龍球これくしょん ー龍(ドラ)これー 着任!!ベジータとピッコロ‼最強の戦士達 作:ムリアリア
ピッコロ「おい!前回からだいぶ間が開いているぞ。界王拳がなんだって?(ゴキゴキ)」
た、ただの界王拳だから…まだ本気出してないだけだから!
ピッコロ「ふざけるなぁ!激烈光弾!!」
???「グレンキャノンもだっ!!」
???「手裏剣も付けるぜ!」
ちょっ…お前らどこから湧い・・・ニョワァアアアアアアアアア‼
ナレーター「ベジータと同じく、同じ様で同じでない地球に来てしまったピッコロ。鎮守府と呼ばれる場所に流れ着き、そこで出会った少女達に詳しい話を聞こうとするピッコロであったが、
突如邪悪な気配を感じ取る。果たしてその正体は何なのか?そして、ピッコロはその存在に打ち勝つことが、できるのか!
第4話『ピッコロ大暴れ!ナメック星人を舐めるなよ!!』」
≪ヒュオオオォォォォォォォ…≫
「………」
「………」
大海原を舞台に睨みあう二者。片や嘗て世界を恐怖に陥れた大魔王の息子、ピッコロ。片や海を蹂躙し人類に絶望を与える悪鬼、深海棲艦。
時間にすればほんの僅か―しかし、無限を感じさせる静寂を打ち破ったのは…
「はっ!!」
「ッ!」
――ピッコロだった。右手を突き出し、気弾を発射する。牽制の為なのか、先程駆逐艦の群れを壊滅させた程の大きさは無い。
重巡棲姫達も何かあれば動ける様に準備していた為、ピッコロの動作に合わせて散開する。
一発だけでは終わらず小型の気弾を弾幕の様に広範囲に展開するピッコロ。その密度に避けきる事ができなかった駆逐艦の数体が被弾する。
「ギュオオオ…」
身体をぐらつかせ、呻き声をあげる駆逐艦達。流石に一撃では仕留められないが、それでもダメージはあるらしく身体から煙を吹き出している。
雨の様に降り注ぐ気弾、そのうちのいくつかがヲ級に降り注ぐ。ヲ級は回避しきれぬと悟ると、とっさに艦載機を出し盾にしようとする。
≪ドォオン!≫
気弾が着弾し、小さい水柱が立つ。バラバラに展開していた深海棲艦の群れはピタッと止まる。
恐らくヲ級は重巡棲姫程ではないが重要な立場にいる者なのだろう、セーラー服の戦艦『タ級』やビキニ水着に両手の巨大な艤装が特徴の重巡『リ級』は驚いた顔で音がした方を見ていた。
しばらくして、水柱がなくなり視界が晴れるとそこには―
「ッ!?ヒメサマ…!」
「コノテイドナラワタシガウケル。ムダニカンサイキヲショウモウサセルナ!」
「ハッ…」
いつの間にかヲ級の前にいた重巡棲姫と、それに驚くヲ級の姿があった。恐らく重巡棲姫がヲ級をかばったのであろう、だがその身には傷の一つも見当たらない。
一方、仕掛けた方のピッコロは、先程気弾が当たる直前に見た光景について考えていた。
(姫とか言われていた奴が前に出た時、一瞬だが奴から強いパワーを感じた。あれは…)
重巡棲姫は気弾に当たる直前に片手をかざしていた。すると、本人を中心にうっすらと赤色の透明感を持った『何か』が出現した。
恐らくそれで防いだのだろう、何故ピッコロがそう思ったかというと、過去に似たような事をした敵と闘った事があったからである。
―【バ…バリアー…か!?】―
―【残念!…惜しかったな?】―
7年ほど前、究極の人造人間セルが暴れまわって間もない頃、亀仙人の家に移動したZ戦士達の前に現れた3人の人造人間。
そのうちの一人、レッドリボン軍の狂気の科学者Dr.ゲロによって改造された人造人間17号とピッコロは闘った。
その戦闘の際に大量の気弾を集中的に浴びせたにもかかわらず、高密度のエネルギーを障壁の様に周囲に張り巡らした17号にはまるで効果がなかったのだ。
