「この葛餅パフェなかなかじゃない」
「ああ。葛餅もモチモチで下のパフェとの相性もいい」
「はい。とっても美味しいです」
次の日の夕方。三人で仲見世通りの店で葛餅パフェを食べている。
これはこの時期からじゃないと食べられないからな。
「すいません。おかわりお願いします」
「かしこまりました」
店員さんはお辞儀をして厨房に向かっていく。
「食いすぎて腹壊すなよ」
「ええ、わかっています」
アルトリアのハラペコぶりをしばらく眺めていたら、新しい来客が来た。
「あ、昨日はどうも」
「む?」
「おう」
店に入ってきたのは直江大和とクリスティアーネ・フリードリヒだ。
二人は通路を挟んで、反対側の席に着いた。
「神上さんも葛餅パフェを食べに?」
「まあな。二人もか?」
「はい。そういえば自己紹介がまだでしたね。俺は直江大和です。そしてこっちが……」
「クリスティアーネ・フリードリヒだ。よろしくたのむ」
「おう。俺は省くとしてこっちの二人だな」
「私は神上マリア。この人の妻よ」
「え!神上さん結婚してたんですか!?」
「なんだ?以外だったか?」
「ええ、まあ。すごい若いですし」
「まあ見た感じはな。んでもう一人」
「私は神上アルトリア。私もこの人の妻です」
「ええーーー!!」
「うるさいぞ、静かにしろ」
「あ、すいません。でも一夫多妻なんて……」
「そうだぞ。不誠実ではないか?」
「おい、クリス」
「大和もそうは思わないか?」
「いや、愛の形は人それぞれだろ」
「だが納得はできん!」
やっぱり反論してきたか。この正義バカは自分の考えが絶対だからな。
「フリードリヒ、なにを持って不誠実としているんだ?」
「妻が二人もいることだ」
「なぜ二人妻がいてはいけないんだ?」
「はたからみればどちらとも決めきれない、優柔不断だろう」
「優柔不断じゃないさ。マリアが1番でアルトリアが2番目だ。これは本人たちにも言っている」
「だったらなおさらだろう。優柔不断どころか恥ずべきところしかないではないか」
「たしかにお前の言うことは正論だ。だが俺がマリアを最も愛し、アルトリアのことも勝るとも劣らないほど愛しているのは事実だ」
「なんで堂々と最低な発言ができるんだよ……」
「いいたいことを言ったまでだ。そもそも他人の恋愛に口を出すな」
「最低発言してる奴に正論説かれちまったよ……」
「まだ自分は納得していないぞ!」
「納得しろとは言わん。が、理解しろ。そして自分の価値観を他者に押し付けるな。それは傲慢だ。お前今までそれで痛い目にあっただろう」
「……………」
「それを聞く気はないが、俺達の関係に首を突っ込むな。目障りだ」
「……分かった。しかし、私は意見を変えないぞ」
「それは好きにしろよ。俺に関係なければお前の恋愛なんざどーでもいい」
「それはそうと二人は葛餅パフェ食べに来たんじゃないの?」
「おお!そうだった!すいませーん!」
一触即発の空気はマリアの質問とクリスの一言で四散した。
あーだめだ、やっぱりあの正義バカはだめだ。事あるごとにケンカしそうだ。なるべく関わらないようにしよう。主に俺の精神的ストレスのために。
たしか九鬼紋白が直江に歓迎会の相談するのがここだった気がするが、見た感じ来てないみたいだな。まあ、関係ないか。特に会いたいわけじゃないし。それにあの金髪執事ヒューム・ヘルシングに目をつけられたらメンドいことになりかねん。
触らぬ神に祟り無し、雉も泣かずば撃たれまい。メンドイことには関わるなっと。
パフェも食べ終わったし帰りますか。
◇
日付は変わって土曜日。
俺はアルトリアとデート中だ。川神の人工島にある動物広場に行った後、七浜の中華街で食べ歩きをするつもりだ。
