元勇者だが、今はモブです(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
オリジナルだが、面白かったら感想がほしい。
ここは始まりの大陸レグルス、ここでは長きに渡り人間と魔族との戦争が続けられていた。
しかし、始まりの国ネオンに勇者が誕生したことにより、新たなる時代が幕を開けようとしていた。
しかし、その時代の影にもう一人の英雄が存在していることに殆どの者が気付くことはなかった。
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俺の名前はクレム、ただのクレムだ。苗字はない。実は、俺は前世の記憶持ちで、元勇者だったりする。
頭のおかしなやつと思われるのには慣れている。しかし、これは事実だ。俺は昔、ただの学生をしていたのだが、異世界に召喚され勇者として世界を救うべく魔物たちと戦い魔王を倒したのだ。
しかし、その後に王族と教会が俺がどちらの勢力につくのかと聞かれ、『どちらの側にもつくつもりはない』と答えたのだが、二つの勢力は『我々につかないのならば、貴様の存在は最早邪魔だ!元の世界に戻り、過ごすがいい!』と言われ強制的に元の世界に戻った。
戻った俺の世界は、俺が召喚されてから時が過ぎ、俺は行方不明扱いとなり退学、中卒扱いとなり世間から白い目で見られ、親からは勘当された。
俺は、俺の人生を滅茶苦茶にした異世界を呪いながら寿命を終えた。
そして、目が覚めると俺は自分が大嫌いな異世界に転生していたのだ。
俺の転生した家は、貧しいながらも笑顔の絶えない優しい家族だった。俺はクレムと名付けられ、そんな両親に育てられた。
俺は、この世界の事を学ぼうとした。両親には、『早く多くの事を学んで家族に楽をさせたい』と嘘を言ったら、『お前はまだ子供だから、そんなこと考えなくていいよ』と言われた。
調べた結果、ここは俺がいた異世界ではなく別の世界であり、魔族との戦争が続けられていることがわかった。そして、占い師の予言により勇者と呼ばれる存在が俺と同じ時期に生まれたそうだ。
勇者の名前は、セイヴァー・レグルス。レグルス大陸最大の都市、ネオン帝国の皇子である。レグルス家は、古くから続く勇者の血筋で、数々の偉業を成し遂げてきた。
勇者が存在する。俺は、この瞬間とても良い気分になった。今の俺は普通の人間で、自由に生きられる。俺は決意した、自由に生きようと。
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今日の俺は、家の近くの探索をすることにした。
俺の住む村、ファウストは回りは森に囲まれ、町の中心部に湖のあるそこそこ大きな村だ。
俺は、その湖のほとりに沿って歩いていると、同じくらいの歳の子供が群がっていた。その中心には、灰でも被ったような灰色の髪の短髪に、眼帯をつけた少年が虐められていた。
俺は、一応止めに入った。
「おい、お前ら何やってるんだ?」
「ん?誰だお前?」
「クレムだ。で、何でそいつを虐めてるんだ?」
俺の質問に、虐めっ子の一人が少年の耳を指差す。
「こいつの耳を見てみろよ!こいつが、人族じゃないからに決まってるだろ!それに―」
虐めっ子の一人(もう虐めっ子Aでいいや)が虐められている少年の眼帯を取った。虐められている少年が、必死に眼帯を取り替えそうとしている。その少年の眼帯に隠されていた瞳は、片方の瞳とは違う金色だった。
「やめてよ!返してよ!」
「嫌だね!お前みたいな『忌み子』の化け物の言うことなんか聞くかよ!」
『忌み子』、それは普通の人とは違い生まれたときに障害を持つものにつけられる名称である。
この世界では神の存在が信じられていて、障害を持つものは前世で多くの罪を背負ったことで神様から罰を与えられたのだと信じられているのだ。
虐めっ子Bが、俺の肩をつかんで命令してきた。
「クレム、お前もこの『忌み子』を神様に代わって罰を与えてやろうぜ!そうしたら俺の仲間にいれてやるよ!」
その言葉を聞いた虐められている少年は、俺たちを見て怯えその二色の瞳から涙を流していた。
人は、自分達を守るために自分とは違うものを排除しようとする生き物だ。全く、こいつらを見ていると嫌になる。まるで、異世界で経験した事を繰り返しているようだ。俺は、少年に近付いて振り返り、虐めっ子達に向かって言い放った。
「別に、お前たちの仲間にならなくても良いよ。こんな風にこいつを虐めて満足しているだけの嫌な奴になるつもりはない。それに、仲間くらい自分で決められる。」
「なんだと!お前ら、こいつも一緒にやっちまえ!」
俺の言葉を聞いた虐めっ子が怒りだし、殴りかかってきた。俺は、殴りかかってきた一人の腕をつかんでその勢いに合わせて後ろに投げ飛ばし、そのまま湖に突っ込んだ。
今度は二人で殴りかかってきたが、一人は避けて足を引っ掻けて転ばせ、もう一人は腕をつかんで捻り上げて背中を蹴った。二人は、勢いよく頭から湖に突っ込んだ。
「お前の顔は覚えたからな!次に会ったら、ギッタンギッタンにしてやるからな!覚えてやがれよ、クレム!」
虐めっ子は、びしょ濡れになりながら捨て台詞を吐いて逃げていった。俺は、虐められていた少年を見ると、少年は俺をキラキラした目で俺の事を見ていた。
「た、助けてくれてありがとうございます。君って、強いんですね。」
当たり前だ、これでも魔王を倒した元勇者だぞ。いくら俺より体格がよくても前世に比べれば、酔っぱらいの相手よりも楽だ。俺はそのまま家に帰ろうとした。
だが、何故か虐められていた少年が俺の後ろをついてきた。
「......何でついてくるの?」
「えっ、いや...その...。ぼ、僕の名前は、クルスです。」
「......君の名前なんて聞いてないよ。俺は、何でついてくるのかを聞いてるんだけど?」
「う、ううぅ。ごご、ごめんなさい。助けてくれたから、お礼がしたくて...。」
「別に、お前にお礼させるために助けたんじゃない。俺は、あいつらが気に入らないから倒しただけだ。」
そう言って家に帰ろうとしたが、また少年が俺の後ろについてくる。俺は、ついてくるなと睨むが、少年は一定の距離をおいて俺の後をついてきた。
何故ついてくるんだ?俺は、お前を助けるつもりもお友だちになるつもりもない。さっさと何処かに行ってくれないだろうか?それにしても泥だらけの顔だが、こいつよく見ると美形だな。それなりに年を取れば美少年になるだろう。
なら、こいつを使って美人をナンパでもしようかな?おこぼれで美人と仲良くなれるかもしれないし。俺はそう思い、クルス少年とそれなりに仲良くなることにした。
「ついてこい。お前、汚いから洗うぞ。」
「えっ?うん、わかった。」
転生者クレム、七歳の物語の始まりだった。
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