(とはいえ先程のは牽制に過ぎん。17号程の性能があるかどうかはわからん…もう少しは様子見だな)
ピッコロは先程の様に大量の気弾を打ち出す。今度は重巡や戦艦にも被弾した。が、先ほどの様にバリアーの様な物に阻まれて威力を軽減されてしまう。戦艦に至っては埃が付いただけで無傷である。
どうやら全ての敵がバリアーを持っているようだ。先程駆逐艦級がダメージを負ったのはバリアーの質が低いせいだろう、とピッコロは分析する。
一方、その様子を重巡棲姫は憎々しげに見上げる。
「チッ!コレデ・・オチテシマエ!!」
腹部から伸びる2本(体?)の艤装、その先端の顔らしき場所から生えている砲『8inch長射程連装砲』が《ガコココ...》と重厚な音を立て砲塔を上空にいるピッコロに向ける。両目の2門、双頭合わせて4門の連装砲から巨大な鉄の塊が轟音と黒煙と共に吐き出された。
それを合図に戦艦、重巡、軽巡、駆逐艦等が一斉に空中に向けて砲撃を放つ。その凄まじい弾幕は艦娘であれば即大破、下手をしたら轟沈は免れない。
―だがそれはこの世界であれば、の話。ピッコロは持ち前の舞空術で、文字通り空を舞うかの様な動きでなんなく躱していく。
たまに当たりそうな時もあるが、その時は気弾で相殺していった。
重巡棲姫は悔しそうに歯ぎしりすると、ピッコロに向かって咆える。
「オノレッ…チョコザイナマネヲ!オリテクルガイイ!ヒキョウモノメッ!」
重巡棲姫率いる深海棲艦は攻めあぐねいていた。もちろん対空手段は持っている。が、今回は奇襲を想定した編成の為、部隊の大部分は駆逐艦、軽巡で占められている。
それに加え、敵も凄まじい密度の弾幕を繰り出しているため、それを避けながら対空射撃をするのは困難を極める。
対空の鬼と恐れられる軽巡ツ級も恐らく撃墜する前に被弾、撃沈されてしまいかねない。
空母も正規空母であるヲ級と軽母のヌ級はそれほどの数もおらず、後の事を考えるとここで艦載機を落とされるのはあまりよろしくないのである。
ピッコロはその言葉を聞き、しばらく目をつむる。そして目を開くとにやり、と口の端を釣り上げた。
「いいだろう、その誘いに乗ってやるぜ」
そう言うが否や、ピッコロは垂直に降りていき海上ぎりぎりの所でピタリと止まる。そして両方の手首と首をゴキゴキと鳴らし、握りこぶしを作る。
「リクエストに応えてやったぞ。さあ、かかってこい!」
わざわざ自分の得意な領域から敢えて不利な場所に身を降ろしたピッコロ。まるで挑発するようなその行為に
重巡棲姫は眉をしかめる。
(マサカホントウニオリテクルトハ…タダノオロカモノカ?ソレトモ)
――余程の自信があるのか――
「バカメ…!オノレノアサハカサヲクヤミナガラ…シズンデシマエ!!」
とにもかくにも敵を倒すチャンスを逃すわけにはいかない、そう考えた重巡棲姫はピッコロに向けて砲撃を開始する。
今度は艤装からだけでなく、腰の両面に備え付けられている連装砲からも砲撃を放つ。更には艤装の口と思われる部分が≪ガパァ…>と不気味な音ともに開き、魚雷『22inch魚雷後期型』が吐き出される。装備している全ての兵装が火を噴いた為、重巡棲姫の周辺からは煙が漂い、彼女自身の姿も一瞬であるが覆いつくされる。
しかし、その総攻撃ですら空を自由に移動できるピッコロに当たることは無く、ただただ大きな水柱を上げるだけに留まる。
ピッコロの方もただ回避するだけでなく、動きながら先程の様に気弾を打ち続けていた。
回避するピッコロに歯ぎしりする重巡棲姫であったが、向かってくる気弾が大きいことに気付く。
(ワタシヤタキュウはタエラレルガ…ホカハマズイ!)
