ど、どうしよう…加賀さん達はまだ出撃した海域

からは帰ってこないだろうし…)」

 

ようやく気分が落ち着いてきた矢先にこの凶報である。電はまたピッコロと出会ったばかりの時の様におろおろと慌て始めた。

電の言う通り、旗艦である加賀が率いる艦隊は現在、別の海域に出撃中だ。呉鎮守府周辺の海域には深海棲艦が多数いる為、散発的に敵の襲撃に遭う。故に艦娘達数人(基本は6人)を一艦隊と

して編成し、迎撃任務や偵察任務に当たらせるのだ。

今回も鎮守府より遠く離れた海域で、深海棲艦が不穏な動きを見せている、との情報が入り、加賀達は索敵、場合によっては敵の撃滅も視野に入れた任務を行っていた。

このタイミングで襲撃、ということは恐らく加賀達が向かった先の深海棲艦群は囮、こちらに

向かってくる方が本命なのだろう。

この呉鎮守府は規模も大きく艦娘の数も多いものの、加賀達以外にも複数の艦娘達が

偵察任務、または遠征任務についている為、鎮守府には敵の大軍団を

迎え撃てるほどの数が残っていないのが現状だ。

 

(で、でも本当に敵襲なのでしょうか…?もしかしたら

加賀さん達か他の艦隊が帰投した可能性も…)

 

と、電は半信半疑であったが、ピッコロは海の方に向けていた顔を電の方に

向けると、腕組みをしながら話す。

 

「事実だ。何か身震いがする様な…凄まじい悪意を感じた。

お前たちにはそれが感じられない事もあるが…間違いなく敵だろう」

 

「そ、そうですか…。って!な、なんで私の考えていた事がわかったのですか!?」

 

「ほんの少しだが口に出ていたのでな。俺の聴覚は人間とは出来が違うんだ」

 

「ほぇ…す、すごいのです…」

 

―かつてトランクスが地球に帰ってきた悟空に自分の秘密を打ち明けた際にも、ピッコロは二人の距離が相当離れているにもかかわらず、その会話の内容を一字一句、しっかり聞いていた。

…その代償かせいかは知らないが口笛が大の苦手ではあるのだが。

 

「そこで、だ。先程、助けてもらった礼もある。ここは俺がなんとかしてやろう」

 

その言葉に電はきょとん、とする。その言葉の意味することを理解しきれていないのだろう。

 

「ふぇ?何とかするって…一体どうするのですか?」

 

「俺が奴らを叩き潰す。一人で十分だ」

 

「………」

 

ピッコロは、さも当然の様に言い放つ。

一瞬、呆然とする電であったが、ピッコロの言った言葉を理解した瞬間、

本日一番の大声を上げた。

 

「えッ…えぇええええ―――――ッッ!?」

 

 

 

 

 

 

そして時は現在に至る――

 

「並の人間より遥かに高い気を持った存在、そんな奴らが至る所にいやがるとはな。

ここの地球も案外、俺たちの地球と似たり寄ったりかもしれん…」

 

海上を凄まじいスピードで翔けながらピッコロは呟く。ピッコロ達が住む地球は過去にも凶悪な敵が地球を狙ってきた。サイヤ人、フリーザ、人造人間、セル(人造人間達は地球を狙ったわけではないが)。

ちなみにこれは本人が知らない、というより知ることができない事ではあるが、

異なる平行世界では、それこそ両手で収まりきらない程の危機が地球に迫ったのである。

流石にそれらと比べるとかわいいものであるが、やはりここの地球も人類の脅威となる存在と

闘っているのだろう。そうでなければ、ただのか弱い少女にしか

見えない存在があれほどのパワーを持っている理由にはならない。

 

「さて…ここらにいるはずだが…むッ!?」

 

そんな事を考えていながら飛行しているピッコロであったが、急にその足を止める。物凄く濃密な『悪意』がこの周辺とその先の海域から発せられているのだ。

常人ならここにいるだけで恐らく気が触れてしまうだろう。

 

「………そこかッ!!」

 

ピッコロはかっ!と目を見開くと額に揃えた人差し指と中指を当て、目の前の何もない空間にその指を振り抜く。すると、その指先から―

 

≪ズォビッ≫

 

と、独特な音と共に、螺旋のエネルギーを纏った黄の光線が放たれた。その光は凄まじいスピードで進み、その先にあった飛来する物体を貫通、爆砕せしめた。

 

『魔貫光殺砲』

 

かつて地球に来襲した初めてのサイヤ人であり、孫悟空の実の兄であるラディッツに対して

使用した技である。初使用時は戦闘力に大きな差があったので、撃つのに長い『溜め』を

しなければならなかったが、威力に拘らなければ速攻で打つことも連射することも可能である。

 

「咄嗟に撃ったが…まぁ問題はあるまい。こちらに向かって来ていたという事は

恐らく俺を狙っていたはずだ」

 

そう呟くピッコロ。そしてその予想は当たっていた。

 

 

 

 

 

 

「ッ……」

 

「ドウシタ、ヲ級?」

 

