最近、作者が『カゲロウプロジェクト』にハマり始めたらしく、曲を買っていますよ。まだ六曲だけですけど。ああ、どれもいい曲ですねぇ。
校舎の陰まで来たところで、達也はようやく、エリカの惨状に気がついた。逃げる途中で、何人かに掴まれたのか、胸元がはだけていた。
「見るなっ!」
言われる直前に、達也は体ごと顔を背けていたが、エリカの胸元を見たことは、杏がバッチリと見ていた。
「……変、態」
杏は自分の体を守るように抱き、達也から距離を取る。
「……見た?」
押し黙る達也。
「見・た?」
エリカが着崩れを直し終わり、声のトーンを変える。より低いものへと。
「……見えた。すまない」
達也も観念したらしく、素直に謝った。
「……ばかっ!」
顔を赤く染めたエリカが、達也の脛を思いっきり蹴り飛ばした。達也が平然としているところを見ると、エリカの方がダメージが大きいだろう。
「……ギルティ」
杏からの攻撃がなければ。背中に飛びつき、首を少し重めに締める。
「苦しいんだが」
「苦しめてる、の」
「……止めてくれるとありがたいんだが?」
「だ、め……だよ」
三十秒ぐらいで手を離す。跡は残っていない。
「……鍛え方、凄、い……」
「色々あったんだ」
十分後、杏は、達也についてきて正解だったと思っていた。彼女たちは第二小体育館、通称「闘技場」にいるのだが、剣道部と剣術部で口喧嘩が起こり、それに達也が仲裁に入ったのだ。剣術部の方ーー桐原武明という男が『高周波ブレード』と言う殺傷性の高い魔法を使い、剣道部の壬生沙耶香に斬りかかり、達也が
「……すっ、ごぉい……どう、やったんだろ。アンティナイトは、持って、ないみたい、だし、CADを操作した、だけだし……」
剣術部の面々が、達也に襲いかかろうとする。無論、魔法を使って。しかし、どの魔法式も直前で掻き消える。全て、達也が消しているのだ。
(あっちは、問題、ないし……落ち着かせ、よう……)
杏は腕章を付け、CADを起動する。発動させる魔法は『
『こちらは……風紀委員、です……!みなさん、落ち着いて、くだ、さいっ……!』
風を使って、声を飛ばす。所謂拡声器みたいな使い方だ。これで、観覧席の騒ぎは大分落ち着いた。達也を見ると、剣術部相手に無双している。かわして、転ばさせて、投げ飛ばす。まるで、踊りを踊っているかのようだった。
杏だけは、そんな達也のことを興味深げに見る剣道部の男子ーー司甲に気付いていた。