知識の悪魔の高校生活   作:零崎妖識

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毎度どうも、メフィストです。

最近思ったんですが、とある漫画に「悪魔の実」ってありますよね?あれが本当に「悪魔の力」を授けるんだったら、人には力を扱いきれないと思うんですよ。人と悪魔では存在が異なりますからねぇ。セフィロトの木で言うと、人間と天使ほどに差があります。それでも人間は、うまく制御するんでしょうが。ダンタリアンさんは人間にあらゆる学問を教えます。つまり、悪魔の知識も教えると言うことで。存分に発揮できなくとも使いこなすことはできそうなんですよね。どこぞの世界では、悪魔の「異界常識」を「固有結界」として再現なんてしてますからねぇ。ま、私たちこの世界の悪魔は「異界常識」なんて使えませんが。


騒動

予鈴を聴き、目がさめる。いつのまにか眠っていたようだ。端末の画面はリフレッシュされている。

 

〔ーー五分後にオリエンテーションを始めますので、自席で待機してください。IDカードを端末にセットしていない生徒は、速やかにセットしてくださいーー〕

 

すでに選択授業の選択までしてしまっている生徒もいるのだが、彼らへの指示はなかった。少数派だからだろうか。

 

そんなことを考えていると、本鈴が鳴る。昔と変わらない、鐘の音だ。同時に、前のドアが開く。入ってきたのは、スーツを着た若い女性。

 

「はい、欠席者はいないようですね。それでは皆さん、入学、おめでとうございます」

 

教室中に戸惑いが充満する。本来、教職員が諸連絡のために教室まで来ることは少ないのだ。

 

「はじめまして。私はこの学校で総合カウンセラーを務めている小野遥です。皆さんの相談相手となり、適切な専門分野のカウンセラーが必要な場合はそれを紹介するのが私たち総合カウンセラーの役目になります」

 

(……あ、そういえば、パンフレットに、あった、ような……?)

 

身近にメフィストフェレス(良い相談相手)がいて、人の思考を操作できるダンタリアンからしてみれば、全く興味のないことだったので忘れていた。

 

壇上では、遥が説明を続けていたが、杏はやはり聞いていなかった。

 

「……既に履修登録を終了した人は、退室しても構いません。ただし、ガイダンス開始後の退室は認められませんので、希望者は今の内に退室してください。その際、IDカードを忘れないでくださいね」

 

杏は静かに立ち上がった。ちょうど、前の方の男子も立ち上がっている。二人は一緒に教室を出て行った。

 

 

 

「少しいいかな」

 

杏は、先ほど一緒に出てきた男子生徒に話しかけられていた。

 

「僕は吉田幹比古。僕以外にも、履修登録まで終わらせてる人がいるとは思わなくてね。君は?」

 

「……古木、杏、だよ。よろしく、吉田、クン」

 

「ごめん、僕は幹比古って呼んでくれるかい?苗字で呼ばれるのは好きじゃないんだ」

 

「……ん。ごめん、ね?幹比古、クン。……ミキクンの方が、呼び、安い……」

 

「……ミキもやめてもらえるかな?幼馴染みを思い出す」

 

「……無理」

 

容赦無い言葉。精神的に大破させてしまったが、杏に、また一人知り合いが増えた。

 

 

昼までは暇なので、適当に校内を巡ることにした。が、割愛する。何かイベントが起こったわけでもないからだ。

 

一悶着は、昼食時の食堂で起こった。

 

一番乗りで食堂に来て座っていた杏は、バッチリとトラブルを目撃することになった。達也とレオ、美月、エリカの四人と、司波深雪の取り巻きの一科生が揉めているのだ。深雪は達也側のようなので、やはり二人には関係があるようだ。離れている杏のところにまで声が聞こえてくるようになった時に、達也がレオを連れて席を立った。深雪は、よっぽど達也かレオと食べたかったのか、達也とは逆の方向へ歩いて行った。

 

 

杏が見た騒動は、もう一つあった。放課後のことだ。そこでは、あの大人しめ系女子に見えた美月が啖呵を切っていた。

 

「いい加減に諦めたらどうなんですか?深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。他人が口を挿むことじゃないでしょう」

 

やっぱり、達也と深雪は兄妹のようだ。その二人は、騒動をすこし離れた場所から見守っている。

 

「別に深雪さんはあなたたちを邪魔者扱いなんてしていないじゃないですか。一緒に帰りたかっら、ついてくればいいんです。何の権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか」

 

……美月、それだと達也と深雪がただならぬ関係のように聞こえるから。

 

そんなことを考えている内に、言い争いはヒートアップして行った。そして、沸点を超えたのだろう、男子生徒の一人が、腰の特化型CADに手を伸ばし、構え、CADが吹き飛ばされた。

 

少年のスピードが遅かったとか、扱いに慣れていなかったとかではない。むしろ一級品だろう。明らかに戦い慣れた動きだった。相手が悪かっただけで。

 

エリカがCADを吹き飛ばしたのだ。その手には伸縮警棒が握られていた。

 

ーー強い。

 

杏はそう思った。目にも止まらぬ速さだった。だが、エリカたちの「敵」はまだいる。それがわかっていた杏は、腰のCADに手を伸ばした。

 

そして、女子生徒が魔法を使って、彼女の起動式はサイオンの弾丸によって砕け散り、彼女自身は風の結界に閉じ込められた。

 

「自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為です。『風牢』を使った生徒も出てきなさい」

 

生徒会長、七草真由美だ。杏はおとなしく、彼女に近づいていった。

 

「あなたが『風牢』を発動したのね。まずは、これを解除してください。話はそれからです」

 

CADに流していたサイオンを止め、拘束用魔法『風牢』を解除する。真由美の横にいる三年生ーー風紀委員長、渡辺摩理は驚いたような顔で杏を見ているが、華麗にスルー。

 

 

話は達也がなんとかしてくれた。杏がなぜ魔法を使ったかも言及されたが、うまく言い訳できた。最後に、摩理に杏と達也の名前を聞かれたが、騒動はこれで終わった。




拘束用魔法『風牢』

オリジナル魔法。空気収束系の魔法。移動もちょっと入っている。
風で球に近い形の結界を作り、拘束する。上手く使えば防御もできる。攻撃力はない。内側もしくは外側から風の壁に触っても怪我はせずに押し戻される。人を完全に囲めば飛べるかも。球もしくはそれに近い形にしか展開できない。ループ・キャストを使っているので、風が途切れることはない、はず。
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