「ーー以上が剣道部の新歓演武に剣術部が乱入した事件の顛末です」
「私も、達也クンと、同じく…です」
部活連本部で、杏と達也は先ほどの乱闘未遂について証言していた。
「それにしても、十人以上を相手にして良く無事だったわね……」
「正確には十四人か。さすがは九重先生のお弟子さんというところかな」
「……九重先生って、強い、人……です?」
「ああ。対人戦闘に長けた人だ」
達也の踊りーー戦闘の師匠。杏は一度会ってみたくなった。
「……十文字先輩と、どっちが……強いんです、か?」
杏は左側にいる三年生ーー部活連会頭、十文字 克人に質問をぶつけた。おそらく、この部屋に置いて、単純な筋力だけなら一番強いであろう人物。巌と称されるであろう彼は、自分ではいなされるだけだと言った。
「二人とも、当初の経緯は見ていないのだな?」
「はい。桐原先輩が挑発したという剣道部の言い分も、剣道部が先に手を出したという剣術部の言い分も、確認していません」
「達也クンに、同じく、です」
その後も問答があり、最終的に桐原武明と壬生沙耶香の処分は注意に決まった。そして、杏から達也への興味は、いっそう大きくなった。
達也や深雪がなにやら話しているようだったが、杏は気にせずに馬鐘荘へ帰ることにした。もちろん、途中で菓子を買って。
アパートの前で、ジッと月を眺めている男を見かけた。このアパートの住人、
(……そういえば、ソーラーパワーで、動いてるんだっけ……)
マキシマムは、曰く未来から来たアンドロイド。この時代のこの場所で、ありとあらゆるものを食らい尽くす災厄の雲が発生し、食糧危機に至っていたそうで、その元凶がメフィストだと。
(……私たちからしてみれば、アンドロイドより、
一応、杏も悪魔『ダンタリアン』。何か尋ねられたり、もしくは、メフィストみたいにこいつに何回か殺されたりするかもなので、関わらないようにしていた。でも、興味はやっぱり尽きないようで、
「……こん、にちは」
「生物認識。分類、悪魔。会話を試みる」
クールな声だが、この告知機能なんとかならんのか。
「問う。お前は何者だ」
「悪魔、ダンタリアン……学芸と、思考操作と、幻術を職能とする、の」
「悪魔。なら、メフィストフェレスの仲間か」
「……私は、彼の実験は、手伝ってない、よ。人間に、人間の知識に、興味があるだけ」
「そうか。なら、お前は奴を殺す方法を知っているのか?」
「……悪魔は、死なない。殺したいのなら、ちゃんと、儀式をして、聖なる物で滅ぼさないと。例えば、聖遺物で拘束して、聖杯に、聖火を灯して、聖歌を歌いながら、聖剣を聖火で熱消毒して、聖水で冷やして、首をスパッと……そして、四肢を切り落として、教会の地下……できれば、位の高い教会、ノートルダム大聖堂や、サグラダファミリアとか……に、封印。それで平気なはず……人間にできるのは、このくらい。本気で殺したいのなら、神殺しの術式でも、持ってこないと、ね……♪」
もしくは、神殺しを成し遂げた聖遺物でも使うか、神の武器を使うか。
それを聞いたマキシマムは、真剣に実行するか否かを思案していたが、杏は中に戻っていった。
悪魔の殺し方→捏造ですが何か?でも、悪魔って神殺しで殺せると思うんですよね。悪魔って、異教の神ですし。サタンはもともと、ルシフェルやベルゼブブと同一視されていて、ルシフェルは『光を掲げる者』という、最も神に近かった天使(現傲慢の悪魔)ですし、ベルゼブブも別の神話ではハエ殺しの神(現暴食の悪魔)です。つまり、神殺しを応用すれば、悪魔でも殺せる、ということです。ぶっちゃけ、この世界の人間には、聖遺物(某騎士王の剣やらゲイ・ボルグやらの神殺し、もしくはそれに近いことを成し遂げた武器)に頼らないとダメですが。純粋なオカルトーーこの世界のような科学で証明された魔法ではなく禁書目録のような魔法・魔術ーーがあれば、殺せるかもですけど。
取り敢えず、基本的には殺せない、殺しても異界に送り返されるだけでいつか戻ってくる、対処法は封印のみと認識していただければ。
あ、神様に関しては、敵対しているのもいますが、すべての神様(すべての宗教の神)にそれぞれコミュニティーがあり、また、コミュニティー同士でも連絡を取り合ったり観光に行ってたりします。が、本編には出てきません。悪魔は出てくるかもですが。