ピッコロがいた所より少し先の海域。そこでは無数の影がうごめいていた。

 

黒光りする魚のような一つ目の怪物。身体の半分を占める巨大な頭部に青白い手足が生えた怪物。細身の体とは不釣合いな程の巨大な鉄拳を持つ異形の者。腰まで届くほどの長い髪を持ち、水兵服に際どい下着という異端的な姿に腰からは巨大な砲塔をいくつも持つ者。

 

その周りには同じ様に魚の怪物がうようよと犇(ひし)めいている。

その先頭には、二つの影があった。

 

「サキホドワタシガハナッタカンサイキガ、ゲキツイサレマシタ」

 

―頭には先程の青白い手足の怪物の頭部、漆黒のマントを羽織り、指揮棒を携えている。

 

『空母ヲ級』―そう称される彼女は、指揮棒の先端部分を握りしめていた。彼女の顔は無表情ではあったが、唇からは「ギリッ」と言う音が聞こえる。

 

「…テキのカンサイキカ?オモッタヨリホソクサレルノガハヤイナ」

 

―色素が抜けきったかのような白髪、敵を射貫くような金の瞳、額には左右非対称(左が大きい)の角が付いている。胸部から腹部まで開いたフード付きの服を纏い、両手には黒いグローブ。

左足は赤白ストライプ柄のソックスので覆われている。

そして特徴的なのは、腹部から生えている二本の艤装である。白いウツボの様な姿をしており、頭部からは砲塔が突き出ていて、その姿は不気味極まるものだ。

 

『重巡棲姫』―彼女は、ヲ級からの報告に眉をしかめる。

明らかに捕捉されるタイミングが早すぎるのだ。

 

彼女等深海棲艦は、拠点が暗い深海という事もあってか気配を消す事に長けている。全て、と言う訳ではないが、兵器の質は艦娘側は深海棲艦側より劣っているので

敵影を補足しそこね奇襲を喰らう…などという事もたまにある。

 

海上からの進軍であればとっくのとうに気付かれていたが、今回は移動速度を犠牲にギリギリまで海の底から進軍したので、鎮守府まで近い距離になっても補足されずに済んだのだ。

…そう、()()()()()()

 

「イエ、ソノ…ホソクサレタ、トイウノハマチガイナイノデスガ」

 

「…?ドウシタ、ハギレノワルイイイカタダナ」

 

ピッコロが海上を移動している頃、重巡棲姫率いる深海棲艦群は深海から浮上して海上へ立った。そして、敵に気付かれていないかを確かめる為、空母であるヲ級は

偵察の為に艦載機を発艦させたのだが…。

 

ヲ級が受けた艦載機からの報告は驚くべきものであった。

『敵影を補足したとの事、しかしその数は一つ、艦載機ではなく

人型である。飛行速度は戦闘機をも上回る』

 

これに対しヲ級は驚愕した。―艦娘共め、いつの間に空を飛べるようになったのだ?―と。

しかも戦闘機より速いとは、常識では考えられない事である。

 

その後、謎の敵影は停止し辺りを見回している、との報告を受けたヲ級は

『我らの事を補足されるとまずい。発見次第射殺しろ』と艦載機に告げた。

しかし結果はまさかの返り討ちである。しかもあっさりと。この事を伝えるべきかどうかヲ級は迷ったが、言わないと後で『姫』に何をされるか分かったものではないので、素直に報告する事にした。

 

「カンサイキヲゲキツイシタノハチュウニウイタ「ニンゲン」デアッタト…。

オソラクハワレラノソンザイモキヅカレテオリマショウ」

 

「ナニッ!?マサカカンムスガソラヲトブトイウノカッ!?ワレラデモフカノウダトイウノニ…!!」

 

ヲ級から告げられた言葉に驚愕する重巡棲姫。艦娘にしろ人間にしろ『人』が空を飛んで、

あまつさえ空を飛び回る艦載機を叩き落したのだ。常識では考えられない。

更に艦載機を撃墜した人物が、こちらの存在を艦娘達がいる鎮守府に報告をする事は

まず間違いないだろう。事態の悪化に重巡棲姫は頭を抱える。

 

(クソッ、マサカコンナコトニナロウトハ…クウボノヤツ(空母棲姫)ガヤラレルトハ

オモエンガ…コウナッタラ!)

