小雪のことを鉄心に任せ数日。
俺たちは京都に来ている。
秋葉原を数日かけて見終わったマリアが旅行に行こうと言い出し、三人で来ることにしたのだ。
二人は……特にマリアははしゃぎ清水寺から飛び降りようとしていた。
周囲の目もあるのでやめさせたが、どこか残念そうにしていた。
三人とも着物で、俺はいつものごとく黒に金字の刺繍、マリアは赤をベースに色とりどりの花の刺繍が施されている。
アルトリアは青をベースに花と鳥の刺繍が施されている。
どちらもよく似合っていて、道行く人は誰もが振り返っている。
今は甘味処で休憩を取り、これからどうするか相談しているところだ。
「他に行きたいとこはあるか?」
「そうねえ、主だったところは建築物はある程度回っちゃったし、後は美味しいものでも食べましょうか」
「そうするか」
「モグモグモグモグ」
こいつはこいつで餡蜜を一心不乱にかきこんでいる。
すでに10杯目だ。
「アルトリアは行きたい場所はないか?」
「私は特に何も……お二人と一緒にいられれば」
「そうか。じゃあ美味しいもの食べに行こうか。まだ腹は大丈夫か?」
「ええ、まだまだ入ります」
「じゃあ会計して次に行くか」
甘味処を出て街中を歩きながら、目的の店まで歩く。移動は全部徒歩で、近代的な街の中でも古い建物の名残を見たいとマリアの願いからだ。
最初は二人とも履きなれないものでぎこちなかったが、10分もすればいつも通りになっていた。
目的の店で食事を取り、今日は旅館に帰ろうと歩いていた。
そこで遭遇してしまった。―――松永親子に。
今目の前でおそらく借金取りだろう人物が大声で怒鳴り散らしている。
金が払えないなら娘をどうのこうのといっているのが聞こえ、それを聞きながらなんとかスルーできないかな~とか考えていたが、それは無理な相談だ。
なぜなら―――
「やめないか!!」
アルトリアがいるからだ。非道な行いを嫌うアルトリアは殴られる直前に割って入った。まあ、面倒だな~とか想いつつも俺も止めるんだろうけどさ。面倒なことが嫌いなのに自分から面倒を背負い込む。難儀な性格してるよまったく。
「貴様それでも男か!こんな子供にまで手を出して恥を知れ!」
「あ?んだこの姉ちゃん。悪いけど外野は引っ込んでもらえる?」
「そうそう。これは俺たちとこいつらの問題なんだからな」
「そうはいかん。このような場に出くわして、黙って見ていることなどできん」
「そうは言ってもな姉ちゃん、こいつは俺たちに1000万の借金があんだよ」
「だが暴力をふるっていい理由にはならんだろう。それにその娘はどうするつもりだったんだ?」
「アホか。そもそも闇金から金を借りなければこんなことにはならなかったんだ。返せないなら内臓売ったり人を売ってでも金を作らなきゃいけねえんだ。こっちも仕事だからな」
「下種が……」
「俺らにとっちゃ褒め言葉だ。それともなにか?姉ちゃんが肩代わりするってか?」
「…………」
「返答は無しか。黙るくらいなら口出すんじゃねえよ」
「……わかった。私が「待て」……紫苑」
後ろからアルトリアが馬鹿なこという前に止める。
「あんたは?」
「そいつの連れだ。話は聞いてた、そいつらの借金俺が払ってやる」
「は?1000万だぞ?」
俺は袖に手を入れ中で空間倉庫を展開、中から純金の重さ10kgのゴールドバーを取り出す。現在の金の取引価格が1kg=450万なので1本で4500万になる。
「これでどうだ?」
「……おい兄ちゃん。これ本物か?」
「当然だ。純金製だぞ」
「…………」
「手切れ金としては十分だと思うが?」
「……本物かどうか調べる。兄ちゃんと松永には事務所に来てもらうぞ」
「ま、仕方ないか」
「すいません、紫苑」
「気にすんな。首突っ込んだ時点でこうなることは分かってたしな」
「…………」
「怒ってねえから、んなしょげんな」
「そうよアルトリア。こういうハプニングもたまにはいいわ」
「二人ともありがとう」
アルトリアを慰めていると後ろから松永親子から声が掛かった。
「あの……」
「ん?ああ、忘れてたよ。怪我はないか?」
「あ、はい。大丈夫です。すみません、ご迷惑をおかけして」
「ああ、いいよ。あんなのはした金だし」
「純金10kgがはした金?」
「もういいんだよ。これでお前は借金から開放されるんだから」
「このお礼は必ず」
「期待しないで待ってるよ。なんで借金作ったか知らんがもう借金すんなよ」
「…………はい」
間が気になるがそこは娘に止めてもらうか。
隣では二人が松永の娘、燕を慰めている。
「ほら、もう泣かないの」
「ヒック…エック」
「大丈夫ですよ。もうあの人たちは来ないですから」
「ヒック……ホント?」
「はい。だからもう泣かなくてもいいんですよ」
それからしばらくして燕が泣き止んだ。
それを確認した俺と松永久信(自己紹介は済ました)は金融会社の事務所に行き、金が本物であることを確認した後、契約書の内容を確認し、返金したことを書面にし、その写しをもらい帰った。
「ただいま」
「ただいま燕ちゃん」
「「おかえりなさい」」
「おかえりおとん」
「燕ちゃんこれで借金なくなったよ」
「喜ぶことじゃないでしょ!この人たちがいなかったら私売られちゃうとこだったんだよ!」
「うん、ごめんね燕ちゃん」
「もう株なんてやらせないからね!またやったらホントにお母さん戻ってこなくなっちゃうからね!」
「うう、わかってるよぉ」
しばらくそんなやりとりをして燕が振り返った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん助けてくれてありがとう」
ペコリとお辞儀をした。
「神上さん、お二人もありがとうございました。このお礼は必ず」
「お礼をする前にちゃんと燕を育てて嫁さんも戻ってもらって家族でちゃんと過ごせ。礼はそれからだ」
久信にそう言う。
「はい。必ず」
「じゃあな。久信、燕」
「さようなら」
「それではまた」
俺たちは今日泊まる旅館に歩き出した。もうあの親子は大丈夫だろうと思う。
久信も燕に言われれば株に手を出すこともないだろうし。
その日の夜、燕という子供に会い可愛さを知ったのか
「「子供がほしい」」
といってきた。今までは避妊してきたので子供ができることはなかった。
もちろん断る理由もないので、激しく燃え上がった。
イカせつづけたので57発目ぐらいには二人とも気絶していた。
あちこちベタベタしていたが能力で綺麗にしてから就寝した。