Mission 1
寿命で死んだはずだと思った。しかし気づけば一面真っ白な何もない空間。
疑問に思いながら当てもなく歩き、どれだけ歩いたか分からなくなった頃目の前には巨大な扉が佇んでいた。
上の方は霞んで見えないが白塗りに金の装飾。
その扉が音もなく開いた。その先にいたのは……
「やば、バー○ル強すぎ」
寝転がってDevil M○y Cry 3をプレイ中の……女性だった。
長いストレートの金髪に灰色のローブを着た。
それを後ろから見つめ体感時間で1時間。
俺に気づいたのはバー○ルに13回負けたときだった。
「……誰?」
「お前こそ誰だ?」
「誰?」
「……朱矢 紫苑だ」
「どうやって来たの?」
「死んで歩いたら着いた」
「なるほどね」
「そっちの質問に答えたんだ。こっちの疑問にも答えてもらうぞ?」
「いいわよ」
「ここは?」
「神上と呼ばれる空間」
「お前は?」
「カオスよ」
俺は少し硬直した。カオスとはギリシア神話における原初神。
神統記によれば、全ては『これ』より生まれたとされる、絶対神。
神話に登場するオルフェウスによれば『カオスは有限なる存在全てを超越する無限を象徴している』という。
それがまさかこんな……いや見た目に惑わされてはいけないな。
「そうか。俺がなぜここにいるか分かるか?」
「さあ?」
「…………」
「けど推測はできるわよ?」
「それでいい」
「本来死した者の肉体は大地に返り、魂は初期状態に戻り新たな生命として生まれるの」
俺はカオスの言葉に耳を傾ける。
「けど極稀に神格の領域に足を踏み入れる魂があるわ。そういった魂を持つものは生前に偉業を成し遂げたりする。アーサー王然り、曹猛徳然り、ギルガメッシュ然りといった具合にね」
「ならなんで俺はここにいる?俺は普通に人生を過ごした」
「さっき言った人物たちでもこれたのは神格の領域まで。ここは神上。神格よりも上の空間さ。ここに来たのはあなたが始めて」
「つまり?」
「あなたの生きた世界では許容できなかったっていうことだと思うわ。だから一般の人と同じ生活になったってことかな」
「なるほど」
理解はできた。しかしこれからどうするか……
「どうする?」
「どう…とは?」
「よく二次創作とかであるじゃない。神様転生。する?」
「断る」
「へ~珍しいわね。他に神格領域に来た魂は狂喜したって聞くけどね」
「他にも俺みたいのがいるのか?」
「いるわよ。君みたいに強大な魂じゃなくて迷い込んだんだけど」
「領域に来られるのは強い魂を持つものだけじゃないのか?」
「基本はね。でも何事もイレギュラーとは存在するわ」
「ありえない事はありえない…か」
「そういうこと。でもなんで転生したくないの?」
「面倒臭いからだ」
「…………何が?」
「確かに漫画やアニメ、小説の世界に行き神様から特典をもらって無双したりハーレム作ったりするのは楽しいだろう」
「そうなんでしょうね。私もよく二次小説読むし」
「けどそのために態々死亡フラグ満載のところに行く奴の気が知れない。アホかと言いたい」
「なるほどね。じゃあこれからどうするの?ここで過ごすの?幸い肉体はあるし」
「そうだな。とりあえず……バー○ル倒すか」
「倒せるの!DMDだけど」
「生きていた頃はやり込んだからな。全ての難易度で全てのMissionをオールSでクリアしたぞ」
「ホント!やりましょ!いやぁ~ブルーオーブの場所が全然わかんなくてね~」
「おう。まずな――――――」
◇
あれからどれくらいの時間がたったか……
カオスとはいろいろ話した。主にゲームやアニメだったが。
というかここにそんなものがあるのが不思議だが、そこは神様パワーか。
俺が来るまでずっと一人だったようで話し相手ができて嬉しいと言っていた。
一度死んだからか、この空間のせいか歳はとらず食事も睡眠も必要無かった。
今はカオスと一緒に真・北○無双でネットの協力プレイをしている。
「紫苑は右から拠点落として」
「はいよ」
「紫苑が来てから楽しくてしょうがないわ」
「そりゃど~も」
「でもそろそろ飽きてきたんじゃない?この生活にも」
「多少な。けど転生してもこんな生活になるぞ」
「典型的なダメ人間ね」
「ほっとけ。……なんで転生させたいんだ?お前と別れることになるんだぞ」
「基本的に今の世界……君の世界の基礎を作ったのはガイア、タルタロス、エロース、ニュクス、ヘーメラー、アイテールなの。私は場を提供しただけだから干渉できなくてね」
