夫婦になってしばらく時がたち現在は5世紀半ば。
あれから俺たちはなんども愛し合った。
時に激しく、時に優しく。
マリアの体は、肌は瑞々しく胸は形もよく張りがありとても気持ちよかった。
なに?下だと?
………とりあえず名器だと言っておこう。
俺の惚気はともかく、現在俺はブリテン島に釣りをしに来ている。
ここに来たのは特に理由があったわけじゃない。
適当に釣りのできる湖へと祈ったところ、この場に降り立っただけだ。
釣り糸を垂らしながらふと呟いた。
「しかしブリテン島か。この時代ではアーサー王伝説が有名だが」
「私がどうかしましたか?」
「っ!!」
まさかこの場にいるとは思わなかった。
いくら人に会わないからといって気を緩めすぎたな。
これからは気配探知は常にしておこう。
しかし彼―――いや彼女がアーサー王か。
国を守り、円卓の騎士ランスロットの裏切りにあい、カムランの戦いにて重症を負い、部下に聖剣エクスカリバーを湖に返還させ、その壮絶な人生に幕を閉じる。
このとき『アヴァロンにて傷を癒す』というセリフがあるが詳細は不明である。
「?どうしました?」
「いや、なんでもない。それよりどうしてここに?」
「これからどうするかを考えて当ても無く歩いていたらここに着いた。あなたは?」
「俺は見ての通り釣りをしている」
「本当に見たままですね」
「他にいいようがない」
「ふふ、確かにそうですね」
アーサーはおかしそうに笑う。
しかしこのアーサー、『Fate』のアーサー・ペンドラゴン・アルトリアにそっくりだ。年のころは15、6といったところか。
「それで?なにを悩んでるんだ?」
「いえ、こればっかりは……」
「言うだけ言ってみろ」
見たところ帯剣はしていない。ということは、まだ選定の剣『カリバーン』は抜いていない。だとすると悩みはおそらく―――
「分かりました。そこまで言うなのら―――」
アーサーが語ったのはやはり自分の血のことだった。
最近知ったことで、自分がブリテンの王『ユーサー・ペンドラゴン』の実子で、王家の血を引いており、この先にある『選定の剣』と呼ばれる剣を抜かなければならないこと。
その剣を抜いた者が真の王と呼ばれる。が、どんなに優秀な人物でも、王家の血を引いた人間でも抜くことができなかった。しかし自分に剣を抜くことができるのか?この混迷の時代を収め、平和な世を築くことができるのか?
彼女は自分に自信がないと言い言葉を切った。
「そうか。……君は自分の生まれをどうやって知ったんだ?」
「私を育ててくれたマーリンから聞きました」
「そのマーリンはなんて言ってるんだ?」
「『その剣を抜けるのはおそらくあなた唯一人。しかしこの混迷の時代を平和にするためには多くの血が流れるでしょう。そして時には非常な決断も必要になります。ですが、その時には私が支えましょう。道を外しそうな時は私が苦言いたしましょう。私は死ぬまであなたの傍に』と」
「なるほど。で、君はどうするんだ?」
「え?」
「いや、質問が悪かったな。君はどうしたいんだ?」
「私は……」
「確かに不安はあるだろう。自分の命令で何千何万の人が死ぬかもしれない。いや実際今は継承者争いで確実に内乱が起こるだろう」
「………」
「だがそれを早期に収め、そこから平和な世を作るには必要なことだ。過去・現在・そして未来、そのどれもが人は争うだろう。恒久的平和を作り出すのは難しい。だからこそ一時とはいえ平和な世を作り、その平和を守るために人は戦う」
「しかし私は……」
「そこで質問に戻る。君はどうしたいんだ?力ない人々に平和な世を送ってあげたくはないのか?山賊や強盗に怯えることなく安心して眠ることのできる日々を送ってあげたくはないのか?誰一人飢えることなく、笑いながらお腹一杯にご飯を食べるみんなの顔を見たくはないのか?」
「………私は………見たい。……いや、力ない人々のために平和な世を作り、山賊や強盗に怯えることなく安心して眠れる日々を作り、お腹一杯ご飯を食べ、笑っているみんなの笑顔が見たい!!」
