摩利と別れたところで、二人は森崎に呼び止められた。正確に言うと、達也だけだが。
「はったりが得意なようだな。会長や委員長に取り入ったのもはったりを利かせたのか?」
「羨ましいのか?」
「気に、いられるとか、どーでも良い……」
「なっ……」
この程度の切り返しで逆上するなら嫌味なぞ口にするな、と達也は思った。
「……だが、今回はやり過ぎだったな。お前ら二科生ごときに、複数のCADを同時に扱うことなんかできるはずがない」
「……じゃあ、森崎は、できる、の……?」
「うぐっ」
あ……使えないんだ。そんなことを考えながら、二人は森崎から離れていった。
「……羨まし、かったの……?」
「……なんの話だ」
「森崎が怒った、時。目が、寂しげ、だった……」
「……そうか。俺もまだまだだな」
「……いつまで付いて来るんだ?」
「面白い、こと、見せて、くれそう……!」
「……はぁ」
昇降口でエリカと合流した。もともと、エリカと回る予定だったらしい。
「達也くん、遅いわよ」
「……悪かった」
「…………謝っちゃうんだ」
「遅れたのは事実だし、エリカが待ち合わせ場所にいなかったのは別問題だろ?」
「あぅ……ごめん」
「どーでも、良いから、早く、行こ?」
「そうだな」
「……達也くん、性格悪いって、言われたことあるでしょ?」
「心外だな。性格に文句をつけられたことはない。人が悪いと言われたことはあるが」
「同じじゃん!てか、そっちの方が酷いと思うよ!」
「ああ、違った。人が悪いじゃなくて、悪い人だった」
「さらに酷くなってる!」
「悪魔と呼ばれたこともあるな」
「もういいって!」
荒く息を吐くエリカ。達也は首を傾げ、杏は笑いを堪えてた。
「随分疲れているようだが、大丈夫か?」
「……達也くん、絶対、性格悪いって言われたことあるでしょ?」
「実はそうなんだ」
「今までの流れ全否定!?」
「達也、クン……悪魔、よりも……悪魔、みたい……♪」
「……どう言う意味だ」
「ふふふ……秘密、だよ♪」
数分後、エリカと、彼女にしがみついている杏は人に取り囲まれていた。部活勧誘だ。
「ちょっと、どきなさいよ」
「人……怖い……っ」
もしかしたら風紀委員権限か何かでどかした方がいいかも、と杏が思い始めた時、地面が揺れた。倒れるほどではない。しかし、平衡感覚を失わせるには十分な揺れ。
その隙を付いて、達也が人垣に突っ込んで来た。
「走れ」
エリカの手を掴み、走り出す。杏はエリカの背中に飛び付き、三人は走り去った。
何だろう、杏のCVが桜咲千依さん(白坂小梅の中の人)で再生された。