そう判断するや否や、彼女は随伴艦たちに回避をするよう促そうとした。しかし、気弾は深海棲艦達の脇を大幅に過ぎていき派手な水しぶきを上げながら着弾する。
「ナニッ…?ハズシタノカ?」
飛んでくる水飛沫から片手をかざして守りつつ、重巡棲姫は呟く。先程は牽制とはいえこちらに狙いをつけてはなっていたのに今回は外した。しかもどう見てもわざと外したようにしか見えない。
何故?どうして?そんな思いが彼女の胸中を駆け巡る。
――そのせいで回りで起きている異変に気付くのがほんのわずかに遅れてしまった。
「ガッ…!」「ナンダコレハ・・・ウグ!?」「グォオオオ!?」
「ッ!?ナンダ、ナニガオコッテイル!!」
自分の周囲で悲鳴が上がっている。何事か、と急ぎ周りを見渡すも、先程の水柱によって発生した大量の水飛沫が周囲に舞い、まるで霞の様になっていて
どこにだれがいるのかよくわからなくなっている。
と、重巡棲姫が状況把握に悪戦苦闘しているその時、急に目の前に何かが物凄い速度で彼女に迫ってきた。
間一髪で避ける事に成功した重巡棲姫。キッと迫ってきた『何か』を見ると――
「ナッ!コレハ…ウデ!?クッ!」
そう、ピッコロの両腕だった。鞭の様にしなる「それ」を間一髪で躱し、お返しと言わんばかりに砲塔を向け、砲撃を放つ。
彼女の配下の深海棲艦達もそれに合わせてピッコロがいた地点に向けて斉射する。凄まじい量の砲弾が降り注ぎ、爆発と共にキノコ雲がもうもうと立ち昇る。
「ハァ…ハァ…ヤ、ヤッタカ?」
額から流れた汗を拭い息を吐く。手ごたえもあった、あれで生きているなど絶対にあり得ない…そう思い安堵する重巡棲姫であった。
やがて視界が晴れ、辺りを見渡せる様になっていく。眼前の敵を排除したことを確認した重巡棲姫は、気を落ち着かせる意味合いも込めて配下から被害報告を聞いた。そしてその損害の多さに顔を歪ませる。
駆逐級は轟沈及び中破大破を含め損害多数。重巡級、戦艦級は航行不能になった者はほぼいなかったものの、大小の傷を負っているのが多い。唯一の救いは空母の損害がゼロである事か。
(イツノマニココマデヤラレタ?…ッ!マサ、カ…)
そこで彼女はハッ、と気づく。先程の光弾は当てるつもりはなく、目くらましだったのだ。わざと海面に当て水柱を発生させる事で視界不良を起こし、
こちらが奴を探している隙を狙って、あの伸びる腕によって不意打ちを喰らわせたのだろう。
「チィ…カナリノイタデヲクラッテシマッタカ。ヤツノジャマサエナケレバムキズデチンジュフヲオソエタモノヲ!」
舌打ちをする重巡棲姫。とはいったものの起こってしまった事は仕方ない。幸い(何故かはわからないが)鎮守府から敵影が確認されず、別海域に出撃している艦娘達が今更こちらの存在に気付き、戻ってきたとしても着いた頃には無惨に破壊し尽くされた鎮守府だけが残っているだろう。
このままいけば当初の目的である鎮守府への奇襲は成し遂げられる――そう思った重巡棲姫は顔を歪ませる。先程とは違い怒りによる物ではなく、狂気を含んだ凶悪な笑みが海面に映し出されていた。
「ヨウヤクニクキカンムストニンゲンヲ
――そう 『
「はーっはっはっは!!…どうした。何かおめでたい事でもあったか?」
「ハッハッ…ハッ!?ナッ…ンダトォォォ!!?」
ぐりん、という音がしそうな程に彼女が首を後ろに向けると、そこには何事もなかったかのように腕組みをしながら佇むピッコロの姿があった。
(バカナッ!!ムキズダト!?アリエナイ…!!イッタイドンナテヲツカッタノダ!!)
