Muv-Luv ALTERNATIVE 業 作:ROGOSS
このままだと一年以上かかるコースになりますね…。
申し訳ありません。
8月5日 AM10:00 第二フェイズ 国連軍第6戦術機大隊
『ブラボー3よりトップへ。現段階において問題はなし。弾薬こそ、予定よりもやや多く消費しているものの、追加コンテナ射出まで持ちこたえる、以上』
「トップよりブラボー3。了解。敵掃討を続けよ」
目の前で蠢いているグラップラー級を一斉射撃で相当する。
スウェーデンからの長旅を経て、今回の作戦に参加しているJAS-39グリペンは確かな性能を改めてここで披露することなっていた。本国に帰れば、間違いなく開発元であるサーグ社、ひいては王国に相応しい栄誉を与えられることだろう。
『隊長。この辺りは思ったよりBETAが出てきませんね』
「あぁ、若干の物足りなさはあるがわんさか出てこられても困るだろう。適度な量でいいさ」
『そうはいっても、お国としてはこの最新鋭機の実戦配備と性能評価をしているのでしょう? でしたら、もっと前線を張っていた方がいいのではないですか?』
部下の言うことはもっともだ。
トップこと大隊長は一瞬思考を働かせる。
しかしながら、今回はあくまでも国連軍の一員として参加している身。単独行動はおろか、万が一余計な被害を出せばその責任はだれがとることとなる? さらに、今回のハイヴ破壊作戦は連日行われる予定の超長期間作戦だ。何も、初日に気張らずともこれからいくらでも活躍の機会はあるだろう。
「そう焦ることはないさ。いずれ必ず……」
『トップ! 救援信号です!』
「場所は?」
『隣を担当している戦術機中隊です。どうやら、中国からの派遣された部隊のようですが……』
統一中華戦線からか。気の毒なものだ。つい数年まえに、BETAとの大規模戦闘があったばかりだというのに、日本からの距離が近いという理由でこき使われているのだろう。まあ、かくゆう大日本帝国もその大規模戦闘に参加し甚大な被害をこうむったのだ。お互い様の精神でやっているのかもしれないがな。
「よし、第一中隊は俺に続け! 残りは予定地域の掃除を続けろ。追加武装コンテナが到着次第、第二中隊は救援地帯へ急行。その際、俺たちのぶんの補給を忘れるな」
『了解!』
「さて……では、いこうか」
グリペンのスラスターを吹かせる。慣性を利用し、なるべく燃料消費を抑える。
「まったく、困ったものだ。確か隣の担当は、やや旧式の戦術機だったな」
『数こそそれなりにありましたが、どうにも無理矢理揃えた感じが否めませんね。実質、戦力になるかどうか』
「数撃ちゃ当たるともいうからな。いないよりはマシだろう」
『トップ。なかなか辛辣ですね』
束の間の談笑。あたりにBETAの影が見えないからこそ出来るものであった。
いつまでも緊張状態を続けていられるほど人間は強くない。例え、戦術機に乗るだけの強靭な精神と肉体をもっていようとも、やはり人間の体にとっては戦術機に乗っているだけで過負担なのだ。多少の娯楽を提供するのも指揮官たるものの務めであった。
しかし、その談笑も長く続けられることはなかった。
現場へついた中隊が目にしたのは絶望そのものだった。
「なんだこれは……!」
旧式の性能で捌くことのできない数、つまるところウォーリアー級の大量発生あたりが妥当かと思っていた。その考えは甘かった。否、甘すぎたのだ。目の前にあるのは体長30m以上はあると思われる巨躯。おまけに一つではない。パッと目に入るだけで5体はいる。
「フォートレス級だと?! そんな報告はあったか!」
『ありません! ただ救援要請が来ただけです」』
「クソッ! 奴ら、報告すれば救援を断られると思ってあえて報告しなかったんだ!」
『トップ! 各地でフォートレス級の異常発生が確認されています!』
「そんな馬鹿な! まだハイヴまで10km以上距離があるんだぞ! フォートレス級がハイブから近づいてきているとしたら、すぐに報告があるだろう……まさか……地下か!」
隊長はとある事案を思い出した。
今回と同じく、突然現れたフォートレス級。掃討作戦後、調査を進めるとBETAはハイヴから地下トンネルを掘り進行していることが判明した。どれだけの巨躯であろうとも、地下から突然現れるのでは発見することも対応することもできない。あまつさえ、今はレーザー級の処理も終わっていない関係で爆撃機を派遣することもできない。
フォートレス級の巨大な尻尾が襲い掛かる。後ろを飛んでいた部下が一人、巻き添えを食らい爆散していった。
「メーデーメーデー! HQ! 艦砲射撃を要請する!」
『こちらHQ。その要請は受諾できない。現在、艦隊は各地に現れたフォートレス級への射撃を継続中』
「こっちにも出てきたんだ!」
『……座標は受け取った。しばらく待て。フォートレス級の移動を阻害するため、遅滞戦闘へ移行せよ』
「遅滞戦闘だと……? できるわけがないだろう!」
何をほざいている?
この状況でそれができると本当に思っているのか? 今ここで遅滞戦闘を行えば、弾薬はおろか全滅の恐れさえある。フォートレス級は既にこちらの姿を確認しており、もう退くに退けない状況であった。
「くそったれのBETA共がっ!」
隊長の絶叫が響き渡った。