真剣で私に恋しなさい!S 面倒臭がりやの転生者    作:慶次

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見捨てないでくれたら嬉しいです。

ではスタート。




Mission 20

視界には空を覆うほど千手観音。その手には刀に剣、斧に槍などの武器を携えている。それを従えるは武神川神鉄心。かつてはあっさりと自身に敗北した武闘家。これまでの自身の全てを俺に放っている。武神と言われているくらいだ。かなり無茶な修行をしてきたんだろう。

若かりし頃の敗北。あの時はもちろん修行中だったとはいえ忘れられない思い出だろう。俺があれ以来ぱったりと姿を消し、会えたのは最近だ。そして己を土につけた相手に雪辱を果たせる機会を得た。おそらく本人もわかっているだろう。この勝負は最初で最後だということ。

鉄心の年齢による肉体の衰え。氣で誤魔化し続けるのも10年あるかどうか。何より面倒臭いのがだぁ~い嫌いな俺が戦闘なんぞする訳がない。だから思いっきり楽しめよ鉄心。気づいていないだろうがお前、笑ってんぞ?

 

 

「…ふぅ、やはりこれでも駄目じゃったか。ワシ凹みそう」

 

「フハハ、そんなニヤけた顔されても説得力はないなぁ」

 

「ほぉっそれはすまんの」

 

 

千手観音による億に届くかという波状攻撃を俺は一切合切切り捨てた。回避は不可能と判断した結果だ。刹那の瞬間に次元斬をひたすら繰り返した。

 

 

「さてさて、おそらくもっとも最高の奥義を破ったわけだがまだやるか?」

 

「当然じゃな。技は破られてもまだワシは立っておる。起き上がれなくなるまで何度でも立ち上がるだけじゃ」

 

「そうかい。お前の孫も起きて来たし、そろそろ決着つけようか」

 

「モモか、ずいぶんと早い回復じゃったの」

 

「そうなるように手加減という名の調整をしたんだ」

 

「モモやお爺ちゃん情けない」

 

「まぁなんだお疲れ?」

 

 

ちょっと可愛そうになって同情してしまった。まぁ差がありすぎるから仕方ないっちゃぁ仕方ないんだが。おっとホッコリしてしまった。

 

 

「まぁなんだやるか」

 

「うむ、終幕といこうかの」

 

「お前の」

 

「お主の」

 

「「敗北でな(の)!!」」

 

 

直後会場を衝撃波が襲う。結界越しにだがビリビリと感じる衝撃に観客も驚きの声を上げる。しかしそこは変態の都川神。声を上げても誰一人として去る者はいない。むしろ立ち上がり両者に声援を向ける。

 

 

「行けー!!鉄心!!武神の力見せてやれ!!」

 

「紫苑くーん!!頑張れー!!」

 

「どっちも頑張れー!!」

 

 

そんな声は置いといて当の2人は激闘である。紫苑も閻魔刀を仕舞い白銀の篭手と具足で相手をしている。ご存知の方もいるでしょう、某悪魔狩りアクションRPGで有名なベオウルフである。閻魔刀と一緒に紫苑が作成した。ベオウルフの機能である、相手にダメージを与えたときその治癒を妨害、蝕む能力は解除してあるので今は頑丈な武具でしかない。

2人は乱打という乱打を、蹴りという蹴りを繰り返している。顔面に来た拳を回避し拳を返せばその拳に手を添えられ受け流される。蹴りを出し腕で防御した後その脚を掴み投げようとすれば逆の脚で蹴り込まれ回避する。はたから見れば一身一体の攻防に見えるだろう。しかし疲労していたのは鉄心だ。

当然だろう。方や混沌神と同等の存在だ。鉄心がでたらめな強さを持つとはいえそれは人の領域を出ない。差が出て当然である。ならばなぜ自分はここまで戦えるのか?本当はすぐに決着は着けることができるこの試合。おそらくかなり紫苑は手加減しているのだろうということはすぐに推測できた。

全身全霊で向かってこないのは武人に対する侮辱と捉えられるだろう。しかし鉄心はそうは思わなかった。そしてその答えは拳の弾幕を避けながら紫苑と目が合うことでわかった。