――防御した?だとしたら少なくとも服がボロボロになるはずだ。埃一つないのは明らかに不自然だ。
――避けた?ありえない。自分一人ならともかく大軍団による多方面からの一斉射撃なのだ。避けられるはずがない。
――海中に避難した?だったら配下の潜水艦が魚雷攻撃をしているはずだ。
――わからないわからなイわからナイわかラナイわカラナイワカラナイ――
必死に脳内で考えを巡らせるも一向に答えが出てこず、重巡棲姫は血がにじみ出る程唇を噛みしめてピッコロを睨み付け、咆えた。
「キサマ、アノコウゲキカラドウヤッテニゲノビタ!?」
「逃げた訳じゃない。少し貴様等の『
「マネ…マサカ!!」
そう、ピッコロは攻撃が当たる直前に自分の気を周囲に放出して全方面から身を守るバリアの様に展開していたのである。
最も深海棲艦側が使う
対してピッコロの方は自身の持つ強大な気を使った物でありその強度は凄まじく、先程の攻撃くらいなら問題なくはじき返すことができるのだ。
「ふっ…そんな事より自分の心配をするんだな!」
ピッコロは隙ありと、驚きの余り隙を晒している重巡棲姫に向かって肉薄する。気弾での弾幕戦から格闘での肉弾戦に切り替えたのだ。
「チィイイ!!」
重巡棲姫はまさか直接殴りかかってくるとは思わず、慌てながらもピッコロを迎え撃つ。拳と蹴りの応酬が続き、その衝撃の影響で二人を中心に海上から波が起こっている。
しかし、格闘の心得があるわけでもなく、パワーも劣る重巡棲姫が勝てる筈も無く、徐々にピッコロに押されていく。
「むんっ…!!」
ピッコロは重巡棲姫の腹部から繰り出される艤装の噛みつきを紙一重で避け、その伸びきった胴体(?)を掴み、思い切り引き寄せた。
「ウオッ…!?」
重巡棲姫本体もまたピッコロの方に引っ張られていく。そして――
「ずありゃあ!!」
「グハッ…ガッ…!?」
彼の思い切り握りしめた右拳が重巡棲姫の左頬に突き刺さる。引っ張られた勢いと相まって、彼女の体は海上をピンボールの様に跳ねていった。
何度か跳ねた所でようやく勢いが止まり、何とか受け身を取り、ふらふらと立ち上がる重巡棲姫。その金色の瞳にはピッコロに対する驚愕と憎悪がぐるぐると渦巻いている。
艤装を纏った彼女はその細身の体に対して信じられない程重く、普通の人間どころか、艦娘ですら駆逐艦では数人がかりでないと引っ張る事はできないだろう。
それを一人で、しかも軽々とやってみせたピッコロは海の化生である深海棲艦達からみても『化け物』と見えるであろう。
「オ、オノレ…!!バケ・・モノ、ガ…!」
作戦を邪魔された事への苛立ちと、規格外の力を見せられたことへの恐怖への
余り、吐き捨てるように呟く重巡棲姫。
その言葉に続くかのようにピッコロが現れる。ピッコロは腕組みをしたままにやりと笑い、彼女に向けて話す。
「へっ、よく言うぜ。そんな凶悪な悪意を振りまいているてめぇらの方がよっぽど化け物だろうよ」
「ヌッ・・グ!」
歯ぎしりし唸り声をあげる重巡棲姫。最早彼女の体はボロボロで、艤装も先程の一撃のせいかうまく動かせない状態だ。
配下の深海棲艦達は、吹き飛ばされて距離が離れた自分の所に向かってくる途中であり、それまで持ちこたえるのは困難を極める。よしんば合流できたとしても配下の者達は空母を除けば全員傷だらけであり、
とてもじゃないが奴を倒すことはできないだろう。
その様子を空から眺めていたピッコロは、腕組みを解き右手を相手に向けてかざす。その掌から≪ブゥゥゥ…ン≫という独特な音と眩い光を放ち、光の球が形成される。
(クソッ!ドウスレバ…!!)
