知識の悪魔の高校生活   作:零崎妖識

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放送室

次の日、達也と出会った杏は一言、

「……変態」

とだけ言った。

「おいまて、どうして俺がそう言われることになってるんだ?」

「昨日、二年の……壬生、先輩を、言葉責め、したって……っ!」

「冤罪だ。壬生先輩とは非魔法競技系クラブの連帯の協力者になってくれと頼まれて、その後どうするのかと聞いただけだ」

必死に弁明する達也。杏は的確な言葉でこちらをからかってくる、会長とは違うタイプの小悪魔だと、達也は認識した。もっとも、小悪魔ではなく、本物の悪魔なのだが。

「はぁ……話はそれだけか?」

「ううん……もち、別の話、ある、よ。

……『ブランシュ』、とか、『エガリテ』、とか、ね?」

「……どこでその名前を知ったのか、と言う問いは無駄だろうな。どうしてその名前を出したのか、と言う問いの方が適切だ」

「壬生、先輩……エガリテの、メンバー、だよ?洗脳の可能性、ある、けど」

「……お前は何者だ?」

「ひ、み、つ。……あと、ブランシュに……手は、出さ、ないで……?知り合いが、営利目的で、関わってるみたい、だから」

杏はそれだけ言うと、そのまま歩いていった。

 

 

何事もなく、一週間が過ぎた。

細々とした風紀委員の仕事はあったが、特に問題はなかった。この日の授業が終わった直後までは。

『全校生徒の皆さん!』

ハウリング寸前の大音声が、スピーカーから聞こえてきた。何事かと驚く者もいれば、煩いと耳を塞ぐ者もいる。

『ーー失礼しました。全校生徒の皆さん!』

ボリュームが調整された同じセリフが、決まり悪げに流れ出た。少し離れたところでは、達也が的外れなツッコミをしている。

『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です』

ここまで聞いた杏は、スタスタと達也のところまで歩き、耳を引っ張った。

「さっさと、放送、室、行く……よ?」

ちょうど、携帯端末にも連絡が入った。

「わかった。すまないが行ってくる」

「あ、はい、お気をつけて」

美月が返事をし、二人は教室を出た。

 

 

途中で深雪と合流し、放送室へと向かう。

放送室の前には、摩利と克人、鈴音、風紀委員会と部活連の実働部隊が揃っていた。

状況と、この場における最高責任者である克人の意見を達也が聞く。彼のスタンスは、強引な事態収拾は図らないと言う、穏健派のようなものだ。

放送室の扉は開かない。マスターキーを使って、有志同盟が入っていったから。

杏には、この扉を壊さずに放送室に入る手段がある。アガリアレプトを頼ったように、彼の部下の旅団長『サルガタナス』を呼べばいいだけだ。サルガタナスなら、扉の鍵を開けられるし、開けずに中に瞬間移動することもできる。しかし、杏は自らが悪魔と関わりがあることを、周囲に公言するつもりはない。したがって、一部の悪魔からスイーツ旅団長と呼ばれている彼女を呼び出すことはしない。

かわりに、達也が壬生と連絡を取って開けてくれたから。

「達也、クン……手が、早い、ね?」

「お兄様?後で詳しくお話を聞かせてくださいね?」

達也は二人分の冷たい視線を浴びることになったが。




サルガタナス
旅団長。ある意味万能。人を透明にしたり何処へでも瞬間移動させたり鍵を開け(ピッキングし)たり自宅で起こってることを見せたり本心を探り出したり記憶や本心を消したり。しかしNo.9と地位は案外低い。ちなみにアガリアレプト将軍兼司令官はNo.6。
この作品では左門くんはサモナーを適応させているため安定のスイーツ旅団長。戦闘力はそれなりにある。『赤き竜』の六柱目。アガリアレプトは三柱目。
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