Muv-Luv ALTERNATIVE 業   作:ROGOSS

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お久しぶりです…
なにかと忙しいと更新が滞ってしまい、申し訳なさがあります…


絶望

8月5日 AM10:30 国連軍太平洋艦隊並びに大日本帝国太平洋艦隊 太平洋洋上

 

「緊急入電! A-3地区より要塞級BETA出現!艦砲射撃を求めています!」

「D-6地区でも艦砲射撃要請!」

「ふむ……今すぐ撃ち込めることはできないのか?」

「残念ながら、現在も継続的に行っている沿岸と要請のあるポイントに砲撃をしています。これ以上砲撃地点を増やすことは不可能です」

「くっ…やはり、人類は勝てないというのか……」

 

 思わず小声で弱音を吐く。

 部下の前で、上官が不安な姿を見せてはいけないことを小沢はよくわかっていた。伊達に長年、提督と呼ばれる役職についているわけではない。

 それでも、本音をいつも隠すことはできない。

 幸いなのは、周りの喧騒によって誰にも小沢の声が聞こえなかったことだろう。

 まだ、まだどうにかなる。どれだけBETAが湧き出てこようとも一か所に綻びさえ生じれば、そこから内部に戦術機が突入できる。中にある核さえ破壊できれば、形勢逆転の機会はある。

 

「致し方あるまい。安部君、聞いているかね」

『はい』

「私は大きな決断をする。私の決断はのちに、愚行だと言われるかもしれない。だが、ここで決めることができない司令官など不要だと信じている」

『小沢提督。私はあなたを信じています。愚者と罵るような者がいたとしても、その者はあなたの真意を知らない。ここであなたの苦悩を知っている私だから断言できます。提督、お下知を』

「…ふっ、では行こうか。全提督及びCPに繋げ! これより作戦をフェイズ2へ移行! 戦術機部隊のハイヴ突入を開始させろ!」

 

〇 〇 〇

 

同日 AM11:10 近衛第23中隊ロンギヌス待機地点

 

 呼吸を整えろ。

 なにも今に始まったことじゃないだろう。BETAを倒す、殲滅する、駆逐する。この日の、人類の逆転の一歩のために、どれだけの犠牲を見てきた。恐怖を押し殺せ。

 

『姫川だ。ハイヴ突入命令が下った。これより、我々も出撃する。まずは隊を二分する。前衛に黒金率いる第ニ、第三小隊。後衛に私が率いる第一、第四小隊。ここからは時間との戦いだ』

『「はい」』

『では諸君、地獄へ行くぞ……!』

 

 スラスターの出力を上げる。

 機体の振動数が上がり、足裏が徐々に浮かび上がっていった。

 前方に見える敵の数は少ない。種類も兵士級や戦士級であり、どうにかできない敵ではなかった。

 ハイヴ内の構造は未知数だ。衛星写真からのイメージで多くの訓練を積んではいるが、ハイヴが人類の思い浮かべることのできない独自構造をしていた場合、完全にお手上げだ。

 

「おもしろい。第ニ、第三混成小隊。行くぞ! 前面の雑魚を蹴散らせ!」

『了解!』

 

 子気味よい振動が伝わってくる。

 87式突撃砲の銃口から、鉛玉が発射され続けた。

 

「そこをどけええええ!」

 

 撃ち漏らしたBETAを長刀で両断する。

 BETA戦で最も怖い、数で圧倒される前に移動を繰り返しながらの行動は、搭乗者に多大な負担を与えることとなる。だからこそ、戦術機のパイロットになるには過酷な訓練と試験を通過する必要があるのだが……

 この戦時下で、いくらパイロットを養成し続けても初陣で死の8分を乗り切ることができない者のほうが圧倒的に多い。

 それでも、戦場へ兵を送り続けなくてはいけない。死ぬとわかる場所に、死地に兵士を送り続けなくてはいけない。生きるために戦っているはずが、死なぬように戦い始めるなどなんという皮肉だろうか。

 

「それもっ! 今日で終わりにさせる! ここを落として!」

 

 黒金の動きに必死についてきている姿あった。

 

『小隊長! 見えました!』

 

 目の前にポッカリと地面に大きな穴が開いていた。

 ロンギヌスが突入予定であるスタブへの入り口だった。

 

「よし、このまま!」

『待てっ! 前衛部隊退けっ!』

『黒金小隊長! 旋回してください!』

「なにがっ!」

 

 西のいう通り右へ大きく旋回する。

 それが来たのはコンマ数秒後であった。

 巨大な鞭のような触手が、黒金のいた空間を薙ぎ払う。

 

「いつの間に……!」

 

 要塞級は、ハイヴ侵入を試みる人類を止めるための最後の門番とでもいうかのように大穴の前で鎮座した。どれだけ精鋭ぞろいであっても、要塞級を倒した後にハイヴ突入は不可能だった。武装も推進剤も、その前に切れてしまう。

 

『……仕方あるまい。ロンギヌス各員に次ぐ、撤退するぞ』

 

 絶望は始まったばかりであった。

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