大きさからして恐らく着弾点だけでなく、その周囲にまで衝撃が及ぶだろうと思われるその光球が彼女に牙を向いている。ボロボロの体を何とか動かそうとする重巡棲姫―
と、その時、ピッコロの後方から何かが飛んできた。ピッコロもその気配を感じ取ったのか、顔だけを若干後ろに向ける。
(ン!?ア、アレハ…)
ふらふらと覚束ない足取りの中、重巡棲姫は目を凝らして謎の物体を観察する。
灰色で半透明の薄い体躯、先端には歯がずらりと並びんでいる。一見駆逐級の様にも見えるが、背中には発光するでっぱりが付いており、なおかつ『
(カンサイキ…ヲキュウガトバシタノカ!)
そう、航空母艦の艦娘も扱う『艦載機』である。前方にプロペラ、左右に伸びた羽を持つ一般的な艦載機とは違い、どこか生物兵器チックな見た目ではあるが、空母棲姫が扱っていた鬼の様な艦載機から分かるように、これが深海棲艦の艦載機なのである。
「ヒメサマーッ!!!ゴブジデ!?」
それから若干遅れて、今度は水飛沫と共に、ヲ級と配下の深海棲艦達が現れる。
水上をまるでスキーの様に滑りつつ、軍団は重巡棲姫の前に盾の並び立った。
「ハァ…ハァ…ヨ、ヨカッタ…」
全速力でこちらに向かってきたのだろう、ヲ級は左手を膝に当てぜぇぜぇと息を切らしている。先程ヲ級の放ったであろう艦載機は、彼女の頭部の軽母ヌ級に酷似したユニットの口と思われる部分に吸い込まれるように入っていった。先程の攻防で、艦載機での攻撃が通じない事をヲ級は知っていたが、状況確認の為に、そして少しでもピッコロの注意を引く為に本来であれば先端と後部についている砲塔を外し身軽になった艦載機を放ったのだ。
「オ、オマエタチ…(グスッ)」
「ン…?ヒメサマ、ドウサレマシタ?」
「ナ、ナンデモナイッ!!(ア、アブネエエエ!!)」
重巡棲姫は自分を守ろうと必死なヲ級達に涙ぐんだ。だが部下の前で、しかも戦闘中にそんな顔を見せるわけにもいかず、ヲ級が振り返る前に顔を擦ることで何とか誤魔化す。
再び視点を上空に向ける重巡棲姫とヲ級達。その目には右手を突き出し、気弾を発射する体制のピッコロの姿が映る。
それを見た重巡棲姫達の顔は今自分が立っている蒼海の如き色に染まる。
ただでさえ大きかった光球がさらに膨らみ、輝きを増していた。ピッコロの姿すら覆うのではないかと思える程の破壊の光は、衝撃の余波だけで彼女等をバラバラに砕いてしまうだろう。これでは海中に逃げたとしても結果は同じだ。
「俺は貴様の事はよく知らん。艦娘という奴らとの関係も知ったことではない。
・・・が、貴様らの様な狂気の存在を見過ごすわけにはいかん。ここでくたばれっ!!」
ピッコロが叫ぶ。彼の言葉が死神の言葉となり、光が鎌となり、容赦なく突き刺さろうとしている。
正に絶体絶命である。重巡棲姫はどうしようもない事を悟り、絶叫を上げる。
「チ、チックショオオオ――!!」
――だが、そこで突如発せられた声により、両者はその動きを止める事となる。
「やはり…貴様か。ピッコロ!!」
ピッコロの掌から生み出された気弾はまるで風船の様に萎んでいき、輝きを失っていき、消失した。彼が驚きの表情と共に後ろへ振り向くと、そこにいたのは――
