何か報告しようとしていたのに、書こうと思ったら忘れてしまっているってことありません?ハリー・ポッターに『思い出し球』ってありますけど、あれ、何か忘れていると言う事実を知らせるだけで、何を忘れているのかは教えてくれないんですよね。
あ、作者がSAOの最新刊、アリシゼーション・ラスティングを買ったそうです。読んだ結果、少し泣いてましたねぇ。感動モノでしたよ。人の中には、文章を映像として想像できる人がいますけど、作者もできまして、ええ、あれは感動するしかない。次は書き下ろしだそうですが、非常に楽しみです。もちろん、プログレッシブの方も。
達也と杏は、CADのケースを取ってきていた。模擬戦で使うためだ。杏が無言で運んでいる隣で、達也と深雪はいちゃいちゃしている。兄妹なのに。
達也がCADの準備を始める隣で、杏も準備をする。使うのは特化型の方。カートリッジには『風牢』と同系統の魔法が入っている。杏が使う魔法は、捕縛や拘束するためのものが多い。もちろん、攻撃用の魔法もあるが、それでもスピードは遅い。なら、どうするのか。それは、これからわかる。
「では、ルールを説明する。直接攻撃、間接攻撃を問わず相手を死に至らしめる術式は禁止。回復不能な障碍を与える術式も禁止。相手の肉体を直接損壊する術式も禁止する。ただし、捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可する。
武器の使用は禁止。素手による攻撃は許可する。蹴り技を使いたければ今ここで靴を脱いで、学校指定のソフトシューズに履き替えること。
勝敗は一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。
双方開始線まで下がり、合図があるまでCADを起動しないこと。
古木が試合をする時は、双方共に中心線より踏み込まないこと。
このルールに従わない場合は、その時点で負けとする。あたしが力づくで止めさせるから覚悟しておけ。以上だ」
杏と達也、服部がうなづく。最初は、杏と服部の試合だ。
五メートル離れた開始線で向かい合う。服部は汎用型CADをつけている。
「始め!」
勝負が始まった。
服部はCADに指を走らせ、魔法を発動しようとする。基礎単一系統の移動魔法。照準は、杏が居る開始線。
だが、魔法は不発に終わった。杏がその場に居なかったのだ。服部が魔法を発動したのが遅かったのではない。ただ、杏が魔法を見切り、大股で一歩、右にずれただけ。ーー戦術も、立派な学問であり、美しい計略は芸術となり、ダンタリアンの権能に含まれる。
それ以外にも理由はある。右にずれただけでは魔法は不発にはならない。こっそりと、服部のCADに、杏の現在地を誤認させたのだ。ダンタリアンの幻影で。
服部がうろたえた直後、彼を空気の塊が襲った。収縮・移動系魔法『
続いて、達也と服部の試合。これは、一瞬で勝敗が決した。達也が服部を気絶させたのだ。
「あの、もしかして、司波くんと古木さんのCADは『シルバー・ホーン』じゃありませんか?」
「シルバー・ホーン?シルバーって、あの謎の天才魔工師トーラス・シルバー?」
達也と杏に聞いたのはあずさ。聞き返したのは真由美だが、あずさは意外な一面を発揮した。
「そうです!フォア・リーブス・テクノロジー専属、その本名、姿、プロフィールの全てが謎に包まれた奇跡のCADエンジニア!
世界で初めてループ・キャスト・システムを実現した天才プログラマ!
あっ、ループ・キャスト・システムというのはですね……」
「ストップ。ループ・キャストのことは知ってるから」
「そうですか……?
それでですね、シルバー・ホーンというのは、そのトーラス・シルバーがフルカスタマイズした特化型CADのモデル名なんです!
ループ・キャストに最適化されているのはもちろん、最小の魔法力でスムーズに魔法を発動できる点でも高い評価を受けていて、特に警察関係者のあいだでは凄い人気なんですよ!
現行の市販モデルであるにもかかわらず、プレミアム付きで取引されているくらいなんですから!しかもそれ、司波くんのは通常のシルバー・ホーンよりも銃身が長い限定モデル、古木さんのは銃身が短い限定モデルですよねっ?何処で手に入れたんですかっ?」
「あーちゃん、チョッと落ち着きなさい」
あーちゃん、まさかのデバイスオタク。ちなみに杏のシルバー・ホーンはバアルからのプレゼントである。とりあえず、達也と杏は風紀委員になれるようだ。
『
オリジナル魔法。収縮、移動系。簡単に言えば、fateの『風王鉄槌』と同じようなもの。似た魔法に、『
シルバー・ホーン短銃身モデル
オリジナルモデル。限定生産品なので、今は作っていない。杏はこれに「ヒューイ」という名前をつけている。(名前の元ネタは「ダンタリアンの書架」というラノベに出てくる「ヒュー・アンソニー・ディスワード」通称「ヒューイ」)