「………吹っ切れたか?」
「ええ。ありがとう、こんなに簡単なことだったんですね」
「これから色々大変なことがあるだろう。だが諦めず、前を見て進め。結果は後からついてくる。必ずな」
「はい!では私はこれで」
そういって彼女は振り返り歩き出そうとした。
「最後にひとつ。もし選定の剣が折れたらもう一度ここに来い」
「?なぜです?」
「それはその時になれば分かる」
「?納得はできませんがそのときはここに来ましょう」
「ああ」
「では」
彼女は今度こそ歩き出して言った。
その後姿は堂々とし、覚悟を決めたものだった。
「まったく。俺はいったい何様のつもりなんだろうな」
どんなに言葉を繕っても俺は一人の少女を死地に送り込んだ。
もちろんこの責任は取るつもりだ。が、これから彼女が行うことについては手出しはしない。この世界の歴史はこの世界の住人によって作られるべきだからだ。
俺やマリアのような異物ではなく。まあ、たまにこんなことになるんだけど。
会うのは彼女の最後。『カムランの戦い』の後、『聖剣エクスカリバー』を返したあとだ。それまではまたダラダラと過ごすか。
あ、魚に餌取られてる。
◇
アーサーに会ってから何年たったか。
俺はダラダラと過ごしつつ、『世界観測者(ワールド・オブザーバ)』で見ていた。
この能力は世界中あらゆるところが見ることができる、ただそれだけの能力だ。
そして今、カムランの戦いがモードレッドの死で決着がついた。
だが、聖剣エクスカリバーの鞘を失ったアーサー王も瀕死の重傷を負い、いつ死んでもおかしくない状況だ。
俺は立ち上がりアーサーの下へと降り立った。
「久しぶりだな。アーサー王」
「あなたは……あの時の」
アーサーは木に寄りかかり、最早立ち上がることもできずにいた。
「べディヴィアは聖剣を湖に帰したのか?」
「ええ……。あなたは知っていたのですね」
「なにを?」
「聖剣があの湖にあるのも、そして私がこうなることも……」
「聖剣があの場所にあるのは知っていた。だが、お前がこうなることは予測でしかなかった」
「…………」
「恨むか?俺を」
「……いえ。この事態を招いたのは私自身です。誰を恨むことはない。私の責任です」
「優しいな。アーサー・ペンドラゴン。いやアルトリア」
「マーリンしか知らない私の真名まで……あなたは不思議な人ですね。あなたといると、とても心が安らぐ。この大地に、世界に包まれている…そんな気がします」
「そんなこと言われたのは初めてだな。さてアルトリア、今日ここに来たのは雑談をしに来たんじゃない。責任を取りにきた」
「責任?」
「そう、責任。俺が一人の少女を…死地に送り、孤独な王にしてしまった責任を取りにきた」
「それには及びません。私が自分で選んだのです」
「そう言うとは思っていた。が、それじゃ俺の気がすまない。だから選択肢をやろう」
「選択肢?」
「ああ。1、俺と共に来て世界の行く末を見る 2、キズを治しこのまま世を捨て放浪する 3、このまま死ぬ。さあ、どれにする?」
「…………」
「悩んでいるか?じゃあこの言葉を送ろう。"お前はどうしたい?"」
「!!………私は………私は、あなたと共に居たい。これから先私を知る人がいなくとも、私はあなたの傍に居たい」
「ありがとうアルトリア。疲れただろう?今は眠りな。起きたらいろいろ話すから」
「ああ……おやすみ……」
眠ったアルトリアの傷をすぐさま治療し、お姫様抱っこで抱え自宅に転移する。
マリアにいろいろと問い詰められたが事情説明をして了解を得られた。
まさか修羅場になるなんてことはないよな?………ないよね?
まあすべてはアルトリアが起きてからだ。それまではマリアとゲームしよう。
諸君言いたいことは山ほどあるだろう。けど言わないで!!俺のライフはもうゼロよ!!
ここではアーサー王は実在の人物とします。
そのほうが夢があるじゃない!