 

重巡棲姫は頭を上げると、右手を前に掲げ、叫ぶ。

 

「ワレラノソンザイハスデニテキニシラレテイル!!オトリノブタイガ

モチコタエテルアイダニ、ジンソクニテキノホンキョチヲタタクノダ!!ススメェエエ!!」

 

要はやられるまえにやれ、という事である。少し強引ではあるものの、もたもたしていたら艦娘達の部隊が戻ってきてしまう。そうなったら、最悪鎮守府の部隊との挟撃で壊滅する恐れがある。

そうなる前にこの大軍勢で敵拠点を潰す。そう考え、重巡棲姫は進軍を再開した。

 

 

 

 

――ここで重巡棲姫は致命的なミスを犯した。先程の艦載機を撃墜した謎の敵影。これについて

もう少し警戒をするべきであったのに、作戦のミスによる焦りと、それを招いた犯人への怒りで

冷静な判断ができなくなり、進軍を再開してしまった。全方から大量の光が迫っている事も知らずに――

 

≪ボボッ…ボッ…ボッ…ボボッ…ドグウオッッ≫

 

「ッ…!?」

 

「グゥッ…ナ、ナンダ!?」

 

轟音と共に、球状の光が海に着弾する。まるで鯨の潮吹きの如き巨大な水柱が何本も立ち、視界が遮られる。余りの衝撃に顔を手で覆い、目をつぶるヲ級と重巡棲姫。

視界が晴れてくると、そこには自分の手下の魚の怪物―駆逐艦達が、多数海の上にぷかぷかと

浮かんでいた。体の随所から炎が噴き出ているところを見ると、轟沈は避けられないだろう。

 

「バ、バカナ…!!!」

 

重巡棲姫は何が起こったかわからない、という顔をしている。ヲ級も同じく、その顔を

驚きに染めていたが、すぐに気を取り直して全方の上空を指さす。

 

「ヒメサマ!アソコニナニカガ…!」

 

「…!!」

 

きっ、と空を見上げる重巡棲姫とヲ級。そこにはマントをたなびかせ、腕組みをして

こちらを見下ろしている者がいた。

 

「なるほど、貴様等が深海棲艦、とやらか。どんな化けモンかと思いきや

意外と人間に近い姿をしているようだな」

 

「オノレェ…!カンムスデハナイナッ!!ナニモノダ、キサマハ!?」

 

怒号のあげる重巡棲姫。それに対し、その人物は口の端をニィ、とつりあげた。

 

「てめェ等に教えてやる義理は無い。…が、敢えてこう言ってやる。

 

 

俺はかんむすとやらでも地球人でもない。

 

 

俺は『貴様らを倒す者だ!!』」

 

 

暗き水底に潜む怪物の姫君と異世界の闇の大魔王の息子。両者がここで激突する!!――――

 

「・・・ェ」

 

「む?」

 

「 (`0言0́*)ヴェアアアアアアアアアア!!キモイチワルイヤツガデタァアアアア!!」

 

「やかましい!!」

 

 

―――かもしれない。

 

 

 

 

ナレーター「突如現れた謎の大軍団。その名は深海棲艦!鎮守府を襲撃しようとする彼女等の前に現れたピッコロ。

幼い少女、電。そしてその仲間達の拠り所を守らんと、異世界の大魔王の息子は

闘うことを決意した!

果たして、ピッコロはこの邪悪な者達を相手に勝利をつかむことが、できるのか!?」

 




悟空「オッス!オラ悟空!!ピッコロの奴もこっちに来たんかぁ!
頭押さえてうんうん唸ってたけど本当に大丈夫だったんかなぁ?あいつ。
がんばれピッコロ!今皆を守れるのはおめぇしかいねぇ!」

ピッコロ「貴様らを見過ごすわけにはいかん。くたばれっ!!」

重巡棲姫「チ、チックショオオオ…!!」


悟空「次回!龍球これくしょんー龍これー第4話『ピッコロ大暴れ!
ナメック星人を舐めるなよ!!』」



ベジータ「やはり…貴様か。ピッコロ!!」

ピッコロ「ベジータ!?なぜおまえがここに…」



はい、と言う訳で2話終了で…
ターレス「1月近くもかかるとは…サイヤ人の面汚しめ!」
いやサイヤ人じゃないから!後投稿の方には色々と事情がね・・・。
ターレス「ほーぉ?まだ言い訳する気か。このまま、死ぬか?(キルドライバーの構え)」
アイエエエ…(失禁)

ゴホン。お詫びしたいことが二つあります。1つは投稿が1月も伸びてしまったこと。
就活途中なのでなかなか書けないのと今後の展開どうしようか迷って
こんなに伸びに伸びてしまいました。反省!
もう1つは3話のタイトルを変えたことです。今回ものすご~~くグダグダな展開のせいで、
ピッコロさんの戦闘シーンが最後だけになってしまいました。本当だったら
終わるところまで行きたかったのに・・・。
次はもう少し考えてから書きます!申し訳ありませんでしたァ!(土下座)
後、これはアンケートみたいなものになるからここで書いていいのか微妙ではありますが…。
あと2,3話後にベジータとピッコロが本格的に艦娘達と絡むようになるんですが、アニメ基準で行くか、オリジナルで行くか迷っています。
皆さまはどちらの方がよいですか?もしよければ感想と一緒にお願いします。後、長くなったのでいったんあげましたが、後で文章が読みやすいように編集しなおします。

ピッコロ「貴様、やる気あるのか!?行き当たりばったりで書いているからこうなるのだ!」
悟空「まぁいいじゃんかぁ。じゃ!みんな、また見てくれよな!」



追記(10月18日);本文にいろいろ手を加えました。後サブタイを。それと前書きに雷ちゃんを出しました。パンツは泣いていい…。
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