「ベジータ!?なぜおまえがここに…」
誇り高きサイヤ人の王子…ベジータだった。ベジータは腕組みをしたままゆっくりとピッコロの側まで近づく。そんな彼をピッコロは信じられない物を見るような顔で見る。
「お前は確かに、あの時自爆した筈だ!」
ベジータの自らの命を捨ててまで使った決死の大技――それは間違いなくピッコロの脳内に鮮明に残っている。見間違えるなどありえないはずだ。
「…そう思っていたんだがな、よくわからんが気付いたらこの海のど真ん中にいた」
一方のベジータも、自らの右手を握り、開きを繰り返しつつ呟く。その様子からして、彼も自分の身に起こったことについて未だに半信半疑の様だ。
「…一体、何が起こっているというのだ…」
顎に手を当ててピッコロは唸る。一方、二人のやり取りを見ていた重巡棲姫は呆気に取られている。正確には二人のやり取りではなく、また一人空を飛ぶ妙な人間(M字ハゲ)が来たことに驚いている、と言った方が正しいか。そんな彼女に側にいたヲ級は上空にいる二人には聞こえないように小声で耳打ちする。
(ヒメサマ、イマノウチニ…)
(・・・ハッ!ソ、ソウダナ。ヨシ、オマエタチ。ジュンビハイイナ?)
ヲ級の声によって正気に戻った重巡棲姫は、すぐに表情を切り替える。その切り替えの早さは流石軍団を率いる姫級と言えよう。配下の深海棲艦隊達も頷き、重巡級と戦艦級は各々の兵装を上空にいる二人に向ける。それを合図に重巡棲姫は叫んだ。
「クヤシイガ、ココハヒカセテモラウ!!ツギコソハ、キサマノイキノネヲトメテテクレルワッ!!!!」
その声を聞き、ピッコロはハッ、と顔を上げる。
「ッ…そうはさせん!!喰らえっ!!」
その言葉と共に重巡棲姫の方に向き直り、先ほどと同じ大きさの気弾を速攻で作ろうとするが、それより早く重巡棲姫の艤装の口の部分から『何か』が射出された。
「むっ!?」
その『何か』はピッコロ目がけてではなく、彼より若干前方の上空で止まる。そして――
≪カッッ!!≫
「ぐっ…!」
「チッ…!」
突如、その射出された物体から強烈な光が迸り、二人はその眩しさに目がくらむ。
幸い、光が出る前に二人とも目を閉じていたのでモロに喰らって目を焼かれる事態は避けられた。
しばらくして二人の目が見えるようになると、そこには重巡棲姫とヲ級達の姿は無く、蒼い海だけが映っていた。
「くそったれ!逃がしたか。ここで仕留めたかったが…」
ピッコロは右手を握りしめながら悔しそうに呟く。海を探ろうにも深海棲艦の独特な気とこの海域に漂う瘴気が混ざり合い、気で探るのを阻害している。この海域を抜ければ問題ないだろうが、恐らくその頃には完全に追うのは不可能だろう。
(…まぁ問題は無かろう。あれだけやれば奴らも警戒して迂闊には攻めて来まい)
あくまで目的は鎮守府を強襲しようとした敵艦隊をくい止める事であって殲滅する事ではない。
彼女等が以前に闘った人造人間、セルの様に生物を吸収してパワーを高める事ができる存在であるならばその必要もあっただろうが_..
