アルトリアを自宅に連れ帰り、事情を説明してから600年近くがたった。
俺たちがどんな存在か知ると大層驚いていたが、自分で納得できることがあるのか、うなづいていた。
アルトリアは聖剣を得た際、鞘の魔力により不老になったので、それに不死の属性を追加させた。これで俺たちと永遠を過ごすことになる。
罪悪感もあったが、本人の希望により行った。
アルトリアとの模擬戦も自分のためになった。
新たにエクスカリバーⅡを作成し渡した。
面倒だが、最初にやっておけば後はやらなくてもいいからと頑張った。
夜にマリアと情事にふけっている最中アルトリアが乱入してくることがあった。
気まずい雰囲気の中、意を決してどうしたか聞くと、自分の気持ちを抑えられずに思わず部屋に入ってきてしまったらしい。
しばらくの沈黙の後、マリアはアルトリアを連れ出し、しばらくたった後戻って一言。
「紫苑を私たちの共有財産にしたわ」
俺そっちのけで話が決まってしまった。どんな話があったかはわからないが仲良くしてくれるならよしとしよう。アルトリアのことも好きだし。
その後は三人でいたしました。幸せでした。最高でした。
アルトリアは献身的で尽くすタイプだった。
話は変わって、俺は今鴨川に来ている。目的はもちろん釣りだ。
黒をベースに金字の刺繍を施した綺麗な着物で来ている。
俺は鼻歌を歌いながら釣り糸を垂らし、魚が食いつくのを待っていた。
そこに―――
「もし?よろしいか?」
「ん?」
そこに立っていたのは中世的な顔をした美男子と厳つい顔をした身長2mくらいの男が立っていた。ふと遠くを見れば橋が見える。ここは鴨川――ああ、五条大橋での義経と弁慶の出会うところか。
「なにか?」
「いえ、特になにかというわけでもないんですが、ここで釣りをしている人はそう見かけないので珍しいなと」
「へ~。もったいないな。こんなによく釣れるのに」
俺は右に置いてある深めの桶を見た。
桶の中には10匹ほどの魚が水の中で泳いでいる。
「そろそろ日も暮れるな。今日はここまでにするか。どうだ?ここで一献」
「いいのか!?」
厳つい顔の男が言う。
「ああ。魚もここで焼いて食おう」
「すまぬ。これ弁慶少しは遠慮というものを……」
「いいじゃんか。本人がいいって言ってんだから」
「むう」
「まあ、気にするな」
「かたじけない」
俺は枯れ木を集め、魚に木を刺し、枯れ木に火をつけた。
指を鳴らして火がついたため、彼らは驚いていた。
「なんと!そなたは術師であったか」
「まあ、似たようなもんだ。それより自己紹介といこうか。俺のことは釣り人とでも呼んでくれ」
「私は源義経という」
「俺は武蔵坊弁慶だ。よろしくな!」
「ああ。見たところ二人は武家の者みたいだがこれからどこへ?」
「うむ。兄上が伊豆にて挙兵したのでな。兄上の下に参じるところだ」
「ふ~ん。ほれ義経、弁慶」
俺は徳利を傾け、それぞれの銚子に酒を注ぐ。
「うむ」
「お、悪いね兄ちゃん」
「じゃ今日の出会いに」
「「「乾杯!!」」」
「ッカー!!こんなうめえ酒初めて飲んだぞ」
「ああ、本当に美味しい」
「そうかい。ほれ、魚もいい頃合いだ」
「お、いいただくぜ」
「では私も」
その後は談笑して過ごした。
弁慶の1000本の刀集めや、義経の小さい頃の話などだ。やはり弁慶は暴れすぎて寺を一つ丸焦げにしたようだ。
日も暮れた頃、俺たちは解散することにした。
「では釣り人殿、馳走になった」
「またどっかで会ったら飲もうぜ!」
「会ったらな。ほら二人とも選別だ。くれてやる」
俺は酒の入った徳利を二つほど放り投げる。
「おいおい、いいのかよ」