今までこうしたデートに行かなかったのは、遊び場や娯楽と言えるものがほとんどなかったからだ。正直、元21世紀に生きていた日本人としては今までの文明の娯楽では満足できなかったので、必然的に足も外には向かない。
しかし、最近になってようやく遊べそうだ。40億年も待ったかいがあった。
「ほら紫苑見てください。あんなに子犬がいますよ」
「今行くよ」
腕をぐいぐいと引っ張るアルトリア。
その目はキラキラとし、今にも駆け出しそうだ。
ここは人工島にある動物と触れ合える広場で、広さは建物も入れて100㎡と結構な大きさだ。
飼育員の人と話中に入れさせてもらう。
外には、柵で囲まれてはいるが多数の動物が放されている。
ほとんどが犬だが種類が多い。
「ここで見てるから行ってきな」
「はい!!」
元気よく返事をすると早足で駆けていった。
可愛い物好きだからなあ~とか思っていると、見知った人物がやってきた。
「あれ?神上さんどうしてここに?」
「デートだよ。そういうお前こそなにしてんだよ………って、隣にいんの燕ちゃんか?」
「え!知り合いなんですか?」
「昔ちょっとな」
話題になっている燕は目を見開いている。まあ、10年近く前にあった人物が、当時と変わらないんだから驚くのも当然か。
「お久しぶりです。あの時はどうもありがとうございました」
そういって燕は頭を下げる。
「ああ、いいって。もう終わったことだしよ」
近くにあったベンチに座り、ヒラヒラと手を振る。
しかしあれから10年近くか。
「あの、すいません。なにかあったんですか?」
「俺から話すことじゃないな。聞きたいなら本人に聞いたらどうだ?」
そういって視線を燕のほうに向ける。
燕は頭を横に振った。まだ話す気はないようだ。
「ま、そのうち話してくれんだろ。頑張って信頼を勝ち取れよ、中二病」
「(ドキッ)サ~ナンノコトデショウ?」
「え?大和君って中二病なの?」
「違います!神上さんも変なこと吹き込まないでください!!」
「でもホントだろ?」
「違います!!」
「人生は死ぬまでの暇つぶし……だっけ」
「グサアッ」
「あ~これは元中二病っぽいね。にしし、いいネタが入ったよん」
「やめて遊ばないで!!」
大和で遊ぶのもほどほどに、アルトリアのほうに顔を向ける。
視線の先には、芝の上に座り、子犬と戯れるアルトリアの姿があった。
子犬に顔をなめられくすぐったそうにしている。
楽しそうに笑っているその姿に、しばらく見惚れてしまった。
「……上さ……神…さん!……神上さん!!」
「……あ?ああ悪い、ぼけっとしてた」
「どうしたんです?」
「いや、なんでもない。それより二人ともデートだろ?遊んできたらどうだ?」
「まあデートといえばデートですかね?」
「そうそう大和君に川神の街を案内してもらってるんだよ」
「ふーん、あっちにアルトリアがいるから会ってきたらどうだ?」
「えっ!来てるんですか!」
「ああ。ほらあそこにいるだろう」
視線の先には子犬と戯れているアルトリア。
「私行ってきますね!」
一声かけると燕は走っていった。
おお、おお元気に話しかけてまあ。若干面食らってるぞ。
「俺らも行くか」
「はい」
しばらく4人で動物と触れ合った後燕たちと別れた。
二人はこの後仲見世通りに行くようだ。
俺たちは考えていた通りに七浜の中華街に行き食べ歩きをしてデートを終えた。
味を占めたようで、ちょくちょく繁華街に出かけるようになった。
お土産の量も尋常じゃないくらい多い。大半は自分で食べてしまうんだが。
今まで外に出なかった分、これからは楽しめるだろう。
あ、マリアにお土産買うの忘れた………
中二病のくだりは書いてて楽しかった。これからもちょくちょく書きたいです。