そう考えた時、ピッコロはふと奇妙な違和感を感じた。
(ん?そういえば――)
思案に耽るピッコロ。そこでベジータが先程の閃光のせいで多少苛ついた顔をしながらピッコロに向けて乱暴に言い放つ。
「おい、ピッコロ!色々聞きたいことはあるが…
あの後、トランクスとブルマはどうなったんだ!
無事じゃなかったらてめぇをブッ殺すぞ!!」
少し前(元の世界)、ピッコロにトランクスと悟天を託したとは思えない程の剣幕で怒鳴るベジータ。
とはいえ自分が命懸けで守ろうとした大事な妻と息子だ、彼がこうなるのも無理はないだろう。
…最も先程から不可解な現象の連続で苛々してる(主にカカロット関連で)だけという可能性も否定できないが。そんなベジータをピッコロは宥めようとする。
「落ち着け、ベジータ。…順序を追って話す。
とりあえず場所を変えるぞ、道中で話す」
そう言い、ピッコロは来た道を引き返す…つまり鎮守府の方に向けて飛ぼうとする。
「話ならこのままでもできるだろう!どこへ行くつもりだ」
不機嫌な顔のまま吐き捨てるベジータ。ピッコロは振り返り彼に向けて話す。
「
「こっち、だと?どういうことだそれは…おい!」
含みのある言い方に眉をひそめるベジータ。
問い詰めようとするもピッコロが飛んでいった為、後を追いかけるしかない。
ベジータは「ちっ!」と舌打ちをするも、鎮守府の方に向けて飛ぶピッコロの後を着いていった。
「オノレ...!タカガニンゲンヒトリニナンテザマダッッ」
――一切の光を拒む混沌の世界『深海』――
暗き
艦娘達に比べ遥かに力の劣る人間、某宇宙の帝王風に言えば『アリが恐竜に勝てるとでも思ったか』だろう。それくらいの差があるのだ。
なのにその人間、しかもたった一人に完敗するなど、まるで悪い夢でもみているかの様だった。
今まで人類を蹂躙し、醒めぬ悪夢を与えてきた自分達がまさかそのままそっくり返されるとは皮肉としかいいようがない。
「......メ..マ、ヒメサマ」
そんな彼女がふと顔を上げると、そこにはヲ級と配下の軍団の姿が映る。ヲ級は何か言いたそうな顔で重巡棲姫を見ていた。
「ヲキュウカ、ドウシタ?」
「クウボセイキサマがオモドリニナラレマシタ」
彼女の報告を聞き顔をしかめる重巡棲姫。
理由は言わずもがな、鎮守府強襲に失敗した事を責められるかもしれないからである。ヲ級は空母棲姫のドヤ顔を想像し、苦笑する。
「ァ~~...コレハシバラクイジラレソウデスネェ。
【ニンゲンニ?ザッコwwwwオカシクッテハライタイワ~~ww】......ッテカンジデ」
「ヴェアアアアアアアア!!!!
二゛グラ゛ジャ゛ア゛゛ア゛......」
先ほどピッコロに与えられた屈辱よりも悔しいのか、頭を抱えまるで壊れたメトロノームの様にブンブン振る重巡棲姫。頭がもげないか不安である。
「...ナニヤッテンノヨアンタハ」
そんな重態な彼女の所にため息をつきながら一人の女性が現れる。
「フォ!?ナ、ナンダオマエカ。クウボセイキ」
「ナンダ、ジャナイワヨ。ハァ~~…ドウヤラソノヨウスダトアンタモヤラレタミタイネェ」
再び溜息をつく女性――空母棲姫はやれやれ、と顔と手を左右に振る。その言葉に重巡棲姫は眉を顰め、疑問を口にする。
「『アンタ
「…アッタンデショ?『ソラヲトブニンゲン』」
苦々しく言葉を紡ぐ空母棲姫。その言葉に重巡棲姫は大いに驚いた。
「ッ…!!?マサカ…!」
「ビンゴッテトコカシラ、ネ」
空母棲姫はやっぱり、と盛大に溜息をつく。そして髪の毛を掻き毟りながら叫んだ。
アァ~~~!!ワタシタチノカンペキナケイカクヲダイナシニシテクレチャッテ!!