 

 

「(そういうことか)」

 

 

鉄心は理解した。相手も自分と同じ気持ちなのだと。そう、紫苑はこの試合を楽しんでいた。面倒ごとが大嫌いだが、やり始めれば楽しめるようにするという捻くれているような面倒臭い性格の持ち主なのである。

話がずれた。紫苑も楽しんでいることがわかった鉄心は大きく距離をとった。

 

 

「やはりお主は強いのぉ」

 

「世の中物騒だからな。自分の身は自分で守らないとな」

 

「お主を襲った相手のほうが心配になりそうじゃ。ふむ、どうじゃここで最後の大勝負といかんか?」

 

「確かに試合も長くなってきたからな」

 

「この技を破ればワシの負けでかまわんよ」

 

「なんだまだ隠してたのか」

 

「ほれよく言うじゃろ。切り札は見せるな、見せるならさらに奥の手を用意しろとな」

 

「はっ、じゃ俺も見せてやろう。いくぞ鉄心」

 

「応。顕現せよ!猛速凄乃男身命!!」

 

「スサノオとか化け物級だな」

 

「お主に言われとうないわい」

 

 

現れたのは猛速凄乃男身命。日本神話における天照大神、月読に続く三柱の一柱。その武は鉄心が顕現してきた数々の化身の中でもNo.1。氣で形作られているため半透明だが大きさは20mを越え長い挑発に切れ長の目。着物の上からところどころに軽鎧をつけ背後には勾玉が輪状に浮かび、腰には草薙の剣が差してある。

 

 

「ほれお主の番じゃぞ」

 

「わかってる。現れよ!シヴァ!!」

 

「シヴァじゃと!?」

 

 

シヴァ。

ヒンドゥー教の3最高神の一柱で破壊神。こちらも20mを越え半透明で髪は長く巻き上げていて三日月の髪飾りをしている。腰に布一枚の格好だが手にはトリシューラと呼ばれる鉾をもっている。

 

 

「シヴァとかやりすぎじゃろ」

 

「お前も人のこと言えんだろ。さぁ最後だ鉄心、西部劇っぽくこのコインが地面に着いたら勝負だ」

 

「いいじゃろ。望むところじゃ」

 

「じゃあいくぞ」

 

 

ピーン。と一枚のコインが指から弾かれた。コインが落ちてくるのがひどくゆっくりに感じる。思えばやつを倒すために修行してきた。強くなった、やつに負けてからは誰にも負けなかった。ヒュームともいい勝負だったが自分のほうが二歩も三歩も前を行っていた。強くなったから解るやつとの差。おそらく自分は負けるだろう。だが鉄心は天にこの出会いを感謝した。宿敵との出会いを経てこれまでの人生が輝いていたと胸を張っていえる。今なら今までの中でも最高の一撃が打てる。

 

 

そして――

 

 

コインが――

 

 

落ちた。

 

 

「「はあああああああああああああ!!!!!!!!!!」」

 

 

同時にシヴァと猛速凄乃男身命が紫苑と鉄心がぶつかった。

衝撃で突風が吹き荒れる。なにかにしがみついていないと飛ばされてしまいそうになるほどだ。しかしそれも長くは続かなかった。徐々に風は収まり始めていてゆっくりと周囲の確認もできるようになった。木っ端微塵となった舞台はまだ煙で覆われていてよく見えない。が、顕現した二柱は丸見えだ。目を向ければシヴァが猛速凄乃男身命をトリシューラで突き刺していた。

会場はざわついた。

 

 

「おい、あれって」

 

「ああ。ってことは」

 

 

舞台のほうは煙も晴れそこで目に入って来たのは、立っている紫苑と膝を着き肩で息をする鉄心だった。

 

 

「ハアッハアッハアッ…やはり…勝てぬか」

 

「…だが良い試合だった」

 

 

鉄心に手を差し出す。紫苑の手を見てしっかりと握り立ち上がった。

 

ここに長かった若獅子タッグマッチトーナメントエキシビジョンが割れんばかりの歓声の中終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





駆け足気味に若獅子終了。

紫苑ってこんなキャラだっけ?
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