真剣で私に恋しなさい!S 面倒臭がりやの転生者    作:慶次

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弁解のしようもございません。


Mission 19

「…ここは」

 

 

目を開ければ、映ったのは白い天井だった。

私は何でベッドの上に…

 

 

「っ!?」

 

 

そうだ、私は…

 

 

「負けたのか」

 

 

そう、私は負けた。武神と言われ私にはその名に恥じない強さがあった。小さい頃から戦うのが好きで私は武術にのめりこんでいった。幸いにも私には才能があり、あっという間に他の修行者たちを抜き去ってしまった。

向かうところ敵無しで、修行すればするだけ強くなった。しかし、いつからか自分より強い奴が現れないことに気が付いた。私は戦うのが好きだ。特に、自分よりも強く、一進一退攻防、どっちが勝つか分からない、そんな戦いが。

 

 

「最後に満足できたのは揚羽さんの時か」

 

 

それ以来満足のいく戦闘はできなかった。ジジイが用意する相手もパンチ一発で終わってしまう。そんな時にこの大会が開かれた。そして、すぐにそいつは目に留まった。

銀色の髪をオールバックにし、青いコートを羽織った青年。体感、脚運び、内に秘める(オーラ)、それらが他とは段違いだった。結果そいつのチームは他の選手を瞬殺。燕のチームもそいつのパートナーに敗北した。

そして私とのエキシビジョンマッチ。ワクワクしてどうしようもなかった。早く戦いたかった。こいつなら私を満足させることができる。そう思った。しかし、実際は…

 

 

「手も足もでなかった」

 

 

はっきり言って次元が違う。そうとすら思えるほど圧倒的だった。こちらの攻撃は当たらず、一方的に刃を潰した刀で切られる。そのダメージを回復させようと瞬間回復を行えば、早々に封じられた。そして、一刀の下に切り伏せられた。

 

 

「(お前は獣だ)」

 

 

あいつの、神上紫苑の言葉が響く。

 

 

「(自分の中の獣を理性で持って飼いならしてこそ人は人たりえる。強者と見れば誰彼構わず喧嘩を売り、満足しなければ気落ちする。そんな奴を人間とは言わん)」

 

 

ジジイにも散々言われてきた。

 

 

「(精神が未熟すぎる)」

 

 

負けて身に染みる。自分が戦って、勝ってきた相手にこれでは申し訳が立たない。相手は「誠」でもって向かってきてくれた。私は「誠」で返しただろうか?

答えは、否。

心のどこかで「どうせこいつも」と思ってなかっただろうか?ましてや手加減など、何たる不敬、何たるざま。私は恥ずかしくなり、膝を抱えた。

 

 

「一からやり直しだ」

 

 

己のあり方から、精神まで。全てだ。彼がいる、まだ見ぬ頂。今のままでは麓にすら辿り着けない。私は決意する。そこまで考えてようやく周囲に気を向けた。扉の向こう、廊下から誰かがこっちに走ってくる。

 

 

「(この氣はワン子か)」

 

 

予想した通りワン子は扉の前で止まり、コンコンとノックした。

 

 

「お姉さま?起きてる?」

 

「ああ、入ってきていいぞ」

 

 

返事をするとすぐにワン子は部屋に入り、駆け寄ってきた。

 

 

「お姉さま、具合はどう?」

 

「大きな怪我もないし大丈夫だ」

 

「そっか~、よかった~」

 

 

ワン子はベッドにヘニャヘニャと倒れこんだ。

 

 

「おいおい、心配しすぎだ」

 

「一応ただ気絶してるだけって聞いてたけど、心配なものは心配なのよ~」

 

「う~ん、カワユイな~内の妹わ~」

 

 

そう言って、上から覆いかぶさるようにワン子を抱きしめた。

 

 

「ワン子」

 

「な~に?」

 

「もっともっと強くなる」

 

「うん」

 

「そしてあいつに勝つ!!」

 

「うん!お姉さまならきっと勝てるわ!」

 

「ああ!」

 

「私も、もっともっと修行してお姉さまみたいになるんだから!」

 

「はは!私はワン子が強くなるのを待ってはやれないぞ」

 

「必ず追いついてみせるんだから!」

 

 

お互い決意を新たにし、しばらく笑っていた。

 

 

「お姉さま、具合がいいならリングに行きましょ」

 

「?何でだ?エキシビジョンは終わったんだし、後は表彰だけじゃ」

 

「それがね、今お爺ちゃんと神上さんが戦ってるの」

 

「!?なんでそれを早く言わない!くそ、いくぞワン子!」

 

 

私はベッドから飛び降り、リングに駆け出した。

 

 

「待って~!置いてかないで~!」

 

 

リングに着いて見たものは、木っ端微塵に砕かれたリング場と、空中で(オーラ)を纏い戦う二人の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ!」

 

「ぬん!」

 

 

時間にして約10分ほど。しかし、俺達の攻防は100をすでに越えていた。リング場は、余波で粉々になり場外判定は意味を成していなかった。空中で戦う俺達の攻撃で凄まじい衝撃が波紋のように広がる。それを観客のほうに行かないように、四人のマスタークラスは結界の強化に力を注いでいた。すごく辛そうな顔をしていたが。

お互いの拳がぶつかり、衝撃で距離が開く。俺たちは当然のように空にいた。

 

 

「どうした。息が上がってるんじゃないか?」

 

「ほっほ、まだまだこれからじゃよ」

 

 

とはいえ、どうしたものかと鉄心は考える。はっきり言って、かなりの体力が奪われている。どう考えても先にこちらの体力は尽きる。ならば早々に決着をつける。そこまで思考し、すぐさま行動に移す。

 

 

顕現の参!毘沙門天!(けんげんのさんびしゃもんてん)

 

 

それは(オーラ)で作られた武神・毘沙門天。仏教における武を司る。その拳の一撃は時間にして0.00001秒で放たれる。直撃し地面に叩き落とされた。好機と見て畳み掛ける。

 

 

顕現の弐!摩利支天!(けんげんのにまりしてん)

 

 

鉄心の体が蜃気楼のように揺らいでいく。紫苑の目には揺らいでいる鉄心がいた。ただし…

 

 

「(空が見えん)」

 

 

視界を埋め尽くす鉄心の姿だが。そして鉄心から次なる技が放たれる。

 

 

顕現の伍!千手観音!(けんげんのごせんじゅかんのん)

 

 

鉄心の背後に巨大な千手観音が現れた。観音菩薩が千の手を得た姿。その手にさまざまな武器を持つ。その千の攻撃が視界を埋める鉄心一人一人から放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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