第五次聖杯戦争 小次郎さん物語   作:sugar0019

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いつものこと、それはいつものこと。
序章はまぁ、読めるレベルで書けるが本編が残念なことになる。
そう、詰めが甘い。
遠坂うっかりエフェクトより性質の悪い謎の病。
というわけで、どうぞ<(_ _)>


始まる物語

 退屈とは、人を腐敗させるものである。 それは人間とは逸脱したサーヴァントであっても変わらない。 門より放れることを許されない、小次郎にとっては退屈という名の拷問に等しかった。

 唯一の楽しみは囀る鳥の声、靡く風、色鮮やかに咲く花々だけなのだ。 生前彼を彼としたものだけがこの退屈な日々を色のあるものに変えて行くのである。

 そんな日、彼はある奇妙な者に出会った。 明るい茶髪に茶色の目、平凡な顔つきに一般的な日本人の標準的な背格好。 実に普通な女性。 しかし、全てにおいて普通は存在しない。 この女性もその例に零れなかった。

「なにをしているんですか?」

 風に消えそうな、そんな細い声で女性はこちらの方を向いて声をかけてきた。

 一瞬驚くが霊体化している状態の私に話かける訳も無いと思い、煩わしい真似をしてくれた人物を見ようと振り向く。 が、しかし、そこには誰もいなかった。

「何を首を傾げているんですか?」

 今度こそ、確かに伝わった。

 この娘は私が見ている。

「私が見えているのか?」

「何言ってるんですか。 見えないなら話かけられませんよ」

 実にその通りである、肩をすくめることしかできない。 そんなことも気に留めずこの娘は話し続ける。

「あ、わたし、森西双菜(もりにし そうな)です」

 丁寧に自己紹介をされては礼儀として名乗り返さぬ訳には行かない。

「私は佐々木小次郎。 ここの見張りをしている者だ」

「佐々木小次郎って! 通りでそんな格好していると思った。 あれでしょ、歴史好き過ぎてコスプレしたってことでしょ! 納得、納得。 気になっていたからさぁ、よかったよかった。 また、明日も来るよ。 じゃぁね」

 勝手に話かけてきて勝手に納得して消えて行った。

「まさに雷雲のごとき御仁であったな」

 額に汗を浮かべて青空を見上げ一息つく。 退屈なのも問題だが忙しないのも難点だなと思いながらキャスターに一般人との接触は避けるよう言われていたが、令呪で命令されたのはこの柳洞寺の山門を守ること以外あの女狐の命令に従う気は毛頭ない。

「久しく、良い時間であった」

 いつもの様に桜の木に背中を預け眠りにつく。

 

 

                 ★☆☆★☆☆★☆☆★

 

 

 翌日、彼は門の前でいつものように霊体化して空を見上げていた。 するとキャスターが姿を現した。

「何の用だ女狐」

 自分のマスターであるがこの女狐は最初からどうも好かん。

「ずいぶんな挨拶ね、アサシン。 アーチャーとランサーが今夜衝突するわ」

「私とそれに何の関係がある」

「少し警告をしに来ただけよ。 もう聖杯戦争は始っている、あまり余計なことで私の手を煩わせないようにと」

「安心しろ女狐。 令呪があと二つ残っているそれで命令すればいい」

 嘲笑うように顔を歪める小次郎。

「ふん、その余裕聖杯戦争中持てばいいのだけど」

 言いたいことは言い終わったのか、キャスターはそのまま姿を消した。

「……幕開けか」

 昔よりはずいぶん澱んだが、まだここの空気は吸えなくもない、そんなことを思いながら退屈を磨り潰していく。

 

 

                 ★☆☆★☆☆★☆☆★

 

 

 しばし時が経ち夕暮れ差しがかる頃、あの声がまた聞こえた様な気がした。 しかし、キャスターの警告のせいではなく、彼は彼女との接触は避けるべきだと思っている。 それは聖杯戦争という争いに巻き込んでしまうかも知れないからだ。

 覚悟あると無しでは物事に対する対応も変わってくる。

 何も知らない一般人と戦いに参加するつもりのマスターとサーヴァントでは覚悟や情報に差が出るのは当然のことだ。 そんな意味でも一般人は巻き込めない。

「あ、そんなところにいたんですか」

 忘れていたのだ、霊体化しても気づかれてしまうことを。

(いたしかたあるまい)

 明鏡止水!!

 透化B+の佐々木小次郎の特有のスキル。

 これで気配は遮断されたはず。

 もう、わかる筈も無しといつもの定位置に移動しようと彼女の隣を横切った時、進む方向と真逆の方向に力が加わった。

「ふつうに無視してくれちゃってるんですか!!」

 これにはさすがの彼も声が出なかった。

 霊体化に明鏡止水による気配遮断が通じない相手。

「……何者だ? ふつうではない」

「え?ふつうの女の子である森西双菜だけど……」

 いやはや、よもやこのような面白き御仁がいたものだ。 遠い未来にやってきた意味もあったというものよ。

 彼は、彼女の長い話を聞き流しつつそんなことを思っていた。

 

 

                 ★☆☆★☆☆★☆☆★

 

 

 その頃、アサシンを監視していたキャスターは口元に嫌らしい笑みを浮かべていた。

「面白い拾い物ね。 あの子もやれば出来るじゃない」

 フードをよりいっそ深く被り、その場所から居なくなった。

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