ホントウムカッパラタツワ、アノ『エムジハゲ!』」
「ハ?エムジハゲ?」
きょとん、とした顔をする重巡棲姫。対する空母棲姫も彼女の反応に眉をひそめ問いかけた。
「アレ?チガッタ?」
「ワタシガデクワシタノハアタマニショッカクガハエタゼンシンミドリノニンゲンダッタゾ」
「...ナニソノバケモノ。ドウカンガエテモジンガイジャナイ」
二本足で触角があって緑色の、まるで昆虫の様な人間の姿を脳内で想像し苦笑いする空母棲姫。が、すぐに表情を正し、こめかみを指で押しながら苦々しげに話す。
「アンタノハナシカラサッスルト...ドウヤラヒトリダケジャナイヨウネ。『ヤッカイナヤツ』ハ」
「アァ...モットモソイツラガタンドクデウゴイテイルノデアレバ、サシテモンダイハナイ。モンダイハ」
―――『艦娘』と手を組む可能性があるかもしれない―――
いくら一騎当千の力を持とうとも、一人で出来る事などたかが知れている。物量作戦で体力を消耗させ、押し潰せばいいだけだ。生物である以上動き回れば疲れもするし、補給無しでは満足に戦う事すら出来ない。
しかし他の人間、もっと言えば艦娘共と接触したらどうなる?恐らく提督達はをあの手この手で『厄介な奴』を引き込もうとするだろう。そうなればこちらが不利になる...どころか戦局を大きくひっくり返されかねない――
「ウウ~ン...ゴウリュウサレルマエ二ナントカシテオキタイケド、ソラヲトバレチャ」
「オテアゲダナ...マチガイナク」
そう、海より遥かに広大な空を自由に動ける存在を空を飛べない存在――彼女らがどうにかしようなぞ、土台無理な話なのである。二人の深海の姫は同時に肩を落とす。
「タブンソイツラトハマタアウカモシレナイワネ。ハァ~~~~...サキユキフアンダワ」
「...ノムカ?」
「...ソーシマショ。ノマナキャヤッテランナイワ」
二人はお互いを励ますかの様に肩を組みながら、とぼとぼと自分の拠点に向かって歩いて行くのであった。その時の彼女達の顔はそれはもう疲れきった感じの物であったそうな...。
ナレーター「異形の存在、深海棲艦と呼ばれる怪物の軍団を見事に返り討ちにしたピッコロ。だがそこに現れたのは、な、なんと!
魔人ブウと相打ちになったと思われていたベジータであった!なぜベジータが生きていたのか?どうして二人はこの世界に現れたのか?
そして二人は元の世界に帰ることができるのか!?」
悟空「オッス!オラ悟空!!ピッコロの奴やっぱつええなぁ!今度久しぶりにまた相手してもらおうかなぁ!でもその前に
ベジータとピッコロが何とかオラの世界に戻ってもらわねぇとな...」
ベジータ「...この俺に他人の下で働けと?ふざけるな!」
悟空「次回!龍球これくしょんー龍これー第5話『俺たちが提督に!?ベジータとピッコロの鎮守府着任!』(前篇)
ピッコロ「なんなんだこの場所は...!!お、
女ばかりじゃないか!!」
はい、と言う訳で3話終了です。年内に仕上げたくて無茶したのでとりあえず投稿という形になりました。なので、この後内容をちょこちょこ書き足して編集しなおします。
許してくだサイヤ☆
それではみなさん!よいお年を!来年もよろしくお願いします!
悟空「おめぇそりゃねぇだろ~。…ま、いいか!じゃ!みんな、来年もまた見てくれよな!」
追記;色々追加したり修正したりしました。遅れて申し訳ありません!謝罪は次話でいたします。
追記2;次話が前後に分かれたので次回予告のサブタイに前篇を加えました。