ガイアは大地を生み出し、タルタロスは冥界、エロースは愛を。ニュクスは夜、ヘーメラーは昼、アイテールは清廉な大気を生み出している。
ガイアはウーラノス(天空)、ポントス(海)を生み出し、ニュクスはヒュプノス(眠り)やオネイロス(夢)、またタナトス(死)やネメシス(復讐)、運命の三女神らが生まれている。ガイアはウーラノスを夫とし、数多くの巨人や神々を次々に生んでいく。
まずティーターン十二神を生んだ。すなわち、オーケアノス(大洋)、コイオス、クレイオス、ヒュペリーオーン(光明)、イーアペトス、テイアー、レアー、テミス(審判)、ムネーモシュネー(記憶)、ポイベー、テーテュース、そして末子の狡猾なクロノス(農耕)が生まれた。
また人類とオリュンポス神の父といわれているゼウスはレアーとクロノスの子で、父クロノスはわが子に支配権を奪われる不安にかられ、生まれた子供を次々に飲み込んでしまった。そこでゼウスを生んだとき、母レアーは産着で包んだ石をかわりにクロノスに飲ませることでゼウスを救った。ゼウスはクレーテー島で雌山羊のアマルテイアの乳を飲み、ニュムペーに育てられた。
成人したゼウスは、嘔吐薬によってクロノスに女を含め兄弟たちを吐き出させ(この時飲み込まれた順とは逆の順で吐き出されたが、これがポセイドーン等にとって第2の誕生にあたり、よって兄弟の序列が逆転されたともされている)、父親に復讐をしたがっている彼らと共に、全宇宙の支配権を巡る戦争であるティタノマキアを勃発させた。
この大戦においてゼウスは雷霆を投げつけ、無敵の衝撃波と雷火によってティーターン神族を一網打尽にした。その威力は見渡す限りの天地を逆転させ[3]、地球や全宇宙、そしてその外側のカオスをも焼き払うほどであった。この想像を絶する猛攻撃の甲斐あってゼウスたちはクロノスなどのティーターン神族を打ち倒し、敗者であるティーターン神族は地獄の底、奈落のタルタロスに封印された。
その後ゼウスとポセイドーンとハーデースは支配地をめぐってくじ引きをし、それぞれ天空と海と冥界の主となった。更に、ゼウスはその功績から神々の最高権力者と認められた。
wikiより抜粋
「それが転生と何の関係がある?」
「それはね、転生させた人物とパスが通り直接・間接的に干渉できるの」
「俺を利用する気か?」
「結果的にはそうなるわね。けど私は一度もここから出たことがないから行きたいのよ。見ることはできても……ね」
「………まったく、その言い方は卑怯じゃないか?」
「ごめんなさい」
「怒ってるわけじゃない。カオス、俺とお前は友達だ。そういうときはお願いすればいいんだよ。『外に連れて行って』って」
「!!……わかったわ。私を外に連れて行って」
「了解した。しかし俺は何をすればいいんだ?」
「紫苑を先に送るわ。その後は私とのパスができたら行くわ」
「それはいいがどれくらい掛かる?」
「今のままだと1000億年ってとこかしら」
「……今のままだと?」
「転生する際に紫苑の肉体を作り変えるわ。今のままだと魂と肉体のバランスが悪すぎるもの。神上に来るくらいだからバランスが取れれば掛かる時間は1時間ってとこかしら」
「まあ仕方ないか」
「けど肉体を作り変えたら私とほぼ同じ存在になるわ」
「お前と同じ?」
「そうよ。死ぬことはもう無い。けど周りの人は死んでいく。紫苑はそれに耐えられる?」
「そんな高尚な考えは俺には無いな。死ねばそれまでだ。『そうか、じゃあ葬式だな』ぐらいしか思わなかったしな生きていた頃は」
「以外と薄情なのね」
「そういうわけじゃないが、気づいたらそうなってたんだ」
「まあいいわ。じゃあ今から転生させるから目を閉じて」
言われて目を閉じる。
「1分後に目を開ければ転生は完了よ」
「わかった」
―――――56、57、58、59、60。
60数え目を開ければ目の前は真っ暗だった。周りを見渡せば岩が彼方此方に浮いている。
そしてそれより先に青く光る星『地球』。
「ここは宇宙空間か。しかしカオスどういう肉体にしたんだ?まあカオスと同じ存在だし十分人外か。カオスが来るまで1時間、とりあえず地球に行きますか」
細かい説明はカオスにして貰おうと開き直り地球に歩き出した。
今の俺は宇宙空間すら歩けるのかと思いながら、青く美しい地球を見つめた。
いろいろ思う所はあるでしょうがスルーで!!