「ああ、こんなもんでよけりゃいくらでもくれてやる」
「はっはー!ありがとよ!」
「ああ、二人で飲め」
「釣り人殿かたじけない」
「気にすんな。ほら、行ったいった」
二人は一礼して振り返り歩き出していった。
「まったく。なんでたまに動くと、こうも有名人と会うんだ?」
俺は疑問に思いながらもその場から自宅に転移した。
一方、紫苑と別れた二人は―――
「いやあ~、なんとも気前のいい奴だったじゃないか!なあ、主!」
「私はあの人が不機嫌じゃないかと不安で仕方がない」
「んなことねえって。それによ、なんかわかんねえけど俺あいつといるとすげえ気持ちいいんだ」
「…………」
「なんつ~のかな、そこにいるだけで安心するっつ~か、あいつが笑うと俺も嬉しくなるっつ~か、自分でもよくわかんねえけどなんかそう思うんだ」
「………それは私も思った。言葉で表すことはできないが、お前の気持ちはよく分かる」
「なあ主。あいつを誘ってみないか?」
「いや、それはできん。これは武士たる者の務めだ。ゆえに……」
「あ~はいはい、わかったよ。言ってみただけだ」
「そうか、ならいい。今日は宿に泊まって明日の朝出発だ。寝過ごすなよ」
「へいへい」
そのあと二人は予定通りに伊豆に入った。
二人は源頼朝の指揮の下、治承・寿永の乱、一ノ谷・屋島・壇ノ浦の合戦など、平家滅亡におおいに貢献し、数々の武勲を立てる。
しかし、兄、頼朝との中が不仲になり、最終的に朝敵とみなされ全国に指名手配され、衣川館にて自刃し果てるのは、それから約9年後のことである。
◇
義経たちと分かれてから700年くらいたった。
日本は現在明治時代である。
俺とマリアはいつものごとくダラダラと過ごし、アルトリアは自己鍛錬や俺とマリアと模擬戦をしていた。
マリアは『ト○コ』の食材を生み出して料理をするようになった。
トリコの食材は俺も読んでいて美味しそうだと思っていたので、これは嬉しかった。一品目でグルメクラゲを食べ、グルメ細胞を体に適応させる。これは全員適応した。
それからは、『虹の実』『ジュエルミート』『センチュリースープ』『フグ鯨』『メロウコーラ』『BBコーン』『白雪鮎』などたくさんの料理を食べた。
特に二人は『キューティクルベリー』がお好みのようだ。まあ、食うだけで髪が綺麗になるなんて反則だからな。
これ以来マリアの趣味が料理になった。
ところ変わって。
俺は現在、富士の樹海の川に来ている。目的はもちろん釣りだ。前世でも今世でも富士山は雄大だなあ~と思った。やはり俺は日本人なんだなと思った瞬間だった。
キセルを吹かしながら何回目かの餌をつけ、竿を振ろうとしたとき後ろから声が掛かった。
「ん?なんだこんなところに。珍しいな」
「はあ~」
思わずため息を吐いてしまった。
「おいおい、出会いがしらにため息とは失礼じゃないか?」
「ああ悪かったな。俺が釣りに行くとなぜか面倒なことがやってくるんだ。こうも続けばため息も吐きたくなる」
「あ~なんかしらんが苦労してんだな」
「いろいろな。で、誰だお前?」
「あ?お前こそ誰だ?」
「「…………」」
「はあ~、しょうがない俺のことは釣り人とでも言え」
「俺は川神鉄心だ」
俺は目を見開いた。川神鉄心といえば『真剣で私に恋しなさい』の登場人物だ。
まさかこの世界がマジ恋の世界だったとは……
「ふー、で、川神はなにしてんだ?」
「修行だ。あんたは……釣りだな」
「他になにがある?」
「まあ確かにな。でもなんでこんなとこにいんだよ」
「穴場なんだよここは。もういいだろ、ほら行ったいった」
「ここであったのも何かの縁だ。これからまだ釣るんだろ?少し分けてくれよ」
「は?」
「だから魚。分けてくれって」
「断る。自給自足も修行の内だろ。自分で取れ」
「んな固えこと言うなって。な?頼むよ」
「断るって言ってんだろ。しつけえな」
「なんだよ、小っちぇ奴だな」
イラッ
「なんだ?お前は自給自足もできない子供か?なんの修行してるか知らんが、その修行というのもたいしたことなさそうだな」
イラッ
「あ?こちとら力づくで奪うことだってできんだぜ」
「はっ!ガキが粋がってんじゃねえよ。あんまり吠えると弱く見えるぞ」
「「……………」」
「「やんのかこらあ!!」」
「おーしじゃあ勝負といこうぜ」
「あ?俺にメリットがないだろ」
「俺に勝ったって自慢できるぜ」
「お前みたいな雑魚に勝ったって自慢にもなんねえよ」
「それはどうか、な!!」
鉄心は掛け声と同時に駆け出し、拳を繰り出した。
なかなかのスピードだが、まだまだといったところだ。まあ一般の人が見れば消えたように映るかもしれんがな。
俺は繰り出された手首を掴み、川に放り投げた。
「な!!」
投げられた鉄心は空中でバカ面をさらしている。
バシャーン!!と川に落ちた。が、すぐに立ち上がってこちらを睨みつける。
「んのやろう……」
「どうした?こっわい顔して。ああ、これが水も滴るいい男ってか?」
「コケにしやがって!!【川神流無双正拳突き】!!」
「そんなトロイ攻撃あたらんぞ?」
俺は鉄心の攻撃を避け続けた。拳を蹴りを氣弾を。
拳が顔に来れば、首をかしげて避け、腕を掴み放り投げる。
蹴りが来ればしゃがんで足を払い、空中で身動きさせなくさせ回し蹴りを背中にくらわせ吹き飛ばす。
数十発の氣弾は体をひねって。
そんな一方的なやり取りがどれくらい続いたか。
俺は川岸の岩に座りキセルを吹かし、満身創痍の鉄心を見ていた。
「はあっ、はあっ、はあっ」
「なんだ?もう終わりか?」
「はあっ、はあっ、あんたなにもんだ」
「ふー、さあ?なにものだろうね?」
「はあっ、はっ、答える気はねえってか。まあいいや、今の俺じゃあんたには勝てねえ。だから次で最後だ」
「ふー、やっと終わりか。こんな面倒臭い事に付き合わせやがって」
「はあっ、はあっ、いくぞ!!」
「………ふー」
「はあああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「………ふー」
「【川神流星殺し】!!」
「………へえ」
鉄心が極太の氣のエネルギー波を放った。
これが星殺しか。
本人の氣の流れ、威力、技の密度、出すまでの速さ。
どれをとってもなかなかだ。が、まだまだといったところか。
一流だが超一流になるための修行中ってところだな。
「まあ俺には関係ないけどな」
指を鳴らして星殺しを………『消した』
そして一瞬で近づき、左手で鉄心の首を掴み持ち上げる。
「ぐ……」
「まあまあだったが残念だったな。相手が悪すぎだ」
「みたい……だな」
「俺には一生勝てんが他のやつにはそうそう負けることはないだろう」
「ぐ……」
「まあここで負けておけ」
首を掴んだ左手を振り、鉄心を地面に叩きつけた。
「……ふー。あ~かったりぃ」
倒れて気絶している鉄心の傍に魚の入った桶を置き、自宅に転移した。
その場に置き去りにされた鉄心は………
「ん……」
俺はどうしたんだっけ?
「え~と、確か……そうだ!あのやろう、次にあったら俺が勝つ!!」
けど今のままじゃだめだ。あいつには手も足も出なかった。
だが、まだまだ俺は強くなれる。もっともっとだ。
待ってろよ!!こんダボガアアーーーーーーーーーーー!!
「ふー」っていうのはキセルを吹かしてるとこです。分